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武田薬品工業本社(「Wikipedia」より/Lombroso)
武田薬品、没落鮮明に…世界で売れる製品涸渇、外国人社員とリストラが伝統的風土を破壊
http://biz-journal.jp/2016/05/post_14942.html
2016.05.02 文=編集部 Business Journal
長らく国内製薬業界で首位の座を占めてきた武田薬品工業の退潮が止まらない。
武田は4月1日付で、テバファーマスーティカル・インダストリーズ(イスラエル)傘下の後発薬子会社、テバ製薬(名古屋市)の株式の49%を取得して合弁化するとともに、テバと共同で新たに武田テバ薬品(滋賀県甲賀市)という孫会社を設立し、同社に武田は特許の保護期限が過ぎた「長期収載品」と呼ばれる古い薬剤の大半を移管した。
同時に、テバ製薬社長にはファイザー日本法人で長期収載品や後発薬ビジネスをみてきた松森浩士氏を招聘し、10月以降をめどに社名もテバ製薬から武田テバファーマへと改称する予定となっている。
一読しただけでは理解しにくい提携スキームだが、単純化していえば武田の目的は薬価の集中攻撃的な引き下げを受けた結果、従来ほど儲からなくなった長期収載品事業の大半を本体から切り離し、新薬の研究開発と販促に全リソースを注ぎ込むことに尽きる。
一方のテバの狙いは、武田というブランド力に松森新社長の采配力をプラスすることで、「鳴かず飛ばずの状態が続いてきた日本での後発薬事業の、抜本的なてこ入れを図ること」(経済紙デスク)にある。要するに両社とも、追い詰められた末に編み出した同床異夢のアライアンスなのである。
加えて武田は、来年4月にはビタミン剤「アリナミン」、感冒薬「ベンザ」などで知られる一般用医薬品(OTC薬)や健康食品に関する事業も分社化する計画で、すでに受け皿となる全資出資の武田コンシューマーヘルスケアを設立済みだ。同社に移管される製品群のなかには2012年夏に米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)から引き継いだばかりの頭痛薬「タイレノール」など8製品も含まれる予定で、このことからも武田がOTC薬事業の将来性をすでに見限っていることが類推できる。
■失われる武田の神通力
こうした一連の構造改革を陣頭指揮しているのが、武田230余年の歴史のなかで初の“青い目の社長”となったクリストフ・ウェバー氏だ。14年6月に前社長の長谷川閑史会長に請われて英グラクソ・スミスクライン(GSK)のワクチン部門トップから武田の社長に就任。15年4月からはCEO(最高経営責任者)として、日本人社長であれば躊躇したり根回しの途中で頓挫したりするような武田の大手術に臨んでいる。
誠実な仕事ぶりと日本的商慣習への寛容な理解など、評判は概ね悪くない。だが、「正直なところ、意欲や理念先行の空回り状態が目立つ」(前出デスク)状況で、何より日本人のプロパー社員との間に横たわるココロの溝が埋まっていない。
ある武田の中堅社員は次のように打ち明ける。
「武田が医師からも同業他社からも常に一目置かれる存在だったのは、売上にしても、社員の士気や知識にしてもダントツで日本一だったから。ところが、事業の切り離しによって(売上で)アステラス製薬に抜かれかねない状況となり、社員の会社に対する忠誠心も揺らぐようになると、武田の神通力もやがて通用しなくなっていくだろう」
■リストラの代償
実はこうした危惧の念は、製薬企業にとっての生命線であり、武田復権のカギを握る研究開発部門でより顕著というから深刻だ。
今から10年前の06年秋、当時の長谷川社長は大阪府内への残留を熱望する地元の声を袖にして、神奈川県の藤沢・鎌倉両市にまたがる旧湘南工場跡地に総工費約1470億円をかけて世界最大級の湘南研究所を建設することを決めた。大阪市内と茨城県つくば市に分散していた同社の創薬研究機能を統合し、グローバル研究を加速させるのだと長谷川氏は力説した。
ところが、11年2月にオープンした同研究所はその後、期待を裏切るかのような展開に陥る。直後に襲った東日本大震災は自慢の免震設備が無事に機能したものの、長谷川社長が招き入れた外国人や外資系製薬会社出身の研究者たちが胃潰瘍治療薬「タケプロン」や降圧剤「ブロプレス」などを生み出した武田の伝統的な研究開発風土を破壊。フランス人CFOが主導したリストラの大波も押し寄せた結果、「腰を据えて創薬研究をできる環境ではなくなった」(武田OB)。
そういった「異変」に敏感に反応したのが薬学系学生だった。武田が大阪市内に研究所を構えていた頃、京都大学や大阪大学の薬学部修士課程修了者の就職先人気はダントツで武田だった。ところが研究所を神奈川県に移して以降、関西に研究所を構え続ける塩野義製薬や小野薬品工業の人気が高まり、逆に武田は、優秀な学生の確保に苦慮するようになってしまった。
学生の資質と創薬効率とが正比例するものではないことは重々承知のうえでだが、武田の研究開発力に将来、ボディーブローのように効いてきそうな話ではある。
そうでなくても目下のところ、グローバルに売れる新薬が枯渇してしまった武田に対して、塩野義はGSKと共同開発した抗HIV(ヒト免疫不全ウイルス)薬「テビケイ」が「年商3000〜5000億円規模の大型薬に向けて成長中」(証券アナリスト)。同じく塩野義が自社で創製したインフルエンザ治療薬も、スイスのロシュと組んで世界展開に乗り出そうとしている矢先にある。
また小野が米ブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS)と共同開発したがん治療薬「オプジーボ」は周知の通り、極めて高い完治率から「がん治療に革命を起こしつつある」夢の新薬として、世界中の医療関係者や製薬会社から熱視線を集めている。
■深まる孤立感
こうしてみると、創薬力はハコモノの改善や効率化とはまったく別のパラメーター(要因)に左右されるものなのだろうと想像せざるを得ない。ちなみに武田は、この春から山中伸弥教授率いる京都大学iPS細胞研究所と共同で、湘南研究所を舞台にiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った画期的新薬の開発に乗り出してはいる。だが、巨大な研究棟には「夜になっても灯火が点かない研究部屋がまだたくさんある」(業界関係者)といわれるなど、リストラの傷跡でフル稼働の状態ではなさそうだ。
そんな武田の惨状と将来を見定めたからなのか、これまで東京にも広報機能を置いていた塩野義と小野はこの4月から、広報活動の拠点を大阪の本社管轄に一本化した。武田の孤立感は、さらに深まっている。
(文=編集部)
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