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※写真はイメージです
要注意!「頭金ゼロでサラリーマン大家さん」のカラクリ
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160427-00017882-president-bus_all
プレジデント 4月27日(水)9時15分配信
■頭金ゼロで一棟マンションのオーナーになれる時代
3月某日、東京・六本木の中心部にある雑居ビル。その会議室で開かれているセミナーには、40〜60代のサラリーマンばかり20人ほどが集まっていた。講師は、不動産投資で年収3億円以上を稼ぐという触れ込みの“投資家”である。
この投資家が、熱く参加者に語りかけている。
「マイナス金利の時代になったおかげで、今は銀行もお金を貸したくて仕方がないんです。こんな時代に賢く投資するには、こんなに低い銀行の金利の資金を使って、高い収益性のビルを買うことです」
「都心はもう物件が高くなりすぎていて、収益率は低くなっていますが、地方は違います。狙い目は、築年数が少し経っていても、賃貸人がしっかりついて回っている人気物件です。こういう物件は非常に安く買えますから、買値に対しての利回りが非常に高いのです」
「こうした居住用の物件は借り手も安定しており、安く買えば利回りは、表面で10%を超える物件もある……」
投資家は、さらに続ける。
「さらに購入する際も、今なら高収益の物件は銀行が頭金ゼロで、フルローンで貸してくれます」
「元手がなくても、一棟マンションのオーナーになれる時代になったんです! 」
「安く資金を借りて、収益性の高い投資先へ投資をすれば、その借金の毎月の支払いは賃借人がしてくれるわけです。そして皆さんには、資産ができるんです! 」
「賢く、これだけ儲ける方法があるんです。こうして安定した資産を築けば、もう老後や将来への不安もありません。このセミナーでは、特に収益性の高いオススメ物件をいくつかご紹介します。このセミナーだけの特別情報ですよ! 」
このようなセミナーが頻繁に開かれるようになったのは、今年1月29日に日銀がマイナス金利政策の導入を決定し、金融機関に融資を強制的に仕向けて以降のこと。開催件数も増え、活況を呈しているというが、一見もっともらしいこの儲け話、本当に鵜呑みにしてよいのだろうか。
■築25年以上と古く、地元では誰も住まない物件
都内の物件を多く手掛ける不動産業者によれば、このようなセミナーにはいくつかの共通点があるという。
「最近、こうした投資セミナーが特に東京の六本木などの都心部で多く開かれています、これは業界内でもよく知られている話です。いずれも、東京都心部の物件などとても買えない、自身も“超都心”には住めないようなサラリーマンが対象ですが、会場を六本木など超都心に設定する事で、彼らの気持ちを高揚させ、購入につなげるよう設計されています」
セミナーでは、高収益物件として地方の一棟マンションなどの購入を薦めるが、いざ購入の段になると、セミナーごとに決まった地方銀行から融資を受けるよう、事が運ばれていくという。
では、肝心の投資先の物件はどんな物件なのか。実際にセミナーで薦められていた地方にあるマンションの地元の不動産業者に取材したところ、こんなコメントが得られた。
「セミナーで薦められていたマンションは、いずれも築25年以上と古く、地元では誰も住まないような物件ばかりです。なのに地元の特定の業者と結託して、6カ月だけの短期の賃借人をつけて、高い利回りがあるかのように装って販売していました。あんな物件を買っても、6カ月の短期賃借人はすぐに出て行ってしまうから、表面利回りは10%以上どころか、その半分にもなりません。地方では賃貸マンションの入居率は都会よりずっと低いので、こんな物件の入居者を見つけるのは至難の業です」
さらに地方の古い物件は床面積も都市部の同じ値段の物件と比べてずっと広く、修繕・維持費が非常に高くつく。そのため、実質的な利回りはさらに低くなるのが一般的だ。
「こんな物件をオススメ物件として推薦しているのですから、呆れた話です」(同)
どうやら、かなり危ない代物のようだ。
■頭金ゼロのフルローンを組ませるカラクリ
今年2月、日銀がマイナス金利政策を実施した影響もあって、国内ではなんとか融資先を見つけたい地銀の一部がこうしたセミナーを後押ししているという話も、業界からは聞こえてくる。
見えてきたスキームは、こうだ。
まず地方の古いマンションに、短期賃借人をつけ「高収益物件」のように装って、都心でセミナーを実施。そこで地方の実情を知らないサラリーマンらに、頭金ゼロのフルローンで購入させる。そこに地銀が、頭金0のフルローンで融資するという算段である。
なお、このスキームで紹介される物件は築年数30年程度の古い物件ばかりだが、これは物件の耐用年数に理由がある。
1998年の税制改正で、鉄筋コンクリート造りの建物の法定耐用年数は47年となったが、それ以前の建物の法定耐用年数は60年だ。銀行はこの年数内しか融資をする事ができない。
したがって、1998年以前に作られた築20〜30年の建物に対して融資をすれば、古くても法定耐用年数がまだ30年以上残っているので、融資も30年以上の長期間のローンを組ませることができる。そうすれば銀行の金利収入が増えるのはもちろん、毎月の支払い金額が非常に少額に見えるので、購入者も「これなら払える」と、その気になりやすい。
さらに地銀の側の事情もある。表面上、高収益物件として社内の審査に出せば、与信額が収益還元法(将来の収益から現在の価値を計算する方法)で計算されるので、頭金ゼロのフルローンで地銀が融資をする事ができるのだ。
■「うますぎる話」に飛びつくと痛い目をみる
ただし、このような地銀のローンは銀行にとってリスクの高いサブプライムローンのようなものだから、金利は4%以上になることが一般的で、ほとんどの場合、マイナス金利や低金利の恩恵はない。しかし、高い金利でも30年以上の長期ローンにすれば、毎月の支払い額が小さく見えるため、購入者の方は高金利に気づきにくい。
融資する地銀の視点で考えれば、マイナス金利政策で収益が厳しい時期に、融資先と不動産担保を同時に見つけることができ、かつ高い金利収入を得る事ができる、「おいしい取引」ということになる。しかし、購入する側が、「借金は賃借人が返してくれる」などという言葉を鵜呑みにするのであれば、購入する側にとっては明らかに危うい取引だ。
現在、日本の地価は一極集中型となっており、不動産価格は二極化している。都市部の中心とは違い、地方での賃借需要は実際には少ない。そこで古い物件を買っても、期待されるような収益はまず得られない。
これらはあくまで一部の事例であり、不動産投資セミナーそのものを否定するつもりはない。しかしながら国内不動産業界では、4月に入ってからこうしたセミナーを後押しする地銀の数がさらに増えるという話が聞こえてくる。
うますぎる話には、十分注意しなければいけないだろう。
アジア・インベストメント・サポート マネージング・ディレクター 福留憲治
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