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円高にはもやは打つ手なしか (写真:大隅 智洋)
日銀はもはや、円高に対して無力に等しい 為替を楽観している製造業を株安が襲う
http://toyokeizai.net/articles/-/114369
2016年04月23日 リチャード・カッツ :本誌特約記者(在ニューヨーク) 東洋経済
原文はこちらhttp://toyokeizai.net/articles/-/113301
昨年8月に1ドル=125円台だった円相場がそれ以来、大幅な上昇傾向を示してきたことは、3つの点を証明している。まず、日本銀行は円の価値を制御できない。次に、最高の経済専門家でさえ、比較的長い期間にわたって信頼性の高い円相場を予測できない。そして、円と日本の株価の運命が密接に絡み合っている点だ。
黒田東彦氏が2013年3月に日銀総裁に就任した際、市場は彼が多額の紙幣を発行するだけで簡単に円安にできると信じていた。黒田氏の金融政策はその後約2年間機能したかに見えたが、それは単に、通貨トレーダーが予想を立て、そうなるように動いたからだった。
彼らは日銀が円相場を安くする力を持っているとの誤った説を信じたため円を売った。正確には、彼らが円を売ったからこそ円安になった。日銀は市場への資金供給を続け、今年2月にはマイナス金利政策も導入したが、円高基調は続き、4月に入り110円の大台を割って推移している。
為替市場では往々にして、経済のファンダメンタルズよりも投資家の心理が相場に影響する。
■焼け石に水
投資家や投機筋による円の通貨取引量は莫大だ。日本の資本流出入額の約15倍、日本の輸出入の合計の約150倍にも上る。そのため、いくら国が為替介入して円レートを操作しようとしても、難しいのが現状だ。黒田総裁もかつて財務省で財務官を務めていたため、為替操作の難しさは熟知しているはずだ。
実際、為替見通しについては、専門家でさえ予想を相次ぎ修正している。たとえば、みずほ銀行は半年前、16年12月時点の予想を1ドル=116円としていたが、3月に1ドル=108円に修正した。JPモルガンも1月、円は16年中に1ドル=110円台で推移し、以降も円高になると予測していたが、2月中旬になって、長期的に見れば公正価値は1ドル=95〜105円の範囲内にある、との判断に変えた。
専門家は為替予測に際して、もっともらしい説明を加える。たとえば米ブルームバーグ・データによると、消費者の購買力を基準にすれば、円はドルに対して約3割過小評価されている、という。この過小評価の規模は主要16通貨中で2番目の大きさなのだそうだ。
しかし、こうした見方を信じて通貨トレーダーが勝負しても、失敗することは多い。成功するトレーダーは数分ないしは数秒の非常に短いトレンドの変化を注視して取引を行う。
円ドル相場と日経平均株価との上下動との間には過去9年間、89%もの相関関係があった。2012年秋以降の相関関係は97%にまで達した。円安になればなるほど、海外に拠点を持つ日本の大企業の利益は増える一方、円高になるほど、利益が減って株価は下がる。
■「バラ色のシナリオ」の罰
興味深いことに、円相場に関する「バラ色のシナリオ」を描こうとした企業は、株式市場からしっぺ返しを受けた。
たとえば、4月1日のパナソニックの株価は、前日比12%安と急落した。3月31日に2016年度(今期)の営業利益が前期比9%減るとの予測を示したこと自体よりもむしろ、その前提となる今期の想定レートを1ドル=115円と、甘い水準に設定していることが嫌気された。円がその水準よりも高くなれば、利益はさらに減るのだ。
パナソニックだけではない。 4月1日発表の日銀短観によると、製造業の大企業の想定レートは平均で同117円となっている。彼らは正しいのかもしれないが、市場を動かす者達はそれに賭けようとはしないだろう。
(週刊東洋経済4月23日号)
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