http://www.asyura2.com/16/hasan105/msg/827.html
Tweet |
危険な外国産肉が知らぬ間に口に…スーパー等の牛豚肉、原産国表示がなくなる恐れ
http://biz-journal.jp/2016/02/post_13944.html
2016.02.24 文=小倉正行/フリーライター Business Journal
昨年の12月18日、オバマ米大統領は、米国の義務的原産地表示制度(COOL)の対象から牛肉及び豚肉(ひき肉を含む)を除外するための同制度の修正を含む一括法案に署名した。これにより、米国では牛肉と豚肉は原産国表示が義務でなくなり、消費者はどこの国から輸入されたのかを見分けられなくなる。一体、なぜこのような事態が起こったのか。
これまで米国では、COOLにより牛や豚の出生、肥育、食肉の処理が行われた国の表示が義務付けられていた。米国、カナダ、メキシコの3カ国では、フィードロットを3カ国横断的に経営を営んでおり、米国で出生してカナダで肥育し、メキシコで屠畜するというシステムをとっていた。カナダとメキシコ両政府は、牛豚の分別と記録の手間が増すことから輸入産品の競争上の不利益を被るとして世界貿易機関(WTO)に提訴され、WTO紛争解決委員会は、COOLがWTO協定違反との決定を下したのである。これを受けて、米国政府はCOOLの対象から牛肉と豚肉を除外したのである。
このニュースは、衝撃をもって世界的に配信された。もちろん、日本政府もこの問題には強い関心を持っており、WTO紛争処理委員会のパネルにも第三国参加というかたちで出席していた。
■日本への影響
では、この原産地表示の問題が、日本にどう波及するのであろうか。日本でも原産地表示は行われており、加工品については原料のそれも実施されており、その対象品目の拡大が課題となっている。牛肉については、消費者が産地だけでなく出生から食肉の処理までの流通過程がわかるようにすること、いわゆる「トレースアビリティ」が義務付けられている。米については、輸入米も国名表示が義務付けられている。これらの表示制度が、輸入産品の競争上の不利益をもたらすとして、関係国からWTOに訴えられないか。その現実味が増してきたといえる。
特に問題なのは、TPP(環太平洋経済連携協定)である。TPPでは、第8章「貿易の技術的障害」の規定が盛り込まれ、「不必要な貿易の技術的障害を撤廃し、透明性を高め、規制に関する一層の協力及び規制に関する良い慣行を促進すること等により貿易を円滑することを目的」としている。技術的障害の対象には、すべての強制規格、任意規格が入っており、義務的表示制度はここでいう強制規格になるのである。
要するに、義務的表示制度が不必要な貿易の障害とされれば、当然撤廃される対象となるのである。牛肉と豚肉の原産地表示を廃止した米国のみならず、原産地表示で米国政府を訴えたカナダ、メキシコ両国もTPP加盟国である。日本に対しても米国、カナダ、メキシコから牛肉と豚肉が輸出されている。
さらに、日本は米国から米を年間40万トンほど輸入している。当然、牛肉、豚肉、米の原産地表示やトレースアビリティなどが関係国から「不必要な貿易障害」と認識されれば、TPPで紛争案件になり、TPPで紛争されることになる。
■揺れる日本の原産地表示制度
日本の表示制度でもっとも懸念されるのが、牛肉と米のトレースアビリティである。米国の原産地表示制度もトレースアビリティ的な内容を含んでおり、それが輸入品の競争上の不利益をもたらすとされたのである。
牛肉のトレースアビリティは、日本ではBSE発生を受けて導入されたものであるが、発生からすでに15年を経過しその後の発生もないため、厚生労働省はBSE国内対策の見直しに着手し、食品安全委員会にこれに関する食品健康影響評価を諮問している。牛肉のトレースアビリティが輸入牛肉への競争上の不利益をもたらす役割を果たしているとされた場合、その表示義務撤廃の動きにつながる可能性もある。
また、米国でも外食・中食で輸入米を使用した場合、その表示が義務付けられているが、TPPで7万8400トンの日本への別枠輸入を勝ち取った米国政府が、外食・中食における輸入国産表示が競争上の不利益をもたらす主張した場合も、厳しい局面を迎えることになる。
TPPの紛争処理は、WTOとは違い、参加12カ国の下でパネル設置され処理されることになる。日本が経験したことがない紛争解決過程である。このようなTPPの下で日本の原産地表示制度が守れるのか。今回の米国のCOOLにおける牛肉、豚肉の表示除外の案件は、そのことを問うている。
(文=小倉正行/フリーライター)
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民105掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。