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農家のイメージを180度変えてしまった直売所 無謀と言われた挑戦が「日本一」に
http://www.asyura2.com/16/hasan108/msg/120.html
投稿者 軽毛 日時 2016 年 4 月 29 日 14:24:26: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

農家のイメージを180度変えてしまった直売所
無謀と言われた挑戦が「日本一」に
2016.4.29(金) 鶴岡 弘之
大村湾が見渡せる丘陵地にある「おおむら夢ファーム シュシュ」。
 駐車場にはぎっしりと車が並び、売り場にはカゴにたくさんの野菜を詰め込んだ大勢の客。その賑わいは「さすが日本一」とうならせるものがあった。

 訪れたのは長崎県大村市の農産物直売所「おおむら夢ファーム シュシュ」(以下、シュシュ)。

 全国直売所研究所などが主催する「直売所甲子園2015年」で、シュシュは「6次産業化」の先進事例として評価され見事に優勝、「日本一」の栄冠に輝いた。他にも「全国地産地消コンクール(交流促進部門)農林水産大臣賞」「グリーンツーリズム大賞2009 大賞」など数多くの受賞歴があり、直売所関係者の間では広くその名を知られる。

(注)6次産業化:農産物や水産物の生産から加工、販売までを一貫して手掛け、地域経済の活性化を図る取り組み。

 シュシュがオープンしたのは2000年4月。周囲から「無謀」と言われた挑戦だった。しかし現在では年間の来場者が約50万人を数え、直売所という枠を飛び越えてもはや長崎でも有数の観光地となっている(2015年の売上は約7億5000万円)。

 4月のある土曜日、“日本一”の直売所とは一体どんなところなのか、この目で確かめるために大村を訪れた。

 長崎空港から車で約15分、大村湾を見渡せる標高100メートルの丘陵地に「シュシュ」の大きな看板が立っている。タクシーの運転手から「休日はたくさんの人ですよ」と聞いていたとおり、駐車場には続々と車が吸い込まれていく。ナンバープレートを見ると地元の「長崎」「佐世保」の車が多いようだが、中国人の団体旅行客も大型観光バスで乗り付けていた。

 場内には、約150の農家が農産物を持ち寄る直売所、イチゴ狩りができるイチゴハウス、食品加工場、洋菓子工房、「食育体験」用の教室など様々な施設がある。レストランでは地元の旬の農産物を使った料理をバイキング形式で提供しており、お昼どきには順番待ちの行列ができていた。

地元大村の旬の農産物、加工商品が並ぶ直売所「新鮮組」
 シュシュはなぜこれほど多くの人を引き付けるのか。

 ここでは2つの取り組みに焦点を当てたい。1つは「常に変化してフレッシュであり続けている」こと、そしてもう1つは「客に喜んでもらおうという姿勢を貫いている」ことだ。

 直売所「新鮮組」の店頭には常に新鮮な農産物が豊富に並んでいる。直売所なのだから当たり前だと思うかもしれない。だがほかの直売所では、朝は新鮮な野菜がたくさん並んでいても午後にはなくなっているところが少なくない。シュシュでは何時に行ってもいつも新鮮な野菜が売られている。また 次々に新しい加工食品やサービスを開発し、客を飽きさせることがない。

 さらにシュシュを歩き回って実感したのは、隅々までサービス精神に満ちあふれていることだ。POPひとつをとってもそのことがよく分かる。商品の魅力を自分たちの言葉で丁寧に伝えるPOPを大量に作り、所せましと売り場に掲示している。売り場だけではない。なんとトイレの中までユーモアたっぷりの手描きのPOPが張り巡らされているのだ。

文字やイラストが詰まった密度の濃い手描きのPOP
拡大画像表示
 シュシュのこうした取り組みは、6次産業化を目指す農業組織のみならず、すべてのサービス業にとって参考になるはずだ。

 以下では山口成美社長へのインタビューの模様をお届けする。シュシュの設立の経緯、賑わいの秘密などについて話を聞いた。

自分たちの土地とお金だから一生懸命になれた

──大勢のお客さんで活気にあふれていますね。どういう経緯でシュシュを始められたのですか。

山口成美社長(以下、敬称略) 私は農家の生まれなのですが、地元の農協に入り営農指導員をやっていました。果樹や畜産の指導販売です。

──農協をやめてすぐに直売所を立ち上げたのですか。

山口 いいえ、父が亡くなったので農家を継ぐことになりました。その際、地域の農業をなんとか元気にしたいという気持ちがありまして、1996年に地域の仲間と一緒にビニールハウスの直売所を始めました。それがスタートです。

 もともとこの地域は「なし」や「ぶどう」などの観光農園が数多くありました。ただし、お客さんは収穫の時期にしかやって来ません。そこで、1年間通じてお客さんに来てもらえる地域にしようということで、廃材のビニールハウスをもってきて自分たちで直売所を始めたんです。

──お客さんは来ましたか。

山口 当時は直売所の数がまだあまり多くなく珍しいということもあって、かなりのお客さんに来ていただけました。

 転機になったのは、翌年(1997年)に地元の牛乳や卵、果物を使ってアイスクリームを作り始めたことです。これはまさに6次産業化の走りになったと思います。

 その頃は農家がアイスを作って売るなんてことはほとんどなかったので、マスコミ各社が取材に来てくれました。おかげで多くのお客さんが押し寄せて行列ができるほどでした。

──そして、2000年にいよいよシュシュをオープンさせるわけですね。

山口 地元の農家が集まり、40名ぐらいの活性化協議会という組織をつくって施設の建設を検討しました。40名いましたけど最終的に残ったのは8名です。「農家にそんなことできるはずないじゃないか」という声がほとんどでした。

 今でこそ「農業に情熱を傾けた8名」と言われていますが、当時は「逃げ遅れた8名」と言われました(笑)。まさか自分たちでやることになるとは夢にも思いませんでした。

──思い切った決断でしたね。

山口 自分たちの資金と土地を持ち寄り、借金もして4億円を投じました。いま振り返ると恐ろしくて身震いします。でも、自分たちの土地で、そして行政の補助金などに頼ることなく自分たちのお金でやったからこそ、知恵を絞って本当に一生懸命になることができたんだと思います。

シュシュの山口成美社長
なぜいつでも新鮮な野菜が並んでいるのか

──どんな直売所を目指しましたか。

山口 やはり、1年間を通じてお客さんに来てもらえるような場所にすることです。

 そのためには、常に変化して、自分たちで魅力を作り出していかないといけない。そうしなければお客さんに飽きられてしまいます。

 例えば、私は12種類の名刺を持っています。名刺にイラストを描いているんですが、そのイラストを毎月変えるんです。イチゴだったり、ブルーベリーだったり、ぶどうだったり、シュシュに来るといつも「旬」がありますよ、ということを名刺でも伝えているんです。

──常にフレッシュであり続けるということですね。

山口 売り場でも、お客さんがいつ来ても新鮮な野菜が置いてあります。

 ほかの直売所では、朝は野菜がたくさんあるけど昼に行くと何もないよねというところが多いんです。それは農家が朝にしか野菜をもってこないからです。

 シュシュの直売所では、1日に野菜を何回持ってきてもいいんです。そして、農家は半径2キロ以内に制限しています。それより遠い農家はいません。なぜかというと、遠くて来るのに30分かかるような農家では1日に2回も3回も持ってこれないですよね。

 半径2キロ以内の農家だと、みんな5分、10分で来れるんです。例えば、朝に20束のほうれん草を持ってきて、午前中に15束売れたとします。農家は家でPOSデータを見て、あと5束しかないな、今日はあと20束は売れるな、ということが分かります。そして20束をもってきて、また店頭に並べるんです。多い人は1日に5回も6回も持ってきます。

 この仕組みだと、お客さんがいる時間帯に農家がやって来ますから、農家とお客さんが直接会話できるというメリットもあります。トマトを持ってきたときに、お客さんから「これ、お宅のトマトなんですか。うちの子供がお宅の甘いトマトしか食べないんですよ」って言われたら嬉しいですよね。そして、もっと頑張って甘いトマトを作ろうという気持ちになるんです。

直売所には生産者の名前と顔写真が張られている。
農業をエンターテインメントに

──農家がそうやってお客さんと向き合うことは大切ですね。

山口 ここに来るお客さんにはとにかく喜んでもらいたいし、農業って楽しいんだよということを伝えたい。

 例えばイチゴハウスでは、イチゴの高さを調整して2歳のお子さんから大人まで楽な姿勢でイチゴが取れるようにしてあります。また、通路は車いすでも入れるように広くしてあります。

子どもも大人もイチゴを取りやすいイチゴハウス。通路は広く車いすも入れる。
──楽しんでもらうための工夫ですね。徹底的にお客さんのことを考えている。

山口 イチゴ狩りの入場料は200円です。もぎ取ったイチゴは100グラムで200円。1パックが300グラムとしてお客さんは800円を払うことになります。一方、長崎のスーパーでは平均して1パック約400円で売られています。つまり、イチゴ狩りだと1パックの値段が倍になるんです。それでもお客さんはイチゴ狩りをするんですよ。それは、イチゴ狩りが楽しいからです。

 農業は労働産業ですが、イチゴ狩りは観光産業なんです。イチゴ狩りに来る人は農業だと思って来ていません。だから倍の価格でも払うし、若い女性もわんさとやって来るというわけです。

──ここでは結婚式をやったり、法事をやったり、農業塾も開いたり、なんでもありですよね。新しい加工食品も次々に開発しています。そういうアイデアはどうやって出てくるんですか。

山口 やはりお客さんに近い距離にいるから自然発生的に出てくるんだと思います。

──今までの農業には、そういう消費者の目線が足りないのかもしれませんね。

山口 男性が6次産業化を論じて「こういうのを作ろう」と言っても、お客さんは買ってくれません。なぜなら直売所で買い物をするのは女性だからです。

 ここもお客さんの多くは女性です。財布からお金を出して野菜を買う人、スイーツを買う人の8割が女性なんです。女性が「こういうのを買いたいよね」というのを作らないと。だからうちのスタッフは女性が多いんですよ。約70名の従業員のうち8割が女性です。できるだけ女性に活躍してもらって、売り場でも女性の視点を取り入れるべきだと思います。

地域の農家が元気でおしゃれなイメージに

──シュシュができたことで、地域の雰囲気は変わりましたか

山口 変わりましたね。この地域の農業のイメージが180度変わったと思います。

 農家の人が「大村で農業をやっています、シュシュの近くです」と言えば、長崎県内のほとんどの人に通じます。「シュシュに野菜を納めています」と言うと、ぐっとイメージが良くなります。元気そうで明るくて、おしゃれなイメージなんですよ。

──「地域の農業を元気にする」という当初の目的が果たせているということですね。どうもありがとうございました。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46696  

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コメント
 
1. 増税反対[1304] kZ2QxZS9kc4 2016年4月29日 15:10:56 : GhpOzZ7C1k : tntKnxremsk[28]
農産物直売所の売り上げが増えれば増えるほど、

スーパーや八百屋などの商店の客を奪う事になる。

 農業は国からの補助金などの手厚い保護が無ければ、この日本では

成り立たない職業なのだから、ほぼ全て自己責任で商売をしている方々の、

売り上げを奪うような直売所には強い違和感を覚える。

 多くの市町村で見られる光景だが、道の駅などの農産物直売所が大入り満員

の影で、地元商店街などは閑古鳥が鳴いている。

 立地条件や経費の面から見ても道の駅には対抗しようが無いのです。

こういう視点は殆ど取り上げられる事も無いのですが、直売所栄えて街滅びる

といった現象が起きているのは、地方にとっては大きな問題だと思います。

 直売所で農家さんが野菜を売りまくるのなら、国からの補助を無くし

税金面なども小売店などと同等にしてもらわないと、全く不公平としか

いいようがありません。


2. 2016年4月29日 17:52:35 : 6jC6Ok4X3M : r9HiorRuc1w[330]
直売なんてやらないで、地元の八百屋に直接卸せばよさそうなものだが、農協がじゃまするんだろうな。

3. 2016年4月29日 18:56:56 : LoEADWIeoc : NtUi@F96GtY[4]
2さん 

農家は作物を作るプロで、販売は無条件委託販売で
指し値で農協に販売を頼めませんでした。

あきないびとは野菜を市場仲買人から仕入れます。
鮮度が落ちてしかも割高な野菜をです。

消費者にも農家にもメリットのある産直取引は
出来るべくして出来た仕組みです。

農家が直売所を運営する方式をながめていた農協は
今では施設と販売実務を担い、
農家は自分の野菜に値段を付けて供給する方式が
遅ればせながらはじまっています。

商人は農協の行動よりも先に面倒がらずに地元の
農家の野菜生産を育てるような先見の明を
持つべきでした。

直売農家の高齢者は病知らず意欲的
に農村生活を楽しんでいますよ。


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