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NTTドコモ代表取締役社長の加藤薫氏は、1月29日の決算説明会で2年縛りの解除期間を、1カ月から2カ月に伸ばすことを発表した
auとソフトバンクの2年縛り「なし」プラン、従来より高額…国の値下げ施策で料金増か
http://biz-journal.jp/2016/05/post_14957.html
2016.05.06 文=佐野正弘/ITライター Business Journal
携帯電話会社(キャリア)に対し、昨年末のタスクフォースの議論による料金引き下げ要請に加え、いわゆる“2年縛り”の緩和も要請している総務省。それに応える施策を各キャリアは次々と打ち出しているが、その内容からは各社が何を狙っているかが見えてくる。
■総務省要請で2年縛りの見直しが進む
昨年末に総務省のICTサービス安心・安全研究会が実施した「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」によって、料金の引き下げに関する議論がなされた。その結果として、端末を“実質0円”で販売するなどの過剰な割引が事実上困難になるなど、携帯電話市場には非常に大きな影響が出ているようだ。
だが、総務省がキャリアに対し要請していたのはそれだけではない。先のタスクフォースとは別に、ICTサービス安心・安全研究会では2年縛りの問題に関する議論も進められており、昨年7月には改善要請も出ているのだ。
改めて2年縛りについて確認しておくと、これは2年間の契約を前提として、通信料などを大幅に割引く仕組み。一方で、2年未満で解除すると高額な解除料を支払う必要があること、そして2年経過後に“縛り”の影響を受けることなく解除できる期間が1カ月と短いことなどが、ユーザーの不満を高めていた。なかでも総務省側が問題視していたのは後者であり、2年経過後も解約しづらく、長期的にユーザーが縛られることで競争が進まなくなるというのが、その大きな理由だ。
この問題に関して、最初に動いたのはNTTドコモだ。同社は1月29日に、2年経過後に無料で解除できる期間を1カ月から2カ月に延長すると発表。これにほかのキャリアが追随したことで、現在は2年経過後の解除期間が2カ月に伸び、従来よりも解約しやすくなった。
だがそれでもなお、無料解除期間が経過した後には再び縛りが発生するため、その後も解約がしづらいことに変わりはない。そこで次に動きを見せたのが、ソフトバンクである。
■あくまで現状を維持したいソフトバンクとau
ソフトバンクが3月16日に、新たな2年縛りの緩和策として発表したのが、6月に提供を開始する予定の「2年契約プラン」である。これは、従来の「スマ放題」「スマ放題ライト」の基本料に月額300円をプラスすることで、契約から2年経過後の解除料がかからなくなるというもの。「スマ放題」であれば、2700円に300円をプラスすることで、月額3000円となる。
KDDI(au)もこれに追随するかたちで、やはり月額300円をプラスすることで、2年経過後の解除料がかからない「新2年契約」を6月より提供開始すると発表している。これらの施策は、一見シンプルでお得なようにみえるが、従来の料金プランと比べ本当にお得かというと、実はそうではないことが明らかになってきている。
というのも、「2年契約プラン」や「新2年契約」は、共に毎月300円多く支払うため、2年未満で解除した場合は当然従来のプランより高額になる。ではいつお得になるのかというと、27カ月目から31カ月目までの5カ月間だけであり、お得になる額も最大で1400円程度にすぎない。しかもそれ以降は、毎月300円がプラスされることから再び従来のプランの料金を上回り、損になってしまうのだ。
また、こうした現実を知っていたとしても、27〜31カ月で解約することを前提に契約するユーザーがどれくらいいるかというと、決して多くはないだろう。それだけにこれらの料金施策は、サービス開始前からユーザーに批判される結果となっている。
だがそうした批判があってもなお、ソフトバンク、au共に料金プランを変えようという動きはみせていない。その理由は、「2年契約プラン」や「新2年契約」が、もともと総務省の要請に応えるために設けた実効性の低いものであり、ユーザーに契約してもらわなくても大きな影響が出るわけではないととらえているからではないだろうか。両キャリアは共に現状のビジネスを維持したいと考えており、ユーザーには従来の料金プランを契約してほしいというのが本心であろう。
■NTTドコモの施策は今後の競争停滞を見据えたものに
一方で、4月14日に打ち出したドコモの2年縛り緩和施策は、先行する2キャリアとは大きく異なる内容であった。同社が打ち出したのは、従来の料金プランの仕組みはそのまま維持しつつ、2年経過後に「ずっとドコモ割コース」と「フリーコース」のいずれか一方を選べるという施策である。
前者は従来同様2年縛りは継続されるものの、その分長期割引の「ずっとドコモ割」が適用されるほか、2年契約更新のたびに、携帯電話料金以外に利用できるdポイント「更新ありがとうポイント」がプレゼントされるなど、従来の仕組みに近いものだ。
一方の「フリーコース」は、そうした特典がない代わりに、縛りがなくいつでも解約できるというもの。基本料自体は変わらないので、「カケホーダイ」であれば月額2700円のままで利用できるし、途中でずっとドコモ割コースに変更することも可能だ。
NTTドコモの新たな施策は、2年経過後に、解除料がかからない「フリーコース」と、長期割引が適用される「ずっとドコモ割コース」のいずれかが選べるものだ
先行する2キャリアと比べメリットがあるドコモの施策は、ユーザーが流出しやすくなることから、同社にとってデメリットが大きいように思える。だが、それでもなおこうした施策を打ち出したのには、今後の市場環境の変化を見越したがゆえといえるだろう。
というのも、総務省の要請によって、番号ポータビリティ(MNP)による乗り換えユーザーを過剰に優遇した端末割引が難しくなったことで、キャリアがユーザーの奪い合い競争を仕掛けることも難しくなりつつある。それゆえ今後、従来のようにMNPでユーザーが大きく動く可能性は年々低まると判断したことから、ドコモはユーザーフレンドリーな施策を打ち出すに至ったといえそうだ。
確かに2年縛りの緩和がなされても、MNP競争が難しい現状ではユーザーが大きく動く可能性は低いだろう。だが最近の総務省の動向を見ていると、MNPだけでなく機種変更時も端末を大幅に割引くことは認めないなど、実質0円販売の撲滅に躍起になっているようだ。キャリアの通信料が大幅に下がらないなかで端末価格だけが上昇してしまえば、タスクフォースの議論のテーマでもあった携帯電話料金の引き下げとは裏腹に、ユーザーの料金負担が増してしまい、キャリアから逃げ出すユーザーがある程度出てくることは避けられない。
それだけに今後は、キャリアがMVNOやサブブランドを活用することで、業績を落とすことなく低価格を求めるユーザーを獲得できるかに、競争の焦点が当たることとなりそうだ。
(文=佐野正弘/ITライター)
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