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なぜ大企業の不正が続くのか 不況下の「拝金思想」の醜悪
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/180445
2016年4月28日 日刊ゲンダイ 文字お越し
会見で謝罪する三菱自動車の相川社長(右)/(C)日刊ゲンダイ
日本の名門企業がなぜ、こんなことになってしまったのか。燃費試験データの不正が発覚した三菱自動車は26日、社内調査の状況を国土交通省に報告し、公表した。それによると、国の規定と異なる方法で燃費試験データを収集する法令違反を、なんと25年も前から行っていたという。
「三菱自動車は2000年にリコール隠しが発覚し、社会的に大問題になって経営危機に陥った。それでも不正をやめなかったのは、信じられない鈍感さです。昨年は、ドイツのフォルクスワーゲン社が排ガス不正で信用失墜し、巨額の補償・制裁が科せられた。それを目の当たりにしてなお、自社の問題にはフタをしてきたわけで、消費者をナメきっています。エリート意識に固まった三菱グループの驕りがあったと言われても仕方がありません」(経済アナリスト・菊池英博氏)
記者会見で、相川哲郎社長は軽自動車「eKワゴン」と日産自動車向けの「デイズ」について、開発目標燃費を役員会議で5回上方修正していたことも明かした。11年2月の開発当初は、ガソリン1リットルあたりの走行可能距離を26.4キロに目標設定したが、他社との競争を意識して上方修正を繰り返し、最終的には目標を29.2キロに引き上げた。「結果から見れば、社員にプレッシャーがかかった」と中尾龍吾副社長が会見で言っていたが、そんなことは百も承知で目標値を上げたはずだ。
粉飾決算に手を染めていた東芝の経営陣が、部下に「チャレンジしろ」と利益水増しを強要していたのと同じ構図である。
■「軽い気持ち」では済まされない
本来、燃費改善には巨額の費用がかかる。研究から技術開発まで、燃費を0.1キロ向上させるために莫大なコストを要する。それが鉛筆ナメナメで2.8キロも改善できてしまうなら、企業価値の根幹が崩れるし、日本車全体の信用にもかかわってくる。
ところが、今回の燃費データ不正について、発売中の「週刊新潮」が、三菱重工相談役の相川賢太郎氏の驚くべきコメントを掲載している。鉄の結束を誇る三菱グループの中でも、序列最上位の三菱重工の社長を3期6年、会長を2期4年務め、“三菱グループの天皇”と呼ばれた人物だ。渦中の三菱自の相川社長の実父でもある。これが、トンデモ発言の連続なのだ。
「自動車に乗る人はそんなにガソリンなんて気にしていない」
「燃費が良いから買うなんて人はいない」
「(従業員は)軽い気持ちで、コマーシャルは魅力的に書けばいい、くらいの気持ちでやったんじゃないか」――。
これが三菱の体質なのか。コトの重大さをまったく理解していないようだ。「軽い気持ち」で済む話ではない。昨今は燃費を重視する人も少なくないし、燃費性能の数字によってはエコカー減税の減税幅が変わった可能性もある。実際の燃費は運転の仕方にもよるが、10%もチョロマカされたら、日々の積み重ねでガソリン代の負担は大きく変わってくる。庶民は道楽で高級車を乗り回しているわけではないのだ。
新自由主義に侵され、政治と癒着した強欲資本
東芝はようやく減損(室町社長)/(C)日刊ゲンダイ
「明らかに違法でなければ、ある程度のゴマカシは許されるという風潮が蔓延している。そういう不正に対して、チェックがきかないことも問題です。三菱自動車の不祥事は初めてではないし、信用回復は難しい。安易なゴマカシで短期的に利益を上げられても、長い目で見ればそれが大きな負担になり、企業が潰れる要因にもなるということを肝に銘じる必要があります」(経済評論家・斎藤満氏)
25年間も不正を続けてきた三菱自の企業体質が厳しく問われるのは間違いないが、今回の件は、日本社会の構造腐敗に根ざした問題でもある。
「三菱財閥の特徴は、成り立ちが政商ということです。明治維新の成り金に始まって、政治と結託して巨大化し、『三菱は国家なり』と自称するまでに肥大した。グループの中核をなす三菱重工は、日本を代表する軍需産業であり、戦時中は大量の兵器を供給して国に貢献した。だから、祖父の岸信介の頃から安倍家とは縁が深い。いまや原発と武器が柱という“死の商人”ですが、安倍政権が原発輸出を促進し、戦後守ってきた武器輸出三原則をかなぐり捨てて輸出を解禁したのも、三菱の意向でしょう。財閥の利益のために平和憲法がないがしろにされてしまったのです。カネ儲けになるのなら、武器も売りまくる。はしたない拝金主義の権化ですが、これは三菱に限った話ではない。政治と癒着して、自分たちだけがいい思いをできればいい。新自由主義に侵された“稼ぐが勝ち”で、社会的な倫理観ゼロ。そういう強欲資本がのさばっているのが日本の現状です」(菊池英博氏=前出)
■アベノミクスが甘えの構造を助長
三菱同様、国策の原発事業で政府に守られてきた東芝は26日、16年3月期の決算で、06年に買収した原子力大手ウェスチングハウス(WH)に関する3000億円規模の損失を減損処理として計上することを発表した。約6000億円で買収して以来、ブランド価値や将来の収益力などとして、「のれん代」を資産計上。3.11の事故で原発の新規受注が厳しくなったにもかかわらず、東芝はこれまで連結決算で一度もWHを減損しなかった。
3月時点でその額は約3300億円あったが、子会社の東芝メディカルシステムズの売却益が出たため、大半の2600億円を減損した。
その東芝の家電部門は中国企業に、シャープは台湾の鴻海に買収され、三菱自動車はデータ不正で市場から完全に見放されてしまった。日本を代表する名門企業がのたうち回っているのは、破廉恥政治家と結託して甘い汁をすすってきたツケなのか。
「ここ2、3年で日本の製造業がおかしくなってきたのは、アベノミクスによる円安政策で黙っていても収益が上がったため、企業努力を怠ってきたこととも無関係ではありません。そういう環境をつくって、大企業を甘やかしてきた政府の側にも責任がある。1ドル=80円の円高時代には、企業が知恵を絞って努力を重ね、そのおかげで世界市場で戦える競争力がついた。ゴルフだって、ハンディキャップを甘くしてもらうと、練習を怠って勝てなくなる。シングルプレーヤーへの道は遠のき、イージーなゴマカシを多用するようになる。それと同じです。デタラメ会計を続けてきた東芝も、いざとなったら政府が助けてくれるという甘えがあったのでしょう。自動車産業に限らず、三菱自動車の不正発覚にビビっている企業は少なくないと思います」(斎藤満氏=前出)
三菱自のデータ不正は、開発費の少なさが要因のひとつともいわれている。日本経済が停滞し、モノが売れなくなった今、設備投資にはカネをかけたくない。小手先のチョロマカシで消費者をダマしてきた企業は他にもあるだろう。第2、第3の東芝、三菱自が、次から次へと出てくる可能性は高いのだ。
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