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「年収を基準にして家を買うと必ず失敗する」不動産のプロが警鐘
http://nikkan-spa.jp/1083213
2016.03.30 日刊SPA!
「住まい探しを始める際、『私の年収でいくらのマンションが買えますか?』と不動産業者に相談する人は、将来の家計が破綻してしまう典型的なタイプです」と指摘するのは、『不動産業界の人だけが知っている新築マンションは買わないほうがいいワケ』が大きな反響を呼んでいる不動産コンサルタントの城戸輝哉氏。
「初めての住まい購入は誰でも気負ってしまいます。そして、どうせ買うなら、多少の無理をしてでも自分が買える範囲で一番、条件のいい物件を手に入れておくのが将来のリスクヘッジにもなるだろうと考えがちなのですが、そこには大きな落とし穴があります」
信用度の高い企業に勤めるサラリーマンなら、住宅ローンを利用して年収の7〜8倍の物件まで買うことができるが、限度額いっぱいまで借りて家を買うのはあまりに危険だと城戸氏は警鐘を鳴らす。
「不動産業者に相談すると、『新築や築年数の浅いマンションならこれからも価値が残るし、いざというとき売ったり貸したりしやすいから心配ありませんよ』と聞かされます。だから、ほとんどの人が新築ならギリギリまで予算を上げても大丈夫と考えてしまうのですが、このパターンでみんな貧乏になってしまいます」
なぜ貧乏になるのか。絶対に意識しなければいけないのは「将来的な資産価値」だという。
「実は、新築マンションだからこそ無理して買ってはいけないのです。新築マンションの場合は購入後の価値の目減りが激しく、10年、20年経過すると、購入時の6割から半値でしか売れなくなってしまいます。実質的な資産価値を大きく上回る額のローンを組んでしまっているわけですから、転職や失業などで家計が苦しくなっても売り抜けることが難しく、最終的には支払いが滞り、競売にかけられてしまいます。今の日本で資産価値の目減りがなく価格が長期的に安定するのは、立地の良いエリアに建つ中古マンションだけです」
では、予算の設定の目安はどうするべきなのか。「わかりやすい“目安”に流されてはいけません」と城戸氏は注意を促す。
城戸輝哉氏
「『ローンは年収の5倍まで』とか、『ローン返済は年収の35%以内に収めれば大丈夫』という目安を挙げる人もいますが、安易に鵜呑みにするのは危険です。そもそも、年収1500万円の人と年収300万円の人では同じ返済比率でも家計の負担の重さが全然違います。お子様が一人と二人の場合でも違いますし、返済期間や、手持ちの現金にバッファを残してあるかによっても状況は大きく変わってきます。個々のライフスタイルが反映されない基準には意味がないどころか、却って間違った判断の引き金にもなります」
それよりも、まずやるべきはライフプランと資金計画のシミュレーションとのこと。
「特にお子様が産まれて育つ時期や、新しい仕事に取り組むタイミングなど、人生のステージが変化する可能性を見据えたうえで、常に余裕のある状態で支払うことができるキャッシュフローのシミュレーションが必要です。その際、忘れてはいけないのが、賃貸と購入、それぞれのケースを比較する場合には、『ローンの返済額+維持費(管理費や修繕積立金、税金や何かあった場合の修繕費など)と家賃』でシミュレーションすることです。ローン返済額と家賃だけで比較をしてしまうと、リスクがイコールになりません」
「年収を基準にして何が買えるか」というではなく、「どんな暮らしがしたいか」に住まいを道具として組み込むという発想。そこを出発点にすれば、年収の多寡にかかわらず、自分らしい豊かな暮らしにたどり着けるだろう。
<取材・文/日刊SPA!編集部>
【城戸輝哉氏】
建築・リノベーションプロデューサー、不動産コンサルタント。自身がCEOを務める「スマサガ不動産」が「営業マン不在・物件広告なし」という業界の常識を覆すスタイルを確立し、口コミとホームページのメッセージだけでクライアントが集まる住まい探しとリノベーションの専門家集団として大きな注目を集める。初の著書となる『不動産業界の人だけが知っている新築マンションは買わないほうがいいワケ』が好評発売中。
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