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「クックパッド HP」より
クックパッド、創業者の横暴で株主に多大な損失…批判ばかりで具体案示せず、上場企業失格
http://biz-journal.jp/2016/04/post_14547.html
2016.04.05 文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント Business Journal
料理レシピサイト大手クックパッドは3月24日に定時株主総会を開いたが、この日を挟んで同社は激震に見舞われている。株主総会前々日の22日の取締役会で、創業者で取締役の佐野陽光氏が執行役を解任された。その更迭を主導したのは、同社の社外取締役だったとされている。
ところが、株主総会後に開かれた24日の取締役会で、新しい役員陣は穐田誉輝(あきたよしてる)氏の社長職を解任し、佐野氏を執行役として復帰させた。後任社長には、同総会で新たに取締役として選任されたばかりの岩田林平氏が選任された。岩田氏は佐野氏が推薦した人物なので、株主総会後の動きは、「佐野氏の逆襲」として理解できる。
私は3月30日、テレビ番組に出演してこの騒動に対し意見を求められ、概ね次のように見解を述べた。
■会社は誰のものか? 資本主義社会においては、それは株主のものである
経営者は、株主から経営を寄託されている。社員は従業員である。会社総体としてはステークホルダー全員(顧客、社会も含む)の最大幸福を求めるとされるが、それに向けた意思決定責任は一義的に経営者にあり、その任命権は株主にあるので、最終意思決定者は株主だ。複数の株主がひとつの会社に存在するので、その会社の最終意思決定は持ち株数による。これが株主資本主義だ。
上記を前提にクックパッドの株主構成を見ると、筆頭株主は2人の個人、しかも今回の経営権争奪騒動の当事者である。
・佐野陽光氏:43%
・穐田誉輝氏:15%
この2人の持ち株比率はとても高く、3位以下は機関投資家である。
上場会社でも創業経営者がまだ実権を握っている例は珍しくない。株式公開により多数の一般株主が出現して、創業者の持分は数%となってしまったところも珍しくない。ところが、そのような創業社長や創業家社長でも、まるでファミリー企業における“家長社長”のように振舞っている例はいくらでもある。創業者、創業家は社内的にも社会的にも一目も二目も置かれている。
クックパッドの場合、創業者でもある佐野氏のオーナー意識はとても高いだろう。なぜなら、佐野氏はまだ半数近くの株式を握っているためで、クックパッドの実態はオーナー会社といえよう。
さて、株主提案権を行使するためには、(1)6カ月前より引き続き総株主の議決権の100分の1以上、または300個以上の議決権を有する株主であること、(2)総会日の8週間前までに行使されることが必要となる。
公開会社の場合、上記の要件を満たしていれば誰でも株主提案が認められている。それは資本主義では望ましく、健全なシステムといえる。まして最大株主である佐野氏なら、自分の利害(株価の上下、配当の増減)にかかわることなので、何を提案してもいい。
佐野氏は昨年末よりクックパッドに対して、穐田経営陣の刷新を求める動きをしていたという。年が明け、株主総会に向けて佐野氏自身を社長にするよう株主提案を受けたと同社が発表していた。
しかしその後、佐野氏側と穐田経営陣の話し合いにより、佐野氏側から複数の役員を出す株主提案とする合意が形成され、騒動は一段落したかに見えた。
■創業14年、楽をしようとして穐田氏を2代目に招聘したのか
クックパッドは1998年に佐野氏によりkitchen@coinとして開設された。その後は順調に発展し、09年にマザーズへ上場し、11年には東証1部に市場変更を果たしている。穐田氏は12年に社長に就任している。前職はカカクコムの2代目社長として辣腕をふるい、同社を成長へ導いた。クックパッドが順調に発展して上場まで果たしたので、佐野氏は少し楽をしようとして穐田氏に譲ったと見ることができる成り行きだ。
経営者も人間なので、完全であるわけではない。いつも「合目的」的に行動するわけでもないし、試行錯誤をしたり集中を欠いたりして不整合と見える動きをすることは珍しくもない。せっかく招聘した2代目社長がとんでもなく成果を出すと、複雑に思ってしまうオーナーは実は少なくない。最近の例では、LIXILの藤森義明社長はプロ経営者として立派に職責を果たしていたのだが、創業家の潮田洋一郎氏は藤森氏の退任を実現した。潮田氏は、この公開企業の株式の3%しか保有していないが、オーナー的に振舞っているようだし、遇されている。
穐田氏采配下のクックパッドは、好調な業績を示していた。15年12月期で年商(連結ベース、以下同じ)は対前年比60%増、営業利益も65%増である。年商は147億円で営業利益は65億円、その営業利益率たるや44.2%という高率を叩き出したばかりだ。
佐野氏がおもしろく思わなくなった契機のひとつとして、15年5月にみんなのウェディングをTOB(株式公開買い付け)により買収・統合したことだったかもしれない。「料理の分野で伸びていく」としていた佐野氏の範疇を、自身が創った会社が越えていってしまうと感じたのかもしれない。
■矜持を示した社外取締役
穐田氏を社長に招聘してからは、佐野氏は世界展開事業に専念するとして取締役兼執行役についていた。
株主総会直前の取締役会が3月22日に開かれ、佐野氏が執行役から外された。提言したのは社外取締役だとされる。佐野氏は現経営陣の批判を重ねているが、自らは具体的な方向をはっきり示さないなどの理由で執行役から外された、と報じられている。
この動きにより、オーナーとしての佐野氏のプライドは大きく傷ついたのではないか。株主総会で多数派を得た直後の取締役会で、自らの執行役としての電撃復帰と穐田氏の社長からの更迭を実現したのだ。後任社長の岩田氏は、佐野氏が招聘してきた、前職がマッキンゼーのパートナー・コンサルタントだ。
■上場などするな、一般投資家を巻き込むな
さて、ここで改めて重要になってくるのは、「会社は誰の物か?」という冒頭の命題である。
私の答えは、「株主のものだ」である。クックパッドの場合、佐野氏は最大株主を超えた実質オーナーなのだから何をしてもいい、ということになる。
しかし、それはその会社がプライベート・カンパニーならば、ということなのだ。株式を公開して上場した以上、社会的責任がある。ほかにも投資家が存在するのだ。それらの一般株主は、短期的に株価15%下落という損失を被っている。逆の言い方をすれば、今回の佐野氏側による経営陣交代は市場の支持を得られなかった、市場とは社会ということでもある。佐野氏は、株式公開などすべきではなかった。
自ら招請してきた穐田氏を更迭するのなら、なぜ自らがもう一度社長として先頭に立とうとしないのか、火中の栗を拾わないのか。古い話だが、ヤマハで天皇経営者だった故・川上源一氏は、外部から何人もの大物経営者を招聘してきては更迭するということを繰り返した。私に言わせればたちの悪い経営者だった。夢を抱いてクックパッドに着任したであろう岩田新社長の多幸を祈らずにはいられない。
(文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント)
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