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中国のサプライヤーが指摘する 日本企業の限界
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160517-00010002-wedge-bus_all
Wedge 5月17日(火)12時20分配信
上海で久しぶりに会った中国のアパレル業社から面白い話を聞いた。某日系大手アパレルメーカー(以下「A社」とする)と、H&M両方と取引があるが、両者の社風は随分と違うとのこと。聞いていて日系企業に共通する問題点があると思いまとめてみた。
1. 気持ち
A社に商談に行くときはいつも憂鬱な気持ちになる。サプライヤーに対する最低限の礼儀もない。アポ時間通りに出向いても、3時間4時間待たされることはざら。遅れても詫びの一言もない。H&Mに行くときはいつも楽しい気持ちになる。コーヒーを飲みながらパートナーとしてくつろいで商談出来る感じ。時間厳守は当然のこと。
2. トラブル処理
問題が起きた時、A社では経緯に拘らず全てサプライヤーのせいにされる。(A社では極めて短期間の周期の評価でポジションも給与が違ってくるので、担当者はなんとしても自分が責を負うのを回避しようと、汲々としているイメージと)。H&Mでは、どこに問題の所在、本質があるのか一緒に合理的に分析してくれる。
3. 評価されるポイント
A社はコストと品質中心。H&Mは、コスト、品質以外の付加価値も積極的に評価してくれる。
4. 社員の学歴
中国で見る限りA社は大学のネームに拘らない。色々な大学の出身社員がいる。H&Mは、基本北京大学、清華大学、復旦大学、武漢大学など超名門大学の出身者で固められており、それがいいかどうかは別にして確かに優秀。
5. 社風
A社は社内の人間関係がギスギスしている雰囲気。H&Mの社員はファミリーとしての帰属意識が強い。
6. コストと品質問題
最近A社からは、納入価格引き下げの要求がさらに高まっており(商材によってはいきなり半額を求められる)。その結果、見えない部分の質を落として対応することになっている。そのことは、A社の担当者も知っているが、もともとギリギリでやってきたのでそれ以上削るのであれば仕方ないということで担当者ベースでは納得してもらっている。程度の問題ではあるが、同様のことが積み重なると全体の品質低下、延いてはA社のブランド価値低下と業績下降といった負のスパイラルに陥るのではないかと心配している。なんだかんだ言っても大事なお客さんなので。
H&MもA社に負けないくらいの交渉があるが、その仕方がスマートで受ける側の気持ちが全く違う。それはトラブル処理と同じくあくまでも合理的で理詰めの交渉。これは話を聞いた上での筆者の印象であるが、H&Mは高いブランドイメージ、価値の維持に成功しているのでおそらく製品の付加価値がA社よりも高く、その分合理的な範囲でコスト削減を求めて行けばそれで十分利益が取れる好循環にあるのではと感じた。
最後にA社を含めた日系アパレルメーカーは、H&Mを超えられるか、という話になった。結論は、H&Mを超えようとすれば、上記に見える負のスパイラルから抜け出さないと超えることはできないということ。品質とコスト一辺倒でない、企業としてのブランド価値を見出せないと難しいのではないかという意見であった。
■日系企業が敬遠される理由
アパレルに限らず、日系大手の流通系と取引をする中国のサプライヤーから聞いた悲鳴は、今回が初めてではない。中国で雑貨を製造し、日本の流通大手に納めている業者が、最近長年付き合ってきた日本の流通大手との取引を丁重にお断りした。
理由はコストの問題だけではない。リスクを全てサプライヤーに押し付けて、自分は一切リスクを取らない経営姿勢にこのまま付き合っても将来はないし、自分の社員を不幸にしてしまうと経営者が判断したからだ。先方のバイヤーに商材を提案して採用になったとしても、売れ行きが悪いと平気で返品を求めてくる。
自分がリスクを取らないで、本当に消費者が望む商材を開発できないはずとこの経営者は考えている。それをするのであれば、場所貸業に徹するべきだ。その場合の利益は基本賃貸料のみになるが。仮に売れ行きが良かったとしたら、今度は平気で中国の工場との直接取引を求めてくる。認めないなら、今後取引しないと。これは完全にモラルの問題ではないか。多分不正競争防止法などコンプライアンス違反の可能性もある。
日本企業は、いつからこんな情けない状態になってしまったのだろうか。デフレの中での厳しい競争は仕方がない。サプライヤーも必死の努力が求められるのは当然だ。しかし、それはお互い対等なプレーヤー、パートナーとしての必死の努力のはず。サプライヤーが商談に出向くと憂鬱になるということは、おそらく、その企業の社内でも同じく憂鬱な人間関係が繰り広げられていることが予想される。
自社の社員とサプライヤーを憂鬱にさせる企業が付加価値の高いブランド価値を創造、維持することができるとはとても思えない。それは、自然の摂理ではないか。企業の本当の価値は、どれだけの顧客と自社の関係者の幸せにどれだけ寄与しているかということではないか。もし、伸び悩んでいる企業があるとしたら、経営学、経営戦術を語る前に、自社存在の本源的価値を見直す必要があるのではと今回の話を聞いていて感じた。自分の姿勢を戒める意味も込めて。これから日本で生き残り、発展する企業はある意味これと反対のことをしている企業である、と期待したい。
中国のサプライヤーを憂鬱にさせる日本の流通業者がある一方で、中国のサプライヤーから尊敬、そして感謝されている立派な日本の会社もある。私は数年前、ある日本の大手流通のナンバーツーが中国広東省のサプライヤーを訪問するのに同行させてもらった。訪問することになったきっかけは、そのメーカーが大幅な納期遅れを起こしたこと。購買、製造、物流のプロセスに問題があるはず、と睨んだこの幹部は自ら工場の現場に乗り込み、プロセスのどこに問題があるのかを自ら分析、購買の管理から生産ラインの動線、さらには在庫管理に至る一連のプロセス全般の改善提案を行った。
私が同行したのはその成果確認のための訪問だった。対応したのはおそらく40代のオーナー夫婦。奥様のお父様は創業者で、社長である旦那様はお婿さん。お二人はほとんど直立不動で、やや緊張した面持ちでこのナンバーツーを迎えた。工場の生産ラインを案内しながら、こことここをこのように改善しましたと、まるで自分の上司に報告する尊敬の眼差しで。ナンバーツーは日本の自動車メーカー出身なので日本の製造業のエッセンスを惜しむことなくこのサプライヤーにつぎ込んでいるのである。トラブルを全てサプライヤーの責任にする日本の会社がある一方で、ここまでサプライヤーを大事にして感謝されている会社もある。世の中は捨てたもんじゃないと思えてくる。感謝されている会社は今日に至るまで増収増益を続けている。
高田勝巳 (株式会社アクアビジネスコンサルティング代表)
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