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「孤独死が止まらない」復興住宅なのに高まるリスク〈週刊朝日〉
http://www.asyura2.com/16/hasan106/msg/436.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 3 月 10 日 07:28:50: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

田老の山あいに広がる仮設住宅。高台の復興住宅への転居が進んで入居率は半分を切る(撮影/松本創)


「孤独死が止まらない」復興住宅なのに高まるリスク〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160310-00000001-sasahi-soci
週刊朝日  2016年3月18日号より抜粋


「世界一の大防潮堤」で知られた岩手県宮古市田老。5年前の大津波はそれを越えて襲ってきた。根こそぎ流された町の中心部から車で15分ほど。山あいに400戸あまりの仮設住宅が立ち並ぶ。その一室で、一人の男性が遺体で見つかったのは、2014年の大みそかのことだった。

 元市役所職員の59歳男性。住民の通報で駆け付けた警察官が1Kの室内に入ると、古新聞や酒瓶で足の踏み場もない。万年床に倒れていた。死後3日で、死因は「急性心臓死」だった。

「心臓が悪かったわけでねえけども、仮設に入ってから『眠られねえ、眠られねえ』ばかり言ってた。どんどん顔色が悪ぐなって、痩せていって。酒ばかり飲んでねえでちゃんと食べろと言っても『食えねえんだ』って。倒れても電話する力もなかったんだべな……」

 同じ仮設住宅の別棟に住む88歳の母親は、息子の死を半ば覚悟していたかのように淡々と語った。彼の死から4カ月後に訪ねたときのことだ。私は生前の彼と少しだけ面識があった。

 田老で生まれ育った男性は、合併前の旧田老町役場に入り、長く広報を担当して活躍した。

「明治・昭和の大津波で村がほぼ全滅するなど、津波と繰り返し闘い、立ち上がってきた田老の町と人びとの歴史をいつか本に書きたい」

 男性はそんな夢を語っていたが、自分自身が「平成の大津波」に遭遇してしまう。大防潮堤のすぐ内側に立っていた自宅は流され、長年コツコツと集めてきた史料もすべて失われた。

 その落胆もあったのか、津波の約1年後に市役所を早期退職。独りで仮設住宅にこもるようになった。結婚歴はない。町職員時代は広報の仕事に熱心だったが、一匹おおかみ的なタイプで、人付き合いは苦手。兄弟はみんな田老を離れていた。

 孤独を深め、もともと好きだった酒を昼夜分かたず飲むようになった。老いた両親を車で病院や買い物に送り迎えする。それだけが、数少ない外出だった。

 市役所を辞めて数カ月後に訪ねたとき、うつろな表情は、その後を予感させた。

「海に近い元の場所に家を建てたいけど、危険区域に指定されて、できなくなった。高台移転の話が進んでるけど、そこには住みたくねえ。今は様子見だ」

 何もかもあきらめたようなため息に、かすかなアルコール臭が混じる。かける言葉が見つからなかった。

 行政も手をこまねいていたわけではない。市の担当職員や保健師、仮設住宅の支援員は彼の情報を共有し、定期的に訪問していた。食生活の改善や病院の受診も勧めたが、彼自身が受け入れない。そのうち訪問を拒否されるようになった。

 津波ですべてを失い、復興へ変わりゆく故郷を受け入れられず、自ら立ち上がる気力も持てない――。彼のような被災者を、どうすれば救えるのだろう。いや、周囲の助けで生き延びたところで彼は幸せだっただろうか。そんな疑問が頭をよぎる。

 東日本大震災から5年。岩手、宮城、福島の3県では仮設住宅での、いわゆる「孤独死」が増え続け、昨年までに計190人に上ったという(朝日新聞調べ)。ちょうど5年で仮設住宅が解消された阪神・淡路大震災では233人だったから、ある程度は「教訓が生きた」と言えるのかもしれない。

 だが、男性が孤独死の7割を占め、その多くがアルコール依存をきっかけに衰弱死へと向かうパターンは変わらない。災害のショックと仮設暮らしで疲弊を募らせ、生きる気力を失っていく被災者をどう支えればよいのか。プライバシーにどこまで踏み込めるのか。答えは簡単に出ぬまま、東北ではまだこの先、数年は仮設住宅が残るとみられている。(ジャーナリスト・松本 創)
 

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コメント
 
1. 2016年3月10日 09:49:38 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[1003]

別に仮設住宅に限らず、今後、さらに少子高齢化と単身世帯化が進むから、

特に貧困な高齢者の孤独死は、これから普通のことになる

また仮設住宅に5年も住み続けるのは、大体が底辺層だから、高齢の生活保護の人々と同じ程度の高い孤独死率なのも自然な結果だ


ただし高齢者の福利厚生の改善、住宅の効率的な使用という点を考慮すれば、

今後、ある程度、公的なコストをかけても、シェアハウスの普及や、IT化を進めてバイタル情報をスマホから地域の福祉AIに自動通知してモニターし救急と連動する仕組みなどを作った方が

トータルでの国民負担という点でも良いだろうな


2. 2016年3月10日 20:18:43 : qMJY0kUJmA : EGUhcooibMs[1]
仮設住宅自治会会長さんがテレビで「かつては自治会は意欲も連帯感もあった」
「率先して盛り上げてくれる人から転出していった」「残った人に自治会役員を頼んでも引き受けてくれない」

ずいぶん思い切った発言をするなと思ったが、よくよくの事態なのであろうと察せられた

別の番組で、見回り訪問活動をしても会ってくれない世帯がある、などと言っていた
これはもう行政の力が及ばない問題になっています


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