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中国減速とトランプ米国、どちらが日本にリスクか?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160610-00012447-forbes-bus_all
Forbes JAPAN 6月10日(金)15時0分配信
コロンビア大学のキャンパスを突っ切って、アムステルダム通りのカフェレストランで旧友たちと再会した。長く情報機関で働いていたマークとシンクタンクに所属する中国人の戴さんだ。
ハグし合って久闊を叙すと、話題は中国リスクに集中した。中国は経済が急減速しているだけではなく、政治的にも困難さが増して社会も落ち着かないように見える。バブル崩壊過程の日本の姿が重なり合う。中国もこれについて徹底的に研究しているとも聞く。直ちに戴さんが応じた。
「習主席は本気で中国の夢を実現しようとしている。そのためには国の統治機構の廉潔性を高め、経済の新常態へのスムーズな移行が不可欠だとして、身を粉にして働いているのです。世界経済も中国人の爆買いに支えられているのではないですか」。中国の先行きを懸念する海外の報道は、過剰反応だと怒る。「それに中国は米国と並ぶ大国です。正直なところ、もう日本に学ぶものはないし、その必要もありません」。ちなみに彼女は日本人の夫を持つ大の親日家である。
私に言わせれば、大国の意味が曲者だ。昨今、中国経済が世界のGDPに占める割合は16%だが、20年前の日本のシェアは18%だった。輸出の世界シェアは現在の中国が13%、かつての日本は10%、外国為替取引に占める人民元のシェアはいまだに1%少々なのに、日本円は30年前から今日まで概ね10%強で推移している。この間、米国のGDPシェアはほぼ一貫して25%前後、ドルは国際取引の40%以上の地位を堅持している。中国は日本に学ぶ必要はないほどの大国だ、という発想には違和感がある。
さらに中国にはバブル期の日本にはなかった3つの罠が仕掛けられている。まず中所得の罠で豊かになる前に成長が止まってしまわないか、次に技術革新・ブランド欠如の罠、そして急速かつ不可避の高齢化社会の罠である。
「中国政府は十分織り込んでいます。李克強首相はゾンビ企業の淘汰や過剰設備の削減を繰り返し強調している。構造改革や高付加価値化、ソフト化、サービス経済への移行は習主席の大方針です。北京大学の林教授は、今後10年間は8%成長が可能なので過剰設備すら大した問題ではないと喝破するほどです」
マークが一言。「無理だね。結局、社会主義市場経済なる概念が、永遠に解けないパズルだし大矛盾だよ」。
■米国リスクを読み解く
古い友人同士だが、いささか話がぎくしゃくしてきた。私の出番である。「Change the subjectだ。僕は米国リスクがとても気になる。トランプ旋風には正直、どうなっちゃったのか、って感じるんだが」。
マークが戴さんのワイングラスを充たしながら呻くように言う。「日本にとっては米国リスクのほうが大きいかもしれない。そのリスクは中国にも、アジア全体にも降りかかってくるだろう」。
彼は、トランプ旋風は多重構造だと指摘する。表層的にはかつての橋下徹ブームに似ている。本音を下品なまでに痛快な表現で代弁してくれる姿に、多くの米国人が拍手喝采を送る。その底流には、湾岸戦争以来の米国の外交戦略の誤りとそれゆえに対外交渉での必要以上のコミットメントに疲れ、倦(う)んだマインドが潜んでいる。レイシズムや女性蔑視とも取れる発言も、マイノリティの台頭に危機感を募らせる白人層からの岩盤のような支持を自覚したものだ、という。
「特に用心しなければならないのは、孤立主義だ。米国は他国を頼らずやっていける。これ以上国内で貧困層が増え、善意の外交が裏目に出て、テロの脅威に怯えるのは馬鹿げている。誰が大統領になろうと同じだと考えておいたほうがいいね」。21世紀のモンロー主義か。日米同盟はどうなるのか。
「現象面ではあまり変わるまい。けど、経済、外交、まして軍事では、まず日本が自国でやるべきことをやってからだ、という精神になる。助力はするが身代わりにはならないよ」。アジアの問題はアジアで解決しろ、太平洋の西半分から中東までは、米国の核心的利益に触れない限り過度の介入はしないという。日中を含むアジア全体の緊張度は高まるだろうが、米国にとってはnone of my businessなのだろう。
ほんのり頬を染めた戴さんは機嫌を直したようだ。「一帯一路は筋のよい構想よ。日本も早くアジアインフラ投資銀行(AIIB)に加盟すべきだわ。中国の夢は日本の夢にもつながるはずよ」。
YUSUKEKAWAMURA
川村雄介◎1953年、神奈川県生まれ。大和証券入社、シンジケート部長などを経て長崎大学経済学部教授に。現職は大和総研副理事長。クールジャパン機構社外取締役を兼務。政府審議会委員も多数兼任。『最新証券市場』など著書多数。
Forbes JAPAN 編集部
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