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世界の株式市場の楽観
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52805447.html
2016年04月20日 在野のアナリスト
日本株が急速に戻りを試し、日中で一時17000円を越えました。原油もクウェートのストライキでWTIが41$台にもどし、欧米株は年初来高値の水準ですし、ブラジルなどルセフ大統領の悪材料で株価が急騰するなど、些か浮かれ過ぎともみられる楽観を示します。日本株は乗り切れない、とはいえ、急速に企業業績が悪化しており、日本の実力からすれば今でさえやや高い、とみられます。来週から始まる決算発表を前に、割高にみえる日本株を買う向きは多くありません。
世界的な楽観の原因。その一つに、サウジが国際銀行団から100億$を借り入れる、との報道があります。財政赤字であり、外貨準備も急減する、これだけ読むとマイナスの記事ですが、同時にサウジは国営の石油会社サウジアラムコの株式を上場し、そこで調達した資金を政府系ファンドに振り向け、世界最大の投資運用会社にする、とします。つまりこれまで市場が怯えていた、原油価格の下落と産油国の政府系ファンドの資金引き上げ、という悪循環から、これで脱出できることになります。さらに政府系ファンドの規模が拡大するというのですから、好感しないはずもない。サウジ株式市場では一部で、資金の吸収がおこりますが、世界株式は資金供給が拡大することになるため、こうした報道をうけてリスクマネーが動いていると想定されます。
しかし世界にはもう一つ、おかしな動きもあります。原油価格を決める重要な会合の前になると、必ず「合意」とする事前報道がでて、原油価格が急騰する。発信元不明な、こうした価格操作とみられる報道、世界的に増えているのは、金融機関や投資ファンドなどの運用実績でも明らかなのでしょう。米金融決算をみても投資部門は苦境、価格操作でもしないと、収益が確保できない。しかしこうした手法は、時に大きな変動を起こし易くもし、不透明要因を強めてしまいます。
今年は後半にいくほど、不透明要因が強まります。5月前半にパナマ文書の全体が公開されます。しかしこれはあくまでタックスヘイブンの一法律事務所の情報流出、世界全体のタックスヘイブンからみても、ほんの一部です。ただし、これにより世界全体の課税逃れの枠組みがつくられつつある。この課税強化により企業業績がどう推移するか分からず、また個人投資家の投資マネーもどう動くか分かりません。タックスヘイブンの地域も、国際的な圧力が高まる中で協力姿勢を示しはじめており、今後は資金の変動、状況の変化に留意が必要となってきます。
また英国のEU離脱問題が、夏にあります。EU瓦解も心配される中、タックスヘイブン問題でキャメロン首相が失速したことは、EU残留派にとって大きな痛手。逆に英国がEU離脱となればどんなインパクトがあるか、予想もつきません。タックスヘイブンの問題も、英国のEU離脱の問題も、市場がいくら楽観しようと結果がどう転ぶかは分からない。今、株価を上昇させているのは、将来的な不透明感もあって、今のうちに…という意識が強いのかもしれません。
日本も、日銀が4月末の決定会合で動かなければ、5月のアノマリーである株売りに見舞われる恐れが拭えません。しかしもう消費税の増税先送り、日銀の緩和はほぼ織りこみ済みでもあって、楽観はこれでもか、というほど探しだしてきては市場が組み入れてしまっています。逆に、悲観には目を瞑り、ないことをひたすら祈るばかり。それが今の株式市場となっているのでしょう。
英国では「良い弁護士は悪い隣人」という諺があります。また「牧師、弁護士、医者には隠し事しては何もならぬ」とも。隠し事をして欲しかった弁護士に裏切られ、悪い隣人のススメで始めた税逃れ、それが英国に重大な決断を迫ろうとしている。世界が「上手くやっている」人、組織へ厳しくなるなら、今後は「そう上手くはいかない」時代がくることを予感させるのでしょうね。
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