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産まない女子vs産んだ女子 〜職場では言えない「罵り」と「怒り」を大公開 冗談じゃないわよ!
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48196
2016年03月19日(土) 週刊現代 :現代ビジネス
誰しも自分の幸せのために自己主張する。「子供を持つ女子社員」と「持たない女子社員」の場合も、それぞれが幸福を求め、ぶつかり、つばぜり合いを繰り広げている。彼女たちの切実な思いとは。
■山口智子に喝采
その発言がここまでの波紋を呼ぶと予想した人は少なかっただろう。女性誌の関係者が言う。
「私のまわりの独身女性たちの間では、『よくぞ言ってくれたと思う』『ああいう意見を誰かが言わなきゃいけなかったんですよ!』と物凄い共感と称賛の嵐でした。『産まない女子』たちの中には、思っていても口にはしづらい不満がたくさん溜まっていたんですね」
山口智子(51歳)といえば、'90年代『ロングバケーション』『王様のレストラン』といった人気ドラマに数多く出演してきたトレンディー女優の代名詞。その生き方に多くの女性が憧れてきた「かっこいい女性」の見本のような存在だが、そんな彼女が女性誌『FRaU』の3月号のインタビューで、自身に子供がいないことについて、こう明かした。
〈私はずっと、子供を産んで育てる人生ではない、別の人生を望んでいました。今でも、一片の後悔もないです〉
「女の人生に、子供がいないという選択肢があってもいい」
このメッセージに敏感に反応したのが、山口と同じように「子供を持たずにバリバリ働く女性」=「産まない女子」たちだった。全国各地で働く彼女たちから、支持の声が続々と上がったのである。いったいなぜこれほどまでに共感が集まったのだろうか。
女性が自身の得意分野を生かしてキャリアを積み上げる重要性を説いた『女性職の時代』などの著書がある、ビジネスアナリストの中川美紀氏が分析する。
「いまは少子化の時代。どうしても『子供を産むことが偉い』となりがちな中、働きながら子育てをする『ワーキングマザー(WM)』の評価が高まってきました。政権も『女性の活躍』を掲げ、女性たちに『子育てと仕事の両立を』とやたらと言うし、子供を持たない女性は肩身が狭かった。
ですがその一方で、WMが産休や育休を取る場合には、後任の人事補填が行われることも少なく、子供を持たない女性がその尻拭いをしてきたという現実もある。山口さんという、女性の生き方のモデルとなるような人が発言したことで、『子供を産まない人生を誇ってもいい』といった、秘めてきた胸の内が、社会にどっとあふれ出したのではないかと思います」
それだけ多くの「産まない女子」が、陰に陽に「子供を産んだ女子を大切に」とする空気を感じ取り、「産んだ女子」が優遇される風潮に割り切れない思いを抱いているということだ。
「産まない女子」たちは、こうした空気の中で、産休・育休を取る女子の仕事の肩代わりをさせられるとなると、どうしようもなく「産んだ女子」への怨嗟がふつふつと湧いてくる。
一方、「産んだ女子」は、自分たちの子育ての苦労を慮ってほしいという思いから、嫌味のひとつでも言われれば「あなたに私の苦労が分かる?」と逆襲したくもなる。
両者の思いは噛み合うことなく、溝は深くなっていくばかり――。
■「はしゃぐんじゃないわよ!」
そんな中、本誌が3月5日号で、産休や育休をめぐる、「産まない女子」と「産んだ女子」の悩ましい対立の実態を紹介したところ、「ウチの会社でも同じようなことが起きている」「対立が自分の身のまわりだけのことではないと分かった」といった反響があり、冒頭の山口発言も飛び出して、「私の話も聞いてほしい」という声が双方の立場から数多く寄せられた。
メーカーの管理部門で仕事をする鳥越恵美さん(33歳・既婚・仮名)が「産まない女子」の立場から「産んだ女子」に抱いた怒りを振り返る。
「私は部署の中にある女性ばかり6人のチームで働いています。去年の1月、先輩が産休・育休を取ったので、管理しなきゃいけない社員データの数が増え、『しばらくは妊活もできないなあ。旦那との夜のほうも控えなきゃ』と仕事に注力する覚悟を決めていたところ、4ヵ月後に5歳年下の女の子が『すみません、私も妊娠しちゃって。あれ〜、何でできちゃったんだろう』とはしゃいで妊娠を報告してきて、産休を取ってしまったんです。
ただでさえ一人いなくなって忙しいところだっていうのに。しかもまだ20代で妊娠。なんだか虚しくなっちゃった。こうしているうちに、自分が出産適齢期を逃してしまうんじゃないかと、とにかく心配です。結局、責任感の強い私が損をするんでしょうか……。あの後輩が職場に帰ってきても、優しくできる気がしません」
産休・育休を取る「産んだ女子」の中には、ごく一部ではあるが、制度を都合よく利用する人もいるようだ。地方のラジオ局でディレクターとして働く伊藤美里さん(35歳・独身・仮名)は、同僚に対して今でも怒りを覚えるという。
「ペアで仕事をしていたディレクターが、妊娠、出産を経て時短で働き始めたんですが、面倒な土日の野外イベントの手伝いや、嫌いな上司から振られた仕事は、『子供が熱を出して』とか言って逃げるんです。
最初は子供も生まれたばかりだし、仕方ないのかな、と受け止めていたんですが、一方で、俳優や有名人が来るおもしろい仕事にだけは、土日でも夜遅くてもちゃっかり顔を出して楽しそうにしている。しかも休みの日には好きなバンドのライブに行っていたこともバレました。
要するに、彼女は子育てを楯にとって嫌な仕事を避けていただけなんですよ。あんだけ好き勝手やって、実際はネグレクト状態じゃないの?って感じてます」
■「私のネコだって大事」
そうした、ほとんど「育休サギ」とも呼べるような状態に対して誰も注意をしないことが、伊藤さんの恨みをさらに燃え上がらせる。
「子供がいることが、まるで『印籠』や『錦の御旗』のようになってしまうのが許せません。上司や人事はマタハラと糾弾されることを恐れて腰砕け。そもそも、その子の子供なんて私には関係ない。私の飼っているネコのほうが私にとっては大事。私のネコが病気になったって、仕事を休ませてくれないのに」
似たような例はほかにもある。生保レディの小杉千恵さん(36歳・独身・仮名)が言う。
「うちのエリアマネージャーは部下に厳しいノルマを課して、達成できないと怒鳴り散らすパワハラ上司として有名で、同い年の既婚の同僚は『本当に嫌だよね、アイツ(上司)。子供つくって休んじゃおうかなあ』なんて言っていました。
私は独身なので曖昧に笑って話を合わせていましたが、その何ヵ月かあと、彼女は本当に子供ができたといって産休を取ったんです。マネージャーは部下が減っても業績を上げなきゃいけないから、以前より部下に厳しく当たります。おかげで資料整理の仕事も増えて、36歳の誕生日を職場で残業しながら迎えるハメになりましたよ。
しかも同僚は復帰後、『子供が病気がちで営業の仕事はできない』と、希望するバックオフィスの部署に異動してしまいました。営業から管理部門への異動はウチの会社では異例中の異例です。実は私もぜんそくがあって負担の軽い管理部門に移りたいんですけど……まず無理なんです」
小杉さんの悲劇は、それだけにとどまらない。
「彼女がいなくなった後、同じエリアを担当していた男性社員が悲鳴を上げて、社内研修制度を使って法人営業の部署に半年間、逃げ込んでしまったんです。マネージャーの叱責は私に集中するけど、その上司は完全に内弁慶で人事や役員の前ではペコペコのヒラメ野郎。上にパワハラを訴えても『ちょっとした誤解なんじゃないかなあ』と取り合ってもらえず、もうやりきれないです」
最初に配属された部門で産休や育休の取りやすさがまったく変わってくるという「育休格差」も女子たちにとっては大きな問題となる。証券会社に勤める草野春香さん(29歳・独身・仮名)が自身の経験を振り返る。
「ウチの会社は、管理部門に配属されると育休を取りやすいんですが、私がいる営業はプライベートを楽しむ余裕も全然ないくらい忙しい。たまたま管理部門に配属された同期の子は去年出産して育休を取っていました。
それは別にかまわないんですが、フェイスブックに子供の写真を上げていたり、『保育園どうしようか悩む』なんて書いていたりすると、『幸せオーラ出しやがって』とちょっとイラッとする。
それでも、そこまではまだ許せるんですが、『今の証券会社のあり方は……』なんて評論家みたいな文章を書き込んだりしだして。調子ぶっこきやがって、現場で結果出してみろって感じですよ」
一方で、「産んだ女子」たちの中にも、「産まない女子」の仕打ちに苦しんでいる人々がいる。家電量販店に勤める、石田良子さん(38歳・仮名)はこう言う。
「世代間のWM観ギャップに悩まされました。妊娠を職場で報告したとき、同じ店舗の40代後半の女性の上司が『妊娠は病気じゃないでしょ。ほかの人と同じくらい頑張らなきゃダメよ』と言って、重い荷物でもなんでも持たせようとする。
私は、つわりがひどかったのですが、まさかお客様の前で吐くわけにもいかず、吐き気をこらえるのに苦労しました。その上司は、結婚はしていますが、当時は制度が充実してなくて仕事のために出産を諦めた人だそうです。
でも、私だって30を過ぎて子宝に恵まれず、不妊治療を重ねてやっと授かったんです。男性の上司がこんなことをしたら即ハラスメントなのに、人事部も相手が女性だと言いづらいみたいで、助けてくれません」
■お互いの人生観を懸けた戦い
百貨店で働く桑田理恵子さん(32歳・仮名)の場合は、「産まない女子」ではなく、「産んだ女子」である上司に苦しめられているという。
「ウチの店の50代の女性副店長は、私が育休を取れるかどうかを聞くと、露骨に嫌な顔をしながら、『私の時なんて、臨月までハイヒールとスーツで働いていたのに、6週間も休むなんて甘えすぎじゃない?』と嫌味ったらしく詰ってきました。
出産後は時短で働いていますが、私が5時頃に帰ろうとすると、『私の時は夕方に中抜けをさせてもらって、子供を保育園に迎えに行ってご飯を食べさせた後、また職場に戻っていたけどね』と自分流の子育て論をとくとくとブツんです。
でも、私の部門は人が足りないわけでもなく、みんなの理解もある。お得意さんも気を遣ってくれています。すべてはその副店長の個人的価値観の押しつけにすぎないんです。ホント、迷惑この上ない」
こうした対立には、彼女たちの人生観や幸福そのものが懸けられているのだから解決はなかなか難しい。企業の育休制度の運用についてアドバイスをする、育休後コンサルタントの山口理栄氏が言う。
「職場で女性同士の軋轢が生まれる一つの要因は、子育ては認められるのに、介護をはじめとした、その他のプライベートの事情は認められないということです。特に婚活をしたい、不妊治療をしたいという女性は、『私だって子供をつくるためなのに』と不満に感じるでしょう。これは当然のことだと思います」
もとより子育ては国全体で支えていく意識が必要だが、ドロドロとした感情が絡んだ難しい問題だ。全員が幸せになるのには、まだまだ時間がかかるだろう。
「週刊現代」2016年3月19日号より
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