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パークシティLaLa横浜(「住適空間」より)
横浜傾斜マンション建替、三井不動産が詳細案提示を先延ばし住民困惑…建替難航の懸念浮上
http://biz-journal.jp/2016/04/post_14536.html
2016.04.04 文=椎名民生 Business Journal
施工ミスマンション問題が続発している。
昨年10月に発覚した神奈川県横浜市都筑区の「パークシティLaLa横浜」の杭打ち不良によるマンション傾斜問題に続き、今年2月には横浜市西区のマンションで、建物内部を通る鉄筋を誤って切断した疑いが強まった。同マンションを販売した住友不動産が、全棟建て替えの提案を行うことが明らかになった。
この横浜の“鉄筋切断マンション”では、3月に管理組合がアンケートを実施。アンケートでは住民の約8割が全棟建て替えを希望していることがわかった。26日の住民説明会で住民は住友側と交渉を進めたという。
■建て替えまでの高いハードル
施工不良次第でマンションは建て替えになる――。こうした前例ができつつある。
そこで今回、先行事例となった“傾斜マンション”の現状について、LaLa横浜管理組合にインタビューした。
同組合は、2月27日に開いた総会で区分所有者に全4棟の建て替え方針を提案し、賛成多数で承認されている。今後は建て替えを前提にした手続きが進み、区分所有法で定められた「区分所有者の5分の4以上の同意」を得て、9月頃までに正式決定する予定だという。
この2月の総会は「建て替え決議」ではなく「建て替え方針の決定」だった。「区分所有者の5分の4以上の同意」というハードルが高く、総会の開催にこぎつけながらも建て替え決議の議案が否決される事例もある。
しかしLaLa横浜では、区分所有者を対象に実施した2回目のアンケート(1月)で、全棟建て替えを全4棟705戸の89.1%に当たる628戸(回答数685戸の91.7%)が希望していることが明らかになっているために、2月の総会で区分所有者の「5分の4以上」の同意を得る「建て替え決議」を行うものと思われていた。それにもかかわらず、なぜ「建て替え決議」ではなく「建て替え方針の決定」だったのか。
「建て替え決議をするためには、建て替えに関する情報一式を決議の2カ月前には区分所有者に通知する必要があるという手続き上の問題があります。さらに、現状では『全棟建て替え』のほか、『一部建て替え』『部分補修』という選択肢が三井不動産レジデンシャル側から提示されていて、その内容案の可能性を検討してから決議をすることが必要なのです」(管理組合)
また、国土交通省がリリースしている『マンションの建替えに向けた合意形成に関するマニュアル』の「ステップU−8」にも、方針決議は区分所有法に定められている手続きではないが、建て替え決議に至る合意形成を着実に高めていくことを目的とする手順として掲載されている。
三井不動産レジデンシャル側は3月いっぱいをメドとして部分補修のための調査を行っており、LaLa横浜はその調査結果を待っている段階だ。その後、部分補修案などで現実的に問題が解決するのか検討することになる。
■腰の重い三井不動産レジデンシャル
たしかに、これまでも欠陥マンションで問題が長引く典型的なケースは、業者側が提案した補修案に準じて施工したが、結果的に住民側の要求をクリアできないために問題がこじれることが原因となっていることが多い。
LaLa横浜の場合、果たして補修で問題が解決するのか。十分な検討が欠かせない。今秋の決議で、2月の決定通りの全棟建て替えとなれば、2020年中には新しいマンションが建設され、住民は元の住居に戻ることが可能になる。
「区分所有者のみなさんには『2020年の東京オリンピックは問題が解決したマンションで見ましょう』と呼びかけてきましたが、現実的にはギリギリになってきました。というのも、三井不動産レジデンシャル側が建て替えの際の設計・監理につき、マスタープランまでは提示するのですが、そこから先の詳細な案を出してこないのです。建設は現在のマンションと同様に、三井住友建設でやってほしいというお願いはしています。一連の問題で明らかになったように、もっとも重要なのは工事監理です。この工事監理をする設計事務所の候補案を出してほしいとお願いしているのですが、なかなか出そうとしません」(同)
不動産レジデンシャル&limit=20">三井不動産レジデンシャル側は、全棟建て替えまで「7年かかる」という。一方で、管理組合側は解体時の杭の入念な検証も含めて、全棟建て替えマンションの完成まで「5年以内」で進めようとしている。
「横浜市には協議会を設置していただき、対応窓口が一本化されました。行政等の事前協議や確認申請などは柔軟に対応いただけるようになっています。建て替え期間中の300人を超える小学生のバス通学案や高齢者のケアなど話は進んでいるのですが、三井不動産レジデンシャル側の動きの遅さが気になります」(同)
さらに、三井不動産レジデンシャル側はすでに約700戸のうち、20戸を買い取っているという。今後、問題が長期化することを嫌い、売却を考える区分所有者が増えるかもしれない。売却が進み三井不動産レジデンシャルの持ち分が増え、建て替えに反対しないまでも保留にした場合、建て替え賛成の比率が下がり5分の4を下回る可能性が危惧される。
鉄筋切断の横浜市西区のマンション(262戸)は、14年の時点で欠陥が囁かれており、すでに販売した住友不動産に部屋を売却した世帯は66戸あるという。売却された世帯を所有する住友不動産側は「住民の意向に沿う」との方針を示しているが、全棟建て替えに必要な区分所有者の5分の4以上をめぐる攻防も予想される。
両マンションの動向を今後も注視していきたい。
(文=椎名民生)
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