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ペヤング ソースやきそば(「アマゾン HP」より)
売り切れ続出…ペヤングの「偽物風」ペヨング販売、密かな狙いは?「共食い」の危険も
http://biz-journal.jp/2016/03/post_14304.html
2016.03.19 文=安部徹也/MBA Solution代表取締役CEO Business Journal
3月14日、まるか食品は『ペヤングソースやきそば(以下、ペヤング)』の姉妹品として『ぺヨングソースやきそば(以下、ペヨング)』の発売を開始しました。
この両製品は名前から想像がつくとおり、特徴が非常に似通っています。パッケージは縦長のペヤングに対してペヨングは横長ですが、デザインカラーは同系色で、店頭でパッと見た感じでは見間違うほど似たデザインを採用。中身の違いもわずかで、内容量がペヤングの120gに対してペヨングは106gと14g少ないほかは、ソースのあっさり加減とかやくの肉の有無の違いのみで、いつもペヤングを食べているファンにとっても「ペヤングっぽいけどちょっと違う」という印象を抱かせる商品に仕上がっています。
このペヨングは、すでに多くのファンを抱えるペヤングの姉妹品だけに、発売の発表と同時にインターネット上でも話題が沸騰し、小売店からの注文は通常の新商品の5倍に達するなど、発売前から大きな注目を集めることになったのです。
■なぜ、まるか食品はペヨングを発売したのか
まるか食品は2014年12月の異物混入事件以降、生産ラインを刷新するためにペヤングの販売を全面的に停止していましたが、15年6月には関東地方から販売を再開。すると、待ちきれなかったペヤングファンが一気に店頭に殺到し、品切れ店が続出するなど予想を上回る需要に、再開した工場は24時間体制でも生産が追いつかないといううれしい悲鳴を上げる事態になりました。
その後も生産ラインを拡大するまで品薄状態が続くなど順調に売上を伸ばしてきましたが、今回の姉妹品ペヨング投入にはどのような狙いがあるのでしょうか。
その背景を深掘りしていくと、まるか食品の主力商品であるペヤングの売上を伸ばす意図を秘めたマーケティング戦略が見て取れます。
今回の廉価版のペヨングの投入は、これまで価格面で取り込めなかった顧客層を開拓し、最終的にペヤングの購入につなげていくという2段構えのプロダクト戦略になっているのです。
これまでペヤングは希望小売価格として税別で170円を設定し、実際にはスーパーなどの店頭で140円前後の価格で販売されてきました。この希望小売価格制は、メーカーから小売店に「このくらいの価格で売ってほしい」と希望することによって、メーカー側にとって自社製品の安売り合戦による値崩れなどで、これまで築いてきたブランドを傷つけることを防ぐ効果がありますが、逆をいえば価格の安さをアピールしてより多くの顧客を惹きつけることができないという側面も併せ持つことになります。
そこで、姉妹品のペヨングではオープン価格制を採用することにより、小売店の自由な価格設定を促し、時として仕入れ価格よりも安い価格を設定して、セールの目玉商品としてより多くの顧客に手に取ってもらうこともできるようになるのです。
実際にペヨングは発売初日に都内のスーパーで、ペヤングが税別で143円のところ108円と35円ほど安い価格で販売されていました。
つまり、まるか食品はペヤングとしては、引き続き希望小売価格でブランドを維持しつつ、新商品のペヨングでは大幅な安売りも許容して、これまでペヤングを食べたことのなかった顧客層を取り込んで、ゆくゆくはペヤングのファンになってもらうことを狙っているのです。
■当初は成功、今後の不安材料とは?
今回まるか食品は、自ら新商品をあえてペヨングという“偽物風”に仕立てることによって、大きな話題をさらい、世間の注目を浴びることに成功しました。この話題づくりで小売店からの注文も予想を大幅に上回る水準に達しましたし、発売日には売り切れる店もあり、販売も好調のようです。
一方で、廉価版の新商品の大きな成功は、既存の主力商品に悪影響を与えることもあるので注意が必要です。
まるか食品の狙いとしては、ペヨングの思い切った低価格でこれまでペヤングに馴染みのない顧客を取り込んで、最終的にはペヤングの売上アップを図ることでした。この場合、ペヨングはこれまで取り込めていなかった顧客の“入り口”商品としてペヤングへつなげる重要な役割を果たすことになります。
ところが、逆にこれまでペヤングを食べていた顧客が、商品自体があまり変わらなければ、ペヨングで十分とグレードダウンを図ることも十分に考えられます。
この現象は「カニバリゼーション(共食い)」と呼ばれ、新たに投入した低価格の商品が、既存の高額な商品を侵食し、全体的に売上が減少する問題が発生することにつながっていくのです。
これに対して、まるか食品の強力なライバルである日清食品は、ブランドを保ちたい『日清焼そばU.F.O.』には希望小売価格を採用して値崩れを防ぎ、低価格志向の顧客に対しては『日清ソース焼そばカップ』という別ブランドをオープン価格にして小売店の特売用に対応するなど、カニバリゼーションの対策を施しています。
まるか食品のペヤングとペヨングの場合は、名前も味も似通っているだけに、よりカニバリゼーションが起こる可能性も高くなるといえるでしょう。
そうはいってもペヨングの低価格により、これまでカップ焼きそばを食べなかった層を開拓したり、日清食品など強力なライバルのオープン価格品から顧客を奪ったりして販売個数が大幅に伸びるようであれば、激しい競争が繰り広げられているカップ焼きそば市場の勢力図が大きく変貌を遂げる可能性も秘めています。
ペヨングの投入で、カップ焼きそば市場がどう変わるのか。しばらく目が離せそうにありません。
(文=安部徹也/MBA Solution代表取締役CEO)
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