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15年度貿易収支、1兆792億円の赤字 原油安で赤字幅縮小[日経新聞]
3月は7550億円の黒字
2016/4/20 10:51
財務省が20日発表した2015年度の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を引いた貿易収支は1兆792億円の赤字となった。5年連続の赤字だが、原油安で赤字額は14年度から大幅に縮小した。中国経済の減速や、熊本県を中心とする地震が輸出に影響する可能性もあり、収支改善が続くかは見通しにくい。
15年度の赤字は14年度(9兆1277億円の赤字)と比べると、一気に8兆円超少なくなった。過去最大の赤字は13年度の13兆7563億円で、改善傾向が鮮明になっている。
月次でみても2月に黒字に転換したのに続き、3月は黒字幅が7550億円と大きく増えた。東日本大震災の影響があった11年度以降、原発停止の影響で原油などの輸入が増えていたが、原油安で収支が良くなった。
ただ、熊本などの地震で自動車といった輸出へ影響が広がるとの見方もある。財務省は「現時点では判断できないが、サプライチェーンの寸断が長引けば輸出に響く可能性がある」としている。
15年度の輸出額は74兆1173億円。前年度比0.7%減と3年ぶりに前年度を下回った。対中国が3.1%減、中国を含む対アジアが2.8%減だった。輸出品目別では鉄鋼が15.6%減、有機化合物が14.3%減と素材の輸出や電子部品の輸出が低調だった。対中国の貿易収支は6兆625億円の赤字で、過去最大の赤字だった。
自動車の輸出が好調だった対米国は6.2%増えた。為替市場で対ドルの円相場は前年度比10.2%円安の水準だったが、中国経済の減速で輸出の数量が落ち込んだ影響が全体に響いた。
輸入額は75兆1964億円で前年度比10.3%減った。未精製の原料油を輸入した際の通関単価は前年度比39.6%減で、輸入金額の減少につながった。サウジアラビアなどからの原料油が37.9%減、液化天然ガス(LNG)は41.4%減だった。財務省は赤字幅の縮小について「輸出が強かったわけではなく、資源関連の輸入額が大きく減ったことが要因」とみている。
同時に発表した3月の貿易収支は7550億円の黒字だった。黒字は2カ月連続。
輸出額は前年同月比6.8%減の6兆4566億円。アジア向けが振るわなかった鉄鋼が28.6%減った。足元では円高が進んでいるが、原油下落の影響が大きい。輸入額が14.9%減の5兆7016億円だったことから全体では黒字だった。
ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長は足元の貿易黒字について「円高を誘発する要因になる」と指摘する。企業がもうけた外貨を円に替えるため、円買いが増えるためだ。今後は「このところの円高が輸出に逆風となるほか、原油価格の上昇で輸入額も下げ止まるだろう」として、黒字構造を定着させるのは難しいとみている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS20H0G_Q6A420C1MM0000/?dg=1
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