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FX Forum | 2016年 05月 28日 10:40 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:米利上げ織り込み後に「円高」へ
亀岡裕次大和証券 チーフ為替アナリスト
[東京 27日] - 5月のドル円上昇は、ドル高によるところが大きい。リスクオンや麻生財務相の為替に関する口先介入が円安に作用した局面はあったが、世界株安などリスクオフに傾く日も多く、ドル以外の通貨に対する円安の進行は鈍い。
一方、米金利上昇、あるいはリスクオフによるドル高から、実効為替ベースでドル高が進んでいる。原油価格反発に加え、4月米小売売上高や消費者物価(CPI)などが市場予想を上回ったことが、米連邦準備理事会(FRB)の早期利上げ期待を高めた。
また、4月米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、米経済指標が4―6月期の成長加速を示し、雇用とインフレ率の前進が確認されれば、6月か7月の利上げが適切と考えるメンバーが大半を占めたと判明したことや、早期利上げに前向きな一部メンバーのタカ派的発言から、利上げ期待とともに米国金利が上昇した。
<米利上げ前にドル円の反落も>
2015年12月にFRBが利上げする前にも、利上げ期待の高まりによる米金利上昇とともにドル高(実効為替の上昇)が進み、ドル円が上昇した。ただし、12月16日にフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の0.25%引き上げが決定されるおよそ1カ月前の11月18日に、ドル円は123.68円のピークをつけた。そして、利上げ前の12月8日以降に下落の兆しが見え、利上げ決定から間もない12月18日以降に急落した。これは円の動きによるものだ。
ドル以外の通貨に対する円の為替(クロス円)は、11月9日以降に円安が伸び悩み始め、12月8日以降に円高進行が明確化した。つまり、ドル高(実効為替の上昇)は続いていたものの、リスクオフの円高が明確化したためにクロス円だけでなくドル円も下落するようになり、利上げ後にその動きが拡大したのだ。
16年6月14―15日のFOMCを控え、利上げ期待からドル円は一時110.59円まで上昇する一方で、クロス円は全般的に伸び悩んでいる。今年5月以降も昨年11―12月と同様に、米金利上昇やリスクオフによるドル高が続くなかでリスクオフの円高が明確化し、クロス円だけでなくドル円も下落することになるのだろうか。
<利上げ期待によるドル高は限定的か>
1年先のFF先物金利は、16年3月FOMCの政策発表前日の水準をやや上回ったが、差は小さい。17年半ばにかけてのイールドカーブの傾斜は3月当時とほぼ同じであり、金利水準は当時よりも0.03%ほど低い。一時に比べると利上げ期待が高まったとはいえ、3月のFOMC直前とほぼ変わらないのだ。
一方、米2年国債金利や10年国債金利などは3月当時よりも低い水準にあり、長めの期間でみると市場の金利先高観は後退している。最近の米経済指標改善や市場安定を受けて、6月か7月にFRBが利上げする可能性が出てきたものの、中長期的な利上げペースが速まるとの見方が強まっているわけではない。
これは、市場の米国景気見通しが改善していないからだろう。米景気見通しが改善しない限り、利上げ期待の高まりによる米金利上昇は限定的で、金利上昇によるドル高も大きなものとはなりにくいとみられる。
15年12月の米利上げ後、年末近くまで米2年国債金利は上昇したが、ドル円は上昇しなかった。利上げ前の11月に米10年国債金利の上昇が止まると、ドル円も同じように上昇が止まった。短期債よりも長期債の方がリスク許容度を反映しやすいため、このように為替との相関が強くなるケースが出てくる。16年6月か7月に利上げが行われた場合も、ベース金利上昇効果から短期債金利が上昇する一方で、リスクオフ効果から長期債金利が低下する可能性がある。
ドル円は、利上げ前後までは短期債と同様に上昇しても、次第に長期債の金利に連動するように下落するのではないか。もし、FOMC前にリスクオフの米株安・長期金利低下(ドル円下落)が顕著に進む状況となれば、利上げが見送られる可能性が高くなる。
<ドル高とリスクオフの循環に入る可能性>
米金利上昇が止まると金利面のドル高圧力は緩和するが、それでもドル高(実効為替上昇)が止まらない可能性がある。すでにドル高に振れたことが米国の製造業景況感を悪化させやすく、株安などのリスクオフを招いて、低金利(調達)通貨以外に対しドル高に作用するからだ。
株安に振れると、個人消費が減速して米国の景況感が悪化し、リスクオフがますます強まりやすい。つまり、いったんドル高に振れると、ドル高とリスクオフが相互に作用する循環に入りやすいのだ。そして、ドル高とリスクオフの循環は、米国の利上げ期待が後退して金利が明確に低下し、金利面のドル安圧力が大きくなるまで続きやすいと考えられる。
ドル高とリスクオフの循環を生む要因として、人民元の動向もある。4月まで対ドルの人民元安が収まっていた原因はドル安にあったが、5月はドル高(実効為替上昇)を受けて、対ドルで人民元安に振れ始めた。対ドルで下落した通貨バスケットに対して人民元高に振れることで、中国当局が対ドルの人民元基準レートを低めに設定しやすくなり、市場での人民元売りも強まりやすいからだ。
また、人民元安が進むと、中国からの資本流出が強まり、株安を招きやすい。つまり、ドル高は人民元安を通じても世界的なリスクオフを誘発する可能性が高いのである。
米利上げ期待の高まりによる金利上昇はドル高を生むが、それがリスクオフに点火することになると、米金利上昇によるドル高が弱まるとともに円高が優勢となりやすい。市場がリスクオフに傾いた場合、FRBが7月までの利上げを見送る可能性がある。この場合、米金利上昇によるドル高が進みにくく、ドル円の上昇は抑えられるが、リスクオフの円高によるドル円の下落も緩やかなペースとなるだろう。
一方、市場が安定を保った場合は、利上げが行われるだろう。この場合、利上げ前後まで米金利上昇によるドル高が進んだ後、リスクオフの円高が進みやすくなり、ドル円の上下動は大きめになるだろう。利上げの有無によってドル円の変動パターンは変わるが、いずれにせよドル円はいったん上昇しても、それが持続せずに下落に転じることになるのではないか。
FF金利先物市場は7月までの利上げを、すでに60%ほど織り込んでいる。5月中旬に市場が予想する利上げ確率が40%程度上昇する間に、ドル円は2円程度上昇した。FRBが6月15日か7月27日のFOMCで利上げすることになれば、その頃までに一段の米金利上昇によりドル円は112円前後へ上昇する可能性があるとみている。
しかし、その後は年末に向けて、ドル円は再び下落していくことになるだろう。16年末までのドル円相場のレンジは、103―113円と予想している。
*亀岡裕次氏は、大和証券の金融市場調査部部長・チーフ為替アナリスト。東京工業大学大学院修士課程修了後、大和証券に入社し、大和総研や大和証券キャピタル・マーケッツを経て、2012年4月より現職。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。
*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
日本:20年後世界経済のトップに返り咲く、人口構造の若返りで=中国メディア 2016年 05月 13日
中国の金融危機爆発、予想より遅くも規模が拡大の恐れ=ソロス氏 2016年 04月 26日
コラム:世界経済は「最悪期」脱したか=村上尚己氏 2016年 05月 17日
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-yuji-kameoka-idJPKCN0YI0IR
日本:20年後世界経済のトップに返り咲く、人口構造の若返りで=中国メディア
*08:09JST 日本:20年後世界経済のトップに返り咲く、人口構造の若返りで=中国メディア
中国メディアはこのほど、20年後の世界経済のトップに立つ国について、 BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)ではなく、日本だとの見方を示した。
中国経済は向こう数年L字型で成長し、何年続くか現時点では不明だと指摘されている。インドは高いインフレ率に悩まされているほか、為替管理制度に問題があり、民族間の対立が未だに解決されていない。また、ロシアやブラジル、南アフリカはスタグフレーション(経済停滞と物価の持続上昇が同時に進行する状態)から脱却できず、これからも一段と深まる恐れがあると警告されている。
一方、日本は少子高齢化の進行で人口は減少しているものの、同国は1980-90年代に高齢化社会に突入しており、当時の高齢者になった人々は現在平均寿命に接近しているため、日本社会の人口構造が数年後に若返ると予測されている。また、日本政府による保育園の増加など子育て支援策の強化などを受け、人口はこれから徐々に増加していくとみられている。
さらに、ハイテク分野における日本の技術力が引き続き世界トップレベルを維持しているほか、女性の社会進出率が高いため、労働力の不足解消につながると評価されている。また、環太平洋パートナーシップ(TPP)の加入(予定)が日本経済に有利だと指摘され、20年後の日本は世界の中で再び注目される存在になると予測されている。
http://jp.reuters.com/article/idJP00093300_20160513_00220160512?rpc=223
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