インタビュー:消費増税は物価2%達成が前提=本田参与 [東京 9日 ロイター] - 安倍晋三首相の経済ブレーンである本田悦朗内閣官房参与は9日、ロイターとのインタビューに応じ、2017年4月に予定されている10%への消費再増税は早期凍結が必要との見解を示した。 また、国内経済の現状をみれば、5─7兆円規模の補正予算による経済対策が不可欠と強調。理想論として言えば、消費を活性化する観点から消費税7%への引き下げが望ましく、日銀もマイナス金利と量の「合わせ技」による追加緩和が予想されるとの見解を示した。 <サミット後の消費増税・凍結宣言望ましい> 本田参与は、足元の日本経済で個人消費の回復が鈍い点を懸念。その理由として「2014年4月の8%への消費増税により、実質所得にマイナスの影響が非常に長く続くことが歴然としてきた」と指摘。対策として1)消費再増税の凍結、2)経済対策の実施を提唱した。 日銀は現時点で物価目標2%の達成時期を2017年度前半としているが「物価が2%で安定して推移するには、半年程度の経過が必要」とし、消費増税は17年度末以降への先送りが不可欠との認識を示した。 足元の消費低迷には「来年4月の増税が意識されていることも影響している」とし、増税実施は「延期でなく凍結が望ましい」と主張した。 足元の消費回復のためにも「凍結宣言は早いほうがいい」と指摘。5月に開かれる「伊勢志摩サミット」で内需拡大が共同文書に明記される公算が大きく、その直後に打ち出すのが望ましいとした。 <可能ならば消費「減税」、国債増発で公共投資基金設立> 理想論としては「7%への減税を打ち出せば、国際的に非常に強いメッセージになる」と述べたが、政治的には難しいとの見解も付け加えた。 経済対策については、「需給ギャップが7兆円あり、15年度補正予算で3.5兆円を拠出したことを踏まえると最低5兆円、できれば7兆円の補正予算が必要」とした。 マイナス金利で国債発行費用が低くなっている今こそ「必要ならば国債を増発し、基金を作り公共投資の投資計画に充てる」との試案も例示した。 日銀の金融政策をめぐっては「昨年12月の補完措置と今年1月のマイナス金利導入を踏まえ、次の追加緩和はマイナス金利と量の合わせ技になると想像する」と述べた。 *7段落目の文字を修正して再送しました。 (竹本能文 梶本哲史 編集:田巻一彦) http://jp.reuters.com/article/honda-tax-boj-idJPKCN0WB17B?sp=true 日銀はマイナス金利拡大を当面温存、政策効果見極め=関係筋 [東京 9日 ロイター] - 複数の関係筋によると、日銀は1月に打ち出したマイナス金利政策について、当面は政策効果を見極めつつ、追加のマイナス幅拡大のカードを温存する見通しだ。直接的な狙いである市場金利全般の低下が、順調に進行していると日銀は判断しているもようで、引き続き実体経済への波及を注視する。 内外経済や金融市場の環境が急変した場合は、ちゅうちょなく対応する方針は維持している。 日銀内では市場金利の全般的な低下を受け、マイナス金利の効果は「極めて大きい」(黒田東彦総裁、7日の講演)との評価に収れんしつつある。 一方で、国内の金融機関からは「10年超の国債までマイナス金利になれば、手数料など何らかの形でコストを転嫁したい」(関係者)との声も出ている。 また、金利低下のペースに関して日銀内の一部では、想定よりも速いと受け止める声もある。 一方、システムや実務面などで、金融界のマイナス金利対応は「現在進行形」(ある国内金融関係者)といえる。 9日の国債市場では高値警戒感もあり、長期金利が一転してマイナス0.015%まで「急上昇」するなど、値動きの振幅が大きくなり、長期金利の適正な水準が「わからなくなってきた」(別の国内金融機関関係者)という指摘も出てきた。 日銀は1月29日にマイナス金利政策の導入を決定。声明では、量・質・金利の「3つの次元で緩和手段を駆使して、金融緩和を進めていく」と記述され、「今後、必要な場合、さらに金利を引き下げる」とも明記した。 黒田総裁は「金利面での拡大余地は、十分に存在している」(2月3日の講演)など追加緩和に前向きなスタンスを示した。 市場の一部では日銀が連続的な利下げによるマイナス金利の「深掘り」を実施してくるとの思惑が台頭。8日の市場で長期金利は、過去最低となるマイナス0.1%を記録した。 こうした金利押し下げ効果や、金融界の対応の進捗状況などを踏まえ、日銀は当面、その政策効果と影響を見極めていくことが重要との判断に傾いているもようだ。 黒田総裁は7日の講演で「(マイナス金利政策の)効果が、実体経済にどのように浸透し、波及していくのかを、しっかりと見極めていく方針」と発言した。 もっとも、市場の急激な変動などで物価2%目標の実現が困難となれば、量・質を含めて追加緩和も辞さない考えだ。 (竹本能文、伊藤純夫 編集:田巻一彦) http://jp.reuters.com/article/boj-nirp-idJPKCN0WB136 コラム:試されるG20合意、日銀緩和あるか=岩下真理氏 岩下真理 岩下真理SMBCフレンド証券 チーフマーケットエコノミスト [東京 9日] - 筆者は前回コラムで、年明け以降のリスクオフ相場への処方箋として、次の3つを挙げた。まず、中国が景気対策として具体的な財政出動を発表すること。次に、同国が人民元を安定化させる意向を強く示すこと。そして、日米欧の中央銀行が行動の伴った協調姿勢を明確に示すことだ。 その後、2月下旬に中国・上海で開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、共同声明に「最近の市場の変動の規模は、その根底にある世界経済の現在のファンダメンタルズを反映したものではないと判断」という文言が盛り込まれた。 また、「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得る」という表現を2013年9月以来復活させ、ドル円が1カ月間で121円台から110円台と11円も円高進行した、行き過ぎた動きに釘を刺した。 一方、「金融、財政、構造改革の全ての政策手段を、個別にまた総合的に用いる」と明記することで、金融市場の安定に強い危機感を共有しつつ、今後は当該国が手段に制約なく独自の状況に合わせて行動する指針を示したと言えよう。当面はG20合意に対して、各国の具体策、実効性が試される時間帯となる。 3月に入り、中国の財政出動への期待や産油国の増産凍結を目指す動きを背景に、資源価格やエネルギーの国際価格に底入れ感が出始めている。ただし、いずれの要因も期待先行で、足元の上昇に持続力があるとは言えない状況だ。 中国では、5日開幕の全国人民代表大会で交通網整備などに年2兆元(34兆円)超を投じることが表明された。先行きの明るい材料も、8日発表の2月分輸出が前年比マイナス25.4%と大きく落ち込み(旧正月要因あり)、市場は再び弱気に転じている。内外需の低迷を反映した中国の減速感が徐々に和らぐ姿が待たれる。 他方、ニューヨーク原油先物(WTI)は8日、一時1バレル38ドル台と約2カ月ぶりの高値をつけたが、在庫増懸念も根強く36ドル台まで反落。原油価格の持ち直しは一時的との見方もあるが、産油国が生産協議を始めていること、危機感が共有され始めていることなどから、最悪期は脱しつつあると筆者はみている。 <ECBの追加緩和濃厚、日銀追随の条件は> 3月の日米欧中銀会合で、先陣を切るのが10日開催の欧州中銀(ECB)理事会だ。2月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は前年比マイナス0.2%と原油安を背景に5カ月ぶりにマイナスに転じた。今回ECBは16年の物価見通し(昨年12月時点でプラス1.0%)の引き下げに合わせ、追加緩和措置を講じよう。 市場では、現在マイナス0.30%の中銀預金金利のさらなる引き下げ(マイナス0.40%)予想に加え、現行月600億ユーロの債券購入プログラムの拡大(100―200億ユーロ上積み)が有力視されている。加えて、現在17年3月までの期間も延長されるとの見方もあり、昨年12月時のように市場を失望させない合わせ技になるとみられている。 筆者は、2月19日にコンスタンシオ副総裁が「追加緩和の手段を考える上で、日本やスイスなどが実施しているように、銀行への影響を和らげなければならない」と発言しており、マイナス金利の適用面で工夫の可能性はあるとみている。債券購入プログラムについては、条件設定を修正しつつ、購入額の拡大を予想する。 注目は実際にECBが出した結論に、市場がどう反応するかだ。円高・日本株安が進行するならば、14―15日に金融政策決定会合を控える日銀は金融市場の安定化に向けて、量を出す必要はないか検討する可能性が高まろう。 日銀の1月展望レポートでは、特記すべき3つの分析があった。1)為替の物価に与える影響、2)パート賃金とサービス価格の関係、3)軽減税率の影響と、いずれも物価に関するものだ。特に一番目は円高による物価下ぶれを計量的に説明、為替重視の証左と言える。日銀は物価安定目標2%に向けて、急激な円高進行時には追加緩和を検討するだろう。 そのような状況下、米商品先物取引委員会(CFTC)発表の投機筋ポジションで円の対ドルは1月5日時点で12年10月以来の買い越しに転じ、1月26日時点で5万枚に到達。日銀のマイナス金利導入決定後の2月2日時点で3.7万枚まで減少したが、直近3月1日時点で5.96万枚まで積み上がり、これは12年1月以来の高水準だ。中国当局の対応なくしては、人民元安に伴う円高シナリオは消えそうにない。他方、輸出企業の「実需の円買い」が3月中旬までに一巡すれば、円高圧力の軽減が期待される。 日銀の3月会合はマイナス金利の開始からわずか1カ月、その効果と影響を十分に見極められない状況下、さらなる金利の引き下げは考え難い。まずは3階構造の真ん中に当たるマクロ加算残高、その掛け目をどうするかボードで議論し、決定することになろう。金融機関の仲介機能を損なわないため、低めに抑えてマイナス金利適用部分を小さくすると推察される。 ECBのような物価見通し修正は次回4月展望レポートであり、エコノミスト感覚では日銀シナリオの正念場は4月会合だ。しかし、金融市場の安定化という意味合いでは、4月まで待てない考え方もあり、量と質での対応策を検討する可能性はゼロではない。 筆者は、昨年12月時に決定した補完措置に盛り込まれた「16年4月からの銀行保有株の売却再開」の再延期もありと考えるが、それで足りないと思えば上場投資信託(ETF)購入増額もあり得る。また、日銀幹部が量的限界はないとの主張を繰り返しており、国債増額の可能性も皆無とは言えない。 <冴えない1―3月期の国内経済> 最後に、国内1月指標の滑り出しは冴えない。1月の鉱工業生産は前月比プラス3.7%と3カ月ぶりのプラスだが、1月は正月休みが短く稼働日数が多かったことや、中国の旧正月前の駆け込みなどの一時的要因が貢献した。 しかし、予測指数を見ると、2月の前月比はマイナス5.2%、3月はプラス3.1%。この数字を前提にすると、1―3月の前期比はマイナス0.3%(経産省は誤差調整で2月はマイナス6.4%程度と試算、その前提では1―3月はマイナス1.0%台)とマイナス圏に修正された。 今年の場合、1月に起きた愛知製鋼の工場での爆発事故の悪影響が大きく出た。3月の持ち直しは見えるが、足元の新興国不安を受けて、4月以降の輸出伸び悩み、生産減という形がじわじわと広がれば景気後退も意識されよう。 他方、10―12月期に暖冬の影響もあって弱かった個人消費。供給統計である商業動態の小売業では、1月の10―12月対比はマイナス2.1%。需要統計である家計調査(過去遡及あり)では、2人以上世帯の実質消費支出(除く住居等)の1月の10―12月対比はマイナス0.4%といずれも弱い滑り出しだ。2月は閏日要因があっても、新車販売台数は低迷しており、過度に期待はできない。 以上のように、1―3月期のけん引役が見当たらない状況下、現時点で筆者は前期比年率0.4%とプラス成長予想だが、マイナスになる可能性が高まったのは事実だ。1―3月期の国内総生産(GDP)1次速報は5月18日発表と同月26―27日の主要7カ国(G7)伊勢志摩サミット開催直前となる。政府による景気対策、それも消費面のサポートが必要な材料となりそうだ。 *岩下真理氏は、SMBCフレンド証券のチーフマーケットエコノミスト。三井住友銀行の市場部門で15年間、日本経済、円金利担当のエコノミストを経験。2006年1月から証券会社に出向。大和証券SMBC、SMBC日興証券を経て、13年10月より現職。 *本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。 http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-mari-iwashita-idJPKCN0WB0UY 英国のEU加盟、中銀間の協調の基盤=ECB当局者 [フランクフルト 9日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)当局者は9日、英国の欧州連合(EU)加盟は、英国と域内の銀行監督当局の協調において健全な基盤となっているとの見解を示した。 ECBの監督理事会メンバーであるイグナツィオ・アンジェローニ氏は英ロンドンでの講演で、「このような協調はどんな場合でも必要とされる」とした上で、英国がEUの加盟国であることが、健全な基盤を提供していると述べた。 EU残留の是非を問う英国の国民投票は6月23日に実施される。 http://jp.reuters.com/article/britain-eu-ecb-idJPKCN0WB171 メルケル独首相の支持率が今年最高に上昇 [ベルリン 9日 ロイター] - ドイツのメルケル首相の支持率が、今年最高の水準に上昇した。ドイツでは13日に3州で実施される議会選挙に注目が集まっているが、与党キリスト教民主同盟(CDU)の支持は伸び悩んでいる。 調査機関フォルサによると、メルケル首相の支持率は50%で前回調査から2%ポイント上昇。社会民主党(SPD)のガブリエル党首は13%だった。 ただ、メルケル首相率いるCDUとバイエルン州を支持基盤とするキリスト教社会同盟(CSU)の保守勢力の支持率は35%で変わらず。連立政権の一角を占めるSPDは1%ポイント低下の23%だった。 http://jp.reuters.com/article/germany-election-merkel-idJPKCN0WB0UL EU・トルコの移民送還合意、国連や人権団体は懸念表明
[ジュネーブ/ブリュッセル 8日 ロイター] - 欧州連合(EU)は非正規ルートで欧州に流入した移民や難民をいったんトルコに全員送還することでトルコと大筋合意した。これについて国連や人権団体は8日、国際法に違反する可能性があると警告した。 フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は「国際法に基づく難民保護措置について知らせることなく、ある国から別の国に一斉送還するやり方を深く憂慮している」と仏ストラスブールの欧州議会で述べた。 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、一斉送還は「国外に亡命する権利に致命的打撃をもたらす」と懸念を表明。 国際医療援助団体「国境なき医師団」は、冷ややかで非人道的なやり方だと批判した。 トルコのダウトオール首相は、この案はシリア難民が欧州で合法的な保護を求めるのを妨げるものではない、と主張。「ここでの狙いは、非正規の移民流入を食い止め、EUが受け入れるべきシリア難民をわが国の仮設キャンプにおいて見極めることだ。合法ルートの移民を意に反して送り返すつもりはない」と述べた。 欧州委員会も、この合意は中東などからの大量の移民流入に歯止めをかけるものであり、完全に合法的だと主張した。 メルケル独首相は、13日のドイツ地方選挙を前に移民に対する有権者の不安を和らげる狙いもあり、合意を後押しした。首相は昨年だけで100万人近いシリア人、イラク人、アフガニスタン人らがドイツに押し寄せたが、事態は最終的に正しい方向に進んでいると述べた。トルコが難民を人質に欧州を脅迫した、との見方は否定した。 7日、ブリュッセルで開かれたEU加盟28カ国首脳とトルコのダウトオール首相の会議では、移民の一斉送還とともに、その見返りとして、EUからトルコへの資金支援を増額し、トルコ国民のEUへのビザ(査証)なし渡航を前倒しし、トルコのEU加盟交渉を加速させることでも、基本的に合意した。 移民問題で協力を拡大するトルコの大胆な提案を、EU首脳が受け入れる形となったが、最終的な合意は次回3月17─18日の首脳会議で行う予定。また、調整の必要な点もいくつか残っている。 http://jp.reuters.com/article/eu-t-idJPKCN0WB0KJ ECB、あらためてTLTRO活用も ECBは2014年半ばに融資拡大を目指してTLTROを導入した By TODD BUELL 2016 年 3 月 9 日 22:03 JST 【フランクフルト】見出しに大きく取り上げられることはないかもしれないが、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が10日行う定例記者会見では、かつて危機対策の一つとなったTLTRO(ターゲットLTRO=対象を絞った長期資金供給オペ)への言及の有無に注目する価値がありそうだ。 ECBは2014年半ばに、ユーロ圏の融資拡大を目指してTLTROを導入した。 その仕組みを簡単に説明すると、市中銀行は住宅ローン以外の形で実体経済への貸し出しを増やすほど、ECBからの借り入れも増やせる。6月で最後となるTLTROだが、ユーロ圏経済の再生と銀行業界の回復に向けた取り組みで一役買う可能性がある。 ECBは3カ月ごとにTLTROを実施している。直近の2015年12月に行われた第6回の供給額は180億ユーロ(約2兆2000億円)と、最初の4回の平均だった約1000億ユーロを大きく下回っている。銀行間市場での融資状況が改善し、ECBからの資金調達より好条件となっているためだ。6月の最終回で貸し出される資金は、融資条件の違反で年内の早期返済が義務付けられない限り、2018年9月に償還期限を迎える。 だが金融政策の一部として、TLTROにはまだ将来性がある。エコノミストらは、ECBが新たなTLTROを通じ、長期的に低金利で流動性を支える意思があることを示せるとみている。 ラボバンクのエコノミスト、エルウィン・デグロート氏は「TLTROの延長か、6月のTLTRO終了後に同様の措置を導入すれば、ECBが市場に『長期にわたって流動性を供給する』というシグナルを送ることにもなる」と述べた。 ピクテットのエコノミスト、フレデリック・ドゥクロゼット氏は「3〜4年物のTLTROを今年始めれば、2020年になる。かなり強力な手段だ」との見方を示した。 ドゥクロゼット氏によると、マイナス金利が市中銀行に及ぼす悪影響を緩和するための措置としてTLTROが使われる可能性がある。マイナス金利をめぐっては、収益が損なわれるという銀行からの批判が上がっている。ECBは市中銀行がTLTROで借り入れた資金に対しては、0%以上の翌日物預金金利を適用する可能性もあるという。 ECBのデータを見ると、企業への融資は昨年半ばから伸びており、家計への融資は14年終盤から改善基調にある。ただ当然ながら、これらの好ましい変化の原因がTLTRO、マイナス金利導入による市場金利の低下、全般的な景気回復のいずれか、あるいはその組み合わせにあるのか見極めることは困難だ。
米住宅市場が二極化、低価格物件が人気 このロサンゼルスの住宅は売却希望価格(53万3000万ドル)より約1万5000ドル高く売れた
By JOE LIGHT 2016 年 3 月 9 日 16:08 JST ロサンゼルスにある寝室が2つの家。58万5000ドル(約6600万円)で売りに出されてから1週間で10件の購入申し込みがあり、結局、64万ドルで売れた。 一方、そこから数マイル離れた寝室が4つの家。300万ドル(約3億3800万円)で売りに出されてから1カ月以上、買い手がつかず、ようやく今年1月に275万ドルで売れた。 こうした状況は米国各地で起きている。ブローカーとエコノミストによれば、住宅市場が二極化しており、高級物件の在庫が積み上がる一方で、低価格物件は瞬く間に売れている。 全米不動産協会(NAR)によると、価格が10万ドル未満の販売用住宅戸数は1月に前年同月比で8.6%減少した。一方、100万ドルを超える販売用住宅戸数は15%増加した。 10万〜100万ドルの物件でも同様の傾向が見られる。つまり価格が安ければ安いほど、販売用住宅戸数の伸びは小さい。 エコノミストは、さまざまな要因が二極化を生み出していると指摘する。低価格住宅市場は住宅バブル崩壊からの回復が遅れていたが、一次取得者(初めて住宅を購入する人)がやっと戻りつつある。背景には、住宅ローン金利がまだ低水準で推移していることがあるが、ここ数年、ほとんど新築されなかったため在庫が少ない。 これに対し高級住宅市場は、年初からの株式市場の混乱による影響を受けている。 ロサンゼルスの不動産仲介人、アレック・トラウブ氏は「ある価格帯では、物件を見つけるのが本当に難しい。在庫が限られているのに需要は多い」と述べた。しかし高級物件については、「売れるまでにやや時間がかかるかもしれない」と語った。 関連記事 米住宅市場、投資家の現金買いで新規住宅取得困難に http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-MY721_SQUEEZ_P_20160307193814.jpg 野村、JPモルガンから債券トレーダーやセールス担当者採用−関係者 2016/03/10 00:40 JST (ブルームバーグ):野村ホールディングスは債券トレーダーとセールス担当者数人をJPモルガン・チェースから採用する。昨年ジェフリーズ・グループにチームが移籍し、欠けている中南米クレジットトレーディングの人員を補充する。事情に詳しい関係者が明らかにした。 関係者が匿名を条件に述べたところによると、債券トレーダーのデービッド・マティ、ジェニファー・ウォーランド両氏とセールス担当のアウグスト・ピント、ビニー・メデイロス両氏、コーポレートクレジット担当アナリストのマルセラ・ナジブ氏が今月JPモルガンを離れ、いわゆる「ガーデニング休暇」後に野村に加わる計画。新興市場担当者をさらに採用する可能性もあると、関係者の1人が述べた。 野村の広報担当、ジョナサン・ホジキンソン氏とJPモルガン広報のベロニカ・エスピノーサ氏はコメントを控えた。 野村は中南米の債券チームを再建中で、昨年11月に英バークレイズ出身のカラン・マダン、JP・アルバラド両氏を新興市場担当マネジングディレクターとして採用した。 原題:JPMorgan Traders Said to Leave for Nomura Emerging-Markets Team(抜粋) http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3RY1P6TTDSQ01.html 米最大の年金基金「ESG投資で日本に注目」 議決権を積極行使、年率7.5%の高リターン狙う 2016年3月10日(木)藤田 香=日経エコロジー編集&日経BP環境経営フォーラム 生物多様性プロデューサー 約31兆円を運用する米国最大の公的年金基金カルパース(カリフォルニア州職員年金基金)は、投資先企業の経営に積極的に物言うことで有名だ。年率7.5%の高いリターンを実現するには、環境・社会・ガバナンス(ESG)を投資判断に組み込む「ESG投資」が必要だと言う。カルパースの幹部プリヤ・メイサー氏に、ESG投資と日本株への期待を聞いた。 日本では、約131兆円の公的年金を管理運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が昨年9月に国連PRI(責任投資原則)に署名したことが話題になりました。企業の「環境・社会・ガバナンス(ESG)」の取り組みをみて投資判断をする「ESG投資」が活発化しつつあります。カルパースはこのESG投資で先行しています。どのように資金を運用し、ESGの視点を組み込んでいるのですか。 米カルパースのボードメンバー、プリヤ・メイサー氏 メイサー:私たちは米カリフォルニア州の公務員の公的年金を運用しています。政府や自治体、軍の職員など180万人の年金を管理しており、総額2750億ドル(31兆円)を運用しています。米国で最大規模の公的年金です。投資先は、株式や債券、不動産、プライベート・エクイティ、インフラ。そして少しですが森林と土地にも投資しています。全体の6割を占めるのが株式で、世界の1万1000社に投資しています。
2013年にすべての投資判断にESGを組み込む投資原則を採用しました。ESGは通常、財務パフォーマンスではない「非財務情報」だと呼ばれています。ですが、カルパースはESGを「財務情報」だと捉えています。というのも、環境や社会やガバナンスがしっかりしていない企業は持続可能性が低く、長期的なリスクを抱えるからです。それは私たちにとっても損失につながります。 カルパースは株式をアクティブな形で運用し、年率7.5%という高いリターンを目標に掲げています。企業の財務パフォーマンスに加え、さらにESGの観点も組み込むことでリスクを減らすことができ、運用成績を高めることができるのです。 具体的にどのような手法でESGを組み込んでいますか。 メイサー:4つの手法でESGを組み込んでいます。第1は企業と対話して働き掛ける「エンゲージメント」です。業績の悪い企業や、ESGで著しく問題を抱えている企業を選び、働き掛けを行う手法です。株主総会では議決権も積極的に行使しています。例えば、取締役の人事や問題解決法について投票する前に、私たちは調査結果をウェブ上でも公開して世界に前もって知らせるという方法を採っています。多くの投資家はここまで投資先の情報を精査して投票していないでしょう。しかし、カルパースはそうすることが企業の利益と株主の利益の両方を守ることにつながると考えています。 第2は企業に対して意見を述べる「アドボカシー」です。第3は投資ポートフォリオ全体にESGのことを加味する「ESGインテグレーション」です。2750億ドルの6割はカルパースで運用していますが、4割は外部に運用を委託しています。カルパースには400人の投資マネジャーがいます。彼らは自らで資金を運用するだけではなく、委託先の運用方法やプロセスも監督しており、そうすることでESGインテグレーションを実現しています。 第4はパートナーとの協働です。他の年金基金など70のアセットオーナーとともに、NGO(非政府組織)のセリーズが主導する「カーボン・アセット・リスク・イニシアティブ」に参加しています。このイニシアティブでは、化石燃料に対する政府の規制や競争力などの動向を踏まえた、化石燃料関連企業の価値毀損リスクなどの情報が得られます。その情報を基に、45社の化石燃料関連企業に対して、気候変動リスクを分析して経営計画に反映させるように働き掛けをしています。BPもシェルも対応してくれています。 最近、化石燃料関連企業からの投資を引きあげる「ダイベストメント」が欧米で広がっていますね。カルパースもダイベストしていますか。 メイサー:投資方法としてダイベストは理想的ではないと私たちは考えています。カリフォルニア州には、収入の50%以上を石炭関連事業から得ている企業へのダイベストを奨励する法律があります。こうした企業はカルパースの投資ポートフォリオで2億ドルを占めています。しかし、投資から撤退すれば私たちの声を届けられなくなります。カルパースは対話による働き掛けで企業を変えていくという方針を採っています。受託者責任を考えた際に適切だと判断した時にだけ、ダイベストするようにしています。 ESGを組み込むことで、逆に運用成績にマイナスの影響はないのでしょうか。 メイサー:先ほども話したように、私たちは年率7.5%という高いリターンを目標にしています。私たちは銘柄を自ら選ぶアクティブ運用をしています。それにESGを組み込むことで、企業の倒産などのリスクを減らし、逆に機会を広げることにつながると考えています。財務パフォーマンスもしっかり見て投資し、そこにESGを加味することでさらにパフォーマンスを高めています。特にここ10年は、プライベート・エクイティのリターンが13%強に上っており、それがプラスに働いています。 地球温暖化は世界で大きな問題です。昨年にはパリ協定も採択されました。カルパースは温暖化問題に対処するため、投資先企業のカーボンフットプリントを測定して投資判断に生かしていると聞きました。 メイサー:カルパースは国連PRIに署名しています。PRIは2014年に、主要な機関投資家とともに「モントリオール炭素公約」というイニシアティブを立ち上げました。これはPRI署名の投資家に対し、投資先企業のカーボンフットプリントを調べて開示することを求めるものです。カルパースも署名しました。 このイニシアティブの下で、投資先1万1000社のカーボンフットプリントを計算したところ、わずか80社で全体の50%を占めることが分かりました。驚くべきことでした。化石燃料を生産する企業と消費する企業など6セクターが入っていました。この結果を踏まえて、対話すべき企業に焦点を当てられるようになりました。小売業者などの非化石燃料企業とも積極的にエンゲージをしています。 日本の株価が低迷していますが、カルパースは日本株をどう見ていますか。 メイサー:株式投資のうち最も多いのが米国ですが、2番目は日本です。今年1月末時点で日本株への投資額は126億ドルと全体の4.5%に相当しています。日本はカルパースにとって大きな投資先です。 日本では2014年に金融庁が責任ある機関投資家の諸原則スチュワードシップ・コードを策定しました。昨年には上場企業にコーポレートガバナンス・コードが適用されました。これらの導入を私たちは高く評価しています。 カルパースは毎年、積極的に対話する企業を10社選んでいます。過去5年間は、業績の悪い企業やガバナンスの問題を抱えている企業でした。しかし昨年はテーマを変え、全面的に日本に注目しました。そして日本企業とエンゲージメントを行いました。日本企業は、ESG投資が増えているとまだ実感していないようですが、動きは今まさに始まったばかりです。 http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/230078/030800031/?ST=print
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