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弁護士が「食えない」は本当か? 増加批判に隠された「不都合な真実」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48683
2016年05月22日(日) ドクターZ ドクターZは知っている 週刊現代 :現代ビジネス
■増加のペースが急速すぎた
弁護士過多が叫ばれているなか、文部科学省が法科大学院の志願者増を図る方針を決めた。
法科大学院受験者の第一関門となっている共通テスト「適性試験」を、強制ではなく、各校が任意で利用する方式を決定。5月11日の中教審・特別委員会に報告書を提出し、'18年度の実施を目指すという。
法科大学院の受験者は、一斉開学した'04年度の約4万人から、'15年度は約9300人に激減。ただ文科省の決定には、志願者が減っているのは弁護士が多すぎて「食えない時代」になったからで、あえて法科大学院を拡充する必要はない、という批判もある。
はたして、本当に弁護士はもう必要ないのだろうか。
法科大学院制度は、法曹人口の拡大を見越し、法曹の質を維持するために、司法改革の一環として'04年度に導入された。
ご存知のとおり、法曹は裁判官、検察官、弁護士の三者から成る。裁判官、検察官はここ10年で年率3%程度の増加であるが、弁護士は年率7%程度の増加となっており、確かに「弁護士が多すぎる」という状況になっている。
多様化する社会問題を司法解決するために、法曹人口を増やすという方向性は間違っていない。だが、増加ペースがあまりに性急だった。
また、司法改革に便乗する形で、学生数減少に悩む大学側が、法科大学院創設を希望していた。このため、法科大学院が各大学に設置されたのも事実。その結果、多すぎる弁護士となった。
■消費者にとっては増加は望ましい
ただ、日本の弁護士数は、他の先進国に比べれば圧倒的に少ない。たとえばアメリカでは、弁護士は127万人。人口3・2億人として、人口1万人あたり弁護士40人となる。日本では弁護士は3・6万人。人口1・2億人として、人口1万人あたり弁護士は3人しかいない。
さらに、日本では、弁理士(特許庁)、司法書士(法務省)、税理士(国税庁)、社会保険労務士(厚労省)、行政書士(総務省)という各省庁縦割りの国家試験専門職があり、業務の一部が弁護士の仕事と重なっている。
これら専門職の人数と弁護士数を合算すると、22・2万人。人口1万人あたり18・5人だが、それでもまだアメリカの半分弱である。
各省縦割りの専門職は、新規参入が阻害されており、既得権者の牙城になっている。だからこそ、弁護士以外の士業や彼らを管轄する省庁が、「弁護士は多すぎるから法科大学院の志願者を増やす必要はない」と批判しているのだ。
ここはせっかく作った法科大学院に頑張ってもらい、各省庁縦割りの専門職の分野に参入してもらって、殻を打ち破ってほしい。なぜなら、弁護士はどの専門職にも参入できるからだ。
新規参入は、縦割り専門職にとって、既得権を侵害されるので不都合であるが、消費者にとっては、選択肢が増えるため望ましい話なのだ。
法科大学院はスタートしたばかりの制度で、確かに実績は乏しい。制度の粗は多く、批判するのは簡単だ。しかしそれでは、新規参入を拒む専門職グループの思うつぼであることも考えたほうがいい。批判の裏には、しばしば利権があることを忘れてはいけない。
『週刊現代』2016年5月28日号より
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