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「アベノミクス」は終焉を迎えたのか…(2013年の大納会、撮影:梅谷秀司)
日経平均は年内1万4000〜8000円のボックス相場に
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160527-00120166-shikiho-bus_all
会社四季報オンライン 5月27日(金)19時6分配信
日本株相場は方向感の定まらない展開が続く。市場エネルギーも縮小し、閑散状態にある。年内はどのように推移するのか。海外投資家の動向に対する見方なども含めて三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘・投資情報部長に聞いた。
今年の日経平均株価は1万4000〜8000円のボックス圏で推移する公算が大きい。劣化するファンダメンタルズと政策面での株価対応との綱引きといった様相を呈するだろう。昨年大納会の高値である1万9000円台奪回がベストシナリオだが、現段階では難しいと見ている。
問題なのは1万7500円を超える水準で積極的に買おうとする投資主体が見当たらないことだ。上値を買っていくとすれば外国人投資家だが日本株の魅力は乏しく、その可能性は低い。
彼らが最もがっかりしているのは、アベノミクスの三本目の矢の形骸化だ。規制緩和や構造改革などを通じた「成長戦略」は結局、口だけであり、見るべきものがない。財政面で厳しい状況に直面していたスペインが立ち直りをみせているのとは対照的だ。同国では硬直化していた労働市場にメスを入れるなどして徐々に成果が上がってきた。
日銀の金融緩和政策にも限界がきている。マイナス金利の導入は裏目。誤ったクスリを処方したところで効き目のない状態だ。日本の潜在成長率は0%台前半まで低下。「アベノミクスは終焉を迎えた」と言わざるをえない。
企業業績の面からも日本株には手を出しづらい。円高進行に伴う下方修正懸念がくすぶる。敢えて投資するならディフェンシブ銘柄がいいかもしれないが、インバウンド関連株には警戒が必要だ。たとえば、多くの大手百貨店株は昨年7月に直近の高値を付けた後、調整局面が続く。インバウンドをテーマにバリュエーションを無視して買い上がった反動が出ている。
4月に入って一時、海外勢が日本株の買い越しに転じたのは「日銀プレー」による側面が大きい。ヘッジファンドなど短期筋の資金流入が中心だったとみられる。同月28日の金融政策決定会合で追加緩和を見込んだ投資家の株買いが膨らんだが、政策の現状維持が決まったのをきっかけに手仕舞い売りがかさんだ格好だ。
■ 海外勢は短期のサヤ取りに終始の公算大
それでも短期筋の資金が日本株へ振り向けられる場面は今後も訪れるだろう。日銀の追加緩和や政府の景気対策などを手掛かりにしたいわゆる「イベントドリブン型」のヘッジファンドなどは、チャンスがあると判断すれば矛先を向けてくるとみられる。
最近の原油相場の値上がりも短期筋の買いに押し上げられている面が大きい。米商品先物取引委員会(CFTC)によると、ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物の投機筋の買いは17日時点で36万8000枚余りと14年7月以来の水準に達している。原油需要が鈍化傾向にあるなど需給は逼迫していないにもかかわらず、投機マネーによって価格が押し上げられているというわけだ。
日経平均は今年中に2月の取引時間中安値1万4865円を割る局面もありそう。ただ、下値不安が高まってくると、なんらかの政策対応が講じられるはずだ。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の買いも入るだろう。
1万4000〜8000円の4000円幅となれば、かなりの利ザヤ稼ぎが可能だ。現在の状況下では「押し目買い、噴き値売り」のスタンスに徹することが大事。「バイ・アンド・ホールド」では高いパフォーマンスが見込めない。
いずれにせよ、海外勢の資金が入ってきてもサヤ取りにとどまる可能性は濃厚だ。日本株は世界市場全体の時価総額の約7%を占めるが、中長期のファンダメンタルズ分析に基づけば、買う理由に乏しい。
(聞き手:四季報オンライン編集部 松崎泰弘)
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
松崎 泰弘
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