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[ポジション]金、中長期マネー主役 現物市場に年金・中銀の買い
ETF残高増、強気広がる
金市場への資金流入の動きが強まっている。これまでは短期売買のヘッジファンドが先物市場で相場形成を主導した。今は中長期の運用を目的とした年金関連ファンドなどの資金が現物市場に流れ込み、相場を上向かせている。市場の主役が交代した格好だ。現物に裏づけされた上場投資信託(ETF)の残高が大幅に増え、強気論が勢いを増している。
現在、国際指標となるニューヨーク先物相場は1トロイオンス1240ドル近辺を動き、年初からの上昇率は15%に達した。アフガニスタンにソ連軍が侵攻して「有事の金」が買われた1980年以来となる急騰相場になった。
年初以降、株価の乱高下や米国の追加利上げ観測の後退、日銀のマイナス金利政策の導入など強材料が重なった。資金が安全資産といわれる金の市場に逃避し相場が上昇した。足元で金融市場が落ち着きを取り戻すなかでも金相場は下がらない。これまでとは雰囲気が違う。
2月19日と週明けの22日、ETFの代表銘柄であるSPDR(スパイダー)ゴールド・シェアで38.66トンの金が買われた。米市場で株価が上がっていくリスクオンの局面で金が買われた。2営業日での増加幅としては2010年5月以来のことになる。
両日とも19.33トンずつの残高増。全く同じ量で高水準の買いが2営業日連続で入ったことは過去にほとんど例がない。「何かが動いている」と話すのは金融・貴金属アナリストの亀井幸一郎氏だ。
金の現物を証券化したETFは個人だけでなく中長期的な運用を目指すお金が流れ込む。金市場の潮目の変化を印象づける2日間のETFによる現物買いは米国ファンドによる株式市場からの資金移動という臆測が飛び交う。SPDRの総残高は760トンになり、1年間で流出した資金がほぼすべて戻ってきた。
ETF残高が急増するのと、ほぼ同じタイミングでロシアの中央銀行が20日、金を1月に22トン購入したことを明らかにした。原油相場の下落やルーブル安に苦しむなか、金を淡々と積み上げている。中国人民銀行も国内景気が減速しても毎月、20トン弱の金を必ず買う。中ロの中央銀行は金市場にとって今では世界最大級の買い手。市場で台頭する強気論の背中を押す。
金相場は、これまで先物市場で短期売買をするファンドが形成してきた。今はじわりと現物の動きが相場をコントロールしている。「投資家の心理が今年に入って百八十度転換している。春には1300ドルに届く可能性もある」とICBCスタンダードバンクの池水雄一東京支店長は話す。
軟調が続く商品市場で金相場の強さは際立つ。普段は連動して動くはずのプラチナ(白金)が金の勢いについていけない。本来、プラチナのほうが高価だが、今では金のほうが1トロイオンスあたりで300ドル以上高い。過去最大の値差に広がった。
ただ、金の大消費国である中国の需要はさえない。中国国内の金買いの勢いを計る上海市場の相場は今年になって国際相場を下回ることが多い。年初以降、平均で3ドル超の割安相場になった。15年は年間平均で2ドルほどの割高に振れていた。景気の減速感が強まる中で国際相場の水準が切り上がったことが、金の需要を冷やしている。
中国の投資家の姿がかすむなかでも金の強気論は収まらない。金相場は中国の需要鈍化という弱材料をかき消しながら一段高の様相を帯びてきた。
(筒井恒)
[日経新聞2月27日朝刊P.19]
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