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同じ会社の人同士、なぜ老後資産&年金に数倍の差?投資しないなど「あり得ない」現実
http://biz-journal.jp/2016/03/post_14224.html
2016.03.14 文=山崎俊輔/フィナンシャル・ウィズダム代表 Business Journal
■普通に働く会社員ほど投資をするべき理由は2つある
今回取り上げるテーマは「投資」です。今回特に考えてみたいのは、「投資は会社員に必要なことか」という視点です。
会社員の多くは「投資はズルいこと」「仕事に専念することのほうが大事」と思っているはずです。
前者は誤解です。まともな投資は社会を発展させると同時に自分の懐も豊かにする仕組みです。投資をフェアに行いながらお金を増やしていくことは十分に可能です。
後者は間違いではありませんし、仕事を軽視した投資は避けるべきですが、だからといって投資をしない理由にはなりません。
頭を切り換えてみると、会社員ほど投資を行うほうがいいシンプルな理由が、実は2つあります。その理由を知れば、あなたのお金の置き所を決める選択肢として、投資を組み入れるべきだと考えるはずです。
■賃金は上がらず配当は上がるが、それは株主しかもらえないお金である
私たちの賃金がなかなか上がらない時代です。ようやく賃上げが進む流れかなと思ったらまた株価が下がっているため、今年4月の昇級は微妙な雰囲気になってきました。中小企業の場合だと、ここ数年も据え置きだったという会社も少なくないはずです。
こんなご時世にどんどん会社が払っているのは、「株主への配当金」です。上場企業の配当金は年々増え続けており、2月7日付日本経済新聞によれば、株主の配当利回りは株価に対して平均2.05%だそうです。預金金利が0.025%という世界に、2%です。80倍の金利差ということになります。
もちろん株価が下がればどんな高利回りも価値が下がりますが、企業が配当を下げる傾向はあまりありません。そしてこの配当は「株主」だけがもらえるお金なのです。
このままでは、会社に金を貸して利息を得ている銀行などがさらに配当ももらっていく、ということになります。こうした金融機関は企業の大株主でもあることが多いためです。
私たちは「株主兼会社員」になることで、賃金が伸びなかった分のしわ寄せのひとつを回収することができます。自分の会社の業績が悪い時でも、他業種の業績好調な会社から配当をもらえることもあります。そして、銀行預金より高い利回りを得る資産形成を行うことが可能になるわけです。
■株式や不動産の価値は、賃金や預貯金の利回りより高い
仏経済学者トマ・ピケティの『21世紀の資本』(みすず書房)が昨年ブームとなりましたが、これは格差問題に警鐘を鳴らす書籍と一般に受け止められています。しかし、ファイナンシャル・プランナーの筆者は、むしろ「会社員が投資を行うべき理由を示した書」と受け止めました。
同書が指摘したとおりに、富裕層は株式や不動産を所有し、その上昇率が賃金上昇率を上回ることで格差が拡大することが事実なら、これはこう言い換えることもできるからです。
「同じ会社員同士で、株式や不動産を保有し資産形成に取り組んだ人とそうでない人にも資産格差が生じる」
自己責任で資産運用を行う退職金制度、確定拠出年金(企業型)では、すでに運用格差があることが明らかになっており、老後の受取額は3倍以上に開くものと思われます(詳しくは拙著『誰でもできる確定拠出年金投資術』(ポプラ社)を参照ください)。同じ給与、同じ仕事をしていたはずが、老後の受取額だけ3倍に開くのですが、これは資産運用をしたか、定期預金に塩漬けにしていたかの差です。
長い目でみて、自分の資産の一部を投資に振り向けておけば、そうでない人との資産額の違いが生まれることになります。つまり、「会社員兼投資家」になっておくことは、自分の資産形成の増加スピードを高めることになるわけです。
■資産の一部を投資に振り向けておけば、老後破産から逃れられる
もちろん、財産のすべてを投資に回す必要はありません。むしろ、全財産で投資をするべきではありません。一定の金額を預貯金で残しておくことは財産全体での元本割れの影響を抑えてくれるという重要な役割があるからです。
しかし、同じお金の置き所を考えたとき、投資を除外した会社員には将来大きな経済的格差があり得ることを覚悟する必要があります。
今世紀に入って、投資の条件(投資情報、売買システム、商品設計、手数料や税制等)は個人にとって不利のない水準となってきました。無理をする必要はありません。貯めていくお金の一部を投資に振り向けていくことで、私たちは経済的問題を解決するきっかけを得ることができます。ひいては老後破産から逃れられるチャンスもそこに生まれることになるわけです。
現代の「お金のトリセツ」としては、あなたのお金の一部については投資を行うべきだといえるでしょう。証券会社に口座を持たないことは、これからの時代にもはや考えられません。これはもう、自明のことなのです。
投資のテクニックや口座選びのポイントなどの「お金のトリセツ」については、今後テーマ別に解説していきたいと思いますので、お楽しみに。
(文=山崎俊輔/フィナンシャル・ウィズダム代表)
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