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驚くような地方再生のケースが広島県に!?(※イメージ)
尾道で「希少価値ビジネス」 倉庫リノベホテル1泊2万円でも満室のワケ〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160419-00000206-sasahi-bus_all
AERA 2016年4月18日号より抜粋
アエラ本誌で連載を行っている投資銀行家の山口正洋氏は、現在の地方再生のやり方に疑問を感じるという。一方で、そんな山口氏が驚くようなケースが、広島県にあった。
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地方再生に携わっている私が、いつも不思議に思うことがあります。ゆるキャラに始まり、B級グルメ、「道の駅」に至るまで、どこもかしこも同じことをやって、ことごとく失敗に終わるのはなぜか。「2匹目のどじょう」を狙っていればうまくいく時代は、確かにありました。高度成長期には、膨大かつ均質な需要が存在したために、速く安く大量につくる供給力を持った大企業が勝ち残ったのです。パナソニックはその昔、松下電器産業という社名でしたが、「マネシタ電器」とも呼ばれ、他社が出してヒットした商品に似たものを安く大量に売ってもうけるビジネスモデルでした。
経済学ではこれを「需要・供給モデル」で説明できます。横軸に数量、縦軸に価格をとり、供給曲線と需要曲線の交点で価格が決まるという、あのグラフです。需要が満たされ供給過剰になると、交点が低くなる、つまり価格は下がる。すると需要が刺激されて、今度は価格が上がる。いずれどこかで価格が均衡する──。
現代もこのモデルは通用するのでしょうか。たとえばシャープが倒産寸前に追い込まれる一因になった液晶テレビ。先のモデルによれば、大量に供給されると価格が下がり、需要も増えて、価格はどこかで均衡するはずでした。でも、40型の大型液晶テレビが仮に3万円になったからといって、皆さん、買うでしょうか。そもそも多くの消費者は、液晶テレビにたいした興味はなく、ほかにお金を使うところがたくさんあると考えている。
もはや、モデルの大前提が崩れているというしかありません。未来永劫変わらぬニュートン力学とは違い、経済学はまことに科学の名に値しない学問といえます。 さて、そんな需給モデルが機能しない現代、どんなビジネスモデルが有力なのか? 答えは明らかです。フェラーリでありエルメス、つまりは「希少価値」ということです。
地方再生で欠けている視点もまさにこれ。私が関わってきた岩手県紫波(しわ)町の「オガールプロジェクト」では、宿泊施設などを備えた「オガールベース」の中に、日本初のバレーボール専用コートをつくりました。よくも今まで、こんなに「おいしい」市場をほったらかしにしていたもんだと、びっくりします。希少価値こそ、これからの地方再生のキーワードなのです。
そのオガールベースもびっくりポンのホテルが、広島県尾道市にあります。その名も「ONOMICHI U2」。尾道から瀬戸内海を渡って愛媛県今治市に至る本州四国連絡橋「しまなみ海道」は、景色のいいサイクリングコースとして有名で、海外からも自転車好きが集まります。U2の客室は、「愛車」を持ち込んで壁に飾れるのです。
価格帯は週末の1泊1人約1万5千円〜2万円と、東京のホテル並み。そんなところに泊まる人が……いるんですよ。連日ほぼ満室で、海外でも大変な評判です。ツアー用の自転車は大変高価で、マニアックな持ち物です。そういう大切なものを部屋に飾りたいというニーズが、確実に存在するわけですね。しかも、そういうことをする人には金持ちが多いわけで、「金持ち相手の希少価値ビジネス」という究極のビジネスモデルを体現したといえます。(投資銀行家・山口正洋)
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