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経済学では、インフレ抑制の処方箋は金利引き上げと説明され、デフレ脱却のためには金利を引き下げたほういいといった説明がはびこっている。
しかし、ちょっと考えればわかるが、他の諸条件を考慮せずに、金利と物価変動についてそのような説明は成り立たない。
まずデフレは、需要が低迷している状況を含意している。
供給主体(企業)にとって利払いはコストであり、金利引き下げは利払いコストの低下を意味する。
コストの低下は、販売価格を下げても利益は維持できることを意味するから、ものが思うように売れない経済状況では価格を下げる動きにつながる。つまりデフレが進行する。
だからといって金利を引き上げると、設備投資や住宅投資がさらに低迷するので、財政出動や税を通じた所得再分配政策で需要の少しずつ増加させていくしかない。
設備投資など固定資本形成が持続的に増加し輸出も持続的に増加するようになったら、デフレから脱却と言える。
なお、転載する記事のメインテーマである「予想インフレ率」は、インフレ状況では意味のある指標だが、デフレ状況では意味がない。
また、中央銀行と金融機関の間で設定されているマイナス金利や「量的金融緩和政策」下の国債マイナス金利は、この問題にとって、間接的に市中の金利を低下させるという意味を超えるものでははない。
次はインフレだが、インフレは需要旺盛もしくは供給力不足という経済状況である。
前述と同じ論理で、金利の引き上げは利払いコストを増大させるので、販売価格をさらに引き上げて利益を確保しようとする動きを誘発しインフレを昂進させることになる。
インフレ抑制の処方箋は、悪性インフレ(実質所得が減少)なのか良性インフレ(実質所得は増加)なのかで変わる。
いずれの場合も、金利を低くしたほうがインフレの抑制につながるが、低金利が貸し出し増加につながるとインフレを昂進させるので、貸し出し規制(マネーストック抑制)を行う必要がある。また、インフレ率を大きく下回る預金金利も、貨幣保有者にものの購入に向かわせインフレを促進するので注意が必要。
(金利引き上げと貸し出し増加(信用創造の放置)が同時進行するような政策は、インフレ抑制策として最悪。それはインフレ昂進策となる)
悪性インフレは、設備投資の増加を図り供給力を増強することが抑制の最重要課題である。なお、設備投資の増加は短期的にはインフレ要因だが、高所得者増税や財政支出抑制でしばらく耐えるほかない。
良性インフレは、国際決済手段の確保(他の国とインフレ率の差が問題だが外国為替レートが自国通貨安になる可能性)や中長期的な供給力過剰(ないし資産バブル)を問題にしなければならない経済事象で、過大な設備投資や資産バブルにならないよう貸し出しを抑制する。金利については、預金金利がインフレ率から大きく下回らないようにすればいい。
ともかく、物価変動の制御について、金利政策を第一義的なものと考えるのは誤りである。
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Business | 2016年 03月 3日 13:16 JST
焦点:中銀のマイナス金利、インフレ予想低下させ逆効果か
3月2日、先進各国の中央銀行が、物価上昇期待を呼び起こそうと相次いでマイナス金利政策を導入しているが、かえって物価予想を押し下げ、逆効果を招いている可能性がある。写真はECBのロゴ。フランクフルトで1月撮影(2016年 ロイター/Kai Pfaffenbach)
[ロンドン 2日 ロイター] - 先進各国の中央銀行が、物価上昇期待を呼び起こそうと相次いでマイナス金利政策を導入しているが、かえって物価予想を押し下げ、逆効果を招いている可能性がある。
欧州中央銀行(ECB)や日銀、またスイス、スウェーデン、デンマークの各中央銀行はいずれもマイナス金利政策を導入し、必要が生じればさらに引き下げると表明している。
しかし将来の予想インフレ率を引き上げるのが目的だとすれば、その効果は発揮されていない。それどころか、マイナス金利自体が問題を引き起こしているのではないか、と懸念する声が勢いを増している。
第一に、マイナス金利は銀行の利ざやを圧迫して貸し出し意欲を失わせる上、預金手数料を避けるためキャッシュを抱え込むよう促すことになるため、金融市場では不安心理が高まった。
ピクテト・ウェルス・マネジメントの資産配分統括、クリストフ・ドネイ氏は「良かれと思って実施したことが地獄への道を敷くことになった。日銀とECBによるマイナス金利政策の導入は、銀行の収益性への打撃を通じてデフレ懸念に火をつけ、意図と正反対の結果を招いた」と言う。
しかし、視界を曇らせ、政策が事故を誘発することへの懸念を引き起こした要因の中には、もっと技術的な歪みもあるのかもしれない。金利と債券利回りがマイナスに沈むと、予想インフレ率の指標も一緒に下がり、金融政策は自らの尻尾を追う結果になりかねないからだ。
一つの問題は、予想インフレ率という曖昧な世界を中銀がどう解釈するかだ。また、国債市場の指標を通じて予想インフレ率を見通すことが、名目金利がマイナス化した今でも有効なのかどうか、という疑問も持ち上がっている。
通常の国債利回りから物価連動国債の利回りを差し引いた「ブレークイーブン」インフレ率が、その指標だ。
ECBがかつて好んで注目していた「5年後の5年間のブレークイーブン・フォワード・レート」は、2020年から25年までの平均インフレ率を予想するものだが、この指標はECBがインフレ率を目標値まで引き上げられそうもないことを示している。
<ECBの能力に疑問>
ECBが昨年12月に当座預金金利のマイナス幅を深くして以来、この指標は約45ベーシスポイント(bp)下がって今週は一時1.36%となった。
パイオニア・インベストメンツのシニア・ポートフォリオ・マネジャー、Semin Soher氏は「いつまでたってもECBはインフレを生み出せないのではないかと、市場は疑っている」と指摘。ユーロを押し下げられていないことと、ECBの政策が積極性とスピードを欠いていたとの評価が、その背景にありそうだと話した。
しかしPIMCOの最高投資責任者、スコット・マーサー氏は、物価連動国債そのものに歪みが生じている可能性があると言う。名目利回りがゼロ近辺、あるいはマイナスに下がると、利回りの構成要素であるインフレ部分と実質利回り部分がともに押し下げられるからだ。
「人々は、実質金利の部分だけが下がり、インフレ部分は不変だと考えがちだが、そのようには動いていない」とし、長期の投資家がマイナスの実質利回りに耐えられるのは限度があると説明した。「名目利回りを継続的に押し下げることにより、市場に織り込まれている予想インフレ率を押し下げていることになる」という。
こうして債券利回りを構成するすべての要素が下がり、中央銀行がそれに機械的に反応すると、負のスパイラルが形成されるとマーサー氏は指摘。「仮に実体経済の参加者が債券市場を見ることがなかったとすれば、彼らの予想インフレ率は下がらない可能性が非常に高い。しかし中央銀行自体が(債券市場の予想インフレ率指標に)執着しているため、実体経済参加者も債券市場が織り込む数字へと常に注意を喚起されている」と述べた。
ユーロ圏には衆目の一致する家計の予想インフレ率指標が存在しないが、他国のサーベイを見ると、家計の予想も市場の指標とほぼ一致した動きを示している。
一方、一部アナリストの見方では、デフレ環境ゆえに物価連動債の需要が乏しいことそれ自体が、市場の予想インフレ率指標を押し下げている可能性もある。この結果、市場は足元の月次インフレ率をせっせと織り込むだけになる。
HSBCのインフレ・トレーディング担当グローバル統括、ダリウシュ・ミルフェンデレスキー氏は「過去5年間、ブレークイーブン・インフレ率の最も正確に予想してきたのはスポットのインフレ率だ。フォワード・ルッキングならぬバックワード・ルッキングという、奇妙なことになっている」と話した。
(Mike Dolan and John Geddie記者)
http://jp.reuters.com/article/ecb-idJPKCN0W50B6?sp=true
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