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安心をウリにしている「医療保険」は 本当に必要なのか?
http://diamond.jp/articles/-/91528
2016年5月20日 深田晶恵 ダイヤモンド・オンライン
消費税増税、社会保険の負担増、教育費の高騰などで貯金が少ない40代、50代。今の日本人の平均寿命は83歳で、60歳定年から平均で23年もある。老後年収200万円で20年以上安心して暮らすためには、老後のお金の現状を知っておくべきである。
ダイヤモンド・オンラインでも人気の連載「40代から備えたい 老後のお金クライシス」を書いている深田晶恵さんが、『定年までにやるべき「お金」のこと』という本を上梓。この内容をベースに、お金に不安がある人たちに役立つコンテンツを紹介していく。
■医療保険は本当に
頼りになるのか?
現在、年収が800万円あっても、年金収入は200万円。これで25年生きるとするとムダなお金は使えない。
前回は生命保険の話をしたが、今回は医療保険について。医療保険は「必ず入っておくもの」と考えているかもしれないが、これは誤解に基づく思い込みである可能性が高い。
あなたは、本当にいざというときに医療保険がどれだけ頼りになるものなのか、検証したことがあるだろうか?まず、医療保険でお金がもらえるのは、原則として「入院か手術をしたとき」であり、病気にかかる費用をすべてカバーしてくれるわけではない。
最近は、国の方針として入院は短期化の傾向にあるし、医療技術の進歩により、入院せずに外来でできる高度な治療も増えている。
外来でかかる治療費は医療保険ではカバーされないので、月々の収入や貯蓄から捻出することになる。
■同じ病気で再度入院したら
給付金が満額もらえなかった!
では、病気で入院して手術を受けたとして、医療保険からどれくらいのお金がもらえるのか。「入院日額5000円(1入院120日型)・手術給付金は内容に応じて入院給付金の10倍、20倍、40倍」というタイプの医療保険に加入しているとすると、
◦入院給付金……1入院で最大60万円(5000円×120日)
◦手術給付金……手術内容に応じて5万円、10万円、20万円のいずれかの金額
つまり、このケースでは最大80万円になる。
さらに、ここで「1入院」の定義には注意が必要だ。保険会社の約款には、「同じ病気や関連する病気で180日以内の再入院は“1入院”としてみなす」とある。
たとえば、抗がん剤治療を複数回にわたり入院して行う場合、1クール目が終わるといったん自宅療養で1〜2ヵ月体を休め、再入院して2クール目の抗がん剤治療を受けるとすると、2回の入院は通算して「1入院」としてカウントされる。
私の身内の場合、白血病になって最初に60日間入院し、1ヵ月間の自宅療養の後に70日間入院した。「1入院120日型」の医療保険に入っており、それぞれの入院が120日以内なので、本人は「60日間分と70日間分の入院給付金を受け取れる」と思っていたようだが、再入院が180日以内だったため2回の入院は「1入院」とカウントされ、120日を超える10日間分については入院給付金の対象外となった。
もちろん前回の入院から、退院している期間が180日(約半年)を超えるとリセットされて、1入院の縛りはなくなり、その日数通りに支払われるのだが、実は医療保険には保険期間を通じた「限度日数」という制限もある。
その日数は、「730日」、「1000日」など契約により決まっている。限度日数が730日だった場合、数年にわたって何度か入院したとして、トータルで入院した日数が730日を超えた場合、それ以上は支払いませんということだ。
■「一生涯の安心」がうたい文句の
終身医療保険は、病気になっても
入院しても支払いが一生続く
さて、最近の医療保険の主流は「終身保障・保険料終身払い」。保険会社が「一生涯の保障が続く」ことを強調する商品である。
これは、安心感が高いように感じるかもしれないが、「保険料もずっと払い続ける」ということにもっと目を向けるべきだろう。
セミナーなどで、参加者に「医療保険に支払う保険料の予算はどれくらいですか?」と尋ねると、月5000〜1万円くらいは払ってもいいと答える人が多い。
たとえば40歳の人が、終身医療保険に月々5000円を支払うと、1年間で6万円、60歳の定年までに120万円、80歳まで支払うと240万円もの保険料がかかることになる。
もちろん、長生きすればさらに保険料は膨らむ。配偶者も同程度の保険に加入した場合、夫婦2人分でざっくり2倍として、40年間で480万円もの出費だ。こうして計算してみると、1ヵ月あたりわずか数千円の出費でも、数十年にわたる固定支出となれば総額は大きな負担になることがわかる。
ここまでの話を整理してみよう。「一生涯の安心」がうたい文句の終身医療保険だが、保険期間中に数百万円も支払って、先のケースなら受け取れる給付金は1入院60万円+手術給付金が5万〜20万円である。
「確実に払っていくお金(=支払う保険料)」と「入院して手術を受ければもらえるかもしれないお金」を冷静に比較すると、「医療保険は意外に頼りにならないな」と感じるのではないだろうか。
240万円保険料を支払ったとして、通院や外来では給付金はもらえない。入院も1回だけであれば完全に支払い額の方が多い。それであれば、自分で「医療費用の積み立て」でお金を貯めておくというやり方もある。そうやって自分で貯めたお金ならば、病気をしなかったときは自由に使えるのだ。
■「医療保険で儲かった」
というのは本当か?
ときどき、入院して医療保険の給付金を受けとった人が「払った医療費より医療保険でもらったお金のほうが多かった」などと喜んでいることがある。
しかし、これまでいくらの保険料を払ったのかは計算できても、今後どれくらい払うことになるのかというところまでは考えが至っていないのだろう。
医療保険は、入院日数が長くなければ「モトがとれる」ことはまずないということを、しっかり頭に入れておこう。
前回の図を確認して、医療保障もすでに持っている保障を調べて、本当に「医療保険に加入する必要があるかどうかを検討してほしい。医療保険の場合は、「健康保険の高額療養費制度」と「勤務先の健康保険組合の付加給付」がすでに持っている保障にあたる。(※書籍ではもっと詳しく説明しています)
次回は、おすすめされやすい民間の「個人年金保険」について、解説していく。
深田晶恵(ふかた・あきえ)
株式会社生活設計塾クルー 取締役。
ファイナンシャルプランナー(CFP)、(株)生活設計塾クルー取締役。1967年北海道生まれ。外資系電器メーカー勤務を経て96年にFPに転身。現在は、特定の金融機関に属さない独立系FP会社である「生活設計塾クルー」のメンバーとして、個人向けコンサルティングを行うほか、メディアや講演活動を通じて「買い手寄り」のマネー情報を発信している。20年間で受けた相談は4000件以上。日本経済新聞、日経WOMAN、レタスクラブ等でマネーコラムを連載、ほかにダイヤモンド・オンラインでの『40代から備えたい 老後のお金クライシス!』のネット連載も好評。
主な著書に『30代で知っておきたいお金の習慣』『投資で失敗したくないと思ったら、まず読む本』『住宅ローンはこうして借りなさい 改訂5版』(共にダイヤモンド社)、『共働き夫婦のための「お金の教科書」』、『図解 老後のお金安心読本』(共に講談社)他多数。
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