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1ドル105円台が近づいてきた(写真は2014年9月、ロイター/アフロ)
1ドル一時106円台突入、5月は波乱相場へ 外国人もついに日本株を「見放した」?
http://toyokeizai.net/articles/-/116255
2016年04月29日 田代 昌之 :マーケットアナリスト 東洋経済
■円高ドル安、株安はどこで止まるのか
海外市場で一段と円高ドル安が進んでいる。4月29日にはついに1ドル106円台に突入した。これは日銀の追加緩和に対する過度な期待が剥落した結果だ。
起点は28日の昼。日銀の金融政策決定会合の結果が12時01分ごろ市場に伝わった時だ。先週末の22日には外資系の大手通信社が「日銀、金融機関への貸し出しにもマイナス金利適用を検討」と報道したこともあり、日本株は急騰した。「もし金融機関貸し出しへのマイナス金利適用がなくても、ETF(上場投資信託)の買い入れ枠拡大や、日銀当座預金におけるマイナス金利幅拡大など、市場ではさまざまな追加金融緩和策が期待されていた」(中堅証券マーケット担当者)。
だが結局、28日の日銀会合の結果は「金融政策の現状維持」という「ゼロ回答」。このネガティブ・サプライズを受けて、午後になると1万7500円台で推移していた「225先物」は28日の終値ベースで1万6500円まで急落。29日の円建てCME先物は、16時台に入って、ほぼ1万6000円まで下落している。つまり、日銀の発表後、わずか1日と少しで1500円超も下落したことになる。一方、111円80銭台で推移していたドル円相場は、29日の16時30分には106円91銭まで円高が加速した。ドル円で見ると、会合の前後では約5円も円高に振れている。
追加金融緩和への期待が高まった前後を比べてみると、追加緩和前の水準(日経平均は16500円、ドル・円は108円後半水準)以上に株安・円高が進行したことになる。「追加の金融緩和」期待で踊った市場は、「イベント・ドリブン」(今回のような大きな出来事を軸にした取引などを指す)以上の円高への巻き戻しを受けて、ドル安、株安の下げ止まり地点が確認できない状況に陥っている。
実は、市場の混乱度合いを図る上で重要な指標となっている、日経ボラティリティ・インデックス(VI、ボラティリティとは変動のこと)は28日、27ポイント台と前日比では5%ほど低下している。円高に振れたのに、なぜ日経VIはいったん低下したのだろうか。同指数は、米国のVIX指数同様、「恐怖指数」とも呼ばれているものだが、先行き警戒感が高まると上昇する性質を持つ。この日経VIが28日に低下した要因として、市場の不透明要因だった日銀会合というイベントを通過したことが挙げられる。
■「恐怖指数」は再び「要警戒水域」へ
ボラティリティの動向を見る限り「市場はさほど悲観的には見ていないのではないか?」と思いたいところだが、日経VIは、29日については、休日なのでもちろん算出されていない。円建てCME先物で1万6000円台の攻防を迎えていることやドル円が107円台を割り込んだことは全く織り込まれていないのだ。週明け、月替わりになる2日の日経VIは、株安・円高を受けて警戒水準である30ポイント台まで上昇する公算が大きい。
こうしたボラティリティの上昇は、先物中心の短期投資筋による、株価の乱高下を誘発することが多々ある。一方、海外の年金など腰を据えてじっくり運用する長期資金は、ボラティリティ上昇を理由に投資を手控えるケースが多い。
つまり「ボラティリティ上昇=先行きが不透明で何が起こるかわからない」といった構図になることで投資家が及び腰となるわけだ。一度ボラティリティが上昇すると短期的な値幅で利ザヤを取りに行く投資家によって荒い相場展開となる。一度跳ね上がったボラティリティが低下するには1カ月から最大半年ほどかかることから、仮に日経VIが2月の年初来高値50.24ポイントまで上昇した場合、日経平均やTOPIX、TOPIXコア30銘柄などの大型株の調整局面は夏くらいまで続く可能性もある。4月にようやく日本株買いで動き出した外国人投資家は、再び日本株への興味を失うと見ておいたほうが良さそうだ。
日銀会合というイビッグベントをネガティブ・サプライズで通過した東京市場に、外国人投資家が戻ってくるチャンスはあるだろうか?
市場では、5月26-27日の伊勢志摩サミット開催の前に策定されると見られる新しい成長戦略や、消費増税の先送りの決定など、政府主導の「政策」を期待する声がある。ただ、これらは度々市場に伝わっていることから、ほぼ織り込まれていると言えよう。また、これまでの成長戦略に対する外国人投資家の評価は手厳しいことで、政府の「名目GDP600兆円目標」を材料視するような、地合いは想像しにくい。
仮想通貨の法案が正式に成立となれば個人投資家の商いも少しは期待できそうだが、外国人投資家の日本株買い意欲を刺激するような展開とはなりにくそうだ。日本株を押し上げる最大の推進力が乗ってこないとなれば、5月は個別物色中心の「局地戦」の準備をしておいたほうが良さそうだ。
もっとも、7月に参議院選挙を控えていることなどを考慮すると、安倍政権が日本株を浮揚させるような積極的な施策を発表する可能性はまだ残されている。また、新しい成長戦略に外国人投資家が関心を示している「大胆な規制緩和」を盛り込むと、上記のストーリーは逆となる可能性もある。
■米国株の行方とパナマ文書の追加公開にも要警戒
なお、足元の懸念材料として米国株の動向にもふれておきたい。NYダウは、昨年と今年につけた1万5500ドルをボトムに、2015年5月19日の史上最高値の18351.36ドルの更新を意識した格好となっている。だが、4月20日に18167.63ドルをつけた後は上値が重くなっている。
例えば、テクニカル分析でよく知られているMACD(マックディー、MACDとそれを単純移動平均化したシグナルを用い、相場の周期とタイミングを捉える指標)で確認すると、NYダウが年初来高値を更新しているにもかかわわらず、MACDは3月20日辺りをピークに右肩下がりとなっている。つまり、いわゆる「逆行現象」(マイナスのダイバージェンス、調整局面入りを示唆)が発生している。日々のベースではナスダック指数とも高安まちまちとなっていることも考慮すると、先行きは危うい状況と言えよう。
また、「パナマ文書」も要注意だ。5月10日(日本時間3時)に追加で20万社超の法人情報を国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)のホームページ上で公開する予定としている。200を超す国・地域の個人が関わっているとの観測から、これまで以上のインパクトが発生する可能性もあることから、米国株の動向と並び注意したい。
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