http://www.asyura2.com/16/hasan106/msg/175.html
Tweet |
2月26〜27日、中国・上海でG20財務相・中央銀行総裁会議が行われた(写真:REUTERS/Aly Song)
10兆円の円売り介入でも円高は止まらない なぜこれからも円高が進むと言い切れるのか
http://toyokeizai.net/articles/-/107047
2016年02月29日 鈴木 雅光 :JOYnt代表 東洋経済
2月26〜27日、上海でG20(主要20か国・地域)財務相・中央銀行総裁会議が行われた。議長国である中国は、追加金融緩和策や財政出動の可能性に言及。共同声明では、各国が「あらゆる政策手段を総動員」する方針を打ち出した。だが結局、高まる世界景気後退リスクに対しての「有効な具体策」が打ち出されたとはいいがたい。
■なぜドル安円高のトレンドが今後も続くのか
2月に入り、ドル円相場は一時、1ドル110円台まで円高が進んだ。26日には米国の実質GDP(2015年10〜12月期)が年率換算で1%増となったことなどを背景に大きく円安にふれたものの、120円まで戻るのは簡単ではなさそうだ。
なぜ、ドルの戻りは鈍いのか。
「米国の景気がスローダウンしている」
「中国経済が危ない」
「原油価格の下落で、地政学リスクが一挙に高まっている」
ゴールドマン・サックスをはじめ、外資系金融機関で活躍、外資系金融機関でマクロヘッジファンドマネジャーを歴任した志摩力男氏。ドル高になりにくい理由は、結局は中国経済にあるとする
結局、これらの源流をたどると、マーケットが混乱をきたしている原因は、中国経済のスローダウンに集約されそうだ。外資系投資銀行やヘッジファンドで為替のディーリングに従事し、現在はメルマガなどを通じて為替の情報発信を行っている志摩力男氏は、今回の混乱の原因について、次のように言う。
「マーケットの混乱は、結局、中国経済のリセッション(景気後退)に対する懸念が一段と高まっているからだ。今はまだ、本格的な景気後退局面に入っておらず、具体的にいつから景気後退が本格化するのか分からない。だが、すでに兆候は見え始めている。それが市場心理を冷え込ませている」。
経済成長率だけをとれば、中国経済は減速しつつあるものの、なお成長しているように見える。25年ぶりの低い止水準とはいえ、数字だけを見ると2015年のGDP成長率は前年比6.9%増。だが資源価格の下落はごまかせない。原油価格は若干反発したものの、1バレル=30ドル台で低迷している。
また中国と経済的なつながりが深い欧州では、ドイツ銀行をはじめとして、金融機関のCDSスプレッド(金融商品の価値を保持するために、投資家が支払うレジットデフォルトスワップの保証料)が、2月に入って急上昇した。
「原油価格の急落、欧州の金融不安など、2月以降、突発的に不安定要素が浮上してきたように見える。だが、元をたどれば中国経済のスローダウンが最大の震源地。だ。これによって、世界経済が長期的にデフレ局面へと移るのではないか、今はその入口にあるのではないか、という見方が広まり、マーケットではリスクオフの動きが強まった。それが円買いの要因だ」。
■すでに日本は「100兆円の外国買い」をした
これまで長期にわたって高成長を続けてきた中国経済が減速すれば、混迷は長期化する恐れがある。気になるのは、どこまで円高が進むかだ。
「あと半年先くらいまでのビューで言えば、ドル円のレンジは105円から115円だろう。一部のエコノミストたちの間では、今もって1ドル120円という見通しが出されているが、円安がもう一度進むという根拠は、すでに失われている」。「『今の為替水準は一時的なもの』と思っているマーケット関係者が意外と多い」ということのようだが、では「円安にはならない」と断言する志摩氏の根拠はどこにあるのか。
「この数年、アベノミクスによって多額の資金が海外にシフトした。GPIF(年金積立金管理独立行政法人)だけで約30兆円のシフトだ。日本全体では、GDPの20%近く、つまり100兆円に近い資金が海外への投資に回ったという指摘もある。これだけ巨額の資金が、円売りのポジションで捕まっており、すでに日本の経常収支は大幅な黒字に転じている。このような状況下でもし10兆円程度の円売り介入が行われたとしても、効果はほとんど期待できないだろう」。
100兆円も外貨を買った後だけに、この先、さらに円を売りにいく勢力が日本国内に見当たらない。今後予想される円売り介入や、マイナス金利幅拡大も、円売りの決定打にはならないと、志摩氏は言う。
当然、円安に限界があるとすれば、気になるのは日本企業の業績だ。日本企業の想定為替レートは、1ドル=118円前後と見られる。2015年度の途中まで日本企業の業績が好調だったのは、円安による大きな追い風があったからだ。その円安が今後は期待できないとなれば、少なくとも為替要因による業績の底上げ効果は得られなくなる。
■アベノミクス相場が終焉を迎える時
一方、原油価格の下落については、「日本企業にとって決してマイナスではなかった。事実、10兆円程度の経済効果があったと考えられている」という。
それなのに、「実体経済にそれが反映された感がない。確かにガソリン価格は下がったが、たとえば社員の賃金が増えるなど、原油価格下落の恩恵が目に見える形で、より大勢の人たちの経済活動を活性化させる動きまでにはつながっていない。本来、得られるはずの経済効果が、大勢の人たちに配分されず、もっぱら企業によって抱え込まれている」。
企業が必要以上に内部留保を貯め込んだ結果、個人消費は一向に活発化せず、そうこうしているうちに進んだ円高によって、日本企業の業績そのものに黄信号が灯り始めた。中国経済のスローダウンを源流にしたリスクオフと円高が一段と進むとき、2012年冬から始まった「アベノミクス相場」は、終焉を迎えそうだ。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民106掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。