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[ポジション]米国債売却は非常時対応? 日本、外貨準備を預金へシフト
新興国のドル調達支援も
政府が外貨準備の運用を米国債からドルなどの預金に切り替えているとの見方が出ている。日本勢が保有する米国債は15年12月時点で1兆1225億ドル(約126兆円)と、ピークの14年11月から9.6%減った。一方、外国の中央銀行などに預ける外貨準備はほぼ同額増えた。米利上げでドルの調達コストが増えている新興国や邦銀の「非常時」に備え、政府が支援体制を整えているとの臆測も飛び出している。
「日本の米国債保有高が減り続けているが、狙いは何か」。ある日銀ウオッチャーは、ニューヨークなどにいる市場関係者からたびたび質問を受けるという。
米財務省によると日本勢の国債保有額は14年11月から15年12月にかけて1190億ドル(約13兆円)減った。この統計は邦銀など民間投資分も含むが、日本の財務省が公表する外貨準備の運用状況をみると、ほぼ同時期にあたる14年11月から16年1月に米国債を含む外貨建て証券の保有額は1264億ドル、率にして10.6%減少している。
代わって増えたのが海外中銀や国際決済銀行(BIS)への預金だ。同じ期間に1168億ドル増えた。外貨準備に占める外貨建て証券の比率は94%から86%に低下し、海外中銀などへの預金の比率は0.6%から9.9%に上がった。
2つのデータをつき合わせると、日本政府が外貨準備の運用を米国債から預金に切り替えている様子が浮かび上がる。
背景について市場では様々な臆測が飛び交う。1つは米短期金利の低下をうけ、預金に切り替えたとの見方だ。償還までの期間が3カ月の米国債金利は一時マイナスに沈んだ。ただ、昨年12月の米利上げを機に上昇基調にある。みずほ銀行の唐鎌大輔氏は「ここ数カ月も米国債の保有を減らしているので、短期金利の低下は理由として不十分」と指摘する。
より説得力がありそうなのは、新興国や邦銀のドル調達を支援するためにドル預金などの保有を増やしたという見方だ。
新興国は米利上げで緩和マネーが流出。自国通貨の下落でドル建て債務が膨らんだ企業などが資金調達で苦慮している。クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司氏は「新興国との通貨スワップ(交換)協定に基づき、ドルを貸与している可能性がある」と語る。ドル調達コストは邦銀もかさんでいる。
財務省は運用の変化について「個別の内容には答えられない」としているが、政府が世界的な金融市場の混乱に備え、迅速に危機対応できるように預金保有を増やしている可能性が浮上する。
昨夏以降、中国は資本流出への対応で人民元買いの為替介入を繰り返してきた。米国債の売却で原資を賄ったともみられた。米財務省によると、中国勢が保有する米国債は15年8月からの4カ月間で1.9%(244億ドル)減った。ただ同期間の日本の米国債の減少幅は6.2%(745億ドル)とこれをしのぐ。
新生銀行の政井貴子氏は「日本と中国という二大保有国が減らし続ければ、将来的に米国債の利回りの振れ幅が大きくなると意識する市場参加者が出てくるかもしれない」と読む。
(川手伊織)
[日経新聞3月1日朝刊P.19]
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