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ゲームプロデューサーの岡本吉起氏
金なし、開発たった7人…期待ゼロだった「モンスト」、なぜ驚異的ヒット?
http://biz-journal.jp/2016/04/post_14528.html
2016.04.03 構成=大谷弦/清談社 Business Journal
コナミ(現・コナミホールディングス)、カプコンと渡り歩き、ゲームソフト開発会社のゲームリパブリックを設立した、ゲームプロデューサーの岡本吉起氏。4月2日付当サイト記事『大ヒット「モンスト」生みの親、借金2ケタ億円でゲーム業界から消えていた過去とドン底人生』では、会社が破綻し、数十億の負債を抱えて心身ともにドン底に落ちたところまでをお伝えした。
しかし、岡本氏はその“潜伏期間中”にミクシィと手を組んで「モンスターストライク」を開発、世界的にもトップクラスの売り上げを叩き出す。「モンスト」のコンセプトや運営ノウハウ、そして現在のソーシャルゲーム業界に至るまで、岡本氏の話は続く。
●まったく違うソシャゲの世界、理解するのに3年
--会社が破綻し、一時は「行方不明」とまで言われていました。
岡本吉起氏(以下、岡本) ある会社に所属はしていたのですが、気力もなく、仕事はほとんどしていませんでした。「394」という携帯アプリゲームの開発会社で、手伝いをずっとやらせてもらっていたぐらいですね。
アーケードゲーム(ゲームセンターなどに設置されるゲーム)、コンシューマーゲーム(家庭用ゲーム)と経験し、その後にビッグウェーブの来た携帯アプリのソーシャルゲームの研究と勉強をやっていました。
--ソーシャルゲームというのは、それまでのゲーム開発とは違うものでしたか?
岡本 全然違いました。理解するのに、3年はかかりましたね。その頃は、「コンシューマーゲームの人間は、ソーシャルゲームでは絶対にヒット作をつくれない」と言われていたのです。
実際、ソーシャルゲームの人たちに「俺たちは、ゲームをつくっているんじゃない。金を生むシステムをつくっているんだ」と言われたこともあります。やっぱり、寂しかったですよ。
それで、「ソーシャルの素人に教えてやるよ」という感じで、いろいろと教えてくれるので、その通りにやるのですが、やっぱり腹落ちしないところが多くて。悶々としながら、2年間ほどやっていて、「もう我慢できないな」と思っていた頃に「パズル&ドラゴンズ」(ガンホー・オンライン・エンターテイメント)がリリースされたんです。
それを見ると、僕が腹落ちすることをやっているんですよ。ただ、ソーシャルの先輩方に教えられたことも、80%以上は正しかった。それで、「違う」と思ったところは直して、勝負に出ようと「モンスト」をつくったんです。
--「パズドラ」の時点で、すでにソーシャル業界はプレイヤーが固まっていて、「もう食い込めないのでは」というムードはありませんでしたか?
岡本 僕は、まったく思わなかったです。「今、まさに始まった」と思っていましたから。ゲーム業界って、最初はみんなインベーダーゲームのコピーから始まっているじゃないですか。
その後にアレンジの時代があって、「ギャラクシアン」(ナムコ)や「パックマン」(同)のような新しいゲームが生まれてきた。それが、ソーシャルでは「パズドラ」だったわけで、僕にとっては、その時に文明開化の音が聞こえたんです。「ここでなら、僕らも活躍できるかも」と思いました。
●驚異の売り上げで「パズドラ」に肩を並べた「モンスト」
--「モンスト」の開発体制は、どういったものだったのですか?
岡本 最初は7〜9人ぐらいでチームをつくってやっていました。「チュートリアルなんていらない」とか、「こんな絵じゃ売れない」とか、つかみ合い寸前の喧嘩をしながら開発していましたね(笑)。最終的には、(ミクシィ取締役で「モンスト」プロデューサーの)木村弘毅が判断していたのですが、今はそれが正しかったと思っています。
--当時は、ミクシィも苦しい状況だったんですね。
岡本 3回ぐらいはプロジェクトが中止になったんじゃないですかね(笑)。でも、そこは木村が踏ん張ってくれました。そもそも「モンスト」っていうゲームは、木村の「こんな世の中じゃいかん」というところから始まっているんですよ。
例えば、ディズニーランドで並んでいるカップルがいて、彼女はLINEをしていて、彼は1人でゲームをしている。もし、そのゲームが、その場で2人で協力して遊べるものなら、コミュニケーションが生まれるじゃないですか。
そういう、「みんなで集まって、ワイワイガヤガヤと同じことをやるのが楽しいよ」という基本コンセプトから立ち上がったのが「モンスト」なんです。それも、「ビリヤードをベースにしよう」ということで、僕は「了解です」と言って、2週間ぐらいでゲームの原型をつくりました。
--岡本さんはボードゲームも好きだし、ずっと「みんなが集まってワイワイやるゲーム」を手がけていますよね。
岡本 それは間違いないです。カプコン時代の「ソンソン」や「ファイナルファイト」も2人同時プレイができるし、「ストリートファイター2」も対戦格闘ゲームです。みんなで集まって、その場でワイワイやる。そんなことをずっと追いかけているし、ゲームはそれが一番楽しいと思っています。
--「モンスト」をリリースした時点で、「パズドラ」を抜けると思っていましたか?
岡本 思っていました。リリース後の2年間分ぐらいの売り上げ予想を出して、「このぐらいでApp storeの売り上げランキングで『パズドラ』に追いつきます」と予言したのですが、当初の見込みの1カ月前には達成しました。
でも、その時は、まだ僕らは「パズドラ」の足元にもたどり着いていなかったと思います。「背中が見えた」と思ったのですが、そこからがキツかった。毎月、追いついたり追い越されたりするのですが、彼らはいつも蜃気楼のように逃げていくのです。
僕らはしんどいながらも楽しかったですけど、おそらくガンホーは、もっとしんどかったと思います。向こうは「絶対王者」というポジションがあり、こちらは「追い抜かなければいけない」という宿命の中で追いかけ、とらえられそうでとらえられない。
●「モンスト」はミクシィだからこそ成功した!
--そのあたりの運営ノウハウは、どうやって得ていたのですか?
岡本 ミクシィはサーバも強かったし、木村がソーシャルのマーケティングに長けていたんだと思います。とにかく、僕らの開発チームがやることは、自分たちのアプリを信じることと失敗を恐れないことでした。
--「モンスト」は、ミクシィだからこそ成功したのでしょうか?
岡本 それは、そうでしょう。ミクシィじゃなければ、成功していないですよ。「モンスト」は、友達と仲良くやるゲームで、不特定多数とやるものではありません。友達レベルでコミュニケーションするというのは、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のmixiの流れをくむものであり、「本当の知り合いだから楽しいんだよ」という部分があると思います。
--「モンスト」と「パズドラ」は、対象とするユーザーのイメージは違うものなのでしょうか。
岡本 重なっていると思います。やっぱり、「パズドラ」のユーザーも取り込まなくては、1位は取れないですから。「パズドラ」は7000億円の市場の中で、2000億円を売り上げています。だから、多少なりともチャンピオンに強いパンチを入れ続けないと、トップを奪うことはできません。僕たちは、少なくとも日本チャンピオン、あわよくば世界チャンピオンを狙っているので、常に攻めていかないといけないのです。
--「コンシューマーゲームの市場を食っている」という意識はありますか?
岡本 それはよく言われますが、僕は絶対に食っていないと思います。コンシューマーのユーザーは、簡単にお金を出しません。僕が「食ってるな」と思うのは、パチンコ市場です。一回に何万円もお金を出すユーザーを抱えているのは、パチンコだけですよ。
ソーシャルゲームのユーザーは、もともとパチンコのお客さんだったと思います。だから、僕らも、そこを意識して食いにいっています。グイグイ食い込んでいるので。パチンコ業界は相当苦しいと思いますよ。
●「モンスト」のヒットで、年収はカプコン時代の数十倍!
--ソーシャルゲームは、課金システムが問題視されることも増えていますが。
岡本 僕は課金に関しては「必ずしも必要ではない」というスタンスです。強制したこともなければ、無課金では遊べないゲームをつくったこともない。時々、ガチャ(ゲーム内の課金システム)を回さないといけないようになっていますが、それも、ちゃんと遊んでいれば課金ガチャが無料になるように運営しています。ただ、無課金では大変なところもたくさんあり、課金すれば楽になるようにはつくっていますが。
--「モンスト」は、ミクシィにとって大ヒットになりました。岡本さんも、かなり儲かっているのではないですか?
岡本 それも、よく聞かれます(笑)。今の年収は、カプコン時代の数十倍ぐらいですね。
--「モンスト」の次は、どういうものをつくっていくつもりですか?
岡本 この前、ミクシィから「ブラックナイトストライカーズ」というゲームをリリースしました。やっぱり、社内的に「『モンスト』の後は、何をしたらいいんだ?」という空気があったので、「じゃあ、僕が」という感じで出しました。
--もうコンシューマーゲームはつくらないのですか?
岡本 戻ることはないつもりですね。対世界ということを考えた時、僕の実力では絶対に通用しないし、今の日本のシステムでは、かなり難しいチャレンジになると思います。それよりも、僕はゲーム業界の5冠王を目指しています。まず「アーケード」でトップを取って、「コンシューマー」と「携帯アプリ」で3冠王。
--あとの2冠はなんですか?
岡本 「エロゲー」と「パチンコ」です。いろいろ動いているので、楽しみにしておいてください(笑)。
(構成=大谷弦/清談社)
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