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ECBの金融緩和と限界
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52789410.html
2016年03月11日 在野のアナリスト
東日本大震災から5年。未だに大きな揺れに匹敵する噴火がおきていない。このまま収まってくれるのか。エネルギーを蓄えたままなのか。小幅な噴火、もしくはその兆候だけでエネルギーの放出が終わるのか。安倍首相が自慢げに語るほど、原発周辺地域の復興はまだすすんでおらず、あらゆるリスクに対しても謙虚に、起こる前提で対応を考えていかなければいけないのでしょう。
昨晩、ECBが追加緩和策を打ち出しました。中銀預金金利を-0.3%から-0.4%に引き下げ、利ファイナンス金利を0.05%から0.00%に、限界貸出金利を0.30%から0.25%にそれぞれ引き下げます。資産買い入れ枠を4月から600億€から800億€に引き上げ、高格付けのユーロ建て債券にまで拡大し、買い入れの期限を17年の3月とします。また6月から期間4年で条件付長期資金供給オペを実施します。これらは市場予想を上回る緩和で、一旦はユーロ安株高にすすんだものの、ドラギ総裁の会見での発言で一転、市場はこれを緩和打ち止めとしてユーロ高、株安へと転じました。
「一段の金利引き下げが必要とは思わない」との発言ですが、これだけの緩和策をうちだせば、当面はその影響をみなければいけない。むしろ12月の緩和から3ヶ月で緩和したら、前回の効果への検証はできないことになります。また長期の資金供給オペも含むなど、当面のパッケージはすべて今回で盛り込んだのですから、しばらく金融政策に期待することはできなくて当然です。
しかし今の市場は中銀中毒の状況であって、薬の効果が切れかかるとより強い薬を求め、薬をもうくれなくなると、それだけで悲観してしまう。ドラギ氏が「マイナス幅を望むだけ拡大できるか? NOだ」と述べただけで、中毒患者である市場は失望する。実際、欧州ではこれまでマイナス金利の悪影響を吸収してきた金融機関が、これ以上の引き締めに耐え切れる保証もありません。事実、ドイツ銀はリーマンショック後、発行されたCoCo債とよばれる偶発転換社債の影響で、破綻を意識されて株価が急落するなど、金融機関の弱体化が顕著になっています。
マイナス金利は資金の借り手には優遇でも、貸し手には痛手。金融機関の破綻が相次ぐ、または大手が破綻すれば、その影響は計り知れません。金融政策を実体経済に波及させようとすればマイナス金利は有効ですが、その結果、肝心の金融が弱体化すると資金を貸そうとはしなくなる。結果、資金が回らないということが起こる。いずれにしろ金融政策の限界を露呈しました。
日本では金融政策の限界が主流となれば、金融機関には助かるとして、メジャーSQで大きく下がった株は切り替えした。一部、年金の買い観測もありましたが、SQ通過で愈々、機関投資家も年度末にむけてムチをいれだした、というところでしょう。またECBの追加緩和で、負けじと日銀が緩和に動く、との観測も入った。円買い、株売りに傾けていた層のポジション縮小もあった。ただ、メジャーSQの日にしては異例の、やっと売買代金が3兆円越えという低調は、日本経済への期待が大きく剥落している、それは国内からも、海外からも、ということでもあります。
法人企業景気予測調査も大きく落ちこんだ。マイナス金利で貯蓄から投資へ、という流れを呼びこむつもりが、逆に貯蓄は増える、タンス預金は増える、投資資金は一気に離れてしまった、というのが実体です。日本では黒田日銀総裁が、未だに金融政策の限界を示さず、まだやる、と吹聴しますが、そのたびに投資は先細りになっていくのでしょう。マイナス金利によって、ノルウェーの年金基金が日本国債の持分を大きく減らした、という報もあります。マイナス金利によって日本から逃げだす資金、下手をするとそこで溜まった膿が、いずれどこかで噴出するのかもしれません。金融政策の限界の前に、金融政策の幻覚に酔ったままでは、いずれ死に至る病にかかっていることさえ気づかず、気づいたときには手遅れ、ということもあるのかもしれませんね。
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