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経営統合によってサークルKサンクスの看板が消滅してしまうが、消費者からは悲しみの声が数多く挙がっている
サークルKサンクス消滅はコンビニ再編の序章に過ぎない
http://diamond.jp/articles/-/91996
2016年5月27日 鈴木貴博 [百年コンサルティング代表] ダイヤモンド・オンライン
5月23日に共同通信から「看板ファミマへ1年前倒し サークルKとサンクス」という見出しの記事が配信された。今年9月にユニーグループとファミリーマートが経営統合するため、ユニー傘下のコンビニであるサークルKとサンクスがファミリーマートブランドへと統合されていくことが既定路線になっていたのだが、その時期を1年早めて2018年2月までにコンビニエンスストアの看板をすべてかけ替えていくというのだ。
この記事はあくまで共同通信が配信したもので、ファミリーマートもユニーグループHDも「当社が発表したものではありません」としているが、要するにこのような記事をリークしたうえで世間の反応を見るアドバルーン記事というものだと私は受け取っている。
基本的には1日も早くサークルKとサンクスをファミリーマートへの移行完了させたほうが両社にとってはいいのである。その方が規模の効果も効くし、統合の結果、全国1万8000店舗とファミリーマート陣営がセブン-イレブンを追撃できる業界2位のポジションに到達できるという意味も大きい。
とはいえ、近所でファミリーマートとサークルK、サンクスが競合している地域での調整など、これから現場で起きる軋轢も多い。特にファミリーマート側は、2010年にエーエム・ピーエムを統合した経験から、その大変さもよくわかっている。
そのような背景から、このような観測気球をぶち上げて、加盟店や関係者の反応を探ろうとしていると私は思うのだ。
■チビ太のおでん、スイーツがなくなる!?
サークルKサンクス消滅への悲鳴も
さて、その観測気球には当然のように消費者の悲しみの声がひっかかってきたようだ。ネットでは早速、サークルKやサンクスがなくなることに対する悲鳴の声があがっている。中でも「チビ太のおでん」や「3個120円のコロッケ」など惣菜やスイーツなどサークルKサンクス独自メニューが消滅することに対する反応がすごい。
それは私も理解できる。私の場合、最寄駅から自宅まで帰る短い道のりに、ファミマ、セブン-イレブン、サンクス、ローソンが数十メートルの間隔で連なっているような場所に住んでいる。消費者としてはそれなりに使い分けていて、私の場合はスイーツと、趣味の地下クイズの勉強用のそっち系の雑誌の充実度ではサンクスをよく利用している。昨年よくサンクスで買って帰った生クリーム仕立てのシュークリームは、他のコンビニでは手に入らない逸品だった。それがなくなるのかという思いは確かにある。
とはいえ、経済学的に見ればこんな狭いエリアに4つも異なるコンビニブランドがある必要性の方が小さい。経済合理性中心で世界が動くアメリカと比較してみるとそれがよくわかる。
■トップ2社しか生き残れない米国
業界3位が中途半端に生き残る日本
出張でよくでかけるニューヨークの場合、マンハッタンの中心部にある日本でいうコンビニ型のお店(向こうではコンビニではなくドラッグストアと呼ぶが)は、ウォルグリーンズかCVSの2種類しかない。「いやデュアンリードもあるぞ」という詳しいかたもいらっしゃるだろうが、実際デュアンリードはウォルグリーンズの子会社で、ニューヨークにおいては看板が別でも品ぞろえやポイントカードは共通だ。
経営の世界を支配するV字カーブという法則があって、これは横軸にチェーン規模をプロットし、縦軸に利益率をプロットしたグラフのことを指すのだが、そうするとチェーン店の利益はちょうどV字にプロットされる。つまり規模が大きいチェーンと、逆に小さくて特徴が出せるチェーンは儲かるのだが、真ん中の中途半端な規模のチェーンは競争に負けて利益がほとんど出なくなる。
この利益率が出ない企業群がだいたい業界で3〜8位ぐらいのところに集中する。だからそこから抜け出すためには合併や経営統合を繰り返して規模を追うのが中位のチェーンの経営戦略セオリーになる。ファミマとサークルKサンクスの統合はセオリー通りであるとともに、そこでもまだ理想の到達点には至らないということでもある。
本当のことをいえば、ファミマがサークルKサンクスと統合したあとに、さらにローソンと経営統合をするぐらいのことをして、本当に看板やオペレーションも一緒にしてしまうような展開まで踏み込めなければ、業界トップのセブン-イレブンに対して優位を築くことはできない。
しかし、日本人はどうしてもこういうドライな考え方が苦手なようだ。経営統合によってV字カーブをちょっと右に行くところまでで止まってしまう。だから業界3位が中途半端な形で生き残ってしまうケースが日本には多い。ここからさらに一歩進める米国とは違った世界がここにある。
■これからの10年で
コンビニはもう1社減る可能性も
シルベスター・スタローンの主演映画に『デモリションマン』という作品がある。1996年に冷凍されたスタローンが2032年に解凍されて未来社会で悪と戦うという設定のSFアクション映画なのだが、その世界では飲食店チェーンの経営統合が繰り返された結果、ロサンゼルスに存在する飲食店はすべてタコベル(アメリカで多店舗展開しているメキシカンレストラン)だけになっている。
1社だけが残る極端な未来というのは実際には想像しにくいが、3社が2社に絞られる世界はアメリカでは当然の競争結果だ。日本のようにスマホ、自動車、液晶テレビ、洗濯機、メガバンク、宅配便などどんな商品・サービス分野でもだいたい選択肢が3社以上あるという世界は、消費者の立場で見れば都合はいいが、経営効率で考えれば2社での競争まで集約した方が利益効率はいい。
つまりサークルKサンクスをめぐる消費者の悲哀はまだ、中位ランクのプレイヤーがトップ3に飲み込まれるプロセスまでの話であって、経営学的にはまだ終わりのはじまりにすぎない。
実は円安と原油安が収まって、日本企業の経営環境はまた以前のように厳しくなると私は見ている。そのときの日本で経営者が真剣に生き残りを考えざるをえないとすれば、これからの10年で3が2に減るという「さらにもう1社減る動き」が本格的に起きるのではないか。そのような時代に突入する可能性は十分にあると思う。
そのときにわれわれ消費者は、経営統合によって好きな商品やサービスが手に入らないという本当の悲哀を感じることになるのだ。サークルKサンクスのファンの悲哀は、まだ序曲に過ぎない。
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