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三菱重工業・宮永俊一社長(ロイター/アフロ)
ボロボロの名門・三菱重工の没落と醜態…紛争まみれ、肝入り事業失敗連続で巨額損失地獄
http://biz-journal.jp/2016/06/post_15396.html
2016.06.09 文=編集部 Business Journal
燃費データ不正問題を受けて三菱自動車工業の益子修会長は、「三菱御三家」の三菱重工業・宮永俊一社長、三菱東京UFJ銀行・小山田隆頭取、三菱商事・垣内威彦社長との「4社会」に臨んだ。4社会は、2000年代前半にリコールで揺れた三菱自の支援策を協議するために設けられた会議の名称だ。
この会合で益子氏は「日産自動車からの34%の出資受け入れる」と述べた。実質的に、三菱自を日産へ身売りする案だが、御三家はこれを受け入れた。
リコール隠しが相次いだ際、30%超を出資していたダイムラー・クライスラー(現ダイムラー)が提携を解消、資本を引き揚げた。三菱自の資金繰りが逼迫し倒産の危機が迫ったため、御三家は計6000億円の優先株を引き受けて三菱自を支えた。
支援スキームを主導したのは三菱重工だ。三菱自は1970年4月に三菱重工の自動車部門が分離してスタートした。三菱財閥の創業100周年事業としてグループ内に自動車会社をつくったのである。
三菱重工にとって三菱自は直系の会社であり、潰すわけにはいかないとの思いがある。三菱重工が音頭を取り、「オール三菱」の体勢で三菱自を救済した。
しかし、今回は違った。間接保有分も含め20%を出資する筆頭株主の三菱重工は動かなかった。「動けなかった」というほうが正しいだろう。満身創痍の三菱重工は、自社の立て直しで精一杯で、三菱自動車を支援する余裕はまったくなかった。三菱自の問題は、三菱重工の苦境ぶりをあらためて浮き彫りにした。
6月24日の三菱自の株主総会後、日産は開発担当の副社長、三菱東京UFJ銀行は副社長兼最高財務責任者(CFO)を送り込み、三菱商事からは4月に三菱重工に入社した常務執行役員が海外担当の副社長に就く。だが、三菱重工は新たに常勤役員を派遣せず、宮永氏が社外取締役として入っただけで、三菱重工出身の青砥修一常務も退任する。
■豪華客船の累積損失は2375億円
宮永氏は4月25日、客船世界最大手の米カーニバル傘下、アイーダ・クルーズ向けの大型客船2隻で、新たに508億円の追加損失を計上すると発表した。その席上で、見積もりの甘さをこのように吐露した。
「大型客船をつくるノウハウを熟知していなかった」
客船建造は、長らく不振が続いた造船ビジネスの牽引役になるはずだった。02年に「動くホテル」と呼ばれた豪華客船ダイヤモンドプリンセスが、長崎造船所で建造中に火災事故を起こし、その後は客船の受注が途絶えていた。
それだけに、11年にアイーダ・クルーズ向け大型客船2隻を受注したことは、三菱重工の客船建造の復活を示す快挙だった。長崎造船所で建造したが、1番船は当初予定の15年3月から1年遅れて引き渡した。2番船は16年3月の引き渡しだったが、宮永氏は「今年中に引き渡すのは難しいかもしれない」との見通しを示した。
受注額は2隻で1000億円とみられるが、累計損失は2375億円に膨れ上がり、受注額の2倍を超えた。
三菱重工の16年3月期の連結決算の純利益は、前期比42.2%減の638億円。大型クルーズ客船の引き渡しが遅れたことに伴う特別損失を1039億円計上したことが響いた。売上高は航空機部品事業が好調だったことから同1.4%増の4兆468億円、営業利益は4.5%増の3095億円で最高益となった。
■3つのリスクに新たに加わった三菱自動車株の減損リスク
これまで、三菱重工は3つのリスクを抱えているといわれてきた。ひとつは米国の原子力発電所の事故に絡む訴訟問題。約75億ドル(約9000億円)の損害賠償請求を受けている。三菱重工は契約上の責任上限が1億ドル強だとして争っている。結果が出るのは16年末以降になる見込みだ。
2つ目は開発が長引く小型旅客機「MRJ」だ。MRJ事業は、三菱重工の威信と社運を賭けた一大プロジェクトである。開発の長期化で総開発費は3000億円にまで膨張した。設備投資や運転資金を含めると、納入開始までに先行投資額は4000億円を超える。
3つ目が前出の大型客船の納期遅れである。
そして今回、新たに三菱自動車の燃費データ改竄問題が加わった。三菱重工は三菱自動車株を20%保有している。三菱自動車株の減損リスクが懸念されているのだ。問題発覚後、三菱自動車の株価は4月27日に実質的な上場来安値(412円)をつけた。三菱重工の帳簿価格を50%以上下回ったとされている。
日産の傘下入りが報じられたことで株価は持ち直してきたが、それでも減損処理が必要になる可能性は高い。
■南アフリカの火力発電をめぐり、三菱重工と日立が対立
こうした“四重苦”を抱えていても、三菱重工の成長力を評価する市場関係者は多かった。新興国を中心に火力タービン事業の好調が続き、日立製作所との火力統合のシナジー効果が出始めたとみられていたからだ。
だが、こうした矢先、三菱重工と日立の間に亀裂が生じた。
三菱重工は5月9日、南アフリカで手掛ける石炭火力発電プラントの工事に絡み、日立製作所に3790億円の支払いを請求したと発表した。この案件は、三菱重工と日立が14年に共同で設立した三菱日立パワーシステムズが、日立の連結子会社から引き継いだものだ。日立側も同日、「譲渡価格に関して三菱重工と日立は合意に至っていない」と発表した。巨額の負担をめぐり、両社の見解は大きく違っている。
新会社発足前の07年、日立が火力発電所向けのボイラー建設を5700億円で受注した。新会社設立以前の損失は、日立が責任を負う契約を締結していた。
三菱重工は独自に同案件の評価額を算出し、日立側には3790億円の支払い義務が生じると結論づけた。三菱重工は自社の試算に基づき日立に請求したが、交渉はまとまらず公表に踏み切った。日立側は法的根拠に欠けるとして請求には応じない旨を伝えている。
三菱日立パワーシステムズの出資比率は三菱重工が65%、日立が35%。三菱重工は大型ガスタービン、日立が中小型ガスタービンに力を入れていた。事業統合により、フルラインナップの体制が整った。米ゼネラル・エレクトリック(GE)、独シーメンスに次ぐ世界3位に浮上し、「世界に挑む」と宣言した。
三菱重工と日立の火力統合のシナジーが出始めた矢先に、対立が表面化した。この問題が三菱重工、日立双方の新たな業績のリスクになることは間違いない。
三菱重工は、三菱日立パワーシステムズを中核事業と位置付けている。三菱重工にとって5つ目の大きなリスクだ。はたして“五重苦”に耐え続けることができるのだろうか。
(文=編集部)
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