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第2次世界大戦後、日本では経済が急速に発展し、大量の中産階級を擁する「釣り鐘型」の人口ピラミッドが形成された。
アベノミクスは日本の中産階級を消滅させている―中国メディア
http://www.recordchina.co.jp/a140340.html
2016年6月3日(金) 7時40分
第2次世界大戦後、日本では経済が急速に発展し、大量の中産階級を擁する「釣り鐘型」の人口ピラミッドが形成された。だがここ数年、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の恩恵が国民の隅々まで行き渡ることはなく、貧富の差が拡大し、これに深刻な高齢化、ずしりとのしかかる社会保障負担、低迷する雇用情勢が加わって、中産階級が社会の底辺に向かって徐々に沈み込むようになった。日本の社会構造は少しずつ底辺の短い「つぼ型」へと変わっている。新華社が伝えた。
▽貯蓄ゼロは3世帯に1世帯
日本の国税庁がまとめた統計によると、2014年の日本の貧困層は約1139万人で、1999年の約804万人に比べて42%増加した。安倍政権がスタートした12年末から14年までのわずか2年ほどの間に、貧困層は約50万人増加した。
生活保護の受給者も増えている。厚生労働省の統計では、15年末現在、生活保護受給世帯は163万4000世帯で、需給者数は216万6000人に上り、いずれも過去最高だった。
長年にわたり日本社会の貧困問題に取り組んできた日本弁護士連合会元会長の宇都宮氏は、「日本では貯蓄ゼロの世帯の割合が約30%に上る。1980年代はわずか5%だった。今や3世帯に1世帯は貯蓄ゼロだ」と話す。
貯蓄ゼロ世帯の激増は、戦後の第1次ベビーブーム世代(1946-64年生まれ)の貯蓄が食いつぶされていることが主な原因だ。
近年、貧困ラインを下回るベビーブーム世代が増えている。この世代は、経済的に低迷し低所得にあえぐ子ども世代を支援しなければならず、高齢の両親の面倒もみなければならず、板挟みの状態で、自分たちの老後のために蓄えた資金を徐々に食いつぶし、経済的に困窮するというケースが多い。
▽貧富の差が拡大
貧困層が増え続ける一方で、安倍政権発足後、日本では大企業と富裕層の資産がたびたび過去最高を記録している。
財務省のまとめた統計をみると、14年度には日本の大企業約5000社が保有する利益は299兆5000億円に達し、前年度比14兆円増加し、8年連続で記録を更新した。米経済誌「フォーブス」がこのほど発表した日本の15年度長者番付をみると、上位40人の資産総額は15兆4000億元に増加し、安倍政権になってからの4年で2倍以上増えた。
▽「鉄の茶碗」はもうない、誰もが非正規
日本が戦後、多数の中産階級を擁する社会を形成した上で、終身雇用制の果たした功績は計り知れない。だが90年代にバブル経済が崩壊すると、企業の業績が大幅に低下し、日本政府は経済界の要請を受けて法律を改正し、労働者の利益を犠牲にして、企業が非正規の労働者を雇用することを認め、こうして終身雇用制をはじめとする日本の職場の伝統は失われた。
21世紀になると、非正規労働者は年々増加。厚労省の統計では、14年には1962万人に達し、全労働者の37.4%を占め、95年に比べ約900万人増加した。
宇都宮氏は、「非正規労働者の賃金は正社員の約半分で、昇進のチャンスもなく、あらゆる面で不公平だ。企業の業績が悪化すれば、すぐにクビを切られる」と指摘する。08年の金融危機の時には、大量の非正規労働者がリストラされ、ホームレスになる人もいて、深刻な社会問題となった。経済協力開発機構(OECD)は当時、日本政府に非正規雇用の横行する状況を改善するよう求めた。
日本共産党の植木広報部長は、「安倍政権は発足後、非正規雇用の問題の改善に努力しなかっただけでなく、15年には労働者派遣法を改悪して、企業が非正規労働者をより雇用しやすいようにした」と話す。
▽消費税率引き上げ、社会保障負担を国民に転嫁
高齢化の進行にともない、日本政府の社会保障負担が年々増加し、毎年約1兆円の負担増に耐えなければ、これまでの社会保障水準を維持できなくなっている。
14年には社会保障負担の不足を補うという口実で、消費税率が3%引き上げられて8%になった。これにより税収は約5兆円増加したが、このうち社会保障費用に充てられたのは5000億円にとどまり、不足分の5000億円は社会保障の水準を引き下げたり、国民負担を増加したりするなどの「痛みを伴う改革」で補填され、国民の医療保険や年金などの社会保険料負担はますます重くなった。
宇都宮氏は、「最近、日本政府は社会保障負担を国民に押しつけ、税負担を高所得層から低所得層にスライドさせようとしている。ここ30年間ほど、日本政府は大企業と富裕層にばかり減税を実施し、一般の国民にとっては増税になっている」と指摘する。
企業の利益を課税対象とする法人税の税率は80年代の約50%が今や30%を割り込み、安倍政権はさらなる引き下げを検討する。日本の個人所得税は累進課税方式を採用し、最高税率は80年代の75%から、現在は45%に下がった。消費税はすべての国民から徴収する税金で、所得が少ないほど、実質的な税負担は重くなる。消費税率引き上げは低所得層の生活をより厳しいものにする。
宇都宮氏は、安倍政権が社会保障予算を減らす一方で、軍事関連の予算を大幅に増やしていることに驚きを示す。安倍政権の誕生後、日本の防衛予算は4年連続で増加し、5兆円の大台を突破したという。
▽失われた若年世代
90年代のバブル経済崩壊後、日本は「失われた30年」に突入した。今の日本の若い世代はさながら「ロストジェネレーション」だ。
文部科学省の調査によると、貧困世帯が増えたため、12年の大学生の奨学金申請率は52.5%に上昇した。96年は21.2%だった。こうした現象の背後には日本政府の教育支援の手薄さがある。
OECDが15年末に発表した統計によると、日本の教育機関に対する財政支援の対GDP(国内総生産)比はわずか3.5%で、OECD加盟国中最低だという。
雇用環境の悪化により、大学を卒業しても正社員になれない人がたくさんいる。統計によると、20〜30歳の年齢層の非正規雇用者の割合は全体の平均を上回るという。給与が低く、卒業後に奨学金を返済できない人も大勢いる。日本学生支援機構がまとめた統計によれば、13年には返済が滞った卒業生が約33万人に上ったという。
宇都宮氏は、「20歳から40歳の若い世代では自殺が死因のトップ。今の日本社会は、若い人々が希望をもてない社会、未来のない社会だ。日本社会の現実は安倍首相が口にするうるわしいスローガンとは大きく隔たっている」と話す。(提供/人民網日本語版・編集/KS)
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