★阿修羅♪ > 経世済民107 > 763.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
シャープ、鴻海による買収で「多大な恩恵」か…「台湾企業の傘下」悲観論のまやかし(Business Journal)
http://www.asyura2.com/16/hasan107/msg/763.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 4 月 24 日 00:37:06: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

                 鴻海精密工業・郭台銘氏(左)とシャープ・高橋興三氏(東洋経済/アフロ)


シャープ、鴻海による買収で「多大な恩恵」か…「台湾企業の傘下」悲観論のまやかし
http://biz-journal.jp/2016/04/post_14845.html
2016.04.24 文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授 Business Journal


 巷を賑わせている台湾のEMS(電子機器の生産を請け負うサービス)企業である鴻海精密工業(ホンハイ)によるシャープの買収。これがシャープにとってベストな選択であるのかというポイントも興味深いですが、日本社会全体に対する影響がより気になるところです。
 
■外資メーカーを受け入れたイギリス自動車産業の成否?

 欧州の自動車大国といえば、真っ先にドイツが浮かんできますが、イギリスも年間生産台数150万台を超え、自動車産業は雇用の創出に大きく貢献しています。一昔前の自動車事情に詳しい方なら、ロールスロイス、ジャガー、ミニ、ローバーなど、数多くの由緒ある英国自動車メーカーが頭に浮かび、こうした状況は当然のことと思われるかもしれません。

 しかし、いまやロールスロイスとミニは独BMW、ジャガーとローバーのブランドだったランドローバーはインドのタタ・モーターズの傘下に入っています。

 実際、2014年のイギリスにおける自動車生産台数トップ5を見ても、日産自動車(50万台)、ランドローバー(37万台)、ミニ(18万台)、トヨタ自動車(17万台)、本田技研工業(12万台)となっており、海外のメーカーや資本に大きく依存していることがわかります。

 外国メーカーの進出を受け入れることに対して、伝統ある数多くの自動車メーカーを抱えてきた英国において、多くの人が反対したであろうことは容易に想像がつきます。たとえば、日産の工場誘致に関しては、当時首相であった“鉄の女”マーガレット・サッチャー氏の強力なリーダーシップがあったからこそ実現したといわれています。

 今回の台湾資本によるシャープの買収に関して、「日本の伝統ある家電メーカーが海外、しかも欧米ではなくアジア企業によって買収されるとはなんたることか」と批判的に捉える意見も多いようですが、こうしたイギリスの事例をみると、必ずしもマイナスの面ばかりではないように思えます。

■ホンハイによるシャープ買収の是非

 シャープに限らず、多くの日本の電機メーカーが厳しい状況に陥っているわけですが、その要因として人件費やインフラに関わるコスト高などがしばしば指摘されています。また、パソコン、テレビ、携帯電話端末などに関しては、汎用性の高い部品が市場にあふれ、組み付けに関しても以前のように高い技術力が必要なくなったというモジュール化の影響を取り上げる研究者も多くいます。

 もちろん、こうした要因は日本のメーカーに大きな負の影響を与えていると思われますが、創業から長い時を経て創業者のDNAが薄れてしまった日本メーカーと、歴史が浅く創業者が第一線で会社を引っ張る、もしくは少なくとも創業者のDNAが色濃く残る中国、韓国、台湾といった海外メーカーの差という側面も見逃せないでしょう。つまり、創業者がもたらす求心力、一体感、大胆さ、意思決定のスピードといったものは、少々の技術力の差なら十分に乗り越えられるほどのパワーを持っていると考えられます。

 こうした視点に立てば、ホンハイの創業者である郭台銘氏のリーダーシップは、シャープに大きな恩恵をもたらすかもしれません。また、ホンハイの主力事業であるEMSを活用し、従来よりも低価格で商品を市場に投入できる可能性も高いでしょう。

 懸念されることといえば、EMS事業は生産に関わる技術力を必要とするものの、基本的にはいかに安くつくるかに重きを置くビジネスです。一方、これまで次々に革新的な商品を市場に投入してきたシャープのような企業においては、コストももちろん重要な問題ですが、クリエイティビティを大事にするという文化があるはずです。こうしたクリエイティビティに重きを置く企業では、基礎的な研究や商品開発において無駄がつきものですが、ホンハイがこうした無駄を「価値ある投資」として、どこまで許容できるのかは興味深いポイントです。

■真の日本の実力とは

 近頃、「経済が停滞している現状で増税はナンセンスだ」という声が数多く聞こえてきますが、本当に日本の経済は停滞状況にあるのでしょうか。日本の黄金時代とも呼べる1980年代と比較するなら、停滞状況と断言できるでしょう。しかし、当時の日本企業は欧米企業に対して十分な価格競争力があり、さらにほかのアジア企業とは格段に技術力の差があったという“隙間の時代”です。よって、そう簡単には、同様の状況は再びやってこないでしょうし、仮にやってきても“隙間”ですから、長くは続かないと考えるべきでしょう。また、この時代の日本の大手メーカーには、現在の中国企業のように創業者DNAが色濃くみられるケースも多かったと考えられます。

 日本の今後を考えるにあたり、まずこうした事実をしっかり見つめ直す必要があります。現在の経済状況を「停滞」と捉えるならば、大型の財政出動や日本企業の日本資本優先の救済には理があるといえますが、停滞ではないとすると身の丈を超えた財政出動の中止、さらなる外資の受け入れにも積極的に着手すべきとなるはずです。

 どのような政策を実行するにせよ、真の日本の実力を公正に判断し、立ち位置を定めることが重要な基礎となります。言い換えると、立ち位置が間違っていれば、何を実行しようと大きな効果はないはずです。何を行うかに注力するのではなく、まず立ち位置を見極めることに真摯に取り組むことが、国レベル、企業レベルのどちらにおいても重要であるといえるでしょう。

(文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授)
 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民107掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
経世済民107掲示板  
次へ