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デンマークの消費税は25%、所得税は最高65%。でも医療費と教育費は、基本的に無料です 島地勝彦×柘恭三郎&マレーネ・ミッケ【第3回】
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48470
2016年04月20日(水) 島地 勝彦 現代ビジネス
撮影:立木義浩
第2回【デンマークのパイプ作家が脚光を浴びた理由 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48410】
シマジ 最近やっと手に入れたんですけど、これはカナダのパイプ作家マイケル・パークスの作品です。
マレーネ 美しいパイプですね。
シマジ 注文してから1年半かかって、つい最近送られてきたんです。わたしの親友の足澤公彦がマイケル・パークスに直接頼んでくれたんです。
柘 そうでしたか。うん、これは凝ったデザインですね。3色に別れているところが奇抜ですね。
シマジ 足澤がシマジの人物像を紹介して、こうこうこういうパイプを作ってもらいたいと注文した結果、このパイプが出来上がったんです。名前をカップ&ソーサーというそうです。
ヒノ たしかにソーサーの上に置いたカップのイメージですね。
シマジ そうだろう。上のボウルのところがサンドブラスト仕上げで、こんなに目が深いのは余程いいブライヤーを使っているんでしょう。下のほうは塗料仕上げですが、ここにバーズアイとバーズネストがみられます。これはスグレモノの証拠です。
柘 焦げ茶色の塗料はむかしのダンヒルそっくりです。それから 白いマウスピースが変わっていますね。これはエボナイトではないですよね。
シマジ アクリルだそうです。
マレーネ しかもかなり薄い仕上がりですね。
シマジ ミッケとまではいけませんが、吸い口が薄くて吸いやすいです。
立木 シマジ、派手で高そうだね。いくらしたんだ? 正直にいえ。
シマジ 1年半待った割には安かったですよ。14,5万円だったかな。
立木 そういういい加減さというか、ズボラのところがお前の魅力なんだろうけど、75歳にもなってまだ浪費癖が直らないのは困ったもんだ。さっきはリー・フォン・エルクのパイプを買ったばかりだといっていたよな。
ヒノ いったいシマジさんは何本のパイプをお持ちなんですか?
シマジ ちゃんと数えたことはないけど、だいたい50本くらいかな。
立木 葉巻は1日何本吸うんだ?
シマジ 毎日5本は吸います。
立木 5本も吸っているのか。1本2000円としても、ひと月30万円。その上、パイプを買い、シングルモルトを買い、お前は大変な浪費家だな。そろそろ老後のことを考えたほうがいいぞ。
シマジ ですからほとんど毎日のように原稿を書き、土日はバーマンになって一生懸命働いているんですよ。わたしの場合、浪費が労働のモチベーションになっているんです。
それにこのクロコの財布をみてください。大きな十字のラインが入っているでしょう。大きく使って心配になったときは「神さま、また派手につかってしまいました。あとはよしなに」とお祈りすると、ちゃんとまたお金が入ってくるんですよ。
ヒノ その財布、以前サロン・ド・シマジで押し売りしていましたね。
立木 おれも知ってるぞ。デパートのトイレに何度忘れても戻ってくるっていう“魔法の財布”だろう。そういってみんなに売りつけているらしいじゃないか。
シマジ 2人して人聞きの悪いことをいわないように。みんな喜んで買っていったんですから。ではそろそろネスプレッソをチェーサーに、シングルモルトでものみましょうか。ヒノ、新しいネスプレッソを淹れてくれるか。
ヒノ 承知しました。
シマジ 柘さん、マレーネはお酒も飲めるんでしょう?
柘 なんといいますか、ウワバミです。夜な夜な脱走して飲み屋に入り浸っています。浅草・上野界隈の店ではちょっとした有名人ですよ。
立木 それはまた頼もしいお嬢だね。将来性があるんじゃないの。美人だから浅草の人気者だろうね。
柘 お母さんを説得して預かってきた手前、わたしはむしろ心配しているんですよ。
シマジ いいことだと思いますよ。ホームシックになって毎日メソメソしているようじゃ一人前のパイプ作家にはなれません。
では、まずはじめにハイランドパーク1967年からいきますか。みなさん「スランジバー!」といって乾杯しましょう。
全員 スランジバー!
マレーネ スランジバーっていうのはどういう意味ですか?
シマジ これはスコットランドで乾杯のときに必ずいう言葉で「あなたの健康を祝して」という意味です。もともとは古いゲール語だそうです。
柘 ところで、さっきから気になっていたんですが、あそこにあるパイプスタンドは誰かに作らせたんですか?
シマジ ああ、なかなかいいでしょう。昔よく通っていたバーのマスターが器用な人でね、ある晩、店でパイプを吸っていたら、「シマジさん、お気に入りのパイプを6本持ってきてください。わたしが利根川の河口から形のいい流木をみつけてきて、はめ込み式のスタンドを作って差し上げます」という。「それは面白い。では頼みます」といって、ホルベックやラルス・イヴァルソン、ダンヒルを持っていったわけです。
そうだ、これとは別に父親のシクステン・イヴァルソンのパイプをおみせしましょう。
マレーネ Wow! このマウスピース、とっても古いですね。
ヒノ ラルスのほうが息子さんで、シクステンのほうがお父さんなんですね。
柘 そうです。マレーネはパパそっくりのものからはじめて、いずれは彼女自身の個性が前面に出たパイプを作れるようになるんじゃないかと、いまから愉しみにしているんですよ。
シマジ 早く見てみたいし、是非、サロン・ド・シマジでも売りたいですね。
柘 マレーネ、シマジさんが君のパイプを売りたいといっているよ。
マレーネ ありがとうございます。頑張ります。それにしてもこのウイスキーは美味しいですね。ネスプレッソともよく合います。
立木 せっかくマレーネが来てくれたんだから、シマジの自慢話じゃなくてデンマークの話でも訊いたらどうなの。
シマジ さすがタッチャン、その通りですね。マレーネ、デンマークに行くとしたらどの季節がお勧めですか?
マレーネ それはやっぱり夏でしょうね。春もとっても美しくいいですけど。
シマジ 冬は寒いんでしょう。
マレーネ とーっても、寒いです。2010年は雪がたくさん積もって世界的ニュースにもなったくらいです。地方に住んでいる人々に、食料や薬などをヘリコプターで運んだりしていました。警察もスノーモービルで動きまわって・・・ほら、この写真をみてください。
シマジ スマホで撮ったんだね。どれどれ。うわあ、これは凄い! 5メートル以上ありますね。
ヒノ まるで立山のアルペンルートみたいだ。
マレーネ このときは救急車代わりにデンマーク軍の装甲車が動いていました。わたしも3週間外に出られなくって家のなかに籠もりっきりでした。
柘 そんなところですからミッケみたいな人が出てきてすばらしいパイプをつくるんでしょうね。わたしなんか、そんなことになったら気が狂っちゃいます。
シマジ デンマークの消費税は高いんだよね。たしか22%でしたっけ?
マレーネ いや、25%です。
シマジ えっ、そんなに!? 日本はいま10%にするかどうかで問題になっているのに。
マレーネ その代り何歳でも医療費は無料です。歯医者には少し払いますけど。それから教育費も小学校から大学まで無料です。ただし私立校や特別な教育機関にはお金がかかります。たとえばパイロットの養成学校などはかなり費用がかかります。
シマジ まあ、そういうのは仕方ないよね。
マレーネ デンマークではお金持ちは収入の65%を税金として納めなくてはいけません。収入の低い人でも45%くらい納税します。
ヒノ きびしい! 人口はどのくらいなんですか?
マレーネ たしか560万人ぐらいです。わたしが住んでいたボーンホルム島には4万3000人います。
柘 4万3000人もいるの? てっきり3000人ぐらいだろ思ってた。
マレーネ けっこういるんですよ。「ヤンソン」という、電化製品を作っている企業の工場が島にあります。
シマジ 夏のハイシーズンはたくさん観光客がくるんでしょう?
マレーネ はい、通常の5倍の人口に膨れ上がります。サマーハウスという夏用の別荘地がいっぱいあるんですよ。冬はガラガラですが夏はホテルも満室です。
シマジ 5倍ってことは、約20万人ですね。おもにヨーロッパのどこからくるんですか?
マレーネ ドイツ、スウェーデン、ポーランド、ノルウェー、もちろんデンマークからも。
シマジ ボーンホルムはむかしから風光明媚な避暑地として有名なんですね。
マレーネ それに、アイスクリームがとても有名です。
シマジ ということは酪農が盛んなんだね。
マレーネ はい。ボーンホルムのブルーチーズもヨーロッパ中で人気ですよ。
〈次回につづく〉
柘恭三郎 (つげ・きょうさぶろう)
株式会社柘製作所 代表取締役社長 1946年、東京都生まれ。アジア人で唯一、ドイツたばこ学会(タバコ・コレギウム)が選ぶ「パイプの騎士」の称号を持つ。パイプコンフェリ(フランス・サンクロード市パイプ工業会)、日本喫煙具協会理事、日本パイプクラブ連盟理事、日本根付研究会理事、シガーマスター講座講師(日本ワインコーディネーター協会)。
Marlene Micke (マレーネ・ミッケ)
1992年、デンマーク ボーンホルム島生まれ。父親は「天才ミッケ」と呼ばれた世界的パイプ作家Jorn Micke(ヨーン・ミッケ 2005年他界)。コペンハーゲン・テクニカル・スクール メディアグラフィック科卒業。パイプ製作の技術習得のため、2015年より柘製作所にて勉強中。
島地勝彦 (しまじ・かつひこ) 1941年、東京都生まれ。青山学院大学卒業後、集英社に入社。『週刊プレイボーイ』『PLAYBOY』『Bart』の編集長を歴任した。現在は、コラムニスト兼バーマンとして活躍中。『甘い生活』『乗り移り人生相談』『知る悲しみ』(いずれも講談社)『バーカウンターは人生の勉強机である』(阪急コミュニケーションズ)『お洒落極道』(小学館)など著書多数。Webで「乗り移り人生相談」「Treatment & Grooming At Shimaji Salon」「Nespresso Break Time @Cafe de Shimaji」を連載中。最新刊『蘇生版 水の上を歩く? 酒場でジョーク十番勝負』が好評発売中!
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