2016年3月14日 芥田知至 [三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員] 主要商品相場は下げ止まるも 需給改善見込めず上値は重い拡大する 国際商品相場では、下げ止まりを模索する動きが続いている。 国際商品相場全般の動向を表すロイター・コアコモディティーCRB指数は、1月20日の安値からいったん持ち直した後、2月11日にかけて再び下落し、2002年3月以来の低水準となった。しかし、その後は、再び持ち直してきている。 鉄鉱石は、11年に付けた1トン当たり190ドル超の高値から、昨年12月には40ドル割れにまで下落していたが、2月に入って50ドル台を回復した。鉄鋼の価格が下げ止まってきたことや、中国政府の追加景気対策に対する期待がその背景となっている。 電線など建築物や消費財の部材として幅広い用途がある銅は、11年の1トン当たり1万0100ドルを超える高値から、昨年11月には4300ドル近くにまで下げていたが、その後、緩やかに上昇し、足元では5000ドルを超えてきている。 防錆用のメッキなどに使われる亜鉛については、鉱山からの供給が減少するとの観測がある中、今年1月の安値の1トン当たり1400ドル台から足元は1800ドル台へと急反発している。 ステンレス鋼の原材料となるニッケルは、需給緩和感が根強かったが、2月半ばの1トン当たり7500ドル台をボトムに9300ドルを上回るまで回復してきている。 国際商品の中心である原油も、反発してきている。欧州北海産のブレント原油は、1月20日の1バレル当たり27.10ドルをボトムに足元では39ドル前後まで上昇している。 2月16日に、サウジアラビア、ロシア、ベネズエラ、カタールの4カ国が原油の増産を凍結することで合意したことを受けて、先行きの需給が引き締まるとの観測が生じている。 強力な商品相場の押し上げ材料があるわけではないが、これまでの大幅下落の反動や、悪化した需給が先行きは改善するとの期待によって、各相場が持ち直している。3月4日には、米国雇用統計が予想を上回る雇用増加数を示し、景気回復観測から各商品の相場を押し上げた。 もっとも、金属は、最大消費国である中国の景気の先行きに依然として不透明感が残っている。足元では、3月5日に第12期全国人民代表大会の第4回会議が開幕したが、今後、市場の期待以上の景気刺激策が出てくるとは限らず、再び中国景気の減速懸念が強まる可能性がある。 原油については、「増産凍結」は「減産」ではなく、高水準にある原油生産が維持されることになり、需給の引き締め効果はさほど期待できない。 国際商品相場は底入れしつつあるものの、上値は重いだろう。 (三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員 芥田知至) http://diamond.jp/articles/-/87820
【第409回】 2016年3月14日 広瀬 隆雄 米国株は4週連続で上昇! 公共株、素材株が好調。今後の投資対象にデュポンやマクドナルドなどのオールドエコノミー株と金鉱株に注目する理由とは? <今回のポイント> 1.米国株式市場は4週連続で上昇 2.エネルギー、素材株が好調 3.ブラジル、メキシコ株も好調 4.FOMCではドット・プロットがどれほど下がるかに注目 5.オールド・エコノミー株に加え、金鉱株、石油サービス、鉄鋼株にも注目 米国株式市場は4週連続で上昇 年初来の下げをほぼ取り戻した 先週の米国株式市場はダウ工業株価平均指数が+1.2%、S&P500指数が+1.1%、ナスダック総合指数が+0.7%上昇しました。 これで米国の株式市場は4週連続上昇したことになります。 米国株式市場は今年に入ってからの下げを、ほぼ取り戻しました。 年初来のパフォーマンスは、ダウ工業株価平均指数が−1.2%、S&P500指数が−1.1%、ナスダック総合指数が−5.2%です。 セクター別のパフォーマンスから見ると いまの株式市場は“典型的な気迷い相場”とわかる 次にセクター別のパフォーマンスを見ます。下は各セクターETFの年初来パフォーマンスです。 今年に入って、世界経済が一層減速するのではないか? という不安が出たため、債券高のときに買われやすい公共株ETF(ティッカーシンボル:XLU)や消費安定株ETF(ティッカーシンボル:XLF)が好調でした。このへんは順当だと思います。 しかし目をひくのは原油価格の低迷でボロカスに言われてきたエネルギー・セクターです。エネルギー株ETF(ティッカーシンボル:XLE)は年初来+3.4%と好調です。 さらにコモディティ安で苦戦しているはずの素材株ETF(ティッカーシンボル:XLB)も、どっこいプラスになっています。 景気の先行きに不安があるときに人気になりやすいディフェンシブ(防衛)的な公共株、消費安定株のパフォーマンスが良く、それと同時に景気が上向くときに人気になりやすい素材やエネルギー株のパフォーマンスも良いというのは、何だか矛盾しているように見えます。 しかしこのような商状は景気後退の最終局面から利上げに転じた際に出やすい、典型的な気迷い相場です。 私の考えでは今後は景気が強くなってゆくので、だんだんエネルギー、素材、工業などのグループのパフォーマンスが他を引き離すと思います。 反面、ヘルスケアやテクノロジーのセクターが冴えない理由は、それらのセクターには、いわゆるグロース株が沢山含まれており、現在のような利上げ局面では、株価評価が剥げやすいことが知られているからです。 したがってこのへんの動きは、まったく教科書通りの展開だと言えます。 今後もハイテクやバイオ株はダメだと思います。 ブラジル、タイ、インドネシア、 メキシコなどの新興国の株式市場が好調 さて、年初来のパフォーマンスでもうひとつ目をひくのは、ブラジル、タイ、インドネシア、メキシコなどの新興国の株式市場が好調だということです。 その理由は簡単で、ドル安になるとこれらの国の経済は息を吹き返しやすくなることが知られているし、またドル安局面ではアメリカの投資家は新興国に積極的に投資することが経験則的に知られているからです。 3月15・16日のFOMCでは 利上げが見送られる可能性が高い さて、3月15・16日は米国連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。今回は、たぶん米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レートの利上げは見送られると思います。 みどころとしては声明文の発表の際、公表されるドット・プロットが、どう動いているか? ということです。 ドット・プロットとはFRBのメンバー各人が、今後の経済や金利の動きに関して、思い思いに自分の予想をグラフに点(=ドット)として書き込むことを指します。それが全体としてどのように動いたか? を見ることで、メンバーたちの考えを知ることができるというわけです。 ちなみに前回、2015年12月16日のFOMCの際のフェデラルファンズ・レートに関するFRBメンバーのコンセンサス予想は下のグラフの橙色(12月MTG)のようになっていました。 それによると2016年末の時点でのフェデラルファンズ・レートは1.4%ですから、現行の0.50%に比べて0.9%高いわけです。 いま仮にFRBが0.25%刻みで政策金利を引き上げたとすれば、2016年末までに合計0.9%分の引上げが実施されるためには0.25%×4、つまり4回の利上げが必要ということになります。 つまりFRBメンバーたちはコンセンサスとして4回の利上げを去年の末の時点で想定していたということです。 しかし思い出して頂ければ、12月のFOMC以降、世界の相場は荒れ模様続きでした。IMF他の国際機関が出している世界各国のGDP予想も下がりました。そのことから考えて、今回のドット・プロットでは「2016年末で1.4%」という上のグラフに示された数字が、もっと下がっていると考えるのが自然です。 たぶん1.0%前後になっているのではないでしょうか? 今後の相場への取組み オールドエコノミー銘柄に投資を続行 さて、最後になりましたが、米国株では引き続きゼネラル・エレクトリック(ティッカーシンボル:GE)、ダウ・ケミカル(ティッカーシンボル:DOW)、デュポン(ティッカーシンボル:DD)、エクソン・モービル(ティッカーシンボル:XOM)、マクドナルド(ティッカーシンボル:MCD)など、私がこれまでに何度も言及したオールド・エコノミー銘柄に投資しておけばオッケーだと思います。 またハーモニー・ゴールド・マインズ(ティッカーシンボル:HMY)などの金鉱株にも引き続き強気です。 さらに「リスクを取って良い」というアグレッシブな投資家にはアルセロール・ミッタル(ティッカーシンボル:MT)、トランスオーシャン(ティッカーシンボル:RIG)、アルコア(ティッカーシンボル:AA)なども一考に値すると思います。 http://diamond.jp/articles/-/87900 Business | 2016年 03月 14日 18:33 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス インタビュー:消費増税強行、かなりのリスク=浜田内閣官房参与
12月撮影(2016年 ロイター/Issei Kato) [東京 14日 ロイター] - 安倍晋三首相の経済ブレーンで内閣官房参与を務める浜田宏一・米イエール大名誉教授は14日、ロイターとのインタビューに応じ、政府が予定している2017年4月の消費税率10%への引き上げについて、個人消費が鈍い中で強行することにはかなりのリスクがあるとの認識を示した。 また、金融市場の不安心理が強い現状で、日銀は14、15日の金融政策決定会合で追加緩和を見送るだろう、と語った。 浜田氏は、政府が5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に向け、世界経済の現状について内外の有識者と話し合う「国際金融経済分析会合」に出席する予定。同会合では、世界の金融・経済情勢について意見交換が行われるが、浜田氏によると来年4月に予定されている消費増税が日本経済に与える影響についても識者から考えを聞くことになるという。 浜田氏は、現在の個人消費の鈍さについて、消費増税が控えていることも消費者の行動を慎重にしている可能性があると指摘。先行きの不安感が市場に漂っている中で株価も軟調な展開になっており、「(消費増税を)強行するのは、かなりのリスクがある。(経済の)パイが縮小してしまう」と増税に否定的な見解を表明した。 増税判断は「政治的、経済的リスクを一身に引き受けている安倍首相がすること」としたが、民主党政権時代に自民、公明との3党合意で消費増税が決まった経緯に言及し、「今の政権ではない人が主に決めたこと。増税したら船がガクっとくることがわかっている時に、3年前の船長と約束したのだからやりましょう、とは言えない」と語った。 <本田氏の補正5━7兆円に賛成> 与党内では2016年度補正予算による追加の経済対策を求める声もあり、本田悦朗内閣官房参与は需給ギャップなどを念頭に、5━7兆円規模の補正予算が必要との見解を9日のロイターとのインタビューで示している。 浜田氏は「本田氏の意見に賛成だ」と表明。変動相場制の下では「財政はあまり効かない」としながらも、「ゼロ金利まで行ってしまった現状では、いろいろ修正が必要」と指摘。「金融だけでなく、財政の効果も考えなければならない」との見解を示した。 日銀が1月29日に導入を決めたマイナス金利政策については「金融面でみれば住宅ローン金利などが下がっており、セオリー通り効いている」と評価。金融市場は直後こそ株高・円安で反応したが、世界的な市場変動の影響もあり、その後は株安・円高が進行した。 浜田氏は、マイナス金利によって「本来は円売り・株買いになるのが定石」としながらも、「心理状態をかく乱したために、逆の動きになっている」と分析。 日銀は14、15日の日程で金融政策決定会合を開いているが、現状は「日本を逃避先とする心理的、投機的な動きが効果に打ち勝っている」とし、「日銀は、今はさらなる行動はとらないだろう。それが賢明な判断と思う」との見方を示した。 また、足元で1ドル113円台後半で推移している為替市場の動きについては「円が高過ぎるという状態ではない」と指摘。信頼できる専門家によるとドル/円の購買力平価は107円程度とし、自身の考えとして1ドル100─115円は「理論からかけ離れたレベルではない」と語った。 (伊藤純夫 金子かおり) http://jp.reuters.com/article/interview-hamada-idJPKCN0WG0TX?sp=true ドラギ総裁から黒田総裁へ、物言えば唇寒し−記者会見は慎重に 2016/03/14 17:10 JST (ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、日本銀行の黒田東彦総裁に貴重な教訓を与えてくれた。政策についての説明は、政策そのものと同じかそれ以上に重要だということだ。 ECBが10日発表した追加緩和は多くのアナリストらの予想以上だったが、市場は失望を示した。ドラギ総裁が記者会見で追加利下げが必要とは考えていないと発言すると、ユーロは下げを消して上昇に転じ欧州株は反落した。 日本企業の過去最高益に円安が演じた役割や日本株の相場上昇が景況感改善に寄与したことを考えれば、日銀にとっても金融市場の反応は重要だ。黒田総裁も市場の失望に直面したことがある。ドラギ総裁のエピソードは、黒田総裁の今週の発言がいかに重要かを浮き彫りにした。 日銀は大規模資産購入に加えた景気刺激措置としてマイナス金利を導入。しかし国会議員や世論の一部は懸念を示し、黒田総裁は最近、連日のように国会で質問に答えている。 日銀が1月29日に採用を発表したマイナス金利は、2月半ばに適用が始まった。ブルームバーグがまとめた調査では、3月15日に追加措置が発表されると考えるエコノミストは40人中5人のみだった。 ウエストパック銀行のシニア外為ストラテジスト、ショーン・キャロー氏(シドニー在勤)は「ドラギ総裁に比べると黒田総裁は、今週の日銀政策決定会合への市場の期待が小さいという利点がある。しかし、マイナス金利がどこまで進むかをめぐるドラギ総裁の発言で、相場が反転したことは黒田総裁も意に留めただろう。必要ならばさらに大きくマイナスにするというかねてからの決意をあらためて強調すべきだろう」と話した。 原題:Mario Draghi’s Lesson for Kuroda: Loose Lips Sink Policy Ships(抜粋) http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O40QT26K50Y201.html
Business | 2016年 03月 14日 17:04 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス 米FOMC、利上げ見送りへ 引き締め近いと示唆する公算大 [サンフランシスコ 14日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は15日からの連邦公開市委員会(FOMC)で利上げを見送る公算が大きい。だが国内のインフレと雇用状況の改善が続けば、海外の景気が減速しても近く追加利上げに踏み切る方針を明確にするとみられる。 FOMC後に公表されるFRB当局者の金利見通しは、年内に2回か3回の利上げを示すとの見方が大勢だ。 中国や欧州の景気減速による先行き不透明感から引き締めに慎重な姿勢を示した前回1月のFOMCと比べれば、大幅な変更になる。だが利上げを決定し、2016年中に4回の追加利上げを示唆した昨年12月の会合と比べれば緩やかなペースにとどまる。 ただ、引き締めペースの鈍化は原油価格の下落や1月の株式市場の混乱などによるもので、国内経済や世界経済の見通しが悪化したためではない。 また欧州中央銀行(ECB)が先週追加緩和に踏み切ったことで、海外要因による米経済への逆風が弱まるとの見方につながることも考えられる。 こうした状況を踏まえると、FRBは今年半ばまでに利上げし、景気動向によっては一段の引き締めを行う可能性がある。 米ミネアポリス地区連銀のコチャラコタ前総裁は利上げのタイミングについて「6月は間違いなく選択肢のひとつだ」と語った。市場のインフレ予想は1月のFOMCの時から改善したと指摘し、これは「まさしく明るい動向だ」と述べた。 <インフレをめぐる議論> 今週のFOMCではインフレ見通しをめぐる議論に多くの時間が費やされるもようだ。 タカ派のメンバーは、FRBがインフレ対応で後手に回り信頼を失うことを危惧している。一方、ハト派からは景気回復が依然として脆弱(ぜいじゃく)でインフレ圧力の確かな証拠を確認したいとの声が上がる。 リージョンズ・フィナンシャルのエコノミスト、リチャード・ムーディー氏は「おそらくこれがFRB内部で一番の争点になる」との見方を示した。 同氏は景気見通しの基本シナリオに関する「リスクバランス」をどう表現するかという問題にFRBは取り組む必要があり、4月か6月に利上げする選択肢を残しておきたいならそれが特に重要だと指摘する。 「もし全ての会合に(利上げ決定の)可能性があると市場に信じさせたいと本当に考えているなら、FRBは何か示す必要があるだろう」と述べ、経済見通しへのリスクは「ほぼ均衡している」との判断を示すと予想した。 イエレンFRB議長は市場を混乱させないため、今後の利上げについてあまり強いメッセージを発しないとの見方もある。 プルデンシャル・フィナンシャルの市場ストラテジスト、クインシー・クロスビー氏は、FRBは「6月までに幅広いデータを集めることができる」と指摘。「一部のハト派メンバーも含めFRB当局者は(利上げの是非について)はっきりとした結論を下し、市場の見方とも一致するかもしれない」と語った。 (Ann Saphir記者 翻訳:高木匠 編集:山川薫) http://jp.reuters.com/article/usa-fed-idJPKCN0WG0LY?sp=true
新興国数カ国が米利上げに追随の見通し=ダラス連銀論文 米ダラス地区連銀の調査報告によると、トルコ、南アフリカ、ペルー、ナイジェリア、ロシア、メキシコ、インドネシアの各中銀がFRBの利上げに追随する公算が大きい(写真はトルコ中央銀行のアンカラ本部)
By MICHAEL S. DERBY 2016 年 3 月 14 日 15:59 JST 世界中の中央銀行が米連邦準備制度理事会(FRB)と乖離(かいり)する金融政策を進めているわけではない。 米国以外の先進国の中銀の多くが非常に緩和的な政策を維持するか、さらなる緩和を進める一方で、FRBは利上げを続ける可能性が高く、世界の中銀に関わる問題はほぼこうした流れだけに目を向けてきた。 しかし、米ダラス地区連銀が発表した新たな調査報告によると、いくつかの新興国の中銀はFRBの利上げに追随する公算が大きい。トルコ、南アフリカ、ペルー、ナイジェリア、ロシア、メキシコ、インドネシアのそれぞれの中銀だ。 この論文を執筆したスコット・デイビス氏はこうした連鎖的な動きについて、国家が海外からの資金調達にどれほど依存しているかがよく分かると指摘している。これらの新興国の中銀は、投資資金が高利回りを求めて海外に流出しないよう、FRBと同じ方向に政策を動かさざるを得なくなる可能性が高い。 デイビス氏は「FRBの利上げは資本の逆回転を招き、新興国からの資金流出を引き起こす恐れがある」とし、「海外資本に大きく依存する新興国の中銀は、FRBの利上げに追随して資本逃避を抑えたいという気持ちに駆られるだろう」と言う。 新興国の中銀とFRBとの関係はここ数年、紆余(うよ)曲折の道をたどってきた。金融危機後にFRBが積極的な緩和政策を進めると、大量の資本が時には危険な形で一部の新興国に流れ込み、これらの国の政策当局から不満の声が持ち上がった。ところが、2013年にFRBが正式に債券買い入れの終了を検討し始めると、新興国では巨額の資金流出と為替相場の急変動が起き、FRBへの批判が噴出した。 FRBは米経済にとって何が最善かを念頭に政策運営しており、他の国々が自国経済をどうかじ取りしていくかは各国の当局に委ねられている、というのがFRB関係者らの言い分だ。 とはいうものの、FRBは米国の経済と金融が世界から隔絶されたものではないことも理解している。 ニューヨーク連銀のダドリー総裁は2月の中国での講演で、「米市場が世界の金融システムで中心的役割を担っていることと、ドルが世界第1の準備通貨であることを合わせて考えると、米国は世界経済全体の良き世話役でなければならないという特別の責任を負っている」と述べた。 関連記事 米利上げ観測が再浮上 堅調な指標相次ぐ 中銀政策、市場をかえって不安定にしている恐れ 新興国投資を見直す好機到来か サブプライム自動車ローンめぐる警鐘 フロリダ州ブランドンの中古車販売店。サブプライム自動車ローンを組む消費者の大半は中古車を購入している
By SERENA NG 2016 年 3 月 14 日 16:50 JST 米国の自動車産業が新規顧客を獲得するためにどれだけ手を広げているかを理解するには、スコポス・オート・レシーバブルズ・トラスト2015-2と呼ばれる債券の発行後のパフォーマンスを見てみるといい。 サブプライム自動車ローン債権から組成されたこの債券は昨年11月に販売された。その後2月末までに裏付けとなっているローンの約12%で返済が少なくとも30日間遅れており、そのうちの3分の1は60日以上の滞納となっている。それ以外にも借り手が破産申請をしたり、車が回収されたりしたローン債権が2.6%あった。 こうした借り手は自動車市場の外縁部に存在している。とはいえ、最近の高い滞納水準は記録的なペースで増加している販売台数を維持するために1人でも多くの顧客が必要な自動車業界に対して警鐘を鳴らすものだ。 テキサス州ダラスに拠点を置き、信用実績が乏しかったりなかったりする人々への融資を専門とする金融業者スコポス・ファイナンシャルが発行した債券に見られる早期の滞納水準は、同じ時期に他の金融業者が発行したいくつかの似通った債券のそれとほぼ一致している。やはりダラスに拠点を置くサブプライム金融業者、エグゼター・ファイナンスが昨年11月に発行した債券では、裏付けとなっているローン債権の約12%で返済が30日以上遅れているという。同社の広報担当者は滞納率について、前月比では低下していると述べた。 ローンの返済は自動車市場で大きな部分を占めるサブプライム(信用度の低い)の借り手全体でも滞るようになってきた。格付け会社フィッチ・レーティングスによると、過去5年間で債券に組成されたサブプライム自動車ローンの60日以上の滞納率は2月に20年近くぶりの高水準となる5.16%に上昇したという。格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ・レーティング・サービシズ(S&P)は、緩くなった与信基準と信用力の低い顧客向け金融業者によるローン件数の増加もあり、滞納率は近年に提供されたローンの方が高いとしている。 投資家の懸念も高まっている。小規模金融業者のフラッグシップ・クレジット・アクセプタンスは最近、サブプライム自動車ローンに裏付けられた債券を販売するのに、予定していた以上の利回りの提示を余儀なくされた。フラッグシップはこの件についてコメントを控えた。 ニューヨークに拠点を置くヘッジファンド、3シグマ・バリューを運営し、自動車ローンを提供している一部の金融業者に対して弱気な見方をしているベン・ウェインガー氏は「記録的な販売台数を後押ししているのは経済ではなく、自動車ローンの記録的な増加にある」と指摘する。金融業者が自動車ローン需要の高まりを受けて与信基準を組織的に緩めたことで、滞納率は上昇すると同氏は見込んでいる。 大方のアナリストはサブプライム自動車ローンでバブルが生じるとの懸念を軽くあしらってきた。米国は景気後退に陥っていないし、失業率はかなり安定しているし、低いガソリン価格のおかげで人々の可処分所得は増えているというのが彼らの主張だ。 信用情報大手エクイファックスによると、現在の米自動車ローン残高は過去最高の1兆ドル近くに達しており、その5分の1は信用度の低い借り手に提供されているという。これらのローンの多くは債券へと組成されている。資本を解き放つことで新たなローンの提供を可能にしている。 自動車販売台数に寄与する自動車ローンの伸び ENLARGE 自動車販売台数に寄与する自動車ローンの伸び スコポスやその他の「ディープ・サブプライム」金融業者をめぐる懸念への注意喚起を行った業界ニュースレター、アセットバックト・アラートによると、昨年の米サブプライム自動車ローンを裏付けとする債券の発行額は、この10年で最高となる270億ドルを超え、前年比25%増となったという。 スコポスがサブプライム自動車ローンを裏付けとする債券銘柄を最初に販売したのは昨年4月だった。同社は11月の2度目の発行で1億5400万ドルを調達した。平均残存期間5.6年、金利約20%のその債券は1万件以上のローン債権で裏付けられている。 自動車ローンの借り手の約87%はクレジットスコアが600未満(300から850の間で個人の信用度を評価)となっている。そのうちの3分の1はクレジットスコアが500未満、あるいは信用実績がない人たちだ。 スコポスは自動車ローンを提供する前に、借り手の雇用状況や頭金が実際に現金で支払われたかどうかといった情報を確かめていると述べた。クレジットスコアがない人々については、電話料金の支払い方など他の基準で審査しているという。スコポスの最高経営責任者(CEO)、ダニエル・ポーター氏は「ローンを提供する前にすべての顧客と面談を行うのがわが社の決まりだ」と述べ、信用実績のない人々の多くは若い勤労社会人で、遅延なく返済し続けようという気持ちが強いと付け加えた。 http://si.wsj.net/public/resources/images/MI-CO588_AUTOBO_16U_20160311140605.jpg
2016年3月14日 週刊ダイヤモンド編集部 「同一労働同一賃金」という批判しづらい正論に企業は戦々恐々 日本では導入が難しいとされてきた「同一労働同一賃金」。突如、安倍政権が目玉政策として、導入に意欲を燃やし始めた。非正規労働者の処遇改善のツールとして利用しようとしているのだ。正社員と非正規労働者の格差是正──、まっとうな正論を前に、負担を被る企業は戦々恐々としている。(「週刊ダイヤモンド」編集部 浅島亮子) 参院選の目玉政策として急浮上した同一労働同一賃金。「1億総活躍推進室」で白羽の矢が立った Photo:読売新聞/アフロ 発端は、1月22日の安倍首相による施政方針演説だった。ニッポン1億総活躍プランでは、「同一労働同一賃金」の実現に踏み込む考えだ──。
同一労働同一賃金とは、仕事の内容が同じ労働者には同じ水準の賃金を支払うべきとする考え方のこと。幾度となく労働分野のキーワードとして取り沙汰されながらも、日本では導入が難しいとして封印されてきた経緯がある。 日本の正社員では、職能給(能力に応じた賃金)制度が定着している。しかも、勤続年数を重ねると賃金もアップするという属人的な賃金制度が採用されてきた。職務給(仕事に応じた賃金)が定着している欧州とは異なり、人ではなく仕事にひも付く「同一労働同一賃金」の考え方はなじまない、とされてきたのだ。 突然の首相発言に、労働行政を所管する厚生労働省幹部たちは慌てた。「寝耳に水だった。完全に官邸発のアドバルーンだ」。ある内閣府幹部によれば、「昨年末から1億総活躍推進室では、参院選の目玉になる政策を探し回った。そこで白羽の矢が立ったのが同一労働同一賃金だ」という。 選挙対策もさることながら、官邸には別の思惑もあっただろう。2014年、15年の春闘では2年連続で賃上げが実現したが、3年目の今年は景気の先行き不透明から失速気味。次なるカンフル剤が必要だったのだ。 具体的には、どのように導入しようとしているのか。 官邸は、非正規問題の解消のための、つまり正社員と非正規労働者(パートタイム労働者、派遣労働者、有期社員)との格差是正のための“ツール”として、同一労働同一賃金を使おうとしている。 もともと同一労働同一賃金とは、男女差別をなくす目的で発生した言葉だが、今回は正社員と非正規労働者という雇用形態間の格差をなくすことを目的としている。同じ企業で働く正社員と非正規労働者との間にある、不当な格差が排除される仕組みになる予定だ。 実は、日本の賃金では、大企業と中小企業との格差、都市と地方との格差も深刻な状況にあり、企業と労働者のミスマッチが一層顕在化している。だが、今回の導入に関しては、「戦線(対象)を広げ過ぎると収拾がつかない。あくまで非正規対策に絞る、というのが官邸のオーダーだ」(政府関係者)。企業規模や地域による格差を置き去りにして、導入にどれほど実効力があるのかは疑問が残る。 もっとも、正社員と非正規労働者の処遇に大きなギャップがあることも事実ではある。フルタイム労働者に対するパートタイム労働者の時間当たり賃金を比べると、フランスの89.1%、ドイツの79.3%に対して、日本はわずか56.8%。明らかに日本のパート労働者は冷遇されている。 その意味で、非正規労働者の待遇を改善すべきという官邸の主張は正論なので、表面上は誰しもが反論しにくい。コストアップが不可避の産業界も、正社員組合を束ねる日本労働組合総連合会も、格差拡大を与党封じ込めの争点にしてきた民主党も、である。 産業界は戦々恐々 正社員も含めた 賃金制度見直しへ 2月23日の1億総活躍国民会議の席では、安倍首相が「できない理由はいくらでも挙げることができる。大切なことはどうやって実現できるかだ」と、抵抗勢力をけん制する一幕もあった。 「ちゅうちょなく法改正を進める」という安倍首相の言葉通り、厚労省と内閣官房は、法律の整備(労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法の3法改正が有力)を進める。同時に、欧州の裁判事例を参考に、不当な賃金格差をなくすためのガイドラインを制定する。 最初の関門は5月半ば。1億総活躍プランの一メニューとして、ガイドラインの方向性を示すことになっている。政府関係者によれば「ターゲットは来年の春闘だ。その前に詳細なガイドラインを制定し、法改正に踏み込む」構えだ。 早くも、企業の人事関係者たちは戦々恐々としている。正社員の賃金を下げずに、非正規労働者の賃金を底上げすることでコストアップを懸念する声も上がるが、「むしろ、非正規労働者に対して賃金・処遇制度に不当な取り扱いがないか説明する物理的作業の方が大変だ」(ある電機メーカー幹部)。 既存の正社員の賃金を職務給、能力給、業績連動給、手当、福利厚生…などと分解して、正社員と非正規労働者のいずれもが納得するような合理的根拠が求められる。 しかし、旧態依然とした日本企業では、正社員ですら同じ仕事をしているからといって同じ賃金をもらっているわけではない。非正規労働者への説明責任の義務化が、正社員の賃金制度見直しへ及ぶことにもなるだろう。 http://diamond.jp/articles/-/87818
無制限の貨幣増発と無限の財政赤字はタブーか−中銀の弾薬尽きた場合 2016/03/14 12:47 JST (ブルームバーグ):米大統領選シーズンが様変わりする中でも、昔からほとんど変わらないタブーが今も存在する。財政赤字は危険だというものだ。 しかし、今はそれを主張する絶好の機会だといえる。しかも米国だけでのことではない。それがマイナス金利であれ、新たに増発した貨幣を消費者に直接ばらまくヘリコプターマネーであれ、各国の中央銀行はツールボックスに何がまだ残っていないか、目を凝らして探している。非伝統的な政策手段の導入にもかかわらず、先進国の景気回復は標準を下回るペースを脱していない。 景気支援の取り組みを各国政府に求める声は高まっており、多くのエコノミストやトップクラスのマネーマネジャーも同調している。世界最大のヘッジファンド運用会社ブリッジウォーター・アソシエーツを率いるレイ・ダリオ氏や、債券王として知られる米ジャナス・キャピタル・グループのビル・グロース氏は、政策担当者は後がない状況だとして、財政赤字の拡大を伴う財政出動に訴えるべきだと主張する。 スタンダードチャータードのエコノミスト、トーマス・コスターグ氏(ニューヨーク在勤)は「金融政策の弾薬が尽きつつあるとの認識が投資家コミュニティーの中にさえも存在する。財政政策にフォーカスが移りつつある」との見方を示す。 極端な経済思想と長年考えられてきた「新しい貨幣理論(MMT)」によれば、独自通貨を発行する国は、財政危機のリスクに直面しない。それらの国はドルや円で借金しても、通貨を発行する独占権があるため、常に債務を履行できる。同じ理由から政府支出のファイナンスで税収や国債発行に依存する必要すらない。だがこのアプローチの長期的な影響については、多くのエコノミストが憂慮する。 ソシエテ・ジェネラルの米国担当チーフエコノミスト、アニータ・マーコウスカ氏(ニューヨーク在勤)は「財政赤字による支出に異存はないが、政府が貨幣を無制限に増発し、財政赤字を無限に拡大させるというこの発想は、すぐにも揺らぎかねない」と指摘した。 原題:Ignored for Years, a Radical Economic Theory Is Gaining Converts(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Michelle Jamrisko mjamrisko@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Carlos Torres ctorres2@bloomberg.net; David Papadopoulos papadopoulos@bloomberg.net 更新日時: 2016/03/14 12:47 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O40BA06JTSEB01.html
エジプト、通貨13%切り下げ−柔軟な為替レートで外貨準備の拡大図る 2016/03/14 18:30 JST (ブルームバーグ):エジプト中央銀行は自国通貨エジプト・ポンドを13%近く切り下げたほか、外貨準備高を押し上げるため「一段と柔軟な為替レート」を採用すると発表した。同国株は上昇している。 中銀は14日の声明で、この決定で「短期的に自国通貨の本来の価値と強さを反映する為替レート水準」が達成されると説明した。 中銀は同国の銀行に1ドル=8.85ポンドで1億9810万ドル(約225億円)相当を売却したが、それまでのレートは7.73ポンドだった。エジプトは経済成長を脅かすドル不足に見舞われ、外貨準備高は2011年以降に50%余り減少。過去半年は160億ドルをやや上回る水準で推移している。中銀は声明で、今年末までに外貨準備高を250億ドルに増やす方針を明らかにした。 原題:Egypt Adopts More Flexible Exchange Rate After 13% Devaluation(抜粋)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O40USISYF01S01.html
ユーロ圏:1月の鉱工業生産指数、前月比2.1%上昇−独仏伊が後押し 2016/03/14 19:31 JST 記事をメールで送信 記事を印刷する 共有/ブックマーク ShareGoogleチェックTwitterシェア (ブルームバーグ):ユーロ圏の1月の鉱工業生産が増加し、前月比ではここ6年強で最大の伸びとなった。エネルギーと資本財が好調だった。 欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が14日発表した1月のユーロ圏鉱工業生産指数は前月比2.1%上昇と、2009年9月以来の上昇幅。ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査中央値では1.7%上昇が見込まれていた。ドイツとフランス、イタリアが好調で、伸びを後押しした。 同指数は前年同月比で2.8%上昇し、11年以来の大きな伸びを記録した。 原題:Euro-Area Industrial Output Surges Most in More Than Six Years(抜粋) http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O40XSW6KLVR701.html CoCo投資家にEUが保証検討か−資本でクーポン支払い判断も (1) 2016/03/14 15:54 JST (ブルームバーグ):欧州の銀行が発行した偶発転換社債(通称CoCo)と呼ばれる「その他Tier1債」(AT1債)のクーポン支払いが履行されない場合に備えて、特別のプロテクション(保証)が投資家に認められる可能性が出てきた。欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は、AT1債を保有する投資家が苦境に陥る銀行のために損失を負担する仕組みを明確にする方針も打ち出した。 専門家作業部会に宛てたスタッフ文書によれば、欧州委はAT1債のクーポン支払いが可能かどうかの判断基準となる資本レベルを、EU銀行監督当局がどう決定するかという問題に取り組む。欧州委はまた、個別行へのガイダンス(指導)と実際に義務付ける資本要件を監督当局が区別すべきだとの見解を示した。 AT1債のクーポン支払いができなければ、銀行にとっては命取りだ。支払い不履行につながる要因をめぐり投資家が疑心暗鬼に陥ったことで、CoCo債価格のボラティリティ(変動性)は今年に入って高まり、監督当局に信頼回復の取り組みを促している。 スタッフ文書は「AT1債の投資家はクーポンの支払いを受けるが、株主や変動報酬を受け取る人々と大きく異なり、その後の業績改善に伴う利益還元の増加を通じて、受けられなかった支払いを埋め合わせできない。従ってAT1債の投資家は、他のステークホルダーと比べて特別なプロテクションを受ける資格があるかもしれない」と指摘した。 AT1債は、金融機関が苦境に置かれた場合に損失吸収に充当することで資本を保全し、公的資金による救済を回避する目的で金融危機後に考案された。永久債であり、発行体の裁量でクーポンの支払いが停止されることもあり得る。AT1債の市場規模は1020億ドル(約11兆6000億円)に達するが、保有者に損失が発生する仕組みや銀行の資本水準をめぐる混乱や不安が広がる中で、今年に入り急落した。 アクシオム・オルタナティブ・インベストメンツのギルダス・サリー氏(ロンドン在勤)は、欧州委の動きについて、「新たに生まれたAT1債という資産クラスの透明性改善に向けて、欧州監督当局が取り組む注目すべきイニシアチブの兆候だ。これが投資家の不安を和らげ、この資産セクターへの信頼回復につながるものと期待している」と述べた。 原題:CoCo Holders May Get Protection as Europe Reviews Capital (1)(抜粋) http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3VBRH6JTSEH01.html 中国・香港株:上昇、当局が支援継続を示唆−不動産会社の出資も好感 2016/03/14 17:57 JST (ブルームバーグ):14日の中国・香港株式相場は上昇。上海総合指数はこの1週間余りで最も大幅に上げた。中国証券監督管理委員会(証監会)の新主席に就任した劉士余氏が株式市場の支援継続を示唆したことや、不動産開発会社が出資や資産取得の計画を発表したことが好感された。 中国本土市場で上海総合指数は前週末比1.8%高の2859.50で終了。CSI300指数は1.6%高で引けた。 香港市場では万科企業(2202 HK)が10%高と、約1年ぶりの大幅上昇。深圳の都市交通運営会社に最大600億元(約1兆500億円)出資する計画を発表した。中国海外発展(688 HK)は1.8%値上がりし、年初来高値で終了。中国中信(CITIC、267 HK)の不動産資産を取得することを明らかにした。ハンセン中国企業株(H株)指数は1.5%高、ハンセン指数は1.2%高で引けた。 証監会の劉主席は中国証券金融による株式購入の終了について考えるのはかなり時期尚早だと指摘したほか、新規株式公開(IPO)登録制への移行には時間がかかるだろうと述べた。 京華山一国際の調査責任者キャスター・パン氏(香港在勤)は、「劉氏が市場の回復を支援する方針を表明したことで投資家の信頼が若干戻った」と指摘した上で、経済は依然「低迷」しているように見えると述べた。 原題:China’s Stocks Jump on Support Pledge as Deals Spur Developers(抜粋) http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O40ITD6KLVR501.html
債券は上昇、大量償還控えて20年ゾーンなどに買い−日銀会合を見極め 2016/03/14 15:37 JST (ブルームバーグ):債券相場は上昇。世界的な株高によるリスク選好の流れを受けた売りが先行した後、22日に利付国債の大量償還を控える中、足元の需給環境の良好さを背景にした買いが20年債などに入り、相場全体が押し上げられた。 14日の長期国債先物市場で中心限月の6月物は、前週末比4銭高の151円01銭で開始。一時9銭安の150円88銭まで下落した後、水準を切り上げた。午後には一段高となり、151円44銭まで上昇し、結局は22銭高の151円19銭で取引を終えた。 現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の342回債利回りは、日本相互証券が公表した前週末午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)高いマイナス0.01%で開始。徐々に水準を下げ、午後はマイナス0.055%まで低下。その後はマイナス0.045%で推移している。新発20年物の155回債利回りは1bp高い0.535%で開始後、0.545%まで上昇。その後は買いが入り、午後に入ると0.475%まで下げている。 みずほ証券の辻宏樹マーケットアナリストは、相場は「後場に入り、急に強くなった」と指摘。「明日の日本銀行の決定における量の拡大への期待があるのかもしれない。もう一つの要素として、来週に控える国債償還見合いの買いというのもあるのかもしれない」と説明した。20年債入札については、日米の金融政策決定後だけに「現行水準で迎えるのかそれとも調整されてからの入札になるのかが見通しづらい」とし、「まずは日銀会合と債券市場の反応を見たいところ」と述べた。 財務省は17日に20年利付国債の入札を実施する。発行予定額は1兆2000億円程度。前週は8日に実施された30年利付国債の入札好調を受けて、長期から超長期債まで利回りが過去最低水準を付けた。JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長は、「20年債入札は、先週の30年債入札と同じようになるかが焦点。他に買うものもないので一定の需要はあるだろう」と言う。 同省によると、今月の利付国債の償還額は19兆円8519億円、割引短期国庫債券を含めると23兆8029億円に上る見込みだ。 メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「国債の大量償還を控えてプラス利回りのゾーンを買う動きが続く可能性もあり、ボラティリティを高めやすい。今週は20年債入札がポイントで、プラス利回りの買いが強いのか、先週の30年入札を買ったので手が引くのか、その後の流れを大きく左右するだろう」とみる。 前週末の米国債相場は下落。米10年国債利回りは前日比5bp高い1.98%と約1カ月半ぶりの高水準となった。米株相場は上昇し、S&P500種株価指数は同1.6%高い2022.19で終了。この日の国内株式相場は続伸。日経平均株価は1.7%高で引けた。一時は350円を超す上げ幅となった。 日米金融政策見極め 日銀はこの日から2日間の日程で金融政策決定会合を開始。ブルームバーグがエコノミスト40人を対象にした調査によると、今回の日銀会合で追加緩和を予想したのは5人にとどまった。 メリルリンチ日本証の大崎氏は、「日銀会合は現状維持を予想する。マイナス金利導入の効果を見極める必要がある上、このタイミングで追加緩和してもボラティリティにかき消される可能性がある。欧州中央銀行(ECB)に続いて慌てて動く必要はないだろう」と話した。 一方、米国では15、16日に連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。ブルームバーグがまとめた市場予想では、政策金利の据え置きが見込まれている。 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3V46K6TTDS401.html
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