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財務省よ、今度は若者を洗脳するつもりか! 中高生向けに作られた教材があまりにヒドすぎる
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48586
2016年05月02日(月) 高橋 洋一「ニュースの深層」 現代ビジネス
財務省ホームページより
■相変わらずとんでもないことが書かれている
今年夏の参院選から選挙年齢が20歳から18歳に引き下げられる予定だ。このため、財務省は、若い人に日本の財政について関心を持ってもらおうと、中高生の授業で使える教材を初めて作った。
資料は、財務省のサイトからダウンロードできる(http://www.mof.go.jp/budget/fiscal_condition/related_data/zaisei201604.pdf)。その内容は、これまでのパンフレットと同じであるが、相変わらずとんでもないことが書かれている。
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筆者が問題と思うのは、次の3枚に集約できる。
9.国の歳出と税収の推移
<平成以降、歳出と税収の差が特に拡大し、借金が増加してきています。>
財務省「問題の図」その@
→いわゆる「ワニの口」が開いているという、いつもの財務省の話である。しかし、それを言うなら安倍政権になってから税収が増加しているため、「ワニの口」は閉じていることも指摘するべきだ。
10.急速に積み上がる国の借金
<毎年借金を続けた結果、国の借金は急速に積み上がっています。平成28年度末の国債増額は838兆円に達する見込みです。>
財務省「問題の図」そのA
→国の借金だけを取り上げるのはフェアでない。バランスシートで負債だけではなく資産も見なければいけない。特に、国の関連会社も含めた連結バランスシートをみなければいけない。それをみれば、実質の国の借金は200兆円もないのである。
11.借金の国際比較
<日本の借金総額は、1年間の経済活動の規模(GDP)の2倍以上に足しており、主要先進国の中で最悪の水準です。>
財務省「問題の図」そのB
→国や関係会社を含めた連結ベースでみれば、日本の財政状況は、先進国の中でも悪くない。
ここでは簡単な反論を書くにとどめるが、昨年12月28日付けの本コラム「「日本の借金1000兆円」はやっぱりウソでした〜それどころか…なんと2016年、財政再建は実質完了してしまう! この国のバランスシートを徹底分析」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47156)を読んでいれば思いつくだろう。
おかげさまで同コラムは、多くの人に読まれた。英訳もされ、海外でも読まれたようで、筆者のところに海外からの問い合わせが殺到もした。
逆にいえば、こうした簡単なことすらまだ理解されていないということだろう。特にマスコミでもこうした反論をいえる人はほとんどいない。マスコミは不勉強なので、財務省官僚のいうことをそのまま垂れ流すのが通例だ。
財務省官僚に反論するのは、骨が折れるだけだし、情報のすべてを官僚に依存するので、自分の「先生」にたてつこうとも考えない。マスコミは財務省の「ポチ」なのだ。
■何度も言うが、本当の正解はこっち
財務省は、若い人に「日本の財政は悪い」とすり込むことを考えているのだろう。その次の手は何か。財政が悪いので、増税が必要と思い込ませるのだ。
財政再建のためには増税(歳出カット)が必要…これはマスコミがいつも繰り返している常套句。こうしたスローガンでは、全部嘘では構成できないので、巧妙に文章が練られている。
まず財政再建である。これは、必要であることは否定できない。もし否定すれば財政破綻ということになって、国民生活が混乱するのは、古今東西実例が多い。
なかには、財政再建くそ食らえという猛者もいて、基礎的財政なんて黒字化は必要ないというが、基礎的財政収支が黒字化しないと、一定時間後に、債務残高対GDP比が発散(限りなく大きくなること)して、財政破綻になる。これは数学的帰結であるので、勇ましく「基礎的財政収支が赤字のままでいい」とはいえない。
この勇ましい考えをするのは数学議論が不得手な人に多いが、経済学のボーン条件(基礎的財政収支が改善しないと、財政破綻になる)の数式展開などをよく勉強したほうがいい。
ただし、財政再建は否定できないにしても、その達成のための手段は、増税ではなく、経済成長というのが正しい。つまり、財政再建のためには増税ではなく、経済成長が必要というのが正解である。
この事実は次の図を見てもわかる。
名目経済成長は翌年の基礎的財政収支を改善するのだ。一時的に財政再建をあきらめても、経済成長を加速できれば、結果として財政再建への近道になる。
■話題の「増税ゲーム」を筆者もやってみた
ところが財務省は必死になって、財政再建のためには増税(歳出カット)が必要と刷り込みを行う。マスコミ諸氏の多くは理論によって洗脳されたが、若者に対しては、ゲームを使う、ということのようだ。
財務省のサイトで「財務大臣になって財政改革を進めよう」というシミュレーションゲームが掲載されている(http://www.zaisei.mof.go.jp/game/yosan/)。ところが、このゲームは、増税と社会保障や地方交付税の大幅削減をしないとクリアできないとしてネットなどで話題になっている。
実際にゲームをやってみた。はじめに一般会計予算の歳出・歳入のグラフが出てくる。次に、「本ゲームでは、財務大臣として財政改革を行い、 2020年度までに基礎的財政収支の黒字化を目指していただきます。」と出てくる。大臣名を入れてゲームスタートだ。
まず社会保障30%減額(7.13兆円減額)、地方交付税交付金30%減額(4.58兆円減額)としてみる。それではまだ基礎的財政収支は赤字で、人々の不安げな絵が出てきて、「目標を達成することが出来ませんでした。行政サービスの停滞など、将来世代にさらなる負担を残すことになりました」というメーセージが出てきた。
そこで、大幅な歳出カットに加えて、税制改革30%増額(21.08兆円増額)を選ぶと、人々が笑顔になって、「目標を達成することができました。子供たちが将来へ希望を持てる社会に向けて第一歩を踏み出すことできました。」とでてきた。
財政改革結果として、基礎的財政収支が黒字になっていることが示される。
■財務省のものとは雲泥の差の良質ゲームも
実はこうしたゲームは、10年ほど前から財務省のサイトにある。このゲームは、単純に歳入と歳出の足し算引き算をしているだけのものだ。現実との違いは、歳出カットや増税しても経済状況は変わらないという前提だ。
つまり、財務省のゲームは、マクロ経済、つまり経済の拡大・縮小の動きに連動させていないで、財政の中でも足し算引き算をしているだけだ。しかし、言うまでもなく財政とマクロ経済とは相互に関係しながら動いている。
ただ、歳出カットや増税をしても経済への影響はないという話は、聞き覚えがある。2014年4月からの消費増税の前に耳にした記憶がないだろうか。その当時、消費増税しても景気は悪くならないといった話が、学者・エコノミストやマスコミから流された。ところが、消費増税の結果はどうか。経済は大きく落ち込み、この話は間違っていたことが明らかになった。
はっきりいって、大幅な歳出カットや大増税して、人々が笑顔になるという発想すら気味が悪い。しかし、これは10年前のゲーム登場の時から一貫して変わっていない財務省の本音でもある。
そのゲームのように、財務省は財政再建の方法として増税や歳出カットをいうが、これは上にも書いたように誤りだ。経済成長すれば税収が上がるので、これが財政再建の近道であり、歴史事実なのだ。今の財務省幹部はそれを知らせないように、ゲームで若者を洗脳しようとしているのだろう。
財政政策に関するゲームは海外にもある。例えば、マンキュー教授(前米国経済諮問委員会委員長)のゲームは、彼のマクロ経済学の教科書を参考にしながら実際に遊べる(http://bcs.worthpublishers.com/mankiw8/default.asp#796152__806174_)。そこでは、財政とマクロ経済との関係が考慮されており、財務省のものとは雲泥の差がある。
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■もっともまともな教育があるはず
筆者は、大学等で財政を教えることがある。そのときには、まず、バランスシートを教える。これは実生活でも役立つものだし、中高生でも理解できる。それを日本の財政状況に活用すればいい。資料も財務省サイトにある(http://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2014/national/index.html)。
ちなみに、連結ベースでみたネット国債と財務省教材にあるグロス国債のそれぞれの残高の推移は以下のとおりである。
また、国際比較すれば、次の通りである。
財政再建のために、増税ではなく経済成長が必要であることも簡単に説明できる。税収=税率×経済活動、といえる。これは、売上額=製品単価×販売数量、に似ている。増税は製品単価の引き上げになるが、それで売り上げが伸びるかといえば、そうならない。むしろ製品単価は据え置きで、販売数量を伸ばす方がいいと説明できる。これは、中高生にも理解可能だ。
財務省の若者への教材は増税洗脳になっているので、このままでは害がある。もっとまともな教育が必要である。
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