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三菱商事と三井物産「大幅赤字」に、証券のプロとしてひと言! リスク管理の視点はあったのか?(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/16/hasan107/msg/159.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 4 月 01 日 10:50:50: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

三菱商事と三井物産「大幅赤字」に、証券のプロとしてひと言! リスク管理の視点はあったのか?またも「商社冬の時代」に突入!?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48317
2016年04月01日(金) 山崎元「ニュースの深層」 現代ビジネス


■ひと言文句を言っておきたい

財閥系の大手商社、三菱商事と三井物産が、資源関連のビジネスの減損処理で大幅な赤字に陥ることを発表した。

先般、三菱商事は、連結利益額の商社首位を伊藤忠商事に明け渡すことが報じられたが、それでも、2016年3月期の通期予想は3000億円の純利益だった。ところが、これが一転して1500億円の赤字に修正された。同社としては、創業以来初の赤字決算となる見通しだ。

一度で4500億円もの下方修正というと、リーマンショックの前後に自動車や電機の大手メーカーにこれと同等以上の下方修正があったかも知れないが、事業会社の一回の下方修正としては異例だ。

大手商社の資源ビジネスに対する傾斜ぶりと、近時の原油価格の推移を見ると、「商社は大丈夫なのだろうか?」という危惧の念を持った投資家は少なくないだろうが、他方、商社は利益額に対して株価が割安だとつい最近まで信じていて、投資した株主も少なくないのではないか。

投資先のプロジェクトの採算が悪化していることを、商社の経営陣が把握していなかったというのでは、さすがにつたなすぎる。しかし、ある程度把握ができていたのなら、もう少し早い段階から、投資家に情報を出していくべきではなかっただろうか。

今回のいきなりの大幅下方修正に、証券市場の立場からは、一言文句を言っておきたい。

■何度目かの「商社冬の時代」か?

先般、NewsPicksというキュレーション型のニュース・サイトで「東大早慶の就活」という特集があり、この中の東大・早大・慶大の学生生向けのアンケートでは、就職したい企業の一番人気が三菱商事だった。総合商社は、高給と国際性のイメージで、古くから学生に人気がある。

実は、遙か昔、筆者が就職活動をした時期(入社年度は1981年)の、文系大学生の一番人気も三菱商事だった。この時期、同社は、マグロなどの買い占め問題で世間に叩かれたが、筆者も含めて多くの学生は、「叩かれるぐらい強い力がある会社なのだから、就職先にはいいのだろう」という(志が低いが、現実的な)考えを持って、同社への入社を希望した。当時、もう一方の商社業界の雄・三井物産は、イランの石油化学プロジェクトのトラブルで、やや人気を落としていた。

今回の資源関連の減損ラッシュは、今後、当時の物産並みのマイナス材料と評価されてもおかしくない。

さて、筆者が新卒で三菱商事に就職すると、「商社冬の時代」と冠する議論が聞こえてきた。確か、日本長期信用銀行の調査担当者が書いたレポートが発信源だったように記憶する。

当時の商社は、主に、右の物を左に売って「口銭」を稼ぐビジネスモデルだったが、このモデルが「中抜き」によって解体されつつあった。

例えば、自動車などの商品を海外売るに当たって、先進国のマーケットでは、メーカーが商社を必要としなくなりはじめていた。欧米に売るなら、商品をよく分かっているメーカー自身が売った方が、サポートなどが上手く行くし、商社に口銭を落とす必要がない。商社に残されたマーケットは、市場が未開だったり、人間の安全や債権回収に不安があったりするような、発展途上国へと押しやられて行った。

この問題の本質は急に変化するものではなかったが、80年代後半のバブル経済によって、問題の所在がしばらくの間見えにくくなった。

■まだまだ要注意

バブルの時代、大手商社の何社かは、「財テク運用」に走った。旺盛な資金調達力を活かして、運用資金を調達し、自ら株式などで運用する他に、信託銀行や証券系の投資顧問会社などに多くの場合「握り」(利回り保証の俗称)付きで兆円単位の資金運用を任せた。

当時、業界の両横綱である商事・物産の財テクに対する対応は分かれ、商事は数兆円単位で財テクにのめり込み、物産のそれは軽微だった。

商事では、バブル全盛の頃は「稼ぐ財務」を標榜した財務部門に勢いがあったが、バブル崩壊後は当然のことながら苦境に立たされた。商事も含めて、大手商社と、特に信託銀行の間で、「握り」の履行に一悶着あったが、少なからぬ額の握りは反故にされた。一言で言うなら、信じた側が甘かった。

株式にリスクがあることは商事を含めて、大手商社もよく知るところだったが、信託銀行一行当たりの委託額、バブル崩壊の規模、そして、バブル崩壊が起こった時に一斉に問題が起こることへの想像力、など、リスク管理にあって肝心な視点が抜け落ちていた。

今回の資源関連の投資における、「のめり込み具合」と「リスク管理の甘さ」は、少なからず、バブル当時の財テク運用の問題と似ているように思う。銀行が競って不動産融資に向かうがごとく、バブル期の商社は財テク運用を膨らませたし、近年の資源投資にも同様の面があったのではないか。

また、商社にとって、個々の投資プロジェクトは、投資信託における一投資銘柄のようなものなのだが、投資信託のリスク管理には「ポートフォリオ」の視点が必要なのだ。商社に於ける投資ポートフォリオに同様のリスク管理が働いていたのかは、大いに疑問の余地がある。

ただ、バブルの時期の財テクの失敗は、当時の業界最大手・三菱商事にとって、痛手だったが、それで赤字にまで落ち込んだ訳ではない。当時と今とでは、決算に関わる制度が変わっているとはいえ、資源価格バブルの崩壊は、かつての財テク運用と同等か、場合によっては、それ以上のマイナス・インパクトとなる可能性がある。

現在の世界経済の停滞具合、中国経済の不調、新興国の成長鈍化、等々を考えると、資源価格が簡単に回復すると期待することは難しいかもしれない。まだまだ、要注意の状況が続く。

■総合商社のビジネスモデルの行く先

個々に差はあっても、商社は、1980年代後半にバブルに踊り、1990年代にバブル崩壊に苦しんだ。この時代、率直に言って、商社は今一つパッとしなかった。金融業が未曾有の好況に沸いたバブル時代に、商社は今一つ時代に乗り切れていないくすんだ感じがしたし、バブル崩壊後の不況は商社のビジネスにもマイナスだった。

1990年代に、ある大手商社で早期退職者を募ったところ、予想を超える応募があって、社長ががっかりした、という話を聞いたことがある。

しかし、その後、商社は、ビジネスモデルを変えていくことで新しい成長ステージに向かう。商品を動かして口銭を稼ぐ商人型のビジネスモデルから、プロジェクトや会社に出資し、時には人も出して、かつ商売にも絡む(商社マンは「随伴取引」が大好きだ)といった、「物流付投資銀行型」とでも呼ぶべきビジネスモデルに転換して、新しいビジネスに対応するのと共に収益のスケールアップを果たす。

三菱商事でいうと、例えば、途中で株価が低迷して一時は減損処理の対象にもなったが、ダイエーからローソンの株式を30%取得して筆頭株主となり、社長に新浪剛史氏を送り込んで、経営を立て直して、結局収益化させたケースのように、投資するのと同時に経営に関与し、さらに関連取引も行うといったビジネスのやり方が好例だ。

こうした投資型のビジネスの対象として、海外の資源関連のプロジェクトが選ばれたのは、商社のビジネスにとって自然なことだったが、2000年代に入って、資源価格が上昇する中で、大手商社の収益を一段と拡大する効果を持った。

問題は、この資源関連への傾斜が過大であったのか否かだ。正確な評価には、もう少し時間が掛かるが、ライバル会社の収益拡大を見て、各社がややオーバーペースになった面があったのではなかろうか。

■金融業にさらに学べ

商社が、当面「物流付投資銀行型」のビジネスモデルを止めることはないだろうし、その必要もないと筆者は思う。ただ、投資したポートフォリオのバランス調整の機能をもっと強化する方がいい。

金融業にさらに学ぶなら、キャッシュフローを生む対象に自分達が投資し、これを保有するだけでなく、対象を証券化して転売することを可能にし、自分のポートフォリオの調整を可能にした、「証券化機能付きポートフォリオ運用」的なビジネスモデルを将来もっと強化すべきではないだろうか。

例えば、三菱商事の下方修正4500億円のうち、2800億円は、チリの銅鉱山のプロジェクトに関わるものだ。もちろん、事業の内容とそのステージによっては、大きなシェアを持たなければならない局面があるが、プロジェクト単位の権利を流動化して、リスクを適当な大きさにトリミングするようなテクニックがあると有益だろう。

総合商社は、名前には「総合」と付くが、実は、部門単位の独立性が高い「集合商社」でもある。

商社を真に「総合商社」たらしめるためには、全社のリスクを「ポートフォリオ」として管理するリスク管理機能と、リスクを現実に調節するための様々なビジネス機能とを、開発・強化する必要がある。総合商社は、日本独特の業態だ。大いに進化しつつ、発展して欲しい。

 

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コメント
 
1. 2016年4月01日 12:53:41 : yBQkrRTumA : UvxNb8gKnf4[938]

 ま〜〜ね  内部留保がたくさんあるのだから 大したことはないだろう

 減損すれば 来年からは 黒字になるのだから ある意味 税金を払わない対策だ〜〜
 


2. 2016年4月01日 18:27:23 : OduAPsohsE : qNd5oiJhwo8[1]
言うのは簡単。

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