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13日の日経平均は高く始まった後、392円も下げた。「幻のSQ」を知っておくと、相場に強くなれそうだ(写真:AP/アフロ)
「日経平均は1万6845円を超えない」は本当か 「幻のSQ」が出たら「相場はヤバイ」?
http://toyokeizai.net/articles/-/118061
2016年05月14日 田代 昌之 :マーケットアナリスト 東洋経済
5月13日の金曜日の日本株について、「不思議な感覚」を持った読者も多かったのではないだろうか。というのも、日経平均株価の寄り付きは1万6804円と大幅なプラスでスタート。だが、終わってみると前日比234円安の1万6412円と、5日ぶりの反落で取引を終えた。寄り付きから見たら、なんと392円も安く引けたことになる。
一部の市場関係者の説明はこうだ。「寄付きの段階でSQ値算出に絡んだ売買によって、大幅な買い越しとなり、日経平均が高く寄り付いたのが一つの原因」。実際、5月のSQ値は1万6845円で、前出の13日の日経平均の高値1万6804円を上回る水準となった。
13日の取引時間中、日経平均はこのSQ値を一度も上回ることができなかったわけだが、このように実現しなかったSQ値のことを、業界では「幻のSQ値」という。早い話、相場関係者によれば、幻のSQが出たことが、13日の相場が下がった理由の一つだ、というわけである。
今回のコラムで言いたいのは、この「幻のSQ値」1万6845円がそこそこ重要であるということ、そしてその「賞味期限」は、ほぼ2週間程度だ、ということだ。どういうことか。追ってご説明しよう。
■そもそもSQとは何か?
そもそも「SQ」とは何だろうか。これは「Special Quotation」の頭文字を取ったもので、「特別清算指数」と呼ばれる。先物やオプションなど、「区切りのある取引」(例えば1か月などの決済する期間。先物とオプション取引の違いは、日本取引所のHPなどがわかりやすい)で用いられるものだ。
先物のSQは3か月ごと、オプションのSQは毎月算出されている(両方とも第2金曜日)のだが、そのうち先物とオプション取引の両方の精算がある3、6、9、12月に算出されるものは「メジャーSQ」と呼ばれる。それ以外に算出されるものは「ミニSQ(マイナーSQ)」という。今回の5月はマイナーSQだったわけだ。
■ではSQは、何のためにあるのだろうか。
通常、例えば先物取引などは、当初に買った「先物価格」と「現在の先物価格」との差額を、区切られた期日までに取引をして、利益や損失を確定したりする。また、やはり期日までに「ロールオーバー」をする取引などもある(決済をしたうえで、買いや売りの持ち高を、次期に持ち越すこと)。
SQが使われるのは、それ以外についてだ。つまり、取引の最終日までに決済されなかった先物やオプションの建玉については、SQ算出日に強制的に決済されるのだが、そのために、このSQが使われるわけだ。
ではSQの算出の仕方はどうするのだろうか。日経平均の場合、SQは日経平均を構成する225銘柄が寄り付いた値段を元に算出される。だが、日経平均の始値とは往々にして異なるのだ。
なぜだろうか。実は、日経平均の始値は9時00分15秒の時点で、日経平均を構成する225銘柄の値段を元に算出される。だが、その中には値段の付いていない銘柄がある(買い手と売り手の申し込み価格が折り合わない銘柄など)。こうした銘柄については、気配値を用いる。つまり、売り気配や買い気配の銘柄があっても、日経平均は機械的に算出されるわけだ。
一方、SQ値は日経平均を構成する225銘柄全てが寄り付いた後に算出するため、日経平均の始値とは乖離するケースがよくあるというわけだ。全ての銘柄が寄り付いたら、それぞれの銘柄の始値を用いて「日経平均株価」と同じ計算方法によってSQ値が算出される。
■今回の「日経平均SQ値1万6845円」の意味とは?
そして、今回のようにSQ値が、その日の日経平均の高安を超えた状態を「幻のSQ値」と呼ぶ。「幻のSQ値」は、証券業界では格言として昔から伝わっており「相場の節目を迎えた」とよく表現される。
なぜだろうか。今回のSQ値は、日経平均のその日の高値を上回るSQ値だったことで、「上に残す幻のSQ値」と表現されるが、これは日経平均がその日一度もSQ値を超えられなかったことから、「SQ値が上値抵抗ラインとして意識された」と解釈され、弱気のサインと見られているからだ。
こうした見方は本当に正しいのだろうか?実は、相場の格言は過去の経験則が先行しており、現在の相場状況に当てはまらないことがままある。せっかくなので、アベノミクス相場下での、過去の事例を検証してみよう。
アベノミクス相場がスタートして以降(安倍氏と野田氏の党首討論の翌日2012年11月15日と仮定)、41回のSQ算出があった(今回除く)。このなかで「幻のSQ値」は14回。
そのうち、今回のように「上に残す幻のSQ」は4回(13年4月、14年11月、15年4月、同6月)。一方、「下に残す幻のSQ値」は10回(13年7月、同11月、14年6月、同7月、同12月、15年5月、同9月、同10月、同12月、16年1月)あった。これまでの傾向を見る限りでは「上に残す幻のSQ値」の方が少ないことがわかる。
次にこれら「幻のSQ値」が発生後、上値抵抗(逆の場合は下値サポート)となったかどうかを検証すると、なかには、2013年11月のようにSQ値1万4013円を一度も下抜けることがないまま右肩上がりの相場展開となったケースもあるが、1~2週間の間にSQ値を上抜けもしくは下抜けしているケースが多くを占めていることがわかる。つまり「上値抵抗もしくは下値サポートとしての賞味期限は短い」ということだ。
賞味期限が短い要因の一つとして考えられるのは、SQ値算出に絡んだ売買が減少していることが挙げられる。13日のSQ値に絡んだ売買は金額ベースでは、1500億円ほどと観測されている。毎月の「ミニSQ」なので、これぐらいと言えばそれまでだが、金額規模で見ると、前引けや後場寄りのタイミングで入るバスケット取引もしくはクロス取引とほぼ同じ水準と言える水準だ。SQ値算出は「月に一度の需給イベント」とも言えるが、足元のSQは金額規模でさして目立った取引ではないことから「節目」としての意味合いも薄くなっていると思われる。
逆に言えば、相場を一変させるような大きなイベントなどがあれば、強いトレンドが発生するわけで、その場合は、こうした「幻のSQ値」は簡単に突破される可能性が高い、ということだ。
■次のヤマ場は「伊勢志摩サミット」前後か
では「幻のSQ値」は意味のない格言なのだろうか?
確かに、これまで発生した「幻のSQ値」を検証するとさほど気にするレベルではなさそうだ。ただ、投資を考える場合、実は、「投資家の心理状態」こそ、相場を左右する上での大きなファクターなのである。
とすると、「幻のSQ値」を意識する市場関係者が多い状況下では、一定の節目としての効果があり、想定よりも意外な大幅安となった可能性がある。結果として、賞味期限は短いかもしれないが、少なくても1~2週間は「しこり」として意識されることからも、やはりこの価格を頭の片隅には置いておいたほうがいいと言えそうだ。
以上の検証の結果、今回「上に残す幻のSQ値」となったことから、今後1~-2週間は5月SQ値の1万6845円が上値抵抗ラインとして意識されよう。決算発表が峠を越したことから、市場関係者の関心は新しい成長戦略の発表など政策関連に移る。今のところ市場では26~27日の伊勢志摩サミット前後には何らかの方針が発表されると見られている。時期的にも2週間後に当たることから、まさに「上に残す幻のSQ値」の賞味期限内と言えよう。5月第4週までは、この5月SQ値1万6845円を意識しておいて損はなさそうだ。
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