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中曽日銀副総裁、追加緩和判断で3つのポイント提示 物価基調は改善
[秋田市 9日 ロイター] - 日銀の中曽宏副総裁は9日、秋田市内で会見し、追加緩和を判断する際には、所得から支出への好循環や賃金の上昇、緩和的な金融環境の維持という3つがポイントになると語った。日銀が重視する物価の基調は改善を続けているとし、企業の前向きな価格設定スタンスも維持されていると強調した。
中曽副総裁は、追加緩和について「景気・物価面と金融環境面でいくつかのチェックポイントがある」とし、景気・物価面では、1)家計・企業部門で所得から支出への前向きな循環メカニズムが持続されているかどうか、2)企業収益から雇用者所得への波及が維持され、賃金の上昇を伴いつつ物価上昇率が高まっていくメカニズムが作用し続けているかどうか、を挙げた。
こうしたメカニズムが作動していれば、「日本経済は基調として潜在成長率を上回る成長を続け、物価の基調は着実に高まる」との認識を示した。
3つ目には「極めて緩和的な金融環境が維持されるかどうか」を指摘。緩和的な金融環境が維持されれば「実体経済や物価面に政策効果は着実に波及していく」とし、これらのポイントを「毎回の決定会合で点検して(追加緩和の是非を)判断していく」と語った。
物価の基調をめぐっては、日銀が重視している生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価(日銀版コアコアCPI)の前年比が4月に1%を割り込むなど、ここにきて頭打ち感も出ている。
それでも中曽副総裁は「物価の基調は改善を続けている」と強調。「各種のヒアリング情報なども踏まえると、企業の前向きな価格設定スタンスは維持されている」とし、「賃金上昇を伴いながら物価上昇率が緩やかに高まっていくというメカニズムは作用している」との見解を示した。
先行きも「企業の賃金や価格設定スタンスは積極化していくと予想している」と自信を示したが、「不確実性は多い。今後の動向について予断を持つことなく、丹念に点検していく」と語った。
安倍晋三首相が来年4月に予定していた消費税増税の2年半延期を表明したことに関し、一般論とした上で「国全体として財政運営に対する信認を維持することが重要」と指摘。「政府による持続可能な財政構造の確立に向けた取り組みが、着実に実行されることを期待している」と表明した。
三菱東京UFJ銀行が国債市場特別参加者(プライマリーディーラー)の資格を返上する方向で検討していることに対しては「(国債の)発行・入札について、政府が国債市場の動向を注視しつつ、安定的な消化が確保されるよう適切に対応されると思う」と述べるにとどめた。
(伊藤純夫 編集:内田慎一)
http://jp.reuters.com/article/nakaso-idJPKCN0YV0P7
コラム:アベノミクスに残された「最後の矢」
佐々木融JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長
[東京 9日] - ドル円相場は、5月米雇用統計が予想を大幅に下回ったことを受けて、108円台後半から106円台半ばまで急速に円高・ドル安が進んだ。しかし、仮に米雇用統計があれほど弱い結果となっていなくても、遅かれ早かれ、反落基調に入っていたと考えられる。
なぜなら、5月中のドル高・円安方向への調整は、すでに6月1日の時点で終了し、ドル円相場は反落基調に戻り始めていたからである。きっかけは、1日の安倍首相の記者会見だ。
現在、海外投資家が日本に関して最も注目しているのは、第2次補正予算の規模である。日本のメディア報道によれば、その規模は5―10兆円で、9月末にも召集される臨時国会で審議される可能性があるという。
しかし、海外投資家は、第1の矢である金融政策が限界を迎える中、第2の矢である財政政策を矢継ぎ早に放たなければ2%のインフレ率、2%の実質成長率の達成は難しい、とのロジックから、1日の記者会見で、安倍首相が消費増税の先送りとともに、10兆円以上の補正予算を発表することを期待していた。そうした期待が脆くも崩され、円買い戻しの動きにつながっていたのだ。
アベノミクスは開始後3年間、第1の矢に頼り続け、それをほぼ使い果たした。マイナス金利という最後の第1の矢は、日本経済にマイナスの副作用を与えてしまっている。
そこで、政府は今、第2の矢、つまり財政政策に焦点を移し、これに頼ろうとしており、マーケットもそちらに期待をし始めた。ただ、第1の矢と根本的に異なるのは、日本には第2の矢がほとんど残っていないという事実だ。政府債務残高は国内総生産(GDP)の200%と先進国の中では圧倒的に多く、財政支出を膨らませる余裕はない。マーケットはそのことを早くも思い知らされている状態と言える。
<痛み止めと強壮剤で経済の実力は上がらない>
アベノミクスは、本格的に第3の矢(構造改革・規制緩和)に頼るしかなくなっている。そもそも、こうした事態に陥るのは必然だった。本コラムで何度も指摘している通り、マーケットは実体経済を映す鏡でしかない。実体経済が変わっていないのに、鏡が違う姿を映し続けることはできないからである。
日本経済の潜在成長率は0.3%程度にすぎない。「痛み止め」の第1の矢(金融緩和)や「強壮剤」の第2の矢(財政支出)を使って一時的に本来以上の力を発揮したとしても、それは一時的なものに終わる。円相場に振らされる株価は、その企業の本当の収益力を反映しているわけではないだろう。
マーケットは、日本が痛み止めや強壮剤を使っている姿にだまされたのではなく、その間に第3の矢(構造改革・規制緩和)で大胆な手術を行ってくれるだろうと期待して、それを織り込んできた。しかし、痛み止めが効かないどころか副作用まで広がり、また強壮剤も在庫が無いことに気づき、失望し始めている。
そうした中、一部の市場参加者は、残った痛み止めと強壮剤を混ぜ合わせて、ヘリコプターマネーという「劇薬」を作ることを推奨し始めている。政府と日銀が劇薬を作り始めれば、マーケットは再び反応するだろう。最初は過去3年間と似たような反応になり、ポジティブな効果が出たように映るかもしれない。
しかし、その時の反応は、大胆な手術が行われ、実力が高まることへの期待ではなく、劇薬に頼り続けなければ生きていけなくなることへの期待、つまり何度も劇薬が投与されることへの期待となるだろう。
日本はこのあたりで一度冷静に今後の方針を考える必要があるのではないだろうか。大量の痛み止めや強壮剤を使ってみたら実力も上がるかもしれないと考え、チャレンジしたことを今から批判しても仕方がない。実験してみなければ、いつまでも効果があるとの意見がくすぶっていただろう。
ただし、痛み止めや強壮剤だけでは実力は上がらなかったことが分かった今、劇薬でまやかしの姿を作るのではなく、そもそもどのようにして日本経済の本当の実力を上げていくかを考えるべきではないだろうか。
確かに、痛み止めの効果が薄れ始め、強壮剤の在庫が無い中で、大胆な手術を行うのは難しいかもしれない。しかし、少しずつでも痛みを感じながら手術を行っていかなければ、日本経済の本当の実力は回復しないはずだ。今後は第3の矢だけに頼って実力を回復することを考えた方が、マーケットは評価するのではないだろうか。
*佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の市場調査本部長で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書に「インフレで私たちの収入は本当に増えるのか?」「弱い日本の強い円」など。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。
*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-tohru-sasaki-idJPKCN0YV0L9?sp=true
オピニオン:日銀緩和困難に、ドル105円の根拠
中窪文男UBS証券ウェルス・マネジメント本部 最高投資責任者(CIO)
[東京 9日] - 5月の米雇用統計は市場予想を大きく下回ったものの、米経済のファンダメンタルズは堅調であり、9月と12月に利上げがあるとの見通しは変わっていないと、UBS証券ウェルス・マネジメント本部の最高投資責任者(CIO)、中窪文男氏は述べる。
ただ、ドル円相場については、日銀の追加緩和実施のハードルが上がっていることから、当面はドル安円高方向で推移する可能性が高いと予想する。
同氏の見解は以下の通り。
<ドル円予想を下方修正、中長期では「悪い円安」に要警戒>
実は5月米雇用統計の発表よりも数週間前にドル円とユーロドルの見通しを修正した。ドル円はドル安円高方向に見直し、3カ月後と6カ月後はいずれも105円、12カ月後は110円とそれぞれ見通している(前回予想では3カ月後117円、6カ月後120円、12カ月後122円)。ただ、購買力平価からみた均衡レート(79円)に対しては、まだ大幅な円安水準で推移すると予想している。
一方、ユーロドルは堅調な欧州経済を受けて、手前の予想のみ若干ドル安ユーロ高方向に見直した。3カ月後が1.10ドル、6カ月後が1.14ドル、12カ月後は1.16ドルだ(前回は3カ月後が1.08ドル、6カ月後が1.10ドル、12カ月後は1.16ドル)。ただ、こちらも均衡レート(1.25ドル)に対しては、割安な水準で引き続き推移するとみている。
ドル円について、ドル安円高方向に大きく修正した最大の理由は、日銀の金融緩和が効きにくくなり、そして、実施しにくくなったことだ。現在の経済状況から判断すれば、本来は、日銀がいつ緩和に出ても(出ざるを得なくなっても)おかしくはないはずだ。
しかし、よほどの奇策でもない限り市場への効果は期待できない。そうした中で、日銀が導入したマイナス金利政策の効果に対する市場の厳しい見方、特に銀行サイドでの不満の高まりもあり、アグレッシブな金融緩和に対する政府の評価も慎重なものに変わってきているように感じられる。今回の消費増税再延期も、財政政策シフトの一端を示すものかもしれない。
日本でインフレが起こせず、デフレがまた続くということになれば、当然、円高になる。デフレの国の通貨は、一時的に上がったり下がったりすることはあるにせよ、中長期的には強くなっていく。
物価は実際のところ、伸び悩んでいる。4月の全国消費者物価指数(CPI)は前年同月比マイナス0.3%、変動が激しい食料とエネルギーを除くコアコアCPIもプラス0.7%にとどまっている。川上における物価も下がっており、ここからさらに円高になれば輸入物価の下落に連れて、下げ足を速めていく可能性がある。
日銀の佐藤(健裕)審議委員が6月2日の講演で、物価動向について「無理に2%を達成する必要はない」と述べたが、それぐらいインフレ目標の達成は難しくなってきているということだ。
ただ、中長期でみて円安要因として注意しなくてはいけないことは、財政問題である。消費増税先送りもそうだが、財源確保の努力をおろそかにして拡張的な財政政策を続ければ、日本国債が格下げされるリスクは十分にある。将来的に、万が一、トリプルBやダブルBになれば、いくら日銀が買い支えるとしても、長期金利に上昇圧力がかかる可能性は高い。
長期金利が1%上昇するだけでも、金融機関の収益には大きな打撃となる。経済ファンダメンタルズ要因で円安が進まずとも、「悪いインフレ」が進むことによって「悪い円安」が起こる可能性には引き続き注意が必要だ。
<英国民投票と米大統領選で円高方向へオーバーシュートも>
一方、米国の金融引き締めについては、2016年は9月と12月にFRBが利上げを実施すると予想している。6月と7月の利上げは予想していない。この見通しは雇用統計前と同じだ。
今年2回、来年2回という我々の利上げ予想はFRBの見通しに近く、若干ホーキッシュ(タカ派)だと言えるかもしれない。市場参加者の間では、5月雇用統計の弱い結果を受けて、次の利上げは来年初めまでないとの見方も広がっているようだが、我々の考えは違う。
非農業部門雇用者数は確かに大きく下振れたが、求人数は増えており、失業率も着実に低下している。今後、地区連銀のメンバーからも、完全雇用状態でのインフレ懸念の高まりを理由に、利上げを唱える声が増えてくるのではないかと考える。
最後に、円高方向へのオーバーシュートをもたらしかねない潜在的なリスクイベントについて言い添えれば、向こう半年では、欧州連合(EU)離脱・残留を問う英国民投票と米国の大統領選ということになろう。
6月23日の英国民投票でEU離脱が決まれば、目先でリスクオフが高まり、前述した予想レートを超えて、円高方向にオーバーシュートする可能性には十分な注意が必要だ。同様に、11月8日の米大統領選で共和党のトランプ候補が勝利するようなことがあれば、世界経済の行く末に対する不確実性の高まりから、市場がリスク回避の様相を呈する可能性が高い。
また、大統領選が近づくにつれ、保護主義色が強まり、日本の為替介入の可能性をけん制する米当局者のコメントが増えている点は無視できない。こうした米国側の事情もまた日銀の追加緩和実施を困難にさせ、ドル円の上昇を阻む要因となるだろう。
*本稿は、中窪文男氏へのインタビューをもとに、同氏の個人的見解に基づいて書かれています。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。
http://jp.reuters.com/article/opinion-forexforum-fumio-nakakubo-idJPKCN0YV08A
- 中曽日銀副総裁:年金生活者や高齢者に申し訳ないが必要なら緩和 仮面かぶった日本の成長率−増税延期と財政出動で 軽毛 2016/6/09 23:43:24
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- ユーロ圏経済に恒久的な打撃の恐れ、構造改革加速を=ECB総裁 EUからの離脱、英国の結束弱める元首相2人が訴えへ=BBC 軽毛 2016/6/09 22:05:22
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