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少子高齢化が世界を低成長に導く
迫る世界デフレ HOYA、TDK、三菱ケミが示す克服法
BNPパリバ証券経済調査本部長チーフエコノミスト、河野龍太郎氏に聞く
2016年5月10日(火)
水野 孝彦
日本のデフレ脱却が進まない間に、
韓国や欧州にデフレの足音が迫っている。
日本の「失われた20年」を思い起こさせるような状態だ。
一方、かつて世界の経済成長の牽引した中国は、
過剰設備・過剰生産などを背景にデフレの輸出を続ける。
そして、1人勝ちに見える米国にもかつての勢いはない。
なぜ世界経済は停滞しているのか。
有力エコノミストの1人、BNPパリバ証券の河野龍太郎氏に話を聞いた。
中国経済の不振、一時1バレル20ドル台に突入した原油価格に象徴されるように、世界経済が不安定さを増しています。こうした状態が続けば、日本が経験した「失われた20年」が世界で再現されかねないとも感じます。
人口オーナス期に入った主要国
河野龍太郎[こうの・りゅうたろう]
BNPパリバ証券経済調査本部長チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業。住友銀行(現三井住友銀行)や第一生命経済研究所を経て2000年から現職。
河野:総需要の不足による長期停滞の訪れというより、世界の潜在成長率自体が下がってきたと感じます。理由は、どこの国も豊かさゆえの少子高齢化が進んでいることです。多くの国で、社会保障が充実し、老後のために子供を作り、面倒を見てもらう必要はなくなってきています。その結果、やや過激な表現かもしれませんが、子供はかつて「投資財」(親世代の将来の生活を支えるために必要な存在)でしたが、今は「消費財」(愛情を注ぐ対象)になりました。
多くの子供を産み、育てる必然性が無くなったので、子供の数が減っていきます。その結果、労働力の不足が起きて、その労働力の不足で需要も減っているし、潜在成長率の低下も起きているわけです。労働者が減ってくると将来人口が減ることへの不安で投資や消費も弱くなり、自己実現的に需要が弱くなるという側面もあります。少子高齢化による潜在成長率低下の代表例はもちろん日本です。しかし、欧州や中国も同じ悩みを抱えています。特に中国は深刻です。
日本の場合、1973年に高度成長が終わるまでのGDPの平均成長率は9.4%でしたが、その後の74年から90年までの成長率は4.3%で推移しました。そして90年代初頭にそれまでの4.3%成長から1.2%成長に移行します。日本は1970年前後にルイスの転換点(農村から都市への労働力移動の終焉)を迎え、90年代の初頭頃に人口ボーナス期(人口の変化が経済にプラスになる期間)を終えて人口オーナス期(人口の変化が経済のマイナスになる期間)に移行しました。
一方の中国は2007〜2009年にルイスの転換点を迎え、年10%だったGDPの成長率が5%になり、2010年頃に人口オーナス期に移行しています。日本はルイスの転換点を迎えた後も20年にわたってある程度の成長率を維持できましたが、中国はルイスの転換点のショックと人口オーナス期移行のショックを同時に受けているので労働力不足のダメージは日本より深刻なものなるでしょう。
人口減少が懸念される国が多い中で、米国は特殊で高齢化は起きていますが人口は減っていません。移民を受け入れているという要因もありますが、少し心配なのは、米国への移民が一番多いメキシコも生産年齢人口の増加率が徐々に低下していることです。同国も含めて2040年頃には米国への移民が多い上位10カ国の生産年齢人口の増加率はほぼゼロになりますから、米国も移民に期待できなくなる時期が来そうです。今、新興国も豊かさゆえに労働の伸びが鈍化したり減少するフェーズに入ってきています。
世界的な少子高齢化によって低成長の時代が訪れる可能性が高いという指摘ですが、経済を活性化するために政府ができることと、低成長の時代に企業が心掛けるべきことを教えてください。
民間のイノベーションに期待
潜在成長率そのものが下がっているので、金融緩和は効きませんし、財政出動の効果も一時的です。政府は低成長時代でも持続可能な社会保障の仕組みなどを考えるべきです。個々の企業については、今の日本でも売り上げを伸ばしているところはありますから、それぞれがイノベーションを生み出す努力をするしかありません。
そしてイノベーションを生み出すために政府ができることは余計な介入をしないこと。規制で既存の企業を保護するのではなく、新規参入を促すことです。規制緩和。それに尽きるのではないでしょうか。
人口オーナス時代の世界経済
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/042800037/050900002/p2.gif
このコラムについて
迫る世界デフレ HOYA、TDK、三菱ケミが示す克服法
物価がなかなか上がらず、デフレ脱却は難しい――。日本の政策担当者から、しばしばそんな声が聞こえてくる。しかし、そんな環境認識は誤りだ。景気減速が鮮明な中国では、デフレが輸出されている。韓国で、欧州で、「失われた20年」に日本で見られた光景と同じものが目に入る。米国も、長い目で見れば停滞への道を確実に歩んでいる。世界は「同時デフレ時代」に突入しようとしているのだ。光明が見えにくい低需要時代を企業は生き抜けるのか。心配はご無用。日本企業は長いデフレを生き抜いてきた。培った教訓やノウハウは、これからの時代にも通用するはずだ。
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