中国人民銀、対通貨バスケットで元の安定維持へ=副総裁 [北京 6日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)の易綱副総裁は6日、当局は人民元を対通貨バスケットで基本的に安定するよう維持していく方針で、人民元の下落が続く根拠はないと語った。
また、当局は外貨準備を適切な水準で維持するとし、非流動的な資産は中国の外貨準備には含まれていないと発言。 「中国の外貨準備の管理は流動性、安全性、収益性の原則に基づき行われている。流動性要件を満たさない資産は政府の外貨準備から完全に差し引かれている」と述べた。 http://jp.reuters.com/article/china-economy-yuan-idJPKCN0W8115 人民元、基本的に安定維持の見通し=人民銀副総裁 北京の天安門広場で100元紙幣の写真を撮る男性 By ROSE YU 2016 年 3 月 7 日 07:36 JST
中国人民銀行(中央銀行)の易鋼副総裁は6日、中国は経済が強く、多額の貿易黒字を計上し、外貨準備も潤沢なため、人民元が下落する根拠はないとの見方を示した。 易副総裁は中国人民政治協商会議の合間に、「元相場は外貨で構成するバスケットに対して基本的に安定を維持するだろう。元相場が下げ続ける根拠はない」と述べた。 中国では、景気減速や金融市場の不安定化を受け、投資家がより高い投資収益を求めて海外に資金を振り向ける動きが広がり、大規模な資本流出が起きている。元は2015年にドルに対して5%下落した。また、中国の外貨準備高は15年末時点で3兆3000億ドルとなり、過去最高を記録した14年6月の3兆9900億ドルから減少している。 広告 そのため、中国政府が景気減速に伴い輸出促進策として元の大幅な切り下げを検討しているのではないかとの懸念がくすぶっている。 易副総裁は「外貨準備高の減少は、われわれの想定の範囲内だ」と語った。資本逃避は起きたものの、中国の消費者や企業が資産の多様化を狙い銀行から(海外資産を)購入した側面が大きかった。 副総裁は中国の外貨準備に非流動性資産は含まれていないとも述べた。 副総裁によると、中国企業・家計のドル建て預金は、1000億ドル余り増えた14年に続き、15年も100億ドル超増加した。さらに、昨年は海外旅行の増加に伴い、国内消費者による国境を越えた取引が総額2400億ドルに上った。 「中国の外貨準備は十分に分散されている」と話した。 関連記事 中国、G20で元安懸念の払拭に努める 中国の準備率引き下げ、人民元高誘導策として不可避か http://jp.wsj.com/articles/SB12092858236623234774304581583471273164778
【今週の債券】長期金利低下か、ECB発のサプライズあるかが焦点 2016/03/07 07:08 JST (ブルームバーグ):今週の債券市場では長期金利が低下すると予想されている。金利がプラスにある超長期債を中心とする買いが継続するとの見方に加えて、欧州中央銀行(ECB)による追加緩和観測から、金利低下圧力が掛かりやすいことが背景にある。 長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバーグが前週末に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジは、全体でマイナス0.08%〜0.00%となった。前週は前半にマイナス0.075%と過去最低水準に並んだが、その後は水準を切り上げ、一時マイナス0.015%と約1週間ぶり高水準を付ける場面があった。 岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「日銀による大規模な国債買い入れや国債大量償還を控えていること、将来的な追加緩和期待と、何か買わないといけない今の債券相場の流れは止まりそうにない」と話した。 ECBは10日の理事会で政策金利を発表し、ドラギ総裁が記者会見を行う。ブルームバーグ調査によると、中銀預金金利を0.1ポイント引き下げマイナス0.4%とすると見込まれている。国債買い入れなど量的緩和を拡大する可能性もある。 ECB理事会について、SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストは、「欧州発の『サプライズ』あるいは『失望』の動きが金利市場にとどまらず、グローバル市場全体に広がるかどうかが注目される」と指摘した。 パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「マイナス金利を深くすると外国人投資家から見て日本国債も魅力的に映るだろう。一方、量的緩和を拡大し、国債買い入れを増額すれば、リスクオンで株高・商品高・円安となり、日本国債にはマイナス要因となりそう」と述べた。 野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「サプライズを起こすには、ECBが日銀型の階層別の準備預金を導入し、利下げ幅を大きくすることや、国債買い入れペースを引き上げるなどが必要だろう」とみている。 30年債入札と5年債入札 財務省は8日午前、30年利付国債の価格競争入札を実施する。発行予定額は前回債と同額の8000億円程度。償還日が前回の49回債より3カ月延び、回号が新しくなる。入札前取引で30年物は0.7%台後半で推移しており、表面利率は前回債の1.4%から0.8%と、2003年5月のこれまでの過去最低水準の1.1%を下回る見込み。 SMBC日興証の森田氏は、「先週の劇的な10年超フラットニングを受けての30年債入札では、投資家需要が抑制されていったんの調整のきっかけになるのか、それともプラス金利ゾーンへの長期化の動きがまだ終了しないことを確認することになるのか、カーブ変動では大きな分岐点となるかもしれない」と指摘した。 10日には5年利付国債の価格競争入札が予定されている。発行予定額は前回債と同額の2兆5000億円程度。表面利率は0.1%に据え置かれる見込み。 予想レンジと相場見通し 市場参加者の今週の先物中心限月、新発10年物国債利回りの予想レンジと債券相場見通しは以下の通り。 *T ◎DIAMアセットマネジメントの山崎信人上席ファンドマネジャー先物3月物=151円70銭−152円40銭10年物国債利回り=マイナス0.08〜マイナス0.02% 「円債市場は基本的に需給要因が大きい。超長期債への需要がどこまであるのか分からない。需給面では30年債と5年債の入札が鍵を握るとみている。マイナス利回りの年限を喜んで買う人はいないが、買い遅れている人がいるのも事実。週末に調整がないまま迎えたので、高値波乱の入札になる可能性もある。市場が薄いので値動きが大きくなりやすい。プラス利回りの年限でも金利水準が低いので高値圏で振れの大きな展開か」 ◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト先物3月物=151円50銭−152円30銭新発10年物国債利回り=マイナス0.08%〜0.00% 「超長期債がどこまで買われるかという相場。リスクオンの流れになっても、売られたところは買いたい人が多い。30年債入札は水準の試金石になる。金利があるうちに買わないといけない恐怖感が相場を支えているとすれば、いずれ20年債利回りがゼロ%になっても不思議はない。マイナス利回りの債券に対する需要は弱く、年度末の利益確定売りで上値重い。5年債入札はECBの緩和期待もあり、問題なさそうだ」 ◎アムンディ・ジャパンの浜崎優市場経済調査部長先物3月物=151円50銭−152円25銭新発10年物国債利回り=マイナス0.06%〜0.00% 「長期金利はじりじりと上昇方向か。20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の声明は当初内容がないと評価されなかったが、景気対策期待から株価が上昇トレンドとなり、金利の押し上げ要因となっている。マイナス圏での推移が続くものの、徐々にゼロ付近に向かっていくのではないか。ECB理事会では、G20声明で金融政策に頼り過るのは限界などと指摘したこともあり、市場で期待されている大胆な追加緩和が出なくても、失望とならない可能性がある」 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3IDIQ6KLVRM01.html 全人代など注視、ECB緩和で動揺沈静化も=今週の東京株式市場
[東京 7日 ロイター] - 今週の東京株式市場は、欧州中央銀行(ECB)理事会や中国全人代など海外の政策イベントを見極める姿勢が強まるとみられている。 メジャーSQ(特別清算指数)算出など需給面での波乱も警戒される半面、ECBが事前に示唆したように追加緩和に踏み切れば、年初から続いた市場の動揺がさらに沈静化に向かう可能性もある。 日経平均の予想レンジは1万6500円─1万7500円。 日経平均.N225は前月末から4営業日で988円高。率にして6.1%と急ピッチな上昇となっている。原動力となったのは落ち着きを取り戻しつつある原油相場。主要産油国による増産凍結への期待感を支えに、米原油先物は直近では下げ止まりの兆候がみられている。 4日発表された2月米雇用統計は、非農業部門の就業者数が市場予想を大幅に上回ったものの、時間当たり賃金が減少するなど米連邦準備理事会(FRB)による早期利上げ観測が強まる内容ではなく、株式市場にとっては良い結果だった。 国内は今週末がメジャーSQ算出日となり、需給要因で指数が上下に振れる展開も予想されている。裁定買い残が減少するなかで相場は戻り歩調にあり、「売り仕掛けも出にくい」(国内証券)との見方もある。とはいえ、原油相場が再度下値を模索すればリスク回避ムードは再燃しかねず、神経質な地合いは継続しそうだ。 10日にはECB理事会とドラギ総裁の会見が予定されているほか、翌週には日銀の金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)も控えている。まずはECBの判断に注目が集まるが、「金融緩和をすでに市場は織り込んでおり、失望リスクへの警戒もある」(国内証券)との声も聞かれる。 一方で「G20以降、景気対策を優先させるというのが世界的なコンセンサスとなってきた」(アムンディ・ジャパン市場経済調査部長の濱崎優氏)との見方もある。財政政策面での各国の協調姿勢への期待感が継続すれば、相場の下支え要因となりそうだ。 5日からは中国で全人代も始まった。李克強首相は第13次5カ年計画で、2016年から20年までの年平均成長率目標を6.5%以上にすると表明した。財政政策では、国内総生産(GDP)に対する財政赤字の比率を前年の2.3%から3%に拡大する。市場の反応が注目される。国内では8日に2月景気ウォッチャー調査、11日には1─3月期法人企業景気予測調査も発表される予定となっており、景気動向を精査する週にもなりそうだ。 (株式マーケットチーム) http://jp.reuters.com/article/stx-week-idJPKCN0W811P 政策金融公庫が5年ぶりCLO、リーマンで信用喪失も利回りに妙味 2016/03/07 00:00 JST
(ブルームバーグ):日本政策金融公庫は、5年ぶりのローン担保証券(CLO)を3月下旬に発行する。2008年のリーマンショックの影響で日本でもCLOは信用を失い発行がほぼ途絶えていたが、組成ニーズが盛り返してきた。日本銀行のマイナス金利政策で中・長期国債の利回りがマイナス圏に沈む中、相対的に利回りの高い金融商品として市場関係者は注目している。 政策金融公庫は、地方銀行や信用金庫などの無担保ローン債権121.6億円を裏付けとして、優先債60億円とシニア劣後債(公庫保証付き)15億円を3月下旬に発行する。ともに19年4月償還。ムーディーズ・インベスターズ・サービスによる格付けは優先債がAaa、シニア劣後債がA1。同公庫証券化支援グループ長の矢ア荘三氏によると発行利回りは3カ月TIBOR(4日時点で0.9909%)にスプレッドを上乗せして、3月中旬に決める。 同公庫は、金融機関が中小企業に無担保でも融資しやすくするため、ローン債権を買い取り04年からCLO組成を開始。しかし、米国でサブプライムローンなどを組み込んだ証券化商品の債務不履行が相次ぎ、世界金融危機の引き金となった結果、日本でもCLO発行が困難になった。公庫は11年3月に発行を一時再開したが、東日本大震災で信用保証制度が拡充され、組成ニーズが後退。矢ア氏によると現在は保証制度の縮小に伴い、金融機関の債権売却ニーズが盛り返している。 野村証券の証券化アナリスト、山下彰氏はCLOの金利水準について、裏付け資産がどれぐらいの金利を出せるか次第とした上で、「中小企業が対象であれば、金利がすごい低いというわけではない」と指摘。新生証券の江川由紀雄調査部長も、「マイナス利回りの国債を買うよりも、プラス利回りの社債が出てくるということで投資家にとってはありがたい。需要は集めやすい環境だ」と話す。 投資家フェイバー 日本証券業協会の参考値によれば、日本格付研究所がAAA格を付与した年限3年の社債平均利回りは3日時点で5.4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)。11年3月に発行されたCLOの条件は、3カ月TIBOR(当時34bp)+0.5%の0.84%だった。 一方、日銀が1月の金融政策決定会合で、日銀当座預金の一部に0.1%のマイナス金利適用を決定したのを受けて、国債利回りは一段と低下し、4日時点で年限10年以下は全てマイナス金利に陥っている。 CLOを発行する同公庫にとっては、ローン債権から得る金利収入と投資家に払う金利との差が利ざやとなる。大和証券の松下浩司チーフ証券化ストラテジストは、「公的金融機関である政策金融公庫はさや抜きする必要性がない」と述べ、この点からも「投資家フェイバーな発行条件になりやすい」としている。 リスク その半面、大和証の松下氏は、5年ぶりの発行のため投資家もより慎重な精査が必要だとして、「発行時のスプレッドも少し厚めから入らざるを得ない」との見方を示す。具体的なリスクとしては、過去のCLOでは裏付けとなるローン債権で「貸し倒れが当初想定を大きく超えるペースで進んだ」ことや、融資先について「一般論として地域の分散があまり効いていない」ことを挙げた。 ムーディーズは、08年の金融危機と景気後退の影響を受けて裏付けとなった貸出債権で支払い不履行などのクレジットイベントの発生率が予想を超えて上昇したとして、09年には複数のCLOを格下げしていた。 同公庫の矢ア氏は、今回のCLOについて「リーマンショックなどの経緯もあり証券化商品に対する不安感があるので、より劣後を厚くして安心して買ってもらおう」と考えたと話す。裏付け債権121.6億円に対し、優先債は60億円と約半分にとどまり、残りは保証付きシニア劣後債15億円と公庫が引き受けるミドルリスクのメザニン債43億円から成る。同氏は「メザニンとシニア劣後のリスクはわれわれが負っていく」と説明する。 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3E1FN6K50YM01.html 日本株魔の2月から脱出、安値反発力は先進国トップ−持続に疑心暗鬼 2016/03/07 00:00 JST (ブルームバーグ):2月にリーマン・ショックのあった2008年以来の下げを経験した日本株が急速に戻し、直近安値からの反発力は先進国でトップだ。年始からの株安を招いた海外経済に対する懸念、欧州金融機関への信用不安が薄れ、世界の景気敏感株としての日本も見直されている。しかし、円高進行を通じた来期企業業績への警戒感は残り、上昇の持続性を疑問視する投資家は少なくない。 TOPIXは2月12日に1年4カ月ぶりに1200ポイントを割り込んだ。その後3月4日までの上昇率は15%となっており、世界93の主要株価指数の中では同期間に21%上がったトップのギリシャをはじめ、ブラジルやアルゼンチン、ロシアに次ぐ上昇率上位。先進国市場では、イタリアの11%を抑えトップに立つ。 ベアリング・アセット・マネジメントのマルチアセット戦略責任者、キエム・ドゥ氏(香港在勤)は、「われわれはまだ日本のファンダメンタルズを好感している。日本は最も利益を生む市場の一つ。円相場次第の面はあるが、マイナス金利の下で円安に向かうだろう。それは企業収益にとっても良いことだ」と言う。 2月のTOPIXは134.22ポイント、9.4%下がり、月間下げ幅は世界的な金融危機に見舞われた08年10月(220.29ポイント)以来の大きさを記録した。原油価格の下落や中国経済の減速からマクロ経済への不安が広がり、グローバルに株式市場は年始から下落。特に日本は、米追加利上げ観測の後退で為替が2月初めの1ドル=121円台から11日には110円99銭と14年10月以来のドル安・円高水準に振れたことが嫌気され、2月までのTOPIXの年初来下落率は16%とドイツDAX指数の12%、米S&P500種株価指数の5.5%と比べ下げが大きかった。 ここへきて、一時1バレル=20ドル台に下がったニューヨーク原油先物が30ドル台へ戻し、米経済統計も供給管理協会(ISM)による製造業景況指数が49.5と好不調の分かれ目である50を依然下回るが、昨年9月以来の水準に回復してきた。クレディ・スイス証券の株式営業部ディレクター、ステファン・ウォラル氏は「確かなことは2月末から米経済指標が予想を上回ってきている。1週間前は米国のリセッションの可能性を深刻に考えていたが、そのリスクが薄れてきた」と指摘する。 国内政策期待、需給データも心理好転に一役 マクロ景気への不安が後退した背景には海外要因だけでなく、国内発の材料もある。安倍晋三首相は1日、日本が議長国となる5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)について「現下の世界経済の情勢が間違いなく最大のテーマとなる」とし、「議長国として責任を果たしていくためにも国際金融経済分析会合を開催する」と表明した。市場の一部では、首相周辺での消費税増税の延期発言や有識者会合の設置を受け、増税延期と衆院解散が決まった14年11月との類似性を指摘する声が出ている。 株式需給のデータも、下値不安の後退に一役買った。東京証券取引所の投資部門別売買動向によると、年金基金の動向を含む信託銀行は2月に日本株現物を9501億円買い越し、買越額は08年12月以来の高水準を記録。2月は個人投資家、事業法人、投資信託など国内勢が買い越す半面、海外投資家は2カ月連続で売り越し、売越額は1兆9983億円と史上最高だった昨年9月以来の多さに膨らんだ。 メリルリンチ日本証券の阿部健児株式ストラテジストは、2月中旬以降の日本株反転について「自社株買いも好感された。信託銀行の買いが続き、年金の買いも入っている。通常は外国人が買うと上昇するため、国内勢の買いで日本株が上がったのは珍しい」とみる。 その海外勢も、1月は先物でも1兆1551億円売り越したが、2月は7664億円の買い越しに転換。大和証券の吉田亮平ストラテジストは、「先物で売りポジションを取っていた投資家が解消しにいく動きが出ている。相場のトレンドが変わってきた兆候として出てきているなら、ポジティブな見方ができる」と言う。売り方の買い戻しは東証の空売り比率でも確認でき、4日時点で36.6%と直近最高の2月29日の42.6%から急低下している。 最悪期を脱したとの見方から投資家の間で買い意欲が戻り始めており、TOPIXは4日の取引で昨年11月以来の4連騰を記録、チャート分析上は昨年12月以降の上値抵抗線となっていた25日移動平均線を約3カ月ぶりに完全に上抜けた。欧米市場に比べた割安感にも目が向き始めている。ブルームバーグ・データによると、TOPIXの予想PERは14.3倍と米S&P500の16.7倍、ストックス欧州600の15.2倍より低い。大和住銀投信投資顧問・経済調査部の門司総一郎部長は、「年初から見れば、株価はまだ低く、上昇余地はある。日本株は3月から4,5月まで上昇パターンが多い」と話す。 きわどいリスクオン、円高警戒根強い ただし、ソシエテジェネラル証券の杉原龍馬株式営業部長は、「きわどいバランスでリスクオンになっている。これで買いだとは言うのはまだ難しい」との認識だ。みずほ信託銀行の浅岡均シニアストラテジストも、「海外の景気後退に対する懸念、原油や人民元の動きなどの要素は不透明感が残る、安定化はしてきたが、一気に円安が進み続けられる状況ではない」と為替の先行きをシビアにみている。 2月下旬に上海で開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、共同声明で為替に関する文言を約2年半ぶりに復活させ、通貨安競争の回避などに言及した。日本銀行にとって、国際社会から一段の円安誘導と受け取られかねない政策は打ちづらくなりつつある。 JPモルガン・アセット・マネジメントの重見吉徳グローバル・マーケット・ストラテジストは、「企業業績の下方修正もこれからまだ出てくる可能性が十分想定される。まだまだ本格的に業績が戻り、株価が上がるという見方をしている投資家はいないだろう」と指摘した。 日銀の昨年12月の企業短期経済観測調査(短観)によると、大企業・製造業の15年度想定為替レートは1ドル=119円40銭。4日午後3時時点(113円85銭)は、想定から約5%円高水準にある。三菱UFJモルガン・スタンレー証券のまとめでは、東証1部上場企業(金融除く)の16年3月期経常利益は前期比5.6%増の見通し、昨年12月末時点から3ポイント下振れた。17年3月期はアナリスト予想ベースで現状8.9%増の見込みだが、1ドル=110円割れが定着する場合、下方修正が意識されるとしている。 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3GGEH6JTSE901.html
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