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(回答先: もたつく景気(1)消費 再点火に時間 現役世代 負担重く 投稿者 あっしら 日時 2016 年 4 月 18 日 01:35:09)
もたつく景気
(2) 広がり欠く設備投資 収益懸念、足踏み
富士山の裾野に位置する山梨県忍野村。黄色のコーポレートカラーに外壁を彩られたファナックの産業用ロボット工場がフル稼働を続ける。稲葉善治社長は「国内外で需要が旺盛だ」と語る。これまで人手に頼っていた工程を自動化し、効率を高めたい。そんな企業のニーズをとらえる。
商機はファナックのライバル、ABB(スイス)にも広がる。日本法人が目を付けるのは北海道や大阪など中国人観光客に人気の地域の食品会社。「お土産用のお菓子の箱詰め工程などで使うロボットの引き合いが強い」と担当者は明かす。
計画なお高水準
1日に日銀が発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)。2015年度の大企業全産業の設備投資計画は14年度比で9.8%増だった。15年12月の前回調査から伸び率は1ポイント低下したもののなお高水準。省力化や効率化を狙う投資が下支えしている。
新日鉄住金は八幡製鉄所(北九州市)で設備刷新のための投資を急ぐ。投資額は当初から数百億円上積みして500億円前後に達するもよう。「鉄冷え」にあえぐ中でもグローバル競争を勝ち抜くための「攻め」の姿勢は失っていない。
新日鉄住金に限らない。日本政策投資銀行が資本金10億円以上の大企業を対象に調べる製造業の設備投資調査。投資の動機を探ると「合理化・省力化」「研究開発」の重みが増している。かつて主目的だった増産に向けた「能力増強」は15年度計画では22.2%。1986年度の調査開始以来、最低だ。
「量」から「質」へ
第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは「企業は単純な増産投資から質を高める投資に軸足を移している」と指摘する。問題は「量」から「質」へと中身を変える企業の設備投資をどう引き出すかだ。
日銀が導入したマイナス金利政策はどうか。今年創業70周年を迎える食用天然色素最大手の仙波糖化工業の堀川駿太郎社長は「マイナス金利は大歓迎」と言い切る。金融機関から資金を借り入れて老朽化設備を更新しやすくなるからだ。
もっとも広がりは限定的だ。長野市の自動車関連企業の社長は「金利が下がっても、景気の先行きが不透明ななかでは設備投資に踏み切れない」と明かす。
実際、企業家の景況感は晴れない。中小企業家同友会全国協議会が3月上旬に調べた1〜3月期景況調査。売上高DI(「増加」から「減少」を引いた割合)はマイナス1と、減収企業が増収企業を上回った。経常利益DIはプラス1だが、その幅は15年10〜12月期のプラス6から急低下だ。
大阪府内の設備メーカー担当者の実感が経営者の迷いを代弁する。「受注の案件自体はあるが、決定までに半年程度かかる案件もある」。景気がもたつけば、企業は将来必要な投資にすら二の足を踏みかねない。効率化や研究開発への投資を促す政策の目配りが欠かせない。
(景気動向研究班)
[日経新聞4月13日朝刊P.]
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