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日清カップヌードルの看板(「Wikipedia」より/トトト)
日清カップヌードルファンたちが「静かに」離れ始めている…中止CMへの嫌悪感
http://biz-journal.jp/2016/04/post_14921.html
2016.04.30 文=垣田達哉/消費者問題研究所代表 Business Journal
消費者はわがままで、あまのじゃくである。「同じような不祥事を起こしても、批判される企業もあれば、それほど批判されない企業もある。それは不公平じゃないか」という声も聞くが、消費者はそんなものだ。消費行動は理屈ではない。好き嫌いだ。誰がなんと言おうと「好きなものは好き、嫌いなものは嫌い」なのだ。
「期待していた人ほど裏切られ感が強い。好きだった企業に裏切られるのが一番嫌だ。好きでもない企業、特別関心もない企業が何をやろうとどうでもよい」というのが消費者の心理だ。だから、同じようなものを販売・提供しても、売れる企業もあれば売れない企業もある。
世の中気に入らないことばかりだが、その不平不満を言うところがない。せめて「自分のお金を払って物を買う時ぐらい、好き勝手にしたい。好きなようにしたい」というのが、多くの消費者だ。「身銭を払う時ぐらい多少わがままなことを言ってもいいじゃない」と自己分析している消費者は少ないが、売る側の企業からするとそう見えてしまう。だから商売は難しい。でも、だからこそ商売は面白いのだ。
筆者は事業者向けの講演で言うことがある。それは、「食は女性に嫌われたら終わりだ」ということだ。今では、食を選ぶ権限は多くの場合女性が握っている。女性は、一度嫌いになったら一生嫌いだ。「女性に嫌われたら、振り向いてくれることは、まずない」と覚悟しなければいけない。
■日清CM中止騒動
日清食品の「カップヌードル」のテレビCM放送が、開始から1週間ほどで中止になったことが話題になっている。女性に嫌われないという点では、今回のCMは女性には「好き嫌いが顕著に表れる」内容だ。このCMに好感を持つ女性よりも、嫌い(不愉快)と思う女性のほうが圧倒的に多いかもしれない。
企業でも芸能界でも、大きくなるまでは「俺を好きな奴だけついてこい、嫌いな奴はついてこなくていい」というスタンスでも構わないだろう。しかし、大きくなるとそれは通用しなくなる。芸能界の一部には、有名になっても嫌われ役を演じる人もいるが、多くの芸能人は有名になると丸くなる。それは、いわゆるファンだけを相手にするのではなく、不特定多数の消費者を相手にしなければならなくなるからだ。
日清食品ほどの企業になれば、ファンだけでは企業は成り立たない。浮動票をいかにつかむか、そして「つかんだ浮動票はできるだけ逃がさない」ことが必須である。
アイドルや俳優などが、特に男性の場合、結婚すると人気が落ちるといわれることがある。その原因の多くは、女性の「嫉妬」である。結婚することが悪いことではない。しかし、結婚することで好きだった芸能人が嫌いにならないまでも、それほど好きではなくなってしまうことがある。それは、理屈や良い悪いではない。その人の感情だ。
芸能人は、曲の売上が多少下がろうが、出演した番組の視聴率が下がろうが、特に大きな問題にはならない。離れない固定ファンは多いし、それで活動が危うくなるわけでもない。
ところが企業はそうではない。何かのきっかけで売上が1%でも落ちれば大変なことになる。それが継続すれば、致命傷になるかもしれない。特に、売上を左右するのは物言う消費者ではなく、物言わない消費者だ。クレームを言ってくれれば直すこともできるが、「何が不満か」を言わないで去っていく消費者のほうが圧倒的に多い。
■物言わない消費者
しかも、売上はすぐには落ちない。徐々に落ちていく。消費者は、事件でもない限り一斉には去っていかない。年数をかけて徐々に減っていく。目先の売上が上がっても、企業として安心できない。一時的に買う人が増えただけで、継続して買っていた人は減ったかもしれない。売上が上がっても、よかったかどうかはすぐには判断できないのだ。だからマーケティングは難しい。繰り返しになるが、消費行動は理屈ではないから、簡単に把握できるものではない。
たとえば、今回の日清のCMで「不愉快だと思って日清にクレームを言った消費者」が一連の成り行きを見ていて、「クレームを言った人は悪い人だ。クレームなんか無視すればよい」という態度を少しでも日清が見せると、「せっかく私が親切に言ってあげたのに、言いがかりをつけたかのように思われるなんて許せない」となる。そして、日清を嫌いになるだろう。
嫌いになった消費者は、カップヌードルだけが嫌いになるわけではない。日清という企業だけでも済まない。日清というブランドが嫌いになる。「日清グループでなくても、日清とついているだけですべて嫌!」になる。日清という名がつくものすべてに拒否反応を示すようになる。
そういう消費者は、あまり口外しない。「お前、今までカップヌードル好きだったのに、どうして最近買わないんだ」と言われても「いやなんとなくね」となる。ところがあるとき、親しい女性に「どうしたの、あなた最近カップヌードル買わないわね?」と聞かれたときに、「ちょっと嫌なことがあってね。あのCM覚えてる? あれ、私あまり好きじゃなかったの。だから、こっちのメーカーのカップ麺にしてみたんだけど、結構おいしいの。だから、それからこっちにしたの」という。そして、それを聞いた女性も「私もそうなの。あれちょっと不愉快だよね。そう、このメーカーのカップ麺もおいしいの。じゃあ今度から私もそっちにしよう」ということがあるかもしれない。
大きな企業になればなるほど、物言わない消費者が企業の命運を握っている。
(文=垣田達哉/消費者問題研究所代表)
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