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退職金の引き下げは会社員の問題でもある
退職金引き下げ… 会社員も公務員も「老後の収入の3本柱」は衰えを見せている
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160307-00010002-manetatsun-bus_all
マネーの達人 3月7日(月)5時20分配信
公務員には会社員の企業年金に代わるものとして、「職域加算」という制度がありましたが、平成27年10月に共済年金が、厚生年金保険に統合されると同時に、この職域加算は廃止されました。
そのためこれから新たに受給できるのは、統合前の期間(公務員になってから平成27年9月まで)を元に算出された、職域加算のみになります。
この詳細については、以前にマネーの達人の中で、公務員の3階部分の年金に「トリプルダウン」が起きているという記事を書きましたので、興味のある方は参考にして下さい。
職域加算の廃止は公務員に関するものであり、会社員の方にとっては他人事だと思います。
しかし次のように退職金の引き下げは、公務員の問題だけでなく、会社員の問題でもあるのです。
■衰えを見せている「老後の収入の3本柱」
「国家公務員の退職給付の給付水準の見直し等のための国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律」が、平成24年11月16日に成立しました。
これにより国家公務員の退職手当は、次のような3段階を経て、平均で約400万円も引き下げられることになったのです。
【平成25年1月1日〜】
平成24年12月31日時点の退職手当より、平均で約140万円引き下げられます。
【平成25年10月1日〜】
平成24年12月31日時点の退職手当より、平均で約280万円引き下げられます。
【平成26年7月1日〜】
平成24年12月31日時点の退職手当より、平均で約400万円引き下げられます。
この法律が成立したあと、総務副大臣から道府県知事や市長などに対して、地方公務員の退職手当の引き下げを要請する通知が行なわれ、都道府県や市町村などの条例が改正されております。
このような改正が行なわれた背景としては、公務員の退職手当と上記の職域加算の合計が、民間企業の退職金と企業年金の合計より、平均で約400万円も多いということが、人事院の調査によってわかったからです。
・公務員の退職手当と職域加算の合計→2950.3万円
・民間企業の退職金と企業年金の合計→2547.7万円
つまりリーマンショックなどの影響で、会社員の退職金と企業年金が先にダウンして、官民格差を是正するために、公務員の退職手当が引き下げられたというわけです。
例えば厚生労働省が発表している「就労条件総合調査」の中にある、「学歴別退職者1人平均退職給付額」を見てみると、民間企業に35年以上勤務して、定年退職した方の退職金の平均額は、次のように推移しております。
【平成15年】
大学卒(管理・事務・技術職):2612万円
高校卒(管理・事務・技術職):2339万円
出典:平成15年就労条件総合調査結果の概況
【平成20年】
大学卒(管理・事務・技術職):2491万円
高校卒(管理・事務・技術職):2238万円
出典:平成20年就労条件総合調査結果の概況
【平成25年】
大学卒(管理・事務・技術職):2156万円
高校卒(管理・事務・技術職):1965万円
出典:平成25年就労条件総合調査結果の概況
公的年金、退職金+企業年金、自助努力(預貯金、個人年金保険、個人型の確定拠出年金など)の3つを、「老後の収入の3本柱」と表現する方がおります。
このうちの公的年金の機能が、かつてに比べて衰えてしまったことは、新聞や雑誌などがよく取り上げているので、多くの方がご存知だと思います。
しかしその陰に隠れて目立ちませんが、退職金も衰えを見せており、それは会社員も公務員も同じなのです。
老後の収入の3本柱の衰えも全く同じで、2本の柱が衰えているとなれば、もう1本の柱である自助努力で補っていくしかないのです。例えるなら、肌が衰えたらスキンケアや、サプリメントの摂取などで補うのと同じです。
■退職金の金額は就業規則に記載されている
労働基準法などの法律は事業主に対して、退職金制度や企業年金の実施を、まったく強制しておりません。
就業規則やその一部である退職金規程(退職年金規程)などに、退職金や企業年金を支払う旨を記載した場合のみ、事業主の義務になるのです。
そのため福利厚生の充実していない中小企業などでは、老後の収入の3本柱のうち1本(退職金、企業年金)が、そもそも存在していない場合があります。
実際に定年退職を迎えた時に焦らないため、お勤めしている会社は、退職金制度や企業年金を実施しているのか、またそれらの金額はどれくらいになるかを、この機会に確認してみてはどうでしょうか?
それが終わったら「ねんきん定期便」や、「ねんきんネット」などを活用して、自分が受給できる公的年金の金額を確認してみます。
その結果として公的年金、退職金+企業年金だけでは生活できないと思ったら、自助努力というもう1本の柱を、しっかりと構築していきましょう。(執筆者:木村 公司)
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