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[ポジション]社債、崩れる「ゼロ金利の壁」
海外勢や投信、マイナス利回りでも買い ドル円交換などで利益
社債利回りはマイナスにならない――。市場関係者の間で暗黙の了解だった「ゼロ金利の壁」が崩れようとしている。市場にマイナス利回りでの購入をいとわない投資家が登場したからだ。その投資家とは、ドルを円に換える取引と組み合わせて利益を狙う海外勢と、待機資金を減らしたい投資信託。需給要因でマイナス圏突入が現実味を帯び、社債市場は新たな局面を迎えた。
「国債に続き、財投機関債など公共債でもマイナス利回りの取引が出始めた」。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井光太クレジット市場部長はこう話す。国債を除く一般債の利回りはマイナス金利導入後もゼロ以上に踏みとどまっていた。だが、ここにきて残存年数の短い政府保証債や財投機関債の一部がマイナス圏に入ってきた。
マイナス利回りの買い手としてまず名前が挙がるのは海外勢だ。発行市場でも強い買い意欲が確認されている。
13日に2年物の政保債の発行条件を決めた預金保険機構。入札による応募者利回りはマイナス0.125%と、日銀が当座預金の一部に課す利率よりマイナス幅が大きい。起債規模も1200億円に達し、市場関係者の間では驚きが広がった。買い手の多くは海外投資家とみられている。
実は海外投資家は、デリバティブ取引を通じてマイナス利回りを「プラス」に転換できる。彼らは手持ちのドルを円に交換して円債に投資する。市場では慢性的なドル不足でドルを欲しがる投資家が多く、海外勢はドルを円に換える際に上乗せ金利(プレミアム)を手にできる。日米の短期金利差による影響も加味すると上乗せ幅は約1.5%。少々のマイナス利回りで円債を買っても十分利益が出るわけだ。
国内の投信もマイナス利回りの買い手として存在感を示している。投信は解約などに備えて信託銀行に資金を預けるが、4月中旬から預け金に手数料がかかるようになった。社債の利回りがマイナスでも、信託銀に支払う手数料より小さいなら、社債を買う動機が生まれる。事実、政保債や財投機関債の取引では運用目的ではなく、手持ちの現金を減らすための買いがみられるという。
国債に比べ信用リスクの高い社債は、日銀による買い入れを除き、ゼロ以下で売買されないとみられてきた。ところが、新たな買い手の登場でマイナス金利の波が近くまで押し寄せている。
みずほ証券の大橋英敏チーフクレジットストラテジストは「海外勢からは鉄道や通信会社の社債に関する問い合わせが増えてきた。高格付け社債のマイナス化はありうる」と話す。生命保険会社など運用難の国内投資家は、いっそう厳しい立場に追い込まれそうだ。
(宮本岳則)
[日経新聞5月21日朝刊P.17]
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