【第139回】 2016年2月25日 高橋洋一 [嘉悦大学教授] マイナス金利は心配無用 国民も政府もメリットのほうが大きい マイナス金利は国民にとって 損より得のほうが大きい マイナス金利のメリットを生かし政府がやるべきこととは 前回のコラムで、マイナス金利政策は正しいと書いた。「マイナス金利によって銀行の収益が減るのは、問題だと思う?」という編集部の問いかけに対して、84%の方が「問題だとは思わない」と回答している。 この回答は、これまでの銀行の収益を考慮すれば、納得できる。というのは、最近の銀行の収益は、2000年前後の不良債権危機を脱した後、これまでの金利低下局面の恩恵を享受して過去最高レベルだからだ。銀行は貸出金利より預金金利のほうが下げのスピードが速いためである。 ◆銀行の当期純利益の推移(億円) (資料)全国銀行協会 マイナス金利時代、一般国民はあまり損ではなく、むしろ得が多い。まず、預金金利はほぼゼロの状態なので、下がったとしてもマイナスにならない。もしマイナスの預金金利なら銀行に預けなければいい。 貸出金利も下がるが、一般国民はこの恩恵を受ける。これから事業を興そうという人には絶好のチャンスである。 かつて筆者は、テレビ朝日の「朝生」で、枝野幸男・現民主党幹事長と、金利低下が経済に与える影響を議論したことがある。枝野氏は、金利低下が預金者の利益を害するので、経済成長のためには金利を高めるべきと主張した。筆者は、その逆で、金利低下はお金を借りてまで事業を興そうという気概のある人を支援するので、経済は成長すると言った。そのとき、ただお金を持っている人とお金を借りてまで事業を興そうという人では、後者に恩恵を与えるほうが、より経済成長すると主張した。 さすがに、マイナス金利時代にあると、預金者のデメリットより借入者のメリットのほうが大きいことは、枝野氏でもわかるだろう。 このメリットは、これから事業を興そうという人ばかりではなく、すでにこれまで借り入れた人にもある。例えば住宅ローンである。 住宅ローンの固定金利は、10年物国債の利回りにより影響を受ける。すでにローンのある人は借り替えして、金利負担を減らせるチャンスだ。例えば、5年前に固定金利3%で30年ローンを組み、残債が2500万円ある場合、残り25年の支払いを2%ローンに切り替えると、手数料を払ったとしても300万円程度支払額が少なくなる。ただし、住宅減税を受けている場合、減税が受けられなくことがあるので注意すべきだ。 新規事業への投資には またとないチャンス
政府は日本で最大の債務者なので、この金融環境を生かしたくなる。しかし、現存する国債について、政府は期限前償還しないと宣言している。このため低利借り換えは事実上できない。 ただし、これからの新規事業のための資金調達はきわめて低利で可能である。 ◆国債イールドカーブ(2016.2.24) (資料)ブルームバーグ これは、今の国債イールドカーブである。10年くらいまでマイナス金利である。 このようなイールドカーブが形成されるのは、1年後、2年後……と将来の短期金利が低いままであると予想されるからだ。ちなみに、このようなイールドカーブになるための1年後、2年後……と将来の短期金利はインプライド・フォワード・レートといわれるが、以下のようになる。 ◆Implied Forward Rates(2016.2.24) (資料)筆者算出 7年程度先まで、短期金利はマイナスになるというわけなので、今は、長期投資をする人にとってはまたとないチャンスである。 民間で長期投資を躊躇しているならば、政府がやったらいい。30年金利でも1%を割り込むような超低金利である。普通の投資プロジェクトであれば、採算ラインを突破するのは難しくないはずだ。 公共投資がやりやすくなる 景気対策としても望ましい
ここで、国債のイールドカーブが出たついでに、その関連話題に二つほど触れておこう。 一つは、公共投資の採択に関係するB/C(費用便益)基準である。 便益の現在価値を計算するときに、割引率4%とするのがこれまで一般的であった。ところがこれは、イールドカーブでいえば、4%のフラット・イールド*を想定することに他ならない。今のイールドカーブであれば、それぞれの期間に対応した割引率を用いるか、一律では0.5%程度の割引率を用いれば十分であろう。こうすれば、B/C基準によって採択可能な事業は大きく増加するはずだ。今の金利環境は、こうした事業の採択可能性を増やしているのだ。 もう一つが、マイナス金利下における株価モデルだ。一般的な株価モデルは、企業の将来収益を一定の割引率で現在価値に戻して、それを合算するというものだ。マイナス金利になると、割引率がマイナスになって、株価は理論上無限大になるので、企業金融の根底を覆すという意見がある。 そうした意見を、金融市場の数量分析家で言う人もいるが、もう少し勉強した方がいい。これも、割引率を適用しているのがフラット・イールドであるということを忘れた、初歩的なミスである。株価モデルの場合、無限大の遠い将来までの流列を割り引く。今のイールドカーブを見てもわかるが、将来にわたって、マイナス金利であることはあり得ないので、今の株価モデルもそれなりに使え、企業金融理論が根底から覆るというのは間違いである。 話を元に戻して、政府の新規事業で何が考えられるか。それはまさに政治の課題である。リニア新幹線整備、耐震強化、人的資本投資などいろいろなものがあり得る。今の金利環境の下でも、採算性を慎重に審査してパスすれば、政府が投資事業をためらうこともない。 これは、現時点で10兆円程度あるGDPギャップを埋める効果もあるので、景気対策としても望ましいものになるはずだ。しかも、前回のコラムで紹介したように、今は国債の品不足である。金融市場に対して、必要な国債を供給する意味でも正しい政策である。 *縦軸に金利(利回り)、横軸に期間(残存年数)を取ったイールドカーブでは、長期の金利が短期の金利よりも高い右肩上がりの曲線(順イールド)や、長期の金利が短期の金利よりも低い右肩下がりの曲線(逆イールド)となるが、それが平坦(傾きが緩やか)になっていること。長期でも短期でも金利が変わらないとみなされていることを示す。 マイナス金利なら財政を悪化させず 政府は資金調達が可能になる
なお、国債発行について、政府の財政再建目標との整合性を問題視する向きもある。金融環境や今の日本の財政事情から、筆者は財政再建の必要性は認めるものの、その優先順位はそれほど高いとは言えないという立場だ。日本の財政事情については、2015年12月17日付け本コラムと2016年1月14日付け本コラムを参照していただきたい。 それでも、政府の財政再建目標が気になる人もいる。2020年でのプライマリーバランス(基礎的財政収支)の均衡である。 これについて、裏技的な手法を紹介しよう。筆者は元役人なので、こうした手法を知っているが、あまり本質的な話ではない。あくまで“財政再建目標は優先順位が低い”が本筋である。ただ、政府内の役人には、つまらないことにこだわる人も多く、その人たちのせいで話が進まないのはバカバカしいので、裏技的なものを指摘しておきたい。 政府のプライマリーバランスは、国民経済計算における数字を使っている(参考)。そこでは、「財政収支は国民経済計算における中央政府及び地方政府の純貸出(純借入)。基礎的財政収支は財政収支から純利払い(利払い[FISIM調整前]マイナス利子受け取り[FISIM調整前])を控除したものである」とされている。 政府の特別会計の多くは、公的部門(中央政府と地方政府)に属するが、公的企業に属するものもある。公的企業は、国民経済計算では公的部門でないので、政府のプライマリーバランスに影響しない。 財政投融資特別会計は、政府の特別会計であるが、これまで国民経済計算では公的企業と分類されている。また、財政投融資特別会計では、財投債という債券発行が可能であるが、財投債の商品性は通常の国債と同じで、発行も通常の国債と併せて行われているので、金融商品として見た場合、通常の国債と全く同じである(参考)。 要するに、財投債で資金調達すれば、通常の国債と同じでマイナス金利のメリットがあるが、政府のプライマリーバランスを悪化させないのだ。 政府は、この財投債によって調達したマイナス金利資金を使って、マイナス金利で財投機関(特殊法人など)に貸し出し、その財投機関が公共投資を行えばいいのだ。 これで、マイナス金利のメリットを政府も享受する具体的な手法があることがわかるだろう。あとは、それを実行する政治力の問題だけが残されている。 http://diamond.jp/articles/-/86888
借金王の日本政府にマイナス金利の恩恵、入札で超過収入5200億円超 2016/02/25 10:56 JST (ブルームバーグ):公的債務が主要国で最悪の状況にある安倍晋三内閣がマイナス金利の恩恵を受けている。2014年10月以降に生じたマイナス金利の国債入札で政府に入ったお金は、借入額と利払いの合計を5200億円超上回り、今後さらに拡大する見通しだ。 政府が発行する国債等の大半はプライマリーディーラー(国債市場特別参加者)22社との入札で落札価格と利回りが決まる。借入額と利払いの合計を上回る値段が付けば、落札利回りはマイナスとなる。国庫短期証券(TB)入札では14年10月に3カ月物の平均落札利回りが初めてマイナスとなった。利付国債では2年債入札に続いて、今月には5年債入札が初めてマイナスとなった。財務省は今日2年債入札を実施。 黒田東彦総裁率いる日銀が2%の物価目標を達成するために導入した大規模な国債購入を背景に利回りは低下。1月末のマイナス金利政策の決定を受け、足元で償還10年までの流通利回りがゼロ%を下回り、発行残高の約7割に及ぶ。ブルームバーグの試算では、政府がマイナス利回りの入札で得た超過収入は約1年4カ月で5239億円に上っている。 SMBC日興証券の末沢豪謙金融財政アナリストは、落札利回りがマイナスだと「政府は利息は払うが、発行で得る金額の方が結果的に多くなる。目先の財政にはプラス」とみる。ただ、国の借金が減るわけではないとし、「増えるペースが少しだけ鈍化するにすぎない。入札結果の背後にある世界経済の低迷や金融市場の混乱は税収減の要因となる恐れが強い」と指摘。「財政は慎重にみていく必要がある」と話した。 財務省が18日実施した2.5兆円規模の5年利付国債の入札では、落札利回りが平均マイナス0.138%、最高マイナス0.12%と、ともに初のゼロ%割れとなった。額面100円に対する表面利率は年0.1%。リオープン発行のため、償還まで保有すると48.3銭の利息を得られる計算だ。落札価格は平均101円16銭、最低101円07銭だった。 政府が証券会社や銀行から借り入れた額は、割引現在価値に基づく調整などを考慮しないで単純計算すれば、約5年後の償還額とその間の利払いの合計を68銭程度上回り、お金をもらって借金できた計算になる。募入決定額はプライマリーディラー向けの非価格競争入札分を含めて2兆5340億円なので、約172億円の超過収入になる。 借入額と利払いの合計を上回る超過収入は、税収の上振れなどとともに前倒債に算入される。前倒債は翌年度に見込まれる借換債の一部を先行して発行し、供給額の振れをならして安定的な発行を支える仕組みだ。14年度に発行した今年度分は28兆8341億円と直近10年間で最高。今年度当初計画では上限が32兆円だったが、補正予算で44兆円に引き上げられ、来年度予算案では48兆円となった。 日銀は先月末、金融機関の日銀当座預金の一部に0.1%のマイナス金利を適用する追加緩和を決定。今月16日からの準備預金積み期間から実施している。企業信頼感の改善や人々のデフレ心理の転換が遅れ、物価の基調に悪影響が及びかねないとの懸念が背景。イールドカーブの起点を押し下げ、巨額の国債購入とともに、金利全般により強い下押し圧力を加え、必要に応じて追加利下げもあり得るとしている。 新発2年債利回りは9日にマイナス0.25%、5年債は10日にマイナス0.265%と過去最低を記録。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは9日に初めてゼロ%を割り込み、24日にはマイナス0.055%まで下げた。20年債は0.60%、30年債は0.915%、40年債は1.03%といずれも最低を更新した。 JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストは、マイナス金利政策の導入でイールドカーブ全体が約0.2%ポイント低下したと指摘。国債とTBに対する軽減効果は来年度に5000億−6000億円程度に上ると試算する。「利下げは借り手に有利、貸し手には不利に働く所得再分配の効果がある。日本で最大の借金主は国なので、家計から銀行を経由した政府への所得移転を意味する」と言う。 ECBからも追い風 国債・借入金・TBを合わせた国の債務残高は今年度末に1087.3兆円と1年前より34兆円増える見通しだ。国際通貨基金(IMF)は日本の政府債務残高が今年、名目国内総生産(GDP)の247.8%に達すると予測。少なくとも20年の251.7%までは最悪を更新し続けると見込む。 財務省の試算によれば、消費税率を予定通り10%に引き上げ、3%の名目成長と歳出の効率化を実現しても、予算総額から国債費を除いた基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字は来年度予算案の10.8兆円から20年度に5.8兆円までしか縮小しない。目標とする同年度のPB黒字化には一段の対策が必要な情勢だ。 日銀は2%の物価目標を達成するため、マネタリーベースを積み増す「量的・質的金融緩和」を13年4月に導入した。翌年10月末の追加緩和で国債保有増を年80兆円に拡大し、15年12月には買い入れの平均残存期間を7−12年程度に長期化するなどの補完措置を追加。金利低下を促し、結果的に債務残高や利払い負担の増加を抑制してきた。 流通市場や入札で利回りがマイナス化したのは、欧州中央銀行(ECB)が14年6月にマイナス金利政策を導入した影響もある。ユーロ圏からの資金流入などを背景に、TBは同年9月に流通市場でゼロ%を下回り、10月23日の3カ月物の入札では平均落札利回りがマイナスとなった。翌週30日の同入札では最高落札利回りもマイナス圏に低下。以後、ゼロ%割れが恒常化している。ECBは来月にも追加緩和する可能性がある。 JPモルガン証の菅野氏は、マイナス利回りの入札で得た超過収入を「償還に充てるか、景気対策に使うかは財政政策の判断になる」と指摘。国の借金をどうするかは「国会で十分に審議し、責任を持って判断していかないと、財政規律がさらに緩みかねない」と懸念する。 上振れ期に「貯金」を 安倍政権は14年4月に消費税率を5%から8%に引き上げたが、それに伴って国内景気が落ち込んだため、昨年10月の予定だった10%への再増税を17年4月に延期した。リーマンショックや大震災のような重大事態が生じない限り、再延期はしない考えを示す一方、任期中に10%超への追加引き上げは想定していないと24日にもあらためて言明した。 来年度予算案の総額は過去最大だが、税収が25年ぶりの高水準になると見込み、新規財源債を08年度当初以来の水準に抑制。借換債も7兆円超減るため、国債発行総額は162.2兆円と8兆円近く少ない。うち、機関投資家に競争入札で販売する市中発行額は非価格競争入札なども含めて152.2兆円に減る。 ただ、世界経済の減速と資源安を背景とした株価急落で、内外の株式時価総額は年初から約8.6兆ドル減少。市場の混乱を受けた投資家のリスク回避を受け、円相場は11日に1ドル=110円99銭と日銀が追加緩和した14年10月末以来の高値を付け、日経平均株価は翌日に約1年4カ月ぶりに1万5000円を割り込んだ。 SMBC日興証の末沢氏が過去40年間の一般会計税収を当初予算と決算で比較したところ、決算が当初予算を23回も上回ったが、上振れ分の累積額は下振れ分より19.5兆円少なかった。「財政健全化を念頭に置いた上振れ期の『貯金』が足りないので、下振れ局面で食いつぶされてしまう」と説明。世界経済は長期間拡大してきたので「もうそろそろ危ない時期に入っていく可能性がある」と語った。 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 野沢茂樹 snozawa1@bloomberg.net;東京 下土井京子 kshimodoi@bloomberg.net;東京 ジェームズ・メーガ jmayger@bloomberg.net http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O31MJ56K50Y001.html 米大手銀、規模縮小求める圧力増す Ryan Tracy 2016 年 2 月 25 日 10:34 JST 米大手銀行は今年もまた、規模縮小の検討を求める規制当局からの圧力の高まりに身構えている。 米連邦準備制度理事会(FRB)は今年後半、年次ストレステスト(健全性審査)について重要な決断を下すとみられている。大手銀行が現在の資産レベルでは合格がはるかに難しくなる新たな資本要件を審査に盛り込むかどうかだ。 米規制当局も銀行の破綻計画、いわゆる「生前遺言(リビング・ウィル)」について今年早い段階で決定を下す。超大手の金融機関にとってはこれも規制面で悩みの種になり得る。大手銀は、大きな金融混乱を引き起こすことなく破産申請するという、多くの人ができないと考えることをできると証明しなければならないのだ。今後数年で「信頼できる」生前遺言を作成できない銀行はいずれも、自己資本の増強や強制分社化といった制裁に直面する恐れがある。 規制当局は世界的に、「トレーディング勘定」の見直しを含め、自己資本の計算方法の変更を協議しており、大手銀行ではトレーディング業務のコストが上がる可能性がある。一方、規模を問わず全ての銀行は通常業務で新たな試練に直面している。 米消費者金融保護局(CFPB)は、銀行全般に影響する当座貸越手数料や金融争議の仲裁に関する規則を作成している。 銀行にはこれらの規則がどのように施行されていくか分からない。規制当局が最近の声明で信用リスクに懸念を示していたことを考えると、商業用不動産などへの融資基準厳格化を求める圧力はどの程度強まるのだろうか。資金洗浄やサイバーセキュリティの対策強化でどの程度コストを増やす必要があるのだろうか。 こうした中、一部銀行は「大きすぎてつぶせず」、経営難に陥った場合は納税者が救済するという認識をなくす上で、現在の見直しは十分なのかと疑問を呈する規制当局や政治家のグループはまだ存在する。金融危機以降、こうした認識を排除することこそ政策当局の中心的な目標だった。だが、2008年の公的救済に対する国民の怒りは消えておらず、銀行に再びそうした救いの手を差し伸べるかをめぐっては議論が続いている。 就任間もないミネアポリス地区連銀のカシュカリ新総裁は今月の講演で、2010年に成立した米金融規制改革法(ドッド・フランク法)は「十分踏み込んでいない」と主張した上で、超大手銀は「米経済に引き続き大きなリスクをもたらす」との見方を示した。 カシュカリ総裁は、超大手銀の規制強化に向けた新政策についてミネアポリス連銀が研究する計画を明らかにした。今年末までに提案を発表し、今年から来年にかけて大手銀に圧力をかけ続けることを目指している。 関連記事 米大手銀の解体−まずやるべきこととは ブラード総裁、マイナス金利について騒がれすぎている 掲載日時:2016/02/25 (木) 10:37 ブラード・セントルイス連銀総裁は講演の質疑応答で「マイナス金利について騒がれすぎている」とんべて、米国でのマイナス金利導入には否定的な姿勢を示した。 木内日銀委員、マイナス金利に否定的なコメント 掲載日時:2016/02/25 (木) 10:48
木内日銀審議委員が鹿児島県で講演を行っている。マイナス金利は金融機関の収益に悪影響及ぼす、マイナス金利は金融システム安定を低下させる可能性、マイナス金利は預金者や与信先にコスト転嫁の可能性、マイナス金利は逆に金融引締め効果につながる恐れも、マイナス金利は国債の購入の持続性損なう可能性懸念、などと指摘。マイナス金利には否定的な姿勢が示されている。欧州とは環境が異なり参考にならない点も指摘されている。さらに、マイナス金利に限らず追加緩和の必要なかった、とした。日経平均は100円未満へと上げ幅を縮小、ドル円は112円ちょうど付近へと小反落。 USD/JPY 112.01 http://www.gci-klug.jp/fxnews/ 長期金利が連日で過去最低、マイナス0.06%−超長期主導の買い波及で 2016/02/25 10:41 JST (ブルームバーグ):債券市場では長期金利が連日で過去最低を付けている。日本銀行のマイナス金利政策導入で残存10年以下の利回りがゼロ%を下回り、金利がプラス圏にある超長期債を中心とする買いが長期ゾーンに波及している。 25日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の341回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値と横ばいのマイナス0.055%で開始後、いったんは1.5ベーシスポイント(bp)高いマイナス0.04%まで上昇。超長期債利回りの低下につれて水準を下げ、マイナス0.06%と前日に続いて過去最低を更新。新発20年物の155回債利回りは3bp低い0.57%、新発30年物の49回債利回りは3.5bp 低い0.88%まで下げ、連日で過去最低を付けている。 岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「長い目で見て金利がもらえるのは超長期債しかないので買われやすい。日銀オペの応札倍率の低下が売りづらさを示した上、月末の保有債券の長期化需要や3月の大量償還など需給が締まる要因が多く、市場が薄い中で慌てて買われやすい」と話した。 長期国債先物市場で中心限月3月物は、前日比横ばいの151円98銭で開始した。一時は20銭安の151円78銭まで下落したが、その後は下げ幅を縮めている。 財務省がこの日の午前に発表した20日までの1週間の対外・対内証券投資によると、国内投資家の対外公社債投資は1兆9743億円の買い越し。買い越し額は2010年8月以来の高水準となった。 UBS証券の井川雄亮デスクストラテジストは、「日銀がマイナス金利を導入し、金利を求める動きが強まる中で、外債投資にも向かざるを得ない側面はあっただろう。今後もマイナス金利の制約がある中で、どこで運用するかという問題はつきまとう。相応に外債投資に向かう動きもありそうだ」と分析した。 2年債入札 財務省はこの日午前10時半から2年利付国債の価格競争入札を実施。表面利率は年0.1%に据え置き。発行額は2兆5000億円程度。前回1月の入札ではテール(最低と平均落札価格の差)は横ばいの8厘だった。 みずほ証券の辻宏樹マーケットアナリストは、2年債入札について、「昨日の引け時点で、入札前取引ではマイナス0.155%と、361回債とのスプレッドは6bpもある。足元のボラティリティを考えればテール自体は広がる公算が大きいものの、その後入札をきっかけに相場全体が下値を売り込みに行くような展開は想定しにくいだろう」とみる。 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 池田祐美 yikeda4@bloomberg.net;東京 山中英典 h.y@bloomberg.net http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O31EQ76TTDS201.html
Business | 2016年 02月 25日 09:52 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
米利上げ継続「賢明でない」、セントルイス連銀総裁が見解を再表明 [ニューヨーク 24日 ロイター] - 米セントルイス地区連銀のブラード総裁は24日、インフレ期待が低下し、連邦準備理事会(FRB)の信認が問われていることを考えると、利上げを続けることは賢明ではないとの見解をあらためて示した。 講演原稿でブラード総裁は「市場ベースのインフレ期待低下という状況下で正常化戦略を継続するのは賢明でないと考える」と述べた。 今年に入り世界的に市場が混乱する中、通常国債とインフレ指数連動債(TIPS)の利回り格差であるブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)の5年物は低下し、期待インフレ率は1.5%以下となっている。 ブラード総裁はこの状況について「インフレ目標における中銀の信頼性低下を示す」と語った。 インフレを警戒するタカ派とされるブラード総裁は先週の講演で、低インフレや世界的な市場のボラティリティーを踏まえると、FRBが利上げを続けるのは「賢明でない」との認識を示し、利上げ反対に転じた。 同総裁は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つ。 http://jp.reuters.com/article/frb-fomc-idJPKCN0VY02M 次の政策行動前に時間をかけたい=ダラス連銀総裁 By ROB CURRAN 2016 年 2 月 25 日 07:44 JST 米ダラス地区連銀のカプラン総裁は24日、連邦準備制度理事会(FRB)の次の政策行動を支持する前に、金融引き締めの影響について今後の経済指標を待って評価したいと語った。 カプラン総裁は「経済統計と米国の国内総生産(GDP)にあらためて安心している」としつつ、「米国外の減速、金融環境、利回り曲線の形状を注視している。次なる行動に移る前に、より多くの統計を評価するため慎重でありたい」と述べた。 同総裁は地元ハーバードクラブ主催のイベントで講演し、信用スプレッドの拡大などの市場の変化は、経済・金融条件に追加利上げと同様の効果をもたらしたと指摘した。 講演後、記者団に対し、ドル相場や海外、特に中国の動向、利回り曲線の形状を注視していると語った。また、いつまで待って統計を評価したいかは明らかにしなかったが、「大切なことは時間だ。(中略)時間を使うことが大事だ」と話した。 金利政策をめぐり市場予想と現時点でのFRB自身の見通しとの間に乖離(かいり)があることについては、あまり懸念していないと語った。市場の見方はすぐに変わり得るからだという。また、政策担当者が四半期ごとに提出する経済成長と金利政策に対する見通しについて、提出期限が間もなく到来するが、自身の見通しに変更を加えるつもりであることを明らかにした。 さらに、2016年に米国がリセッション(景気後退)入りすることはないとの見方を示した。エネルギー部門や製造業部門の減速のきっかけとなった原油安とドル高が個人消費を下支える可能性があるからだという。 一方、最近の消費者物価指標は心強いと述べた。 FRBはマイナス金利を検討するかとの質問に対しては、政策の検討対象から外すのは賢明ではないが、そのような措置はコマーシャルペーパー(CP)市場など極めて重要な資金調達源に予期せぬ影響を及ぼす可能性があるとして、慎重に対応する考えを示した。 Business | 2016年 02月 25日 08:17 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス 米経済、今年リセッションに陥る恐れはない=ダラス連銀総裁
[ダラス 24日 ロイター] - 米ダラス地区連銀のカプラン総裁は24日、米経済が今年リセッション(景気後退)に陥る恐れはないとの見方を示した。ダラスで開かれたイベントで講演した。 同総裁は、年内の利上げを支持するかどうか決定するにあたり、世界的な景気減速のほか金融情勢や米国債のイールドカーブなどを注視しているとし、追加利上げについて決定する前により多くの指標を確認したいと語った。 マイナス金利については、日本では一助となる可能性があると指摘。米国でも導入の可能性を排除するべきではないとしながらも、構造的な問題など負の影響もあると述べた。 またカプラン総裁は、米金融政策の道筋に対する自身の予想を3月に下方修正する可能性があることを示唆した。政策担当者が四半期ごとに匿名で提出する見通しについて「私自身が提出する金利の道筋に関する見通しに一部減速、もしくは一部変更があっても驚くべきことではない。何らかの変更はある」と述べた。 同総裁は、世界情勢による向かい風のなか金融引き締めに慎重な見方を示しているFRB高官の1人。 http://jp.reuters.com/article/fed-kaplan-idJPKCN0VX2YS
FRBの寄与は低水準でのインフレ安定=リッチモンド連銀総裁
By DAVID HARRISON 2016 年 2 月 24 日 23:38 JST 米リッチモンド地区連銀のラッカー総裁は24日、連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策はインフレを「低水準で安定」させることを通じて経済成長に寄与できるとの見方を示した。 ラッカー総裁はジョンズ・ホプキンス大学キャリー・ビジネススクールでの講演向け原稿で「中央銀行が経済成長に対してできる最大の貢献は、低水準で安定したインフレだ」と述べた。 しかしラッカー総裁は、FRBが長期にわたって実体経済の活動へ大きな影響を及ぼすことはないとみている。 「人々の間には、低金利が総需要を刺激する形で金融政策が成長を促すとの考えがある」としつつ、「これまでの証拠からすれば、金融政策の効果はかなり限られている」と述べた。 ラッカー総裁は金融政策の変更が経済の成長を促すとしても「その効果は一時的だ」と指摘した。 そして、FRB関係者はむしろインフレ率を長期的に低い水準で安定させることを重視すべきだと主張した。 ラッカー総裁はこの講演原稿の中で、過去数週間の経済情勢や3月の連邦公開市場委員会(FOMC)については触れなかった。 先進国でコアインフレ安定、中銀に心強い兆候 米国や英国、欧州などの先進国ではここ数カ月、コアのインフレ率が横ばい、もしくは上昇している(写真は米インディアナ州マリオンのスポーツ用品店) TRIBUNE/ASSOCIATED PRESS By DAVID HARRISON AND TODD BUELL 2016 年 2 月 22 日 09:53 JST
世界の株式市場は経済成長をめぐる懸念で混乱し、原油相場は供給過剰で圧迫されている。だが、世界経済の健全性を測る尺度の一つ、基調的な消費者物価は驚くほどの底堅さを見せている。 米国や英国、欧州などの先進国ではここ数カ月、食料品とエネルギー品目を除いたコアのインフレ率が横ばい、もしくは上昇している。 これらの国の総合インフレ率は1年以上もの間ゼロ近辺で推移しているが、こうした中でのコアインフレのしっかりした足取りは、経済の現状をめぐる悲観論が行き過ぎている可能性を示唆している。 米国では、1月のコア消費者物価指数(CPI)が前年同月比2.2%の上昇となり、2012年6月以来の大幅な伸びを記録した。前月比では0.3%上昇と、伸びは11年8月以来の大きさだった。全体のCPIは前年同月比1.4%上昇と控えめな伸びにとどまった。 各国のコアインフレ率 ENLARGE 各国のコアインフレ率 各国中央銀行は引き続き総合インフレ率を注視しつつ、コアインフレに一層の注意を払うようになっている。コアインフレの対象品目には、靴などの生活用品や散髪といったサービスの価格が含まれ、石油や食料品価格の一時的な上昇でゆがみが生じる総合インフレ率よりも景気動向のより良い指針になり得る。例えば、最近の総合インフレ率は主に原油価格の急落が原因で低下している。 コアインフレの上昇は、原油価格がひとたび安定すれば、総合インフレ率は米連邦準備制度理事会(FRB)、英中銀イングランド銀行、欧州中央銀行(ECB)が長年達成を目指してきた2%をようやく達成するとの心強い兆候を示している可能性がある。 各国中銀はインフレの極端な上昇と同じように、過度な低インフレを回避しようと細心の注意を払っている。物価の伸びが極端に低い、あるいは下落する現象はデフレと呼ばれ、賃金の伸びが失速する。低インフレ下では借り手の債務返済も厳しくなり、中央銀行にとっては景気支援策として必要な利下げが難しくなる。 英国では1月のコアCPIが前年同月比1.2%の上昇となり、昨年6月に記録した0.8%から伸びが加速した。ユーロ圏では1月の総合インフレ率が0.4%だったが、コアインフレは1%程度と高かった。 そして超低インフレと長年格闘している日本では、食料品とエネルギーを除く消費者物価が昨年半ばからゆっくり上向いており、12月は前年同月比0.8%上昇と、4月の0.4%を上回る伸びとなった。日銀が物価の基調を見極めるため独自に公表している「生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価指数(日銀版コアコアCPI)」は12月、前年同月比1.3%の上昇となった。 懸念の種は残っている。米国では持続的なドル高が輸入物価を圧迫し、インフレを抑え込んでいる。だが、ドルが安定、もしくはここ数週間のように下落した場合、コアインフレは上向くだろう。 ユーロ圏ではここ3年ほど失業率が低下傾向にあるが、12月は10.4%とまだ2桁台にとどまる。ユーロ圏の賃金は15年7-9月期の伸びが前年同期比1.4%となり、4-6月期の2%を下回った。 賃金の上昇は通常、散髪や自動車修理といったサービス価格の上昇に反映される。一例を挙げると、米国では映画や演劇、コンサートのチケット価格がここ数カ月で大きく伸びており、1月は前年同月比3.5%の上昇となった。 サウスダコタ州南東部で3つの映画館を経営するローガン・ラグジュアリー・シアターズのジェフ・ローガン社長は、2つの映画館でチケット価格を1ドル、もう1つでは0.5ドル引き上げた。州最低賃金の引き上げを受け、賃上げしたことが一因だという。「そうした費用をどこで工面するのか。値上げせざるを得なかった」と同社長は述べた。 FRB当局にとってこれは心強い。ニューヨーク連銀のダドリー総裁は先月、コアインフレ率の安定を「前向きな兆候」だと指摘した。シカゴ連銀のエバンズ総裁は、FRBがコアインフレについて、「総合インフレ率が今後2年程度で向かうとみられる水準に関するよい指標」だとみていることを明らかにした。 コアインフレの底堅さは、欧州の金融政策タカ派の慰めにもなっている。ECBの金融緩和を最も率直に批判するドイツ連邦銀行(中央銀行)のバイトマン総裁は最近、ユーロ圏のコアインフレは上昇しており、「デフレの危険地帯には程遠い」との見解を示した。 関連記事 まだら模様のインフレ率、FRBには追い風か 【FRBウォッチ】市場と指標、米経済の見方で相違 FRBの政策、インフレ指標間の「乖離」で視界不良に 通貨オプション ボラティリティー 形状に変化、1−6ヶ月が持ち上がる 掲載日時:2016/02/25 (木) 11:02 USD/JPY EUR/USD EUR/JPY GBP/USD 1WK 12.97 9.81 12.32 13.19 1MO 13.99 11.62 13.83 12.17 3MO 12.80 11.09 13.05 11.94 6MO 12.19 11.56 13.23 13.62 9MO 11.92 11.54 13.12 13.23 1YR 11.71 11.48 13.00 12.99 GBP/JPY AUD/USD USD/CHF 1WK 18.13 12.85 10.04 1MO 18.21 12.48 11.27 3MO 17.06 12.64 11.07 6MO 18.20 12.85 11.49 9MO 17.28 13.00 11.57 1YR 16.68 13.11 11.66 東京時間10:35現在 参考値 ボラティリティーのカーブに形状変化がみられる。リスク警戒感の高まりで期近1週間が突出して上昇する場面が多かったが、ここにきて1ヶ月から6ヶ月とより長期のオプションに需要が増加している。ドル全般に3月FOMCを控えて1ヶ月物にヘッジ需要がみられる。ユーロ関連でも次回ECB理事会をひかえて1ヶ月物に需要増。ポンド関連にとっては6月の国民投票とその後の混乱に備えて、6ヶ月物のボラティリティーが特に上昇している。 http://www.gci-klug.jp/fxnews/ Business | 2016年 02月 25日 09:37 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス 人民元切り下げ提案はG20の議題にない─中国財政相=中国紙 [上海 25日 ロイター] - チャイナ・デーリーは25日、楼継偉財政相が人民元切り下げの提案は今週開催される20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の議題にはないと述べたと報じた。 G20は26─27日に上海で開催される。 http://jp.reuters.com/article/yuan-g-idJPKCN0VY01W Business | 2016年 02月 25日 08:20 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス 英中銀、必要なら追加刺激策導入の用意=カンリフ副総裁 [ロンドン 24日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)のカンリフ副総裁は24日、英国で緩やかな景気回復が継続しているとの見方を変えていないとしながらも、中銀は必要なら一段の刺激策を導入する用意があると述べた。 同副総裁は講演で「堅調な経済成長が継続し、インフレ率は向こう数年間で目標を回復するとの見方を変えていない」と述べた。 ただ、世界各地からもたらされる経済への衝撃を「非常に注意深く」監視していく方針を示し、世界経済が回復しつつあるのではなく、長期的な需要低迷に直面していることが判明するかもしれないと指摘。 「われわれには多岐にわたる利用可能な政策手段があり、リスクが具現化すればこうした手段を利用する用意は整っている」と述べた。 また「景気が低迷し、賃金と生産性が現在の水準にとどまった場合、回復のシナリオはますます説得力が弱まるだろう」と指摘した。 英経済は過去2年間、総じて他の先進国よりも高い成長ペースを示してきたが、ここ数カ月間は世界経済の減速を背景に回復が鈍っている。 カーニー総裁は前日、景気が減速すれば中銀は利下げまたは債券買い入れ策の拡大で対応する用意があるとの見解を示している。 http://jp.reuters.com/article/boe-cunliffe-idJPKCN0VX2J2
米財務長官、G20に景気てこ入れ要請=WSJインタビュー
2016 年 2 月 25 日 11:37 JST 更新 ルー米財務長官は25日、翌日から2日間の日程で開催される20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席するため、中国・上海に到着した。長官はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューに応じ、財政出動や構造改革による経済成長てこ入れを各国に求める考えを明らかにした。また、中国は人民元相場を切り下げるべきかどうかや、ウクライナとプエルトリコが直面する債務問題について語った。以下はインタビューからの抜粋。 ――各国間の金融政策の乖離(かいり)が為替相場を動かしており、近隣窮乏化政策が展開されているとの見方があるが、為替政策の協調をさらに強化すべきなのか。 世界中に広がる懸念を少しでも払拭(ふっしょく)できるよう、各国の財政・金融当局間でもっと積極的なコミュニケーションや協調を図る必要がある。国ごとに景気情勢は異なるということを軸に考えなければならない。米経済は引き続き他の国々よりも好調に推移している。米国以外の国では、経済情勢は国によってさまざまで、景気てこ入れ策もそれぞれ違う。利用する政策手段の種類が多ければ多いほど効果も上がると思う。従って、一つの手段だけに頼り過ぎるのは得策ではない。 ――財政当局、特に金融当局が各国間でもっとうまく政策協調するためにはどうすればよいか。 トルコで(昨年)開かれたG20会合では、通貨の競争的な切り下げを回避すべきとの方針を共同声明に盛り込んだ。これは一種の協調だ。各国の金融・財政当局は自国経済を成長させるために独自の対策を講じる権限を持つべきというのが原則だが、だからといって世界のシステムを阻害したり不当な優位性を生んだりする行動が認められるわけではない。 われわれが議論しなければならないのは、世界経済のパイをどうやって拡大するか、プラス成長の国を増やしつつも為替相場を自然に均衡させるにはどうすればよいかということだ。主要国経済がまずまずのペースで拡大する見通しが長期的に立てば、その時点で自然に為替相場は均衡水準へと向かうだろう。 ――為替相場の現在の動きは正当な金融政策措置を反映しているものの、財政政策の援護がないため金融政策に負担がかかりすぎているという見方がある。 世界の多くの国で財政手段をもっと積極的に活用する必要があり、われわれはほとんど壊れたレコードのように繰り返しそうした必要性を訴えている。日本が消費税率の(10%への)引き上げを延期したのは賢明だった。われわれは日本政府に対しさらなる財政出動を求めた。これは日本にとって難しいことだ。日本政府の債務残高は対国内総生産(GDP)比で200%を超えており、長期的に歳入拡大と歳出抑制を図る必要がある。だが数十年に及ぶ景気低迷から脱するためには、消費増税を敢行することでリセッション(景気後退)に逆戻りする危険を冒すことはできなかった。 欧州については、財政出動の余地があり、それを活用すべきだとわれわれは言明してきた。難民流入への対応で歳出をいくらか増やす動きはあるものの、これに景気刺激効果はなく、欧州経済全体を動かすほどの規模でないことは明らかだ。 中国は、金融政策だけでなく財政政策においても短期的、中期的な景気情勢への対応が必要であることをいっそう明確にしている。消費者需要の喚起に重点を置けば置くほど、中国経済で起きている移行を深化させる効果があるだろう。 ――中国は資本流出の圧力を抑えるために、再び人民元相場を切り下げる必要があり、しかもおそらく大幅な切り下げが避けられないとの観測がある。長官はどう考えているか。 中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は長いインタビューで、そのような措置を講じる根拠はないと明らかにしている。私も同感だ。年初からの中国政府の見解の中には、実際の指標に合致していないものもある。エコノミストらは足元の中国景気は昨年後半とは違うとみているようだが、それほど変わっているようには思えない。従って課題となるのは、将来的な政策の方向性という点で中国政府がどのようなシグナルを発信しているか読み解くことだ。政府は大幅な通貨切り下げのようなことをするつもりはないと言明しなければならない。 改革実施の道をしっかり歩んでいくことが最も重要だ。改革路線を堅持するのか、あるいは放り出してしまうのか。私は彼らが正しい判断を下すと楽観視している。 ――中国は無秩序な通貨切り下げを避けるために再び何らかの資本統制を導入すべきだとの意見が一部から出ているが、どう思うか。 中国はもう資本統制を行っている。資本統制すべきかどうかの問題ではなく、どう統制するかが重要だ。中国の外貨準備は依然として3兆3000億ドルに上る。外貨準備がもっと少なかったときに多すぎると批判した人たちは大勢いる。批判していた人の多くは現在、外貨準備が足りないと言っている。 世界経済の番人G20、各国利益相反で協調困難か−26日上海で開幕 2016/02/25 10:06 JST (ブルームバーグ):20カ国・地域(G20)が2009年9月に世界経済の番人になると宣言した際、大恐慌以来最悪の不況から世界を救出するという、各国・地域で一丸となる目標があった。 上海で26、27両日に開催されるG20財務相・中央銀行総裁会議を前に、各国当局者は再び世界経済の弱い成長見通しを懸念している。ただ今回は違うのは、共通の目標で結束するというより、各国が異なるニーズを持ち、一部のケースでは利益相反が生じている点だ。 中国の景気減速は他の新興国や資源国に打撃を与える一方、人民元の管理の在り方は国際的な不満を招いている。米金融当局による昨年12月の利上げはドルを上昇させ、ドル建て債務を抱える多くの新興国の借り手を苦しめている。サウジアラビアやロシア、カナダは原油価格下落で痛手を受けたが、それ以外の国では原油安は歓迎されている。一部の中央銀行によるさらなる金融刺激策で通貨が下落したため、報復的な反応を招く恐れもある。 安全保障 安全保障の分野では、ロシアは米国と欧州による制裁で痛手を受ける一方でトルコとは激しい言葉の応酬を演じている。中東情勢の緊張で欧州連合(EU)は難民危機に見舞われるとともに、英国のEU離脱の可能性にも対応している。 こうした相いれない課題の不協和音を耳にすれば、世界の需要てこ入れに向けた協調行動がまとまる確率は低いと考えられる。また、アナリストの間には現代版プラザ合意の可能性を思い描く向きもあるが、実現性は乏しいようだ。 シティグループのG10通貨戦略グローバル責任者、スティーブン・イングランダー氏は「G20が抱える問題は、これらの課題の多くをめぐり各国当局者の意見対立があることだ」と指摘。「通常ならG20は利益をすり合わせて強力な政策で一致するが、今回の場合はそうした状況にない」と語った。 原題:Guardians of World Economy Hit Logjam of Conflicting Interests(抜粋) http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O32TQ46JIJV601.html
G20、1980年代の通貨シフト再現は見込まれず
By JON HILSENRATH 2016 年 2 月 25 日 08:23 JST 20カ国・地域(G20)の財務相と中央銀行総裁は今週26・27日、金融市場の混乱と低調な世界成長を背景に、中国上海のシャングリラ・ホテルで会合に臨む。アナリストの間では、1980年代の通貨合意のように、G20首脳らが米ドルと中国人民元に関する新たなグローバル協定を策定する時が来ており、管理された人民元安を盛り込むべきだとの声が上がっている。 だが、G20財務相・中央銀行総裁会議を前に聞こえてくるのは、現状維持の方針だ。つまり、各国に対し内需の促進に必要な措置を取る一方、輸出拡大に向けた競争的な通貨切り下げは回避するよう促すということである。 中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は今月、中国誌「財新」に掲載されたインタビューで、為替方針を維持する計画を示唆した。「純輸出を後押しする目的で通貨安を誘導する動機はない」とし、「人民元の為替相場制度改革の方向性はこれまでと変わらない。すなわち、市場の需給に基づく、通貨バスケットを参考にした管理変動相場制だ」と述べた。 一方、米財務省高官は記者団に対し、上海のG20会議では過去の声明を繰り返すことになるとの見方を示した。「われわれは、すべてのG20加盟国・地域が為替相場の持続的なミスアライメントの回避に尽力し、競争上の目的で為替相場を目標にしない重要性を強調するだろう」と話した。 中国は人民元をドルだけでなく通貨バスケットにも連動させる意向を示すなど、為替相場制を変更して市場や他の中央銀行に混乱をもたらした。 周総裁は今週末、他国の高官から詳細な説明を求められるとみられる。財新とのインタビューでは、中国当局が人民元に対して高まっている「投機勢力」への対応に追われており、方針の明確化を追求して身動きが取れなくなるのは避けたいと考えている様子が示された。 総裁は「われわれの目標は為替相場を『合理的かつ均衡の取れた水準でおおむね安定させる』ことだ」と話した。 Business | 2016年 02月 25日 08:20 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス G20、景気刺激策で国際協調すべき=IMFスタッフ報告
[ワシントン 24日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は24日公表したスタッフ報告で、20カ国・地域(G20)は世界経済の失速を回避するため、景気刺激策で協調する必要があるとの見解を示した。 スタッフ報告は、世界の株式市場の下落や為替相場の変動、世界的な景気低迷の兆しを受け、中国の上海で今週開かれるG20財務相・中央銀行総裁会議向けに準備された。 報告は「G20は公共投資の拡大に向けて利用可能な財政余地を活用し、協調した需要促進策を計画しなければならない」と指摘した。 ブルームバーグによると、ルー米財務長官は、今週のG20会合で緊急措置が打ち出されるとの見方に否定的な姿勢を示した。世界経済の一部は予想よりも良好だと指摘。「危機的ではない環境下で危機対応を期待」すべきではないと述べた。 しかしIMFのスタッフ報告は、世界経済が減速し、新興国市場では金融状況が逼迫(ひっぱく)しているほか、コモディティー(商品)輸出が中国の景気減速で打撃を受けていると指摘。 「こうした状況は回復が妨げられるリスクが高まっていることを示す」とし、資金フローの逆行による影響を受けやすい一部の新興国市場やコモディティー輸出国を支援するため、各国政府に新たな資金調達メカニズムが必要とみられるとしている。 また、先進国に対して、金融政策への依存を減らし、財政政策を強化して景気を支援するよう促す一方、新興国に対しては、可能なら為替相場を柔軟化し、為替介入は一時的な実施に制限するよう提言した。 http://jp.reuters.com/article/imf-report-idJPKCN0VX2ZY
債券下落、米債安・株高受けて売り−2年債入札はテール拡大との見方 2016/02/25 09:18 JST
(ブルームバーグ):債券相場は下落。前日の米国債相場が原油高や株高を受けて反落した流れを引き継ぎ、売りが優勢となっている。 25日の長期国債先物市場で中心限月3月物は、前日比横ばいの151円98銭で取引を開始した。すぐに水準を切り下げ、一時は15銭安の151円83銭まで下落した。 現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の341回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値と横ばいのマイナス0.055%で開始した。その後は1ベーシスポイント(bp)高いマイナス0.045%に上昇している。 みずほ証券の辻宏樹マーケットアナリストは、夜間取引の先物は上昇して終了したものの、 取引終了後に米債安が進んだことを考えれば、海外時間の流れは円債にとって「やや重しとなりそうだ」と指摘。ただ、「月末までにはエクステンションや国債買い入れオペも予想され、より一層需給の良さが意識される中で、10年金利がマイナスにある中でもいったんは底堅い相場が続くだろう」と言う。 24日の米国債相場は反落。10年債利回りは前日比3bp上昇の1.75%程度で引けた。一時は12日以来の低水準となる1.65%まで下げたが、原油高を受けて米国株相場が上昇に転じると売りが優勢の展開となった。S&P500種株価指数は同0.4%高で引けた。 2年債入札 財務省はこの日午前10時半から、2年利付国債の価格競争入札を実施する。表面利率は0.1%に据え置かれる見通し。発行予定額は前回債と同額の2兆5000億円程度となる。前回1月の入札ではテール(最低と平均落札価格の差)は横ばいの8厘だった。 みずほ証の辻氏は、2年債入札について、「昨日の引け時点で、入札前取引ではマイナス0.155%と、361回債とのスプレッドは6bp もある。足元のボラティリティを考えればテール自体は広がる公算が大きいものの、その後入札をきっかけに相場全体が下値を売り込みに行くような展開は想定しにくいだろう」とみる。 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 池田祐美 yikeda4@bloomberg.net;東京 山中英典 h.y@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:崎浜秀磨 ksakihama@bloomberg.net 山中英典, 青木 勝 更新日時: 2016/02/25 09:18 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O31EQ76TTDS201.html 【インサイト】原油安の痛み、米銀13.8兆円−欧州銀開示せず市場が罰 2016/02/25 08:51 JST (ブルームバーグ):エネルギー業界の苦境は周知の事実だが、その痛みを信頼できる形で数値化するのは難しい。1230億ドル(約13兆8000億円)という数字をまず手掛かりとして考えてみたい。 これは大手米銀のバランスシートに存在するエネルギー業界向けの貸付残高と融資コミットメントの推計総額であり、RBCキャピタル・マーケッツとジャニー・モントゴメリー・スコット、サスケハナ・インターナショナル・グループが今月公表したアナリストリポートの情報から導き出したものだ。 これまで入手が困難だった数字の持つ意味は大きい。原油価格が2年前の3分の1を下回る水準に下げる状況で、エネルギー業界が債務を返済できなくなった場合に広がる打撃の大きさを投資家も監督当局も把握しておきたいと考えるのではないか。エネルギー業界関係の債務に絡む深刻な損失を銀行が被れば、広く実体経済にダメージが拡散することになりかねない。 エクアドルの1年間の国内総生産(GDP)を上回る1230億ドルは驚くべき数字だ。しかし、JPモルガン・チェースやシティグループ、ウェルズ・ファーゴといった大手米銀が、つなぎ合わせれば全容を推計できる断片的情報をアナリストに十分開示した驚きの方が大きい。情報開示を行わない欧州の大手銀行は、不透明であるという理由で株式トレーダーから痛めつけられている。 ウェルズ・ファーゴのジョン・シュルーズベリー最高財務責任者(CFO)は、石油・天然ガス関連の貸付残高の大部分が、投資適格ではない企業向けだと今月公表。ゴールドマン・サックス・グループやJPモルガン、モルガン・スタンレーなど他の銀行もジャンク級(投機的格付け)エネルギー企業へのかなり大きなエクスポージャー(リスク債権)を抱える。JPモルガンは、1バレル=25ドル前後の原油価格が1年半続けば、エネルギー業界に関係する不良債権引当金を15億ドル程度積み増す必要が出てくるとの見通しを23日に明らかにした。 ただこうした事実を全て考慮しても、この種の貸し付けはこれら米銀の融資ポートフォリオのごく一部にすぎない。RBCの金融株アナリストは今月のリポートで、上位20行のエクスポージャーについて、「最も想像し難いシナリオの下でも対処は可能」と分析した。 1230億ドルという数字は、ことによるとリスクを十分反映していなかったり、かなり誇張されていたりするケースもあろう。それでも、少なくとも最初の重要な手掛かりであることに間違いない。石油関連の潜在的損失をありのままに開示する銀行が増えれば増えるほど、米国の金融システムで2008年のような危機は再び起きないと投資家を安心させることにつながるだろう。 (このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピーの意見を反映するものではありません) 原題:Big U.S. Banks Exposed to $123 Billion in Energy Debt: Gadfly(抜粋) http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O31ZSJ6TTDSQ01.html
儲かったヘッジファンドが今年も採用に意欲−秘密はマルチマネジャー 2016/02/25 07:03 JST (ブルームバーグ):イズラエル・イングランダー氏が率いるヘッジファンド運営会社ミレニアム・マネジメント(運用資産額340億ドル=約3兆8000億円)は、投資損失や顧客による資金償還に苦しむファンド業界にあって、流れに逆行する動きを今年計画している。人員を増強しようというのだ。 ケン・グリフィン氏のシタデルやジェーク・ゴットリーブ氏のビジアム・アセット・マネジメントなど数は少ないが、ミレニアムと同じように複数の運用チームが顧客資金の投資に当たる他のファンド運営会社も増員に動いている。 これらのファンド会社は業界トップクラスの高い運用成績を昨年残し、数十億ドルの新たな資金を呼び込んでおり、他の多くのファンドが人員を削減する状況でも、新たな人材の採用が可能だ。 いずれも少数のトレーダーから成る複数のチームを雇用し、それらが互い独立した形で資金運用を行うアプローチを導入しているが、大型ファンド(運用資産額10億ドル超)を対象にブルームバーグがまとめた2015年のグローバル運用成績ランキング上位50社に少なくとも6社が入っている。 原題:These Hedge Funds Made Money Last Year. Now They’re Hiring (1)(抜粋) http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O31ETK6TTDS001.html
ストックピッカーの時代再来−米ブラックロックで9.5兆円の運用者 2016/02/25 06:30 JST
(ブルームバーグ):資産運用会社、米ブラックロックで850億ドル(約9兆4600億円)を運用するダン・チャンビー氏は、中央銀行が市場に影響を及ぼす能力を失ったことで、昔ながらのやり方で株式投資ができるようになったと述べた。 昨年末の時点でポートフォリオの21%を現金で保有していたチャンビー氏は、株式の買いを再開した。トレーダーらはこれまで中央銀行による長年の景気刺激で感覚がまひしていたが、リスク判断のやり方を学び直すのに伴い、株式市場が揺れるのは当然だとチャンビー氏。金融当局の次の一手に気をもむのではなく、経済データを精査し割安な銘柄を探しているという。他の投資家やブラックロック内の同僚の意見に逆らうように、同氏は原油価格が持ち直すと踏んでいる。 チャンビー氏は「もっとファンダメンタル中心に焦点を絞るようにならなくてはならない」と発言。ストックピッカーとしての「腕の見せ所になってきた」とニュージャージー州プリンストンから電話インタビューで話した。 2008年の金融危機以降、バリュー投資家の出番は長らく限られていた。利益や資産に対して株価が大きく割安な銘柄を見つけ出すスタイルは、中央銀行による前例のない規模での資産購入で株価全般が押し上げられる環境に適合しなかった。この状況も変わりつつある兆候がある。米連邦公開市場委員会(FOMC)は利上げに踏み切り、日本銀行と欧州中央銀行(ECB)のマイナス金利導入は株売りを止められなかった。企業のバリュエーション一つをとってみても、類似性を強めていたここ数年の傾向と異なり、乖離(かいり)が始まっている。 「分散傾向が強まっている。プライシングは良くなった」とチャンビー氏は述べた。 チャンビー氏の運用総額は1月末の時点で850億ドルという。昨年4月の1000億ドルを下回る。ブルームバーグがまとめたデータによると、同氏が運用監督に携わるブラックロック・グローバル・アロケーション・ファンド(455億ドル)は今年に入り5.1%のマイナス。同種ファンドとの比較では下から36%に位置する。過去5年間の成績は年率2.9%のプラスで、同種ファンドとの比較で下から60%。ブラックロックによると、同ファンドは1989年の設定以降、年平均10%のリターンを実現している。 1月末時点での資産配分は59%が株式で、24%が債券。現金は16%に減らした。株式投資のトップ銘柄はアップルとアルファベット、ウーバー・テクノロジーズ。チャンビー氏はエネルギーとヘルスケア、テクノロジーの株式を買っていると述べたが、銘柄は特定しなかった。 日本株に対するチャンビー氏の見方は強気だが、日本株相場が2011年3月の東日本大震災以降で最大のボラティリティを記録した後、同氏は日本株への投資配分をベンチマークの3倍から2倍に引き下げた。富士通のリサーチアナリストとして働いた経歴のある同氏は、流ちょうな日本語を話す。同氏のファンドは低ボラティリティと競争力のあるリターンを提供することを目指していると述べた。 原題:BlackRock $85 Billion Manager Says Stock Pickers’ Time Has Come(抜粋) http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O32B2D6VDKHU01.html
小笠原誠治の経済ニュースに異議あり! トップ | 中国や日本の通貨操作を許さないというヒラリークリントン 2016/02/24 (水) 11:32
今朝、ラジオのニュースを聞いていたら、ヒラリークリントンが、中国や日本が通貨を操作していることを批判していると知りました。 「アメリカ大統領選挙に向けて民主党から立候補しているクリントン前国務長官はTPP=環太平洋パートナーシップ協定について反対だと明言するとともに、日本が輸出を有利にするため円安を誘導していると批判し、対抗措置を取る考えを示しました。」 「また、「中国や日本、それにほかのアジアの国々は通貨の価値を下げることで意図的に商品を安くしてきた」として日本が輸出を有利にするため円安を誘導しているなどと批判しました。」 もう何十年も同じようなことを聞かされているので、その意味では驚く必要はないのかもしれませんが、中国は別として、また日本を批判するとはどのような意味があるのでしょうか?
本当にそんなことを言っているのか? 原文をチェックしてみました。 'Made in the U.S.A." -- that label has always been a mark of quality and pride around the world. American manufacturing has gone through hard times, but we're working our way back from the worst of the economic crisis. Under President Obama, we've saved the auto industry and added over 900,000 manufacturing jobs. Exports are up 40 percent. 「米国製」―このラベルは、世界中のどこでも常に、品質とプライドの印であり続けてきた。アメリカの製造業は厳しい時代を経験したが、最悪の経済危機から抜け出してきた。オバマ大統領の下で自動車産業を救ったし、90万以上の職を製造業に追加した。輸出は40%伸びた。 But even those hard-won gains are at risk. A stronger dollar, slowing Chinese economy and global economic turbulence mean that workers in industries from steel to auto parts are facing headwinds. At the same time, China and other countries are using underhanded and unfair trade practices to tilt the playing field against American workers and businesses. When they dump cheap products in our markets, subsidize state-owned enterprises, manipulate currencies and discriminate against American companies, our middle class pays the price. That has to stop. 「しかし、こうして苦労して得たものが危機に瀕している。ドル高と中国経済の減速、そして世界経済の混乱は、鉄鋼から自動車部品に到る産業で働く労働者たちが向かい風を受けていることを意味する。同時に、中国や他の国々は、米国の労働者と企業に不利になるように不正な慣行を行使している。彼らが我が国の市場に安い商品を送り込むとき、国営企業に補助金を与えるとき、通貨を操作するとき、そして、米国の企業を差別するとき、我が国の中産階級は犠牲となるのだ。これは止めさせなければならない」 Ninety-five percent of America's potential customers live overseas, so closing ourselves off to trade is not a solution. But we have to make sure we are all playing by the same rules. As a U.S. senator, I pressured the Bush administration to get tougher on China. When I was secretary of state, I fought to protect American workers in the global marketplace. As president, my goal will be to win the global competition for the good-paying manufacturing jobs of the future. 「米国の潜在的顧客の95%は海外に居住している。そのため海外との取引を止めることは解決策にはなり得ない。しかし、我々は全てが同じルールで活動することを確かなものにしなければならない。上院議員として、私は中国に厳しく当たるようにブッシュ政権に圧力をかけた。国務長官であったとき、私は、世界市場における米国の労働者を守るために奮闘した。大統領としての私の目標は、海外との競争に打ち勝ち、製造業の仕事を取り戻すことだ」 First, we have to strongly enforce trade rules to ensure that American workers aren't being cheated. Too often, the federal government has put the burden of initiating trade cases on workers and unions, and failed to take action until after the damage is done and workers have been laid off. That's backward: The government should be enforcing the law from the beginning, and workers should be able to focus on doing their jobs. To make sure it gets done, we should establish and empower a new chief trade prosecutor reporting directly to the president, triple the number of trade enforcement officers and build new early-warning systems so we can intervene before trade violations cost American jobs. We should also hold other countries accountable for meeting internationally sanctioned labor standards -- fighting against child and slave labor and for the basic rights of workers to organize around the world. 「第一に、我々は、米国の労働者が騙されないようにするため貿易ルールを強力に執行しなければならない。連邦政府は提訴の手間を労働者や労働組合に押し付け、実害が発生したり労働者たちがレイオフされるまで手を拱くことが余りにも多かった。それは後退である。政府は、最初から法を執行しなければならない。そして、労働者たちが仕事に集中できるようにしなければならない。それを確実なものにするために、我々は、大統領直属の貿易取締官を設置し、そして、貿易の取締の任に当たる役人の数を3倍にし、さらに、米国の労働者が犠牲とならないうちに介入できるように早期警戒体制を確立しなければならない。そして、また、国際的に認められた労働基準を守るように他の国に説明責任を課さなければならない。国際的な労働基準というのは、子供や奴隷の使用を禁止することであり、また、労働者たちが組合を作る権利を認めることである」 Second, we have to stand up to Chinese abuses. Right now, Washington is considering Beijing's request for "market economy" status. That sounds pretty obscure. But here's the rub -- if they get market economy status, it would defang our anti-dumping laws and let cheap products flood into our markets. So we should reply with only one word: No. With thousands of state-owned enterprises; massive subsidies for domestic industry; systematic, state-sponsored efforts to steal business secrets, and a blatant refusal to play by the rules, China is far from a market economy. If China wants to be treated like a market economy, it needs to act like one. 「第二に、我々は中国の権利の乱用に立ち向かわなければならない。今、ワシントンは、中国に市場経済国のステータスを認めるべきかどうか、検討している。そういうと、曖昧に聞こえる。しかし、それには障害がある。もし中国が市場経済国と認められれば、我が国のアンチダンピング法は牙を抜かれ、我が国の市場には安い商品が溢れてしまう。そこで、我々の返事はノーでなければならない。何千という国営企業、国内産業に対する多額の補助金、企業秘密を組織として或いは国がバックアップして盗む体制、ルールに従うことの拒否、中国は正に市場経済とはかけ離れた国である。もし、中国が市場経済国として認めて欲しいというのであれば、それなりに振舞う必要がある」 Third, we need to crack down on currency manipulation -- which can be destructive for American workers. China, Japan and other Asian economies kept their goods artificially cheap for years by holding down the value of their currencies. I've fought against these unfair practices before, and I will do it again. Tough new surveillance, transparency and monitoring regimes are part of the answer -- but only part. We need to expand our toolbox to include effective new remedies, such as duties or tariffs and other measures 「第三に、我々は、米国の労働者にとって害をもたらす通貨操作を取り締まる必要がある。中国、日本、及びそれ以外のアジア諸国は、自国通貨の価値を安くすることによって長年の間、自国製品の価格を人為的に安く保ってきた。私は、かつてこうした不公正なやり方に反対してきた。そして、再び反対する。厳しい監視、透明性、監視体制、こうしたことが答えとなろう。しかし、それが全てではない。関税や他の手段も利用すべきである」 もう少し続くのですが、この辺で止めておきます。
やっぱり、批判の対象は主に中国であって日本ではないのでしょう。ただ、米国の自動車産業にとって一番の敵は日本であるので、やはり日本は外せないということでしょうか。 率直に言って、確かに日本は円安に誘導することによって輸出競争力を維持しようとしているのかもしれません。 従って、その意味からすれば、為替介入や超緩和策は日本の通貨価値に下押し圧力をかけ、米国の産業がとばっちりを受けるのはそのとおりでしょう。 しかし、米国自身も、ゼロ金利政策や量的緩和策など、ドルの価値を下げる政策を採用していたではないですか? だから、どうしても日本や中国に対抗したいというのであれば、いつまでも超緩和策を続ければいいだけの話。 でも、それはできないのですよね。 だって、米国は双子の赤字を抱える国だからです。 つまり、仮に米国の金利が日本の金利より低くなれば...一気にドル安・円高となる訳ですが... そうなると、どうなります? 米国の製造業が復活するかもしれませんが、しかし一朝一夕には実現しないでしょう。 しかし、そうやって時間が経過する前に、日本から米国に向かっていた資金の流れはストップしてしまうでしょう。何故なら日本の金利よりも米国の金利が低くて、魅力がなくなっているからです。 プラス、ドル安がまだまだ続きそうであると皆が感じるなら、金利が低い上に為替差損まで被る訳で、そうなれば誰も米国債を買おうとは思わなくなってしまうのです。 結局、そうなれば米国の連邦政府は金繰りが付かずに破綻するしかないのです。 だから、米国としては、中国などに為替操作は止めろというしかないのです。 但し、中国や日本が大量に米国債を保有している事実はどう評価しているのでしょう? それは、中国や日本がアンフェアに米国の連邦政府を支援していることにはならないのでしょうか? そうやって自分たちが受けている恩恵は無視し、ひたすら他国を悪く言って支持率を上げたいだけの話なのです。 それに、どうしても米国が自国の製造業を復活させたいというのであれば、単に賃金を大幅に下げればいいだけの話ではないですか。そうなれば、為替レートなんてへのカッパ! でも、賃下げなんてできないのですよね。 http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2016/02/24/025321.php
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