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6月1日、経済協力開発機構(OECD)は、加盟国経済の見通し「エコノミックアウトルック」を公表した。日本については「前例なき高水準の公的債務が主要リスクのひとつ」だと指摘した。写真はパリのOECD本部。2009年9月撮影(2016年 ロイター/Charles Platiau)
日本の財政は主要リスク、信認喪失なら世界経済に波及=OECD
http://jp.reuters.com/article/oecd-idJPKCN0YN3XY
2016年 06月 1日 18:35 JST
[東京 1日 ロイター] - 経済協力開発機構(OECD)は1日、加盟国経済の見通し「エコノミックアウトルック」を公表した。日本については「前例なき高水準の公的債務が主要リスクのひとつ」だと指摘した。
財政健全化目標達成のために消費税や所得税など様々な税率を引き上げて歳入増を実行に移さない限り、財政持続可能性に関する信認が失われ、世界経済に大きく波及するとの見方を示した。
この見通しは、日本については2017年4月の消費税率引き上げを前提にしている。その上で、予定通りの消費増税と、それに伴い必要となるかもしれない財政刺激策を実施したとしても、2020年度までの基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化目標を達成する軌道には達していないとした。社会保障支出の増加抑制策や消費税率の漸増、所得税、法人税の課税ベース拡大、環境税引き上げなどの歳入増加策など、詳細かつ具体的な戦略を実行に移さない限り、財政の持続可能性に関する信頼が失われると警告した。そして世界経済への大きな波及効果を伴いながら、日本の金融部門、実体経済の安定が損なわれるだろうとの見通しを示した。
さらに、生産性を高め、経済成長率を2%に高めていくためには、大胆な改革が必要だと指摘。環太平洋連携協定(TPP)や欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)、日中韓自由貿易協定(FTA)の締結が有益だとした。
企業部門の活性化にはコーポレートガバナンス強化の必要性を指摘した。
経済成長は、16年はプラス0.7%、17年は0.4%と予測している。
世界経済については、金融危機から8年経過しても経済回復は失望を誘うほど弱いとしたうえで、16年は前年と同じ3%成長、17年は3.3%成長との見通しを示した。新興国での一次産品価格の急速な下落、先進国での緩慢な賃金増加と投資の低迷などを要因に挙げた。
世界経済が低成長から抜け出すには、財政・構造改革、金融緩和と合わせた包括的な政策が必要だとしたが、追加的金融緩和は過去と比較して有効ではなく、状況によっては逆効果になり得ると指摘した。他方で、財政拡大は低金利により一時的にその余地が拡大しているとして、公共投資を引き上げる国際的協調行動により、財政の持続的可能性を損なうことなく需要が拡大するだろうと見通した。
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