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3月7日、2017年4月に予定されている消費税率10%への引き上げをめぐり、一部の経済官庁で延期した場合の経済効果や実施した場合の経済への打撃について、非公式に検討を始めた。都内で1月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)9
消費増税の延期、一部官庁で効果の検討開始=政府関係者
http://jp.reuters.com/article/tax-delay-idJPKCN0W812K
2016年 03月 7日 08:37 JST
[東京 7日 ロイター] - 2017年4月に予定されている消費税率10%への引き上げをめぐり、一部の経済官庁で延期した場合の経済効果や実施した場合の経済への打撃について、非公式に検討を始めた。複数の政府関係者が明らかにした。
増税実施の場合、個人消費の落ち込みが大きくなるとの予想も出ており、最終的には安倍晋三首相が5月中旬に発表される予定の16年1─3月期国内総生産(GDP)などを見て判断するとみられる。
複数の政府関係者によると、14年4月から消費税率を5%から8%に上げた際の個人消費の落ち込みを基準に、今回の2%引き上げでどの程度の落ち込みになるか概算。
交渉が進んでいる今年の春闘での賃上げの状況を勘案してみると、消費増税による所得の実質的な目減りを完全に埋め合わせることができない公算が大きくなったという。
また、消費増税の実施1年前の消費マインドについて、各種の統計やアンケートから13年春と現在とを比較してみると、「現在のマインドは相当悪い」(政府関係者の1人)という。
一方、延期した場合の副作用としては、財政健全化への懸念の高まりを想定している。ただ、安倍政権の発足から3年経過し、その間に国と地方の税収が21兆円増加している点に注目。このうち消費増税分が8兆円で、経済効果分が13兆円と試算する。
消費税率2%引き上げ時の税収増は、国と地方合わせて5兆円。この税収増がなくなったとしても、経済成長による税収効果で十分に吸収できると、複数の政府関係者はみている。
他方、年明け以降の国内経済は、消費関連の各種指標が弱めに出ているだけでなく、製造業部門の状況を示す鉱工業生産も1─3月が減産となる可能性が高く、「今の国内経済は、増税の実施には不適切な状況」(別の政府関係者)との声が出ている。
このため、複数の政府関係者は、17年4月の消費増税が延期される可能性が昨年後半よりも高まっているとの見解を示している。
また、中国経済の減速懸念が市場で浮上する度に世界的に株価が乱高下し、企業や個人のマインドを下押しする現象に対し、政府内では強い懸念を持つ関係者が増えてきた。
さらに別の政府関係者によると、政府が1日に公表した「国際金融経済分析会合」の設立も、こうした海外からのマイナスの力をどのように評価すべきか検討する必要性があったことが理由だという。
首相ブレーンとして知られる内閣官房参与の本田悦朗氏は、ロイターの取材に対して「次の消費増税は、日本経済の実状を考えると延期が望ましい」と述べた。
同じく内閣官房参与の藤井聡・京大大学院教授も「政策総動員が打ち出されたG20(20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)声明を踏まえても、消費税引き上げの見送りはその意向に沿ったものだ」と指摘した。
また、政府関係者の一部では、安倍首相が国会の答弁で「私の在任中に憲法改正を成し遂げたい」と述べたことに注目。消費増税の延期を争点にこの夏、衆院を解散して衆参同日選に持ち込み、両院で与党勢力を3分の2超に拡大させ、憲法改正の国会発議を目指す戦略を温めているのではないかとの見方が出ている。
ただ、増税を延期すれば、財政状況の悪化による国債格下げの可能性も不安視されている。格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)の日本ソブリン格付担当、キムエン・タン氏は2日、ロイターとのインタビューに応じ、経済の状況を総合的に見た上で判断するとし、即座に格下げになるわけではないとの見方を示した。
同時に「いかなる規模の刺激策でも慎重に影響を見極めなければならない。現時点では、日本政府は(財政上の)懸念を引き起こすことなしに、経済を支援するのに十分な規模のパッケージを策定できるとは考えていない」とも語った。
安倍首相は3日の参院予算委で消費税率引き上げについて、リーマン級のショックや大災害が起こらなければ「予定通りに引き上げる」と語った。
また、財務省幹部は「今の経済状況がリーマン並みのショックに直面しているという説明は、どうやってもできない。株価や為替の動きだけで、そのように断定はできない」と述べ、増税の延期論を強くけん制する。
政府・与党内にはこうした延期反対論への再反論もある。その典型的な主張が、消費税率を引き上げて税収が落ち込むような経済環境であれば、何のために引き上げるのか意義が問われるとの見解だ。
ある政府関係者は、5月下旬の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)を前にした5月中旬の1─3月期GDP発表の前後が、消費税率引き上げをめぐる判断の時期になると予想する。
最終的には、安倍首相が内外の経済情勢を総合的に判断して、引き上げの是非を決断することになりそうだ。
(中川泉 取材協力:伊藤純夫 竹本能文 梅川崇 編集:田巻一彦)
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